44 / 48
44 ジェレマイア
しおりを挟む
「俺には荒事は向かないし、やりたくないからね」
テリオスは、よくそう言っていた。
その言葉通り、学院の時間割りに組み込まれている剣術の授業を、彼は手を抜いて受けていた。
「マイアはどうして、そんなに真剣に受けているんだ?
イングラムには有名な騎士団があるだろ?
お前は、現場で指揮する人間が机上で陣形や作戦を組み立ててくれたのを、黙って頷いて、命じるだけでいいじゃないか」
テリオスは役割はお互いに心得ていた方が楽だ、とも言っていた。
お前達は、あくまでも同じ学年の取り巻きであって、決して側近ではない。
卒業後も、王子に侍って王城に勤められると思わないように。
側近と言うのは、自分の代わりに仕事をさせるもので、能力が高くないといけない。
依って、自分と同じ年齢のお前達ではなく、自分よりも鋭く豊かな見識と知識、場数を踏んだ年上の人間を側近に選んで働いて貰い、楽をする。
自分は御輿に担がれていればいい、それが俺の役割だ、と語っていた。
……勿論ジェレマイアの前だけで。
◇◇◇
「今回の王女の件には、王妃と叔父貴は関わっていない。
ユーシスとクリスティアナが調子に乗って勝手にした事だ。
あいつらが用意した男も単なる男娼で、ミネルヴァのような特別な力など持っていなかった。
現状は、ユーシスとクリスティアナのところで話は止まっているが、このまま尋問が続けば、あいつらのどちらかは、必ず王妃と叔父貴の名前を出す。
その前に、とあのふたり、こちらも不倫の関係の王妃と叔父貴は国内の味方になりそうなものに、接触を始めたらしい」
テリオスはリデルの名を書いた紙を、ジェレマイアに寄越しながら、説明を続けた。
渡された紙を持つ己の両手が、怒りと後悔で震えているのを、ジェレマイアは自覚していない。
側近にはしないと言っていたのに、こいつは俺を逃がさないように、次々と聞いてはいけない情報を会話の中に入れてくる。
王妃と公爵は不倫の関係……そんなのは聞きたくなかった。
国内の奴等に接触、それはすなわち……
「俺は荒事が苦手だし、嫌いだ。
争いは頭脳戦、出来れば情報戦にしたいところだが、そんな悠長にしていられなくなった。
とにかく北の連中には、このお家騒動に出張って貰いたく無いんだ、分かるだろ?
北の奴等は魔力を用いて戦う。
風を吹かせ、雨を降らせる。
火を飛ばし、雷を落とす。
他にもどんな攻撃があるのか、把握しきれない。
だが、叔父貴が北大陸で頼れるのは、グーレンバイツの商人。
商人と言うのは利の無い方には傾かないんだよ」
「……俺を北に……グーレンバイツに向かわせるのは、こちらに、テリオス殿下に味方に付くように説得させるためですか?」
俺の役割はそこで、テリオスはいずれはそうなると予想して。
だから、言語の出来る俺を呼びたかった?
ここまで来させて、王族達の聞きたくもない秘密を話す。
それだけでも逃げられなくしているのに、リデルの名前を出し、更に雁字搦めにしようとする。
側近に働かせて、自分は担がせた御輿の上で楽をする、そううそぶいたテリオスを、俺はどうして信じたのか……
テリオスからの連絡を待たずに、自分の都合でシェイマスヘ来た事は、彼から利用されると思い込んだジェレマイアの頭から抜けていた。
「いや、味方になってくれと説得はしなくていい。
ただ向こうに付いても、旨味は無いと話してくれればいいんだ」
「……もう長々と説明や解説は要らない。
俺はこれから出ます。
貴方の命じた通り、グーレンバイツの商会へ行き、第1王子側に付いても旨味は無いと説明しましょう。
その代わり、彼女を人質にするのだけは許さない」
「……」
声は抑えても。
信じて裏切られた怒りは隠せない。
テリオスは、そのジェレマイアの声の中に、一抹の悲しみも感じ取った。
……彼は他人の機微に敏感な男だったから。
「待てマイア、お前は誤解してる。
俺の話の進め方が悪かったのだろうが、お前の弱みを握りたくて、彼女の名前を出したんじゃない。
元々はお前から借りた本に挟まっていたメモに、練習していた彼女の名前が書いてあった。
何語か調べたら、グーレンバイツ帝国語で女性の名前だったから、その時は面白いと」
「……」
「女に興味の無いお前をからかうネタになれば、と調べさせて彼女の存在を知った。
領地に居た頃、お前が心を許していたのは、たった3人。
家令と御抱え治療士と、その娘。
……お前にとって特別なひとなのは、分かっている。
だから利用しようとしたんじゃない。
お前が北に行けば、彼女がその気になれば。
戻れる、と伝えたかった」
「……」
返事もせずに立ち上がりかけたジェレマイアの服を掴んで、慌てて一気に話すテリオスは、これまで余裕のある姿からは、想像もしていないものだ。
それでも、まだジェレマイアは彼が信用出来ないので、座るテリオスを見下ろしたまま。
「俺が北に行けば? リデルがその気になれば? 戻れる?
お前、何を言って……」
「取りあえず、座ってくれ、落ち着かない。
これからちゃんと話す」
そう言われて仕方なく、もう一度座るが。
ジェレマイアの青い瞳は、相変わらずテリオスを睨んでいた。
いつも、どこか冷めていて。
内心では色々考えてはいても、何に対しても、それほどの反応を表に出さない。
そんなジェレマイアだったのに、リデル・カーターの名前が出た途端に、こんなに激しさを見せるとは。
王子の自分に対して無意識にお前と言った、こんなに余裕の無いジェレマイアの姿は、テリオスには想定外のものだった。
「こんな感じのを、彼女のまわりで見なかったか?」
テリオスは、もう1枚紙を出して、またもや何かを書いて見せた。
それに思い当たる節があるジェレマイアは、ここは素直に頷いた。
「リデルが持っている、金属製の護符に刻まれている」
「やっぱりか……これはグーレンバイツのベージルーシュ侯爵家の家紋を簡素化したもので、家族に贈り物をする時に彫ったり、又は描いたりするらしい。
金属製の護符は、あの国では無事に1歳の誕生日を迎えた御祝いで贈られるものだ。
13年前、侯爵と第2夫人との間に生まれた娘、つまり我が国では庶子と呼ばれる立場の、当時4歳の娘の行方が分からなくなった。
その娘の名がリデル、黒髪に茶色の瞳をしたリデル・フォルロイ・ベージルーシュだ」
「帝国侯爵家の……リデル……フォルロイ・ベージルーシュ……」
「娘はある日、子守りと侯爵邸から姿を消した。
以降、帝国中、北大陸中を探しても見つからなかった。
母親は鬱になり、やがて亡くなり……
彼女本人は『癒し手』の力を持っていたのに、他人には使えても自分を治す事は出来なかったんだ」
「癒し手……」
「俺が調べたのは、ここまで。
ここからどうするのかは、お前が彼女と決めればいい。
リデル・カーターを『癒しの聖女』と呼ぶ人間もいるらしいな。
だが、彼女本人にはその力は使えない。
お前が支えてやらないと……」
第2王子に取り巻きにされて、6年以上が過ぎた。
ジェレマイアは初めて彼に
「大丈夫です」と言わなかった。
テリオスは、よくそう言っていた。
その言葉通り、学院の時間割りに組み込まれている剣術の授業を、彼は手を抜いて受けていた。
「マイアはどうして、そんなに真剣に受けているんだ?
イングラムには有名な騎士団があるだろ?
お前は、現場で指揮する人間が机上で陣形や作戦を組み立ててくれたのを、黙って頷いて、命じるだけでいいじゃないか」
テリオスは役割はお互いに心得ていた方が楽だ、とも言っていた。
お前達は、あくまでも同じ学年の取り巻きであって、決して側近ではない。
卒業後も、王子に侍って王城に勤められると思わないように。
側近と言うのは、自分の代わりに仕事をさせるもので、能力が高くないといけない。
依って、自分と同じ年齢のお前達ではなく、自分よりも鋭く豊かな見識と知識、場数を踏んだ年上の人間を側近に選んで働いて貰い、楽をする。
自分は御輿に担がれていればいい、それが俺の役割だ、と語っていた。
……勿論ジェレマイアの前だけで。
◇◇◇
「今回の王女の件には、王妃と叔父貴は関わっていない。
ユーシスとクリスティアナが調子に乗って勝手にした事だ。
あいつらが用意した男も単なる男娼で、ミネルヴァのような特別な力など持っていなかった。
現状は、ユーシスとクリスティアナのところで話は止まっているが、このまま尋問が続けば、あいつらのどちらかは、必ず王妃と叔父貴の名前を出す。
その前に、とあのふたり、こちらも不倫の関係の王妃と叔父貴は国内の味方になりそうなものに、接触を始めたらしい」
テリオスはリデルの名を書いた紙を、ジェレマイアに寄越しながら、説明を続けた。
渡された紙を持つ己の両手が、怒りと後悔で震えているのを、ジェレマイアは自覚していない。
側近にはしないと言っていたのに、こいつは俺を逃がさないように、次々と聞いてはいけない情報を会話の中に入れてくる。
王妃と公爵は不倫の関係……そんなのは聞きたくなかった。
国内の奴等に接触、それはすなわち……
「俺は荒事が苦手だし、嫌いだ。
争いは頭脳戦、出来れば情報戦にしたいところだが、そんな悠長にしていられなくなった。
とにかく北の連中には、このお家騒動に出張って貰いたく無いんだ、分かるだろ?
北の奴等は魔力を用いて戦う。
風を吹かせ、雨を降らせる。
火を飛ばし、雷を落とす。
他にもどんな攻撃があるのか、把握しきれない。
だが、叔父貴が北大陸で頼れるのは、グーレンバイツの商人。
商人と言うのは利の無い方には傾かないんだよ」
「……俺を北に……グーレンバイツに向かわせるのは、こちらに、テリオス殿下に味方に付くように説得させるためですか?」
俺の役割はそこで、テリオスはいずれはそうなると予想して。
だから、言語の出来る俺を呼びたかった?
ここまで来させて、王族達の聞きたくもない秘密を話す。
それだけでも逃げられなくしているのに、リデルの名前を出し、更に雁字搦めにしようとする。
側近に働かせて、自分は担がせた御輿の上で楽をする、そううそぶいたテリオスを、俺はどうして信じたのか……
テリオスからの連絡を待たずに、自分の都合でシェイマスヘ来た事は、彼から利用されると思い込んだジェレマイアの頭から抜けていた。
「いや、味方になってくれと説得はしなくていい。
ただ向こうに付いても、旨味は無いと話してくれればいいんだ」
「……もう長々と説明や解説は要らない。
俺はこれから出ます。
貴方の命じた通り、グーレンバイツの商会へ行き、第1王子側に付いても旨味は無いと説明しましょう。
その代わり、彼女を人質にするのだけは許さない」
「……」
声は抑えても。
信じて裏切られた怒りは隠せない。
テリオスは、そのジェレマイアの声の中に、一抹の悲しみも感じ取った。
……彼は他人の機微に敏感な男だったから。
「待てマイア、お前は誤解してる。
俺の話の進め方が悪かったのだろうが、お前の弱みを握りたくて、彼女の名前を出したんじゃない。
元々はお前から借りた本に挟まっていたメモに、練習していた彼女の名前が書いてあった。
何語か調べたら、グーレンバイツ帝国語で女性の名前だったから、その時は面白いと」
「……」
「女に興味の無いお前をからかうネタになれば、と調べさせて彼女の存在を知った。
領地に居た頃、お前が心を許していたのは、たった3人。
家令と御抱え治療士と、その娘。
……お前にとって特別なひとなのは、分かっている。
だから利用しようとしたんじゃない。
お前が北に行けば、彼女がその気になれば。
戻れる、と伝えたかった」
「……」
返事もせずに立ち上がりかけたジェレマイアの服を掴んで、慌てて一気に話すテリオスは、これまで余裕のある姿からは、想像もしていないものだ。
それでも、まだジェレマイアは彼が信用出来ないので、座るテリオスを見下ろしたまま。
「俺が北に行けば? リデルがその気になれば? 戻れる?
お前、何を言って……」
「取りあえず、座ってくれ、落ち着かない。
これからちゃんと話す」
そう言われて仕方なく、もう一度座るが。
ジェレマイアの青い瞳は、相変わらずテリオスを睨んでいた。
いつも、どこか冷めていて。
内心では色々考えてはいても、何に対しても、それほどの反応を表に出さない。
そんなジェレマイアだったのに、リデル・カーターの名前が出た途端に、こんなに激しさを見せるとは。
王子の自分に対して無意識にお前と言った、こんなに余裕の無いジェレマイアの姿は、テリオスには想定外のものだった。
「こんな感じのを、彼女のまわりで見なかったか?」
テリオスは、もう1枚紙を出して、またもや何かを書いて見せた。
それに思い当たる節があるジェレマイアは、ここは素直に頷いた。
「リデルが持っている、金属製の護符に刻まれている」
「やっぱりか……これはグーレンバイツのベージルーシュ侯爵家の家紋を簡素化したもので、家族に贈り物をする時に彫ったり、又は描いたりするらしい。
金属製の護符は、あの国では無事に1歳の誕生日を迎えた御祝いで贈られるものだ。
13年前、侯爵と第2夫人との間に生まれた娘、つまり我が国では庶子と呼ばれる立場の、当時4歳の娘の行方が分からなくなった。
その娘の名がリデル、黒髪に茶色の瞳をしたリデル・フォルロイ・ベージルーシュだ」
「帝国侯爵家の……リデル……フォルロイ・ベージルーシュ……」
「娘はある日、子守りと侯爵邸から姿を消した。
以降、帝国中、北大陸中を探しても見つからなかった。
母親は鬱になり、やがて亡くなり……
彼女本人は『癒し手』の力を持っていたのに、他人には使えても自分を治す事は出来なかったんだ」
「癒し手……」
「俺が調べたのは、ここまで。
ここからどうするのかは、お前が彼女と決めればいい。
リデル・カーターを『癒しの聖女』と呼ぶ人間もいるらしいな。
だが、彼女本人にはその力は使えない。
お前が支えてやらないと……」
第2王子に取り巻きにされて、6年以上が過ぎた。
ジェレマイアは初めて彼に
「大丈夫です」と言わなかった。
308
あなたにおすすめの小説
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
【完結】地味な私と公爵様
ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。
端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。
そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。
...正直私も信じていません。
ラエル様が、私を溺愛しているなんて。
きっと、きっと、夢に違いありません。
お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)
【完結】一途すぎる公爵様は眠り姫を溺愛している
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
リュシエンヌ・ソワイエは16歳の子爵令嬢。皆が憧れるマルセル・クレイン伯爵令息に婚約を申し込まれたばかりで幸せいっぱいだ。
しかしある日を境にリュシエンヌは眠りから覚めなくなった。本人は自覚が無いまま12年の月日が過ぎ、目覚めた時には父母は亡くなり兄は結婚して子供がおり、さらにマルセルはリュシエンヌの親友アラベルと結婚していた。
突然のことに狼狽えるリュシエンヌ。しかも兄嫁はリュシエンヌを厄介者扱いしていて実家にはいられそうもない。
そんな彼女に手を差し伸べたのは、若きヴォルテーヌ公爵レオンだった……。
『残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました』『結婚前日に友人と入れ替わってしまった……!』に出てくる魔法大臣ゼインシリーズです。
表紙は「簡単表紙メーカー2」で作成しました。
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
白詰草は一途に恋を秘め、朝露に濡れる
瀬月 ゆな
恋愛
ロゼリエッタは三歳年上の婚約者クロードに恋をしている。
だけど、その恋は決して叶わないものだと知っていた。
異性に対する愛情じゃないのだとしても、妹のような存在に対する感情なのだとしても、いつかは結婚して幸せな家庭を築ける。それだけを心の支えにしていたある日、クロードから一方的に婚約の解消を告げられてしまう。
失意に沈むロゼリエッタに、クロードが隣国で行方知れずになったと兄が告げる。
けれど賓客として訪れた隣国の王太子に付き従う仮面の騎士は過去も姿形も捨てて、別人として振る舞うクロードだった。
愛していると言えなかった騎士と、愛してくれているのか聞けなかった令嬢の、すれ違う初恋の物語。
他サイト様でも公開しております。
イラスト 灰梅 由雪(https://twitter.com/haiumeyoshiyuki)様
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
【完結】嫌われ公女が継母になった結果
三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。
わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる