62 / 102
第61話 アシュフォードside
しおりを挟む
国王陛下の追い落としに成功した議会終了後、王太子から話があった。
被害者のスローン侯爵への対応だ。
俺の口から侯爵へ、謝るのは決めていた。
王家からの謝罪があるまで、スローンの方には事件の詳細は漏らすな、と議会に召集した各家門には厳命していた。
侯爵は事故ではないと知っているが、犯人は誰かまだご存じない。
その原因が俺で、犯罪を教唆したのが第1王女である事も。
バージニアと教唆されて実行したローラ・グレイシーへの罰をどうするのかは、侯爵を交えて、納得して貰えるよう決定しようと言う。
それについて、俺にも異論はないが。
「例のドレスはまだ、あっちにあるんだろ?
ついでに、その返却も命じて……」
「待ってください。
もちろん、俺の浅はかなやり方が元々の原因で、それを隠すつもりはないし、きちんと侯爵には謝罪するつもりです。
ですが、今も悲しみのなかにおられる侯爵に、クラリスの部屋に入り、ドレスをこちらまで持参しろと命じるなんて」
「……娘の部屋に入るのはメイドだろ?
侯爵はそれを持ってくるだけじゃないか
じゃあ、お前が何とかするのか?」
「プレストンに手紙を書いて、俺が取りに行きます」
「息子に手紙で謝ってか?」
王太子は物事を緻密に進める癖に、人のこころに気を遣わない。
鈍感な俺に、言われたくないだろうけれど。
「謝罪は顔を見て、します」
王族は謝罪をしてはいけない等と教えられていたが。
スローン侯爵家は巻き込まれただけ。
どれ程罵られても、俺は受け入れなくては。
俺はプレストンに手紙を書いた。
学園に戻ったとは聞いている。
アグネスが休み続けているのも心配で、花と手紙を贈る。
本当は会いに行きたいが、その時間が取れない。
事件の後始末と、国王退位、新国王譲位の件で議会や打ち合わせが続く。
トルラキアとラニャンの語学の授業も受けている。
その上、リヨンではクーデターが成功したと連絡が来た。
王太子の目はもうリヨンへ向けられていた。
スローンの事故は過去の事になっている。
「プレストン・スローンから連絡はあったのか?」
「……」
「まだなんだな?
明日、侯爵を登城させる。
そろそろ復帰もして貰わないといけないしな?
大臣決済の書類が山積みだ。
明日までに、スローンにどう説明して謝罪するのか、考えておけよ」
「わかりました」
プレストンからはまだ返事はない。
王太子の言う通り、侯爵を呼び出して謝罪し、ドレスの返却を頼むしかないのか……
「リヨンへ行く話だが、やはり3年くらいはな。
王太女の『立太子の礼』から後の女王就任まで、頼んだからな。
王配予定のラニャンの王子とも懇意になれるよう……
言葉はどこまで話せる?」
「リヨンはほぼマスターしているけれど、ラニャンはまだ始めたばかりで……」
「じゃあ、ラニャン語の教師をリヨンへ同行させて、あっちで2年以内には完璧に話せるようになれ。
王子が母国語を話せるお前を信用して、頼るようになるくらいにな?」
こっちから教師まで同行させるのか。
王太子の頭には、リヨン人のラニャン語教師を付けるのは考えられないらしい。
バロウズは公にリヨンに兵を派遣していないが、隠れて結構送ったのだろうな。
俺が行くのは、全てが終わって落ち着いてからだ。
ラニャンは、王女の援軍兵力として王国軍を送り込んでいたので、同腹の妹王女が降嫁した公爵家とその派閥しか味方がいなかった現王太子はひとたまりもなかっただろう。
3年前は病床の国王陛下にとってかわって、王宮を思いのままに操っていたのに。
リヨンには思っていたより中立派が多くて、それらがほとんどフォンティーヌ陣営に流れたのだ。
味方に付かせた公爵家の発言力は強くなっただろうな。
「シモーヌ公爵家に17の公女がいる」
王太子の言葉に嫌な含みはないみたいだけど。
シモーヌとは、例の中立派の頭だった公爵家だ。
リヨン王宮の主だった貴族と、その関係者は簡単にだが、頭に入っている。
マルグリット・シモーヌ公女の事を口に出すのは。
自分の意思だけは先に伝えておこう。
「王宮に入り込めと言われているが、ハニートラップとかは絶対に嫌だ」
リヨンに居る間だけ、とか言われても。
それに類する事は絶対にしない。
「先走るなよ、王族のお前にそんな真似はさせるか。
ギルやお前みたいにひとりだけ、と決めているのは尊重する。
反対に、父親の公爵に気を付けろ、と言いたかっただけだ。
あっちはあっちで、バロウズに入り込みたいだろう……シモーヌ周辺からの誘いには用心して、媚薬に気を付けて」
「……」
「出発する前に、侯爵にアグネス嬢との婚約の打診だけはしたらどうだと、提案したかったんだ。
スローン侯爵家は喪中だが、婚約を申し込んでいると、リヨンで周知させてもいいと思う。
お前の虫除けになる」
虫除けにとの言い方に引っ掛かるが、王太子も思っていたより人間味があってよかった、と思った。
シモーヌ公女を利用しろ、なんて言われたら……
辺境伯夫人もこれで、完全にアグネスを諦めるしな。
「お前みたいに女性の扱いが下手なやつに調略なんて無理な話だろ。
ライナスを連れていって、アイツを公女に近付ける算段をするんだ」
クリスチャン・ライナス伯爵令息は齢22の、男から見ても目を奪われる程の美丈夫で、銀髪の近衛騎士だ。
王城では数々の女性と浮き名を流していて、レイの持っている恋愛相関図では四方八方と赤い実線で繋がっていると思われた。
遊んでる割には女性達から悪い噂が流れないのは、綺麗に付き合って、後腐れなく別れるのが上手なのか。
彼を使って、シモーヌ公爵家と繋がりを持て、か。
マルグリットが純真か、そうでないかは知らないが。
まだ17歳の彼女に、海千山千のライナスを宛がおうとするなんて、前言撤回だ。
彼に簡単に喰われてしまうだろう。
……うちの王太子に、人間味は余り無い。
アグネスとの婚約は簡単にはいかないだろう。
明日、侯爵へは誠心誠意で、謝罪するしかない。
夫人とクラリスがあんな目に遭ったのは、俺とバージニアのせいなのだから。
「リヨンに連れて行く人間も、今週中には決定する。
3年は長いからな、お前の希望は叶えよう」
リヨンに連れて行きたい、か。
自分の執務室に戻る俺に、王太子が言った。
◇◇◇
「リヨンに行くって話だけど。
俺、その中に入ってるよね?」
「……」
「え、その沈黙はどう言う事なの、入ってないの?」
夕方、執務室にレイがやって来た。
正式にはまだだが、もう情報が回ってきたか。
ライナスが1ヶ月かけて身辺整理を始めたか。
「カランも行くんだろ、俺だけ置いていくつもりか?」
「……春に結婚だろ? 新妻を3年も置いておけないだろう」
レイはリリアン・ロイズナー伯爵令嬢との結婚が決まっていて、それは冬の終わりだ。
もう半年切っている。
「お前の結婚式に出られないのが心苦しくて、申し訳ないと……」
俺だって、兄弟同然のレイの結婚式には出たかった。
だが、仕方ない。
「俺は役に立つよ! お前さえ呼んでくれたら、リリアンに延期を頼む。
もしリリアンが駄目だと言うなら……」
「お前さ、駄目と言われるに決まっているだろ! 結婚は一生の大事だ。
血迷うなよ?」
例えば、立太子の礼だけ出席し、一旦帰国して結婚式を挙げて。
再びロイズナー嬢を伴ってリヨンに来るのは賛成出来ない。
リヨンでは内戦は終わっていて、安全を確認して俺達は入国するが、全く危険が無いわけじゃない。
落ち着かない王宮を動き回ろうという俺達にとって、家族は弱味になる。
王太子はアグネスの事をあちらでも公にしてもいい、と言うが、バロウズにいるからと安心出来るのだろうか。
危険の可能性がある内は、彼女の側で守れないなら、まだそれは早いのではないか。
情報を得るのが早いレイは、確実に俺の戦力になってくれるし、何より居てくれるだけで心強い。
本当の自分をさらけ出せる相手は貴重だ。
それでも……
「使節団と居残りメンバーの決定はまだだな?
リリアンと話し合うから、俺の席は絶対に残しててくれよ?」
被害者のスローン侯爵への対応だ。
俺の口から侯爵へ、謝るのは決めていた。
王家からの謝罪があるまで、スローンの方には事件の詳細は漏らすな、と議会に召集した各家門には厳命していた。
侯爵は事故ではないと知っているが、犯人は誰かまだご存じない。
その原因が俺で、犯罪を教唆したのが第1王女である事も。
バージニアと教唆されて実行したローラ・グレイシーへの罰をどうするのかは、侯爵を交えて、納得して貰えるよう決定しようと言う。
それについて、俺にも異論はないが。
「例のドレスはまだ、あっちにあるんだろ?
ついでに、その返却も命じて……」
「待ってください。
もちろん、俺の浅はかなやり方が元々の原因で、それを隠すつもりはないし、きちんと侯爵には謝罪するつもりです。
ですが、今も悲しみのなかにおられる侯爵に、クラリスの部屋に入り、ドレスをこちらまで持参しろと命じるなんて」
「……娘の部屋に入るのはメイドだろ?
侯爵はそれを持ってくるだけじゃないか
じゃあ、お前が何とかするのか?」
「プレストンに手紙を書いて、俺が取りに行きます」
「息子に手紙で謝ってか?」
王太子は物事を緻密に進める癖に、人のこころに気を遣わない。
鈍感な俺に、言われたくないだろうけれど。
「謝罪は顔を見て、します」
王族は謝罪をしてはいけない等と教えられていたが。
スローン侯爵家は巻き込まれただけ。
どれ程罵られても、俺は受け入れなくては。
俺はプレストンに手紙を書いた。
学園に戻ったとは聞いている。
アグネスが休み続けているのも心配で、花と手紙を贈る。
本当は会いに行きたいが、その時間が取れない。
事件の後始末と、国王退位、新国王譲位の件で議会や打ち合わせが続く。
トルラキアとラニャンの語学の授業も受けている。
その上、リヨンではクーデターが成功したと連絡が来た。
王太子の目はもうリヨンへ向けられていた。
スローンの事故は過去の事になっている。
「プレストン・スローンから連絡はあったのか?」
「……」
「まだなんだな?
明日、侯爵を登城させる。
そろそろ復帰もして貰わないといけないしな?
大臣決済の書類が山積みだ。
明日までに、スローンにどう説明して謝罪するのか、考えておけよ」
「わかりました」
プレストンからはまだ返事はない。
王太子の言う通り、侯爵を呼び出して謝罪し、ドレスの返却を頼むしかないのか……
「リヨンへ行く話だが、やはり3年くらいはな。
王太女の『立太子の礼』から後の女王就任まで、頼んだからな。
王配予定のラニャンの王子とも懇意になれるよう……
言葉はどこまで話せる?」
「リヨンはほぼマスターしているけれど、ラニャンはまだ始めたばかりで……」
「じゃあ、ラニャン語の教師をリヨンへ同行させて、あっちで2年以内には完璧に話せるようになれ。
王子が母国語を話せるお前を信用して、頼るようになるくらいにな?」
こっちから教師まで同行させるのか。
王太子の頭には、リヨン人のラニャン語教師を付けるのは考えられないらしい。
バロウズは公にリヨンに兵を派遣していないが、隠れて結構送ったのだろうな。
俺が行くのは、全てが終わって落ち着いてからだ。
ラニャンは、王女の援軍兵力として王国軍を送り込んでいたので、同腹の妹王女が降嫁した公爵家とその派閥しか味方がいなかった現王太子はひとたまりもなかっただろう。
3年前は病床の国王陛下にとってかわって、王宮を思いのままに操っていたのに。
リヨンには思っていたより中立派が多くて、それらがほとんどフォンティーヌ陣営に流れたのだ。
味方に付かせた公爵家の発言力は強くなっただろうな。
「シモーヌ公爵家に17の公女がいる」
王太子の言葉に嫌な含みはないみたいだけど。
シモーヌとは、例の中立派の頭だった公爵家だ。
リヨン王宮の主だった貴族と、その関係者は簡単にだが、頭に入っている。
マルグリット・シモーヌ公女の事を口に出すのは。
自分の意思だけは先に伝えておこう。
「王宮に入り込めと言われているが、ハニートラップとかは絶対に嫌だ」
リヨンに居る間だけ、とか言われても。
それに類する事は絶対にしない。
「先走るなよ、王族のお前にそんな真似はさせるか。
ギルやお前みたいにひとりだけ、と決めているのは尊重する。
反対に、父親の公爵に気を付けろ、と言いたかっただけだ。
あっちはあっちで、バロウズに入り込みたいだろう……シモーヌ周辺からの誘いには用心して、媚薬に気を付けて」
「……」
「出発する前に、侯爵にアグネス嬢との婚約の打診だけはしたらどうだと、提案したかったんだ。
スローン侯爵家は喪中だが、婚約を申し込んでいると、リヨンで周知させてもいいと思う。
お前の虫除けになる」
虫除けにとの言い方に引っ掛かるが、王太子も思っていたより人間味があってよかった、と思った。
シモーヌ公女を利用しろ、なんて言われたら……
辺境伯夫人もこれで、完全にアグネスを諦めるしな。
「お前みたいに女性の扱いが下手なやつに調略なんて無理な話だろ。
ライナスを連れていって、アイツを公女に近付ける算段をするんだ」
クリスチャン・ライナス伯爵令息は齢22の、男から見ても目を奪われる程の美丈夫で、銀髪の近衛騎士だ。
王城では数々の女性と浮き名を流していて、レイの持っている恋愛相関図では四方八方と赤い実線で繋がっていると思われた。
遊んでる割には女性達から悪い噂が流れないのは、綺麗に付き合って、後腐れなく別れるのが上手なのか。
彼を使って、シモーヌ公爵家と繋がりを持て、か。
マルグリットが純真か、そうでないかは知らないが。
まだ17歳の彼女に、海千山千のライナスを宛がおうとするなんて、前言撤回だ。
彼に簡単に喰われてしまうだろう。
……うちの王太子に、人間味は余り無い。
アグネスとの婚約は簡単にはいかないだろう。
明日、侯爵へは誠心誠意で、謝罪するしかない。
夫人とクラリスがあんな目に遭ったのは、俺とバージニアのせいなのだから。
「リヨンに連れて行く人間も、今週中には決定する。
3年は長いからな、お前の希望は叶えよう」
リヨンに連れて行きたい、か。
自分の執務室に戻る俺に、王太子が言った。
◇◇◇
「リヨンに行くって話だけど。
俺、その中に入ってるよね?」
「……」
「え、その沈黙はどう言う事なの、入ってないの?」
夕方、執務室にレイがやって来た。
正式にはまだだが、もう情報が回ってきたか。
ライナスが1ヶ月かけて身辺整理を始めたか。
「カランも行くんだろ、俺だけ置いていくつもりか?」
「……春に結婚だろ? 新妻を3年も置いておけないだろう」
レイはリリアン・ロイズナー伯爵令嬢との結婚が決まっていて、それは冬の終わりだ。
もう半年切っている。
「お前の結婚式に出られないのが心苦しくて、申し訳ないと……」
俺だって、兄弟同然のレイの結婚式には出たかった。
だが、仕方ない。
「俺は役に立つよ! お前さえ呼んでくれたら、リリアンに延期を頼む。
もしリリアンが駄目だと言うなら……」
「お前さ、駄目と言われるに決まっているだろ! 結婚は一生の大事だ。
血迷うなよ?」
例えば、立太子の礼だけ出席し、一旦帰国して結婚式を挙げて。
再びロイズナー嬢を伴ってリヨンに来るのは賛成出来ない。
リヨンでは内戦は終わっていて、安全を確認して俺達は入国するが、全く危険が無いわけじゃない。
落ち着かない王宮を動き回ろうという俺達にとって、家族は弱味になる。
王太子はアグネスの事をあちらでも公にしてもいい、と言うが、バロウズにいるからと安心出来るのだろうか。
危険の可能性がある内は、彼女の側で守れないなら、まだそれは早いのではないか。
情報を得るのが早いレイは、確実に俺の戦力になってくれるし、何より居てくれるだけで心強い。
本当の自分をさらけ出せる相手は貴重だ。
それでも……
「使節団と居残りメンバーの決定はまだだな?
リリアンと話し合うから、俺の席は絶対に残しててくれよ?」
135
あなたにおすすめの小説
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
大好きなあなたを忘れる方法
山田ランチ
恋愛
あらすじ
王子と婚約関係にある侯爵令嬢のメリベルは、訳あってずっと秘密の婚約者のままにされていた。学園へ入学してすぐ、メリベルの魔廻が(魔術を使う為の魔素を貯めておく器官)が限界を向かえようとしている事に気が付いた大魔術師は、魔廻を小さくする事を提案する。その方法は、魔素が好むという悲しい記憶を失くしていくものだった。悲しい記憶を引っ張り出しては消していくという日々を過ごすうち、徐々に王子との記憶を失くしていくメリベル。そんな中、魔廻を奪う謎の者達に大魔術師とメリベルが襲われてしまう。
魔廻を奪おうとする者達は何者なのか。王子との婚約が隠されている訳と、重大な秘密を抱える大魔術師の正体が、メリベルの記憶に導かれ、やがて世界の始まりへと繋がっていく。
登場人物
・メリベル・アークトュラス 17歳、アークトゥラス侯爵の一人娘。ジャスパーの婚約者。
・ジャスパー・オリオン 17歳、第一王子。メリベルの婚約者。
・イーライ 学園の園芸員。
クレイシー・クレリック 17歳、クレリック侯爵の一人娘。
・リーヴァイ・ブルーマー 18歳、ブルーマー子爵家の嫡男でジャスパーの側近。
・アイザック・スチュアート 17歳、スチュアート侯爵の嫡男でジャスパーの側近。
・ノア・ワード 18歳、ワード騎士団長の息子でジャスパーの従騎士。
・シア・ガイザー 17歳、ガイザー男爵の娘でメリベルの友人。
・マイロ 17歳、メリベルの友人。
魔素→世界に漂っている物質。触れれば精神を侵され、生き物は主に凶暴化し魔獣となる。
魔廻→体内にある魔廻(まかい)と呼ばれる器官、魔素を取り込み貯める事が出来る。魔術師はこの器官がある事が必須。
ソル神とルナ神→太陽と月の男女神が魔素で満ちた混沌の大地に現れ、世界を二つに分けて浄化した。ソル神は昼間を、ルナ神は夜を受け持った。
愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」
「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」
「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」
貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・?
何故、私を愛するふりをするのですか?
[登場人物]
セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。
×
ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。
リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。
アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?
君を自由にしたくて婚約破棄したのに
佐崎咲
恋愛
「婚約を解消しよう」
幼い頃に決められた婚約者であるルーシー=ファロウにそう告げると、何故か彼女はショックを受けたように身体をこわばらせ、顔面が蒼白になった。
でもそれは一瞬のことだった。
「わかりました。では両親には私の方から伝えておきます」
なんでもないようにすぐにそう言って彼女はくるりと背を向けた。
その顔はいつもの淡々としたものだった。
だけどその一瞬見せたその顔が頭から離れなかった。
彼女は自由になりたがっている。そう思ったから苦汁の決断をしたのに。
============
注意)ほぼコメディです。
軽い気持ちで読んでいただければと思います。
※無断転載・複写はお断りいたします。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
優しすぎる王太子に妃は現れない
七宮叶歌
恋愛
『優しすぎる王太子』リュシアンは国民から慕われる一方、貴族からは優柔不断と見られていた。
没落しかけた伯爵家の令嬢エレナは、家を救うため王太子妃選定会に挑み、彼の心を射止めようと決意する。
だが、選定会の裏には思わぬ陰謀が渦巻いていた。翻弄されながらも、エレナは自分の想いを貫けるのか。
国が繁栄する時、青い鳥が現れる――そんな伝承のあるフェラデル国で、優しすぎる王太子と没落令嬢の行く末を、青い鳥は見守っている。
《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらちん黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。
片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜
橘しづき
恋愛
姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。
私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。
だが当日、姉は結婚式に来なかった。 パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。
「私が……蒼一さんと結婚します」
姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる