姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮

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言いがかりをつけられました

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 王立アルセ学園――ここはアルセ王国の王都にある、十五歳以上の貴族が三年間通う学園です。義務ですので拒否は許されず、入学するためには試験を受けなければなりません。
 商人や平民は別のところにある学校に入学することができますが、こちらは義務ではありません。
 そこは少しだけ羨ましいですわ。

 学園のクラスはS、A、B、C、D、Eと六クラスあり、これは貴族階級ではなく学力で分かれます。それを調べるため、そしてクラス分けの判断材料のひとつとして、試験を受けなければならないのです。
 試験が終わると両親と一緒に面接をし、人柄も確認されます。ですが、わたくしの場合は事情があり、父方の伯父夫婦が両親に代わりわたくしの後ろ盾として、面接も一緒に参加してくださいました。
 本当に感謝しております。
 その後、別の部屋に案内されたあと、白くて丸い石にわたくしの魔力を登録して、制服の送り先を書いたのですが……。
 この時、自宅ではなく、伯父夫婦のところにすればよかった思う出来事がありました。後の祭りですが。

 現実逃避としてそんなことをつらつらと思い出していましたが、現状は変わらず、嘆息してしまいます。



 現在、伯爵令嬢であるわたくしことオフィリア・ジョンパルトの席の周囲には、第三王子であるエドムンド・ロカ・アルセ殿下を筆頭に兄を含めた側近候補が三人と、わたくしの双子の妹がおります。
 その外側にはクラスメイトが遠巻きにしながら、こちらを窺っている状態です。

 数時間前に入学式と、寮に入る方は入寮を終え、張り出されていたクラス分けの通りに教室に案内されました。自己紹介や三日後にあるレクリエーションの話、教科書などを配り終えたあとのことでした。つまり、本日の予定が終了したばかりの状態で、知り合い同士が固まり、レクリエーションの話をしているところでした。
 本来ならば、用がなければ兄も妹も、わたくしたちがいる棟や教室に来ることはできません。兄がわたくしたちがいる教室に来たのは殿下の側近候補だからで、兄以外の側近候補全員が殿下と同じ年齢とクラスなのです。
 ですから、側近候補の兄が殿下を訪ねるのはわかるのです……たとえわたくしが兄と会いたくないと思っていたとしても。
 それに、前述の通り兄は殿下の側近候補ですので教室に来る理由がありますが、このクラスに友人がいるわけではない妹には、理由がないのです。双子といえど、伯父夫婦がわたくしの後ろ盾になっていることを考えれば、家庭の事情を薄っすらと察することができます。
 けれど、兄はなぜかこの教室に妹を連れて来たのです。どうして妹を連れてきたのかがわかりません。
 しかも、クラスの担当教師はすでに室内から出ていて、この場にはおりません。いたら妹は注意を受け、とっくに教室からつまみ出されていたでしょう。
 とはいえ現段階では担当教師はおりませんし、妹のせいで室内は異様な雰囲気に包まれております。
 それは仕方がないのです――殿下と兄以外の側近候補に近づいた途端、妹は何の脈絡もなく両手で顔を覆い、急に殿下たちの前で泣き出したのです。しかも、教室に入ってきた時は笑みを浮かべていたのに。
 そんな妹の状態に、兄が憤慨しながら殿下たちに話をしていますが、わたくしには聞こえませんでした。殿下と二人の側近候補とクラスメイトたちは、その急変した態度と内容に戸惑い、異様な雰囲気になっているのです。
 ちなみに、兄はわたくしたちのふたつ歳上でBクラスの最終学年、妹は最低のEクラス。そしてわたくしを含めた殿下たちはSクラスです。
 つまり、兄と妹は成績が優秀なクラスに来てまで問題行動を起こしているのです。

 SとBとEでは教室はもとより学年毎に建物が違いますし、クラスも階が違います。SとAは三階、BとCは二階、DとEは一階です。教職員の部屋も一階にあります。
 なにより、SとBとEでは勉強の難易度、内容が微妙に違います。試験で判明した学力に合わせたものになっているのです。
 兄のBクラスは次期当主としては少々問題ですが、伯爵家としては順当だそうです。けれど、双子のうち姉がSクラスなのに対し、妹がEクラスではさすがに看過できません。
 できないはずなのですが、我が家は妹を中心に世界が回っているようなものなので、全員妹の成績は気にならないようです。
 Eクラスに在籍している妹の学力と、勉強を嫌がって投げ出した妹を叱ることもせずに甘やかし続けた両親と兄、使用人たちに呆れ果てております。
 ……常識どころかマナーすらまともにできないのは、貴族女性としてどうかと思います。それに、十五になるというのに、「他家になど嫁がせん!」と父が宣言したがために、妹には婚約者がおりません。
 もしかしたら、今日の出来事のせいで一生婚約者ができない可能性もありますね。
 わたくしもおりませんけれど、それは事情があるからです。今のところ特に必要とは考えておりませんし、そのうち両親どちらかのお祖父様方か伯父様方に紹介していただけるかもしれないと考えております。

 話が逸れました。

 異様な雰囲気の中、殿下たちは話を聞こうと思われたのかわたくしが座っている席の周りに集まり、妹はいつもの如く「お姉様がっ、お姉様がっ!」と言って勝手に泣き喚いており、兄はわたくしを睨みつけています。
 首を傾げてわたくしの周囲にいる全員を見ますと、殿下たちや話が聞こえていたらしいクラスメイトたちは困ったようなお顔をなさり、小さく首を横に振っています。
 先に兄が殿下たちに話をしていますが、わたくしのところに来てから殿下が「詳しく話して」と仰っても、妹は「お姉様が」としか言わないのです。
 何のために口と言葉があるのかと言いたいです。
 妹の子供じみた様子に、殿下と他の側近たちは若干苛立ちながらも困り顔です。本当に妹の態度は意味がわかりません。

「あー、その。ジョンパルト伯爵令嬢……がこの場に二人いるな。貴女は同じクラスだし、名前で呼んでも?」
「構いません」
「感謝する。ならば、改めて。オフィリア嬢、いろいろと聞きたいことがあるのだが」
「お答えできることであれば、全てお答えいたします。ですが、このような場所で、話していい内容なのでしょうか」

 わたくしの質問に、殿下は困ったように眉尻を下げ、兄と妹を見ます。ですが兄はなぜか激高し、顔を真っ赤に染め上げました。

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