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第2章~2回目の小学生~
第7話Part.3~奇跡の雨~
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門を通り集落に入ると、領民からは悲鳴のような陳情が相次いだ。しかしそれでもホイケ家の今までの全盛のお陰か、誰一人アーシュレを責める者は居なかった。
当然彼女も統治する者としての責任はあるが、ただ単純に領民の一人一人が好きだった。だからこそなんとかしたいのだと、睡眠の時間も大幅に削って研究と健闘を続けたのだ。
しかし結果が出ない。王都で名の知れた数多の学者が研究を続けても結果が出ていないのだ、彼女だけでどうにかできるものではなかった。
今日も求めていた効果が出なかったアーシュレは途方にくれていた。そんな時にふと朝に出会った男の子のことを思い返していた。結局集落でも見かけなかったあの男の子は一体何者だったのか。
そしてその彼から幸運のおまじないだと教えられた言葉。
「ヤーグス……。聞いたことない言葉だけど。この国の子じゃないのかしら。」
グレイティス王国にこのような単語は無く、彼女は他国の言語も学んでいるが完璧にマスターできているとは考えていないので、その知らない単語なのかなどと考えていた。
しかし自分と従者しかその男の子を見ていないという摩訶不思議さが、もしかすると何か人智の及ばない者なのかもとも思う。今藁をも掴む気持ちのアーシュレは
「ラ・ヤーグス!」
ダメ元で彼の幸運のおまじないを呪文に使ってみた。何も反応はない。アーシュレはため息をつく。そりゃあそうだよねと、そろそろ屋敷に戻ろうと立ち上がった時、さっきまで雲1つ無かったのに今にも空から雨が落ちて来そうなほどに空が厚い雲に覆われていた。
「ま、まさか!ラ・ヤーグス!」
もう一度彼女は呪文を発する。さっきはダメ元といった感じでただ単語を発してみたという感じだったので、今度は男の子が教えてくれた時と同じ発音になるようしっかりと思い出しながら。
すると雲から雨が落ちてきた。小雨どころかしっかりとしとしとと降り注ぐ。
これは偶然なのか魔術の力なのか。今雨が降っている以上確かめようがないのだが、ともかく雨が降った。これで領民たちが救われる。今はそのことを喜んだ。
「すっげーー!!アーシュレ様が雨を降らせてくれた!」
そんな時近くから声が飛んできた。集落の少年が今の様子を見ていたようだ。そして彼はアーシュレが魔術を使って雨を降らせたのだと信じているようだ。そして彼は雨が降って危ないのも構わず、集落の方へ全力疾走していった。
まだ自分の魔術の力で降らせたのか確信を持っていないアーシュレは「ま、待ってください。」と少年を追いかける。
集落では雨を浴びているのも気にしないで領民たちが喜んでいた。大声で叫んで喜びを示す者。天に感謝を捧げる者、泣いているようだが雨で本当に泣いているのかいないのかよく分からない者などなど。そして少年は集落の中心で
「アーシュレ様が雨を降らせてくれたあああああああああああああああああ。」
と叫んだ。恵みの雨に大興奮の中でも彼の声は良く通る。外に出て喜ぶ領民たちほとんどの耳に入った。彼の言葉を聞いて「何?」「本当か?!」とざわついている中にアーシュレはやっと少年に追いついた。
アーシュレが「まだ私の魔術かは分からないのよ。」と少年に言うか言わないかぐらいで気づいた領民たちが彼女の名前を大声で叫ぶ。この時彼女は「遅かった。」と悟った。
アーシュレに感謝の言葉を伝える者、彼女の姿を見て「ありがたや、ありがたや。」と拝む老人。様々な反応があった。彼女はまだ自分の魔術で降らせたかどうかは確定していないと言うのだが、この興奮はしばらく収まりそうになかった。
この雨はしばらく止むことなく降り注ぎ、夜が明けるまで降り続いたという。
当然彼女も統治する者としての責任はあるが、ただ単純に領民の一人一人が好きだった。だからこそなんとかしたいのだと、睡眠の時間も大幅に削って研究と健闘を続けたのだ。
しかし結果が出ない。王都で名の知れた数多の学者が研究を続けても結果が出ていないのだ、彼女だけでどうにかできるものではなかった。
今日も求めていた効果が出なかったアーシュレは途方にくれていた。そんな時にふと朝に出会った男の子のことを思い返していた。結局集落でも見かけなかったあの男の子は一体何者だったのか。
そしてその彼から幸運のおまじないだと教えられた言葉。
「ヤーグス……。聞いたことない言葉だけど。この国の子じゃないのかしら。」
グレイティス王国にこのような単語は無く、彼女は他国の言語も学んでいるが完璧にマスターできているとは考えていないので、その知らない単語なのかなどと考えていた。
しかし自分と従者しかその男の子を見ていないという摩訶不思議さが、もしかすると何か人智の及ばない者なのかもとも思う。今藁をも掴む気持ちのアーシュレは
「ラ・ヤーグス!」
ダメ元で彼の幸運のおまじないを呪文に使ってみた。何も反応はない。アーシュレはため息をつく。そりゃあそうだよねと、そろそろ屋敷に戻ろうと立ち上がった時、さっきまで雲1つ無かったのに今にも空から雨が落ちて来そうなほどに空が厚い雲に覆われていた。
「ま、まさか!ラ・ヤーグス!」
もう一度彼女は呪文を発する。さっきはダメ元といった感じでただ単語を発してみたという感じだったので、今度は男の子が教えてくれた時と同じ発音になるようしっかりと思い出しながら。
すると雲から雨が落ちてきた。小雨どころかしっかりとしとしとと降り注ぐ。
これは偶然なのか魔術の力なのか。今雨が降っている以上確かめようがないのだが、ともかく雨が降った。これで領民たちが救われる。今はそのことを喜んだ。
「すっげーー!!アーシュレ様が雨を降らせてくれた!」
そんな時近くから声が飛んできた。集落の少年が今の様子を見ていたようだ。そして彼はアーシュレが魔術を使って雨を降らせたのだと信じているようだ。そして彼は雨が降って危ないのも構わず、集落の方へ全力疾走していった。
まだ自分の魔術の力で降らせたのか確信を持っていないアーシュレは「ま、待ってください。」と少年を追いかける。
集落では雨を浴びているのも気にしないで領民たちが喜んでいた。大声で叫んで喜びを示す者。天に感謝を捧げる者、泣いているようだが雨で本当に泣いているのかいないのかよく分からない者などなど。そして少年は集落の中心で
「アーシュレ様が雨を降らせてくれたあああああああああああああああああ。」
と叫んだ。恵みの雨に大興奮の中でも彼の声は良く通る。外に出て喜ぶ領民たちほとんどの耳に入った。彼の言葉を聞いて「何?」「本当か?!」とざわついている中にアーシュレはやっと少年に追いついた。
アーシュレが「まだ私の魔術かは分からないのよ。」と少年に言うか言わないかぐらいで気づいた領民たちが彼女の名前を大声で叫ぶ。この時彼女は「遅かった。」と悟った。
アーシュレに感謝の言葉を伝える者、彼女の姿を見て「ありがたや、ありがたや。」と拝む老人。様々な反応があった。彼女はまだ自分の魔術で降らせたかどうかは確定していないと言うのだが、この興奮はしばらく収まりそうになかった。
この雨はしばらく止むことなく降り注ぎ、夜が明けるまで降り続いたという。
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