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俺と彼氏と彼氏の特別に大切なヒトとその彼氏で遊園地に行った話
Attraction
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怖くないイベント仕様になっているとはいえ、ベースはお化け屋敷であるため、暗い中を歩いて進んで行く。
暗いし、はぐれないために俺たちもくっついていたけれど、コータ先輩はぎゅっと夏樹先輩の腰を抱いていた。
少し歩くと二人ずつに分かれて黒い座席型のライドに乗るようナビゲートされる。黒くて丸いライドに座ると自動的に左右に向きを変えてアトラクションの中を見せながらレールに沿って進んでいく。
このライドはくるりと座席の周りも囲われているので、ちょっとの間この人が沢山いる遊園地の中で二人きりの個室に入ったような気分が味わえる。
「この前二人でこの映画の動画見たばっかりだから楽しいね」
そう言って真琴さんはあちこちにいるお気に入りのキャラクターを指さしては笑っている。
「すごいテンション上がる!ジャックのぬいぐるみ部屋に飾りたくなっちゃうな」
なんて話す真琴さんは暗闇の中でも可愛い顔をしているのがよく分かる。
二人で笑いながら話しているとくるっとライドが回転した。
前後のライドは基本あまり見えないが、回転するときちらっと後ろのライドに乗る二人が見えた。
「あ……」
コータ先輩が、夏樹先輩の上に覆いかぶさるみたいにしてキスしてる姿が見えた。
思わず隣の真琴さんを見る。
「ね! タスク、見て見て! ほら、このお墓の裏からビヨーンって出てくるのもハロウィン仕様になってる!」
真琴さんは二人の方は見ていなくて、薄暗くてもキラキラ瞳を光らせてキョロキョロしていた。
「この映画曲も好きなんだよね。あの悪ガキ三人組が歌ってるやつ。何て歌ってんだろ……あ、ほら今流れてる。なーなな、なななーなななななー」
「ぶっ……絶対なーなな、なななーって歌詞じゃないでしょ」
可愛く歌う姿に笑ってしまう。
俺もどこかでキスしたいな、なーんて思ったけど好きな映画の話をテンション高く話している真琴さんと笑っているうちに、アトラクションは終わってしまった。
「夏樹、大丈夫? 乗り物酔いしちゃった? それともやっぱり怖かった?」
アトラクションから降りた夏樹先輩がぽわぽわしている様子を見て、真琴さんが心配そうに覗き込む。
真琴先輩、多分それ大丈夫なやつだから……
「なっちゃん休む?」
コータ先輩も休んだ方が良さそうなくらいでろでろに蕩けた表情で夏樹先輩に訊ねる。
「んーん。大丈夫だよ。あれも乗りたい」
夏樹先輩がぽわぽわなまま指を差した、クマのアトラクション。
「うん。いいよ。今回俺が好きなやつに付き合ってもらったから次はあれに乗ろう」
真琴先輩がそう応えたあと、四人でクマのアトラクションに向かって歩き出した。
先に夏樹先輩とコータ先輩が歩いていくのを俺たちが後ろから着いて行く。
少しだけふらふらしていて、人にぶつかりそうになった夏樹先輩の手を取ってコータ先輩はとうとう繋ぎだした。
ふわふわ、ふらふらしている夏樹先輩は時折立ち止まって、背の高いコータ先輩の耳におでこを寄せて何事か言ったり、繋がれた手を頬に当てたりしている。
あれも無意識なのか。すごいな。
コータ先輩は繋いだ逆の手で夏樹先輩の頭を撫でて、幸せそうに笑った。
「あー……乗り物酔いでも怖いんでもなくて、そういうことね……」
二人の様子を見て真琴さんが俺を見上げて言う。
「あ。タスクその顔。お前は気付いてたな」
「見えちゃって。熱烈なキスシーン」
苦笑して俺が言うと、真琴さんは少し拗ねたような顔した。
「キスシーン見て俺の話聞いてなかったんじゃないの」
「聞いてましたよ。たまたま、一瞬見えただけです」
「一瞬で何で熱烈だってわかんだよ」
真琴さんが可愛く拗ねて見せるから。
「ちょっと見えたとき、こうやって覆い被さってたんです」
「うぁ、バカ」
ちょっとだけ実演して真琴さんに覆い被さって見せると、すぐさま頭を叩かれた。痛い。
「さっきのアトラクションならまだしも、ここは外!」
「みんなあんまり人のことなんて見てないじゃないですか……ってさっきのアトラクションならよかったの?」
叩かれた頭を擦りながら訊ねる。
「……まぁ、暗かったしな……」
「えー! 真琴さん楽しそうに話してたからやめといたのに……あれはあれで可愛いからいいんだけど……してもよかったならすればよかった……タイミング逃したぁ……」
そんな俺の姿を見て真琴さんは、あははって笑った。
「まぁ、こんくらいなら許してやるよ」
そう言って、俺の手を取った。
「誰も見てないし、楽しんだ者勝ちって気がしてきたよ、あのイチャつきっぷり見てたら」
前をくっついて楽しそうに歩く二人を見て真琴さんは言った。
二人に当てられていつもよりちょっと甘い真琴さんは最高だった。
そんなわけで、すごく楽しく四人で色んなアトラクションに乗って、いろいろ見たり、食べたり。
初めてのWデートは想像の何倍も楽しかった。
夏樹先輩とコータ先輩の間に終始漂うとろっとろの甘さは、俺の中にある疑心暗鬼を少しずつ晴らしてくれていた。
はずなのに。
暗いし、はぐれないために俺たちもくっついていたけれど、コータ先輩はぎゅっと夏樹先輩の腰を抱いていた。
少し歩くと二人ずつに分かれて黒い座席型のライドに乗るようナビゲートされる。黒くて丸いライドに座ると自動的に左右に向きを変えてアトラクションの中を見せながらレールに沿って進んでいく。
このライドはくるりと座席の周りも囲われているので、ちょっとの間この人が沢山いる遊園地の中で二人きりの個室に入ったような気分が味わえる。
「この前二人でこの映画の動画見たばっかりだから楽しいね」
そう言って真琴さんはあちこちにいるお気に入りのキャラクターを指さしては笑っている。
「すごいテンション上がる!ジャックのぬいぐるみ部屋に飾りたくなっちゃうな」
なんて話す真琴さんは暗闇の中でも可愛い顔をしているのがよく分かる。
二人で笑いながら話しているとくるっとライドが回転した。
前後のライドは基本あまり見えないが、回転するときちらっと後ろのライドに乗る二人が見えた。
「あ……」
コータ先輩が、夏樹先輩の上に覆いかぶさるみたいにしてキスしてる姿が見えた。
思わず隣の真琴さんを見る。
「ね! タスク、見て見て! ほら、このお墓の裏からビヨーンって出てくるのもハロウィン仕様になってる!」
真琴さんは二人の方は見ていなくて、薄暗くてもキラキラ瞳を光らせてキョロキョロしていた。
「この映画曲も好きなんだよね。あの悪ガキ三人組が歌ってるやつ。何て歌ってんだろ……あ、ほら今流れてる。なーなな、なななーなななななー」
「ぶっ……絶対なーなな、なななーって歌詞じゃないでしょ」
可愛く歌う姿に笑ってしまう。
俺もどこかでキスしたいな、なーんて思ったけど好きな映画の話をテンション高く話している真琴さんと笑っているうちに、アトラクションは終わってしまった。
「夏樹、大丈夫? 乗り物酔いしちゃった? それともやっぱり怖かった?」
アトラクションから降りた夏樹先輩がぽわぽわしている様子を見て、真琴さんが心配そうに覗き込む。
真琴先輩、多分それ大丈夫なやつだから……
「なっちゃん休む?」
コータ先輩も休んだ方が良さそうなくらいでろでろに蕩けた表情で夏樹先輩に訊ねる。
「んーん。大丈夫だよ。あれも乗りたい」
夏樹先輩がぽわぽわなまま指を差した、クマのアトラクション。
「うん。いいよ。今回俺が好きなやつに付き合ってもらったから次はあれに乗ろう」
真琴先輩がそう応えたあと、四人でクマのアトラクションに向かって歩き出した。
先に夏樹先輩とコータ先輩が歩いていくのを俺たちが後ろから着いて行く。
少しだけふらふらしていて、人にぶつかりそうになった夏樹先輩の手を取ってコータ先輩はとうとう繋ぎだした。
ふわふわ、ふらふらしている夏樹先輩は時折立ち止まって、背の高いコータ先輩の耳におでこを寄せて何事か言ったり、繋がれた手を頬に当てたりしている。
あれも無意識なのか。すごいな。
コータ先輩は繋いだ逆の手で夏樹先輩の頭を撫でて、幸せそうに笑った。
「あー……乗り物酔いでも怖いんでもなくて、そういうことね……」
二人の様子を見て真琴さんが俺を見上げて言う。
「あ。タスクその顔。お前は気付いてたな」
「見えちゃって。熱烈なキスシーン」
苦笑して俺が言うと、真琴さんは少し拗ねたような顔した。
「キスシーン見て俺の話聞いてなかったんじゃないの」
「聞いてましたよ。たまたま、一瞬見えただけです」
「一瞬で何で熱烈だってわかんだよ」
真琴さんが可愛く拗ねて見せるから。
「ちょっと見えたとき、こうやって覆い被さってたんです」
「うぁ、バカ」
ちょっとだけ実演して真琴さんに覆い被さって見せると、すぐさま頭を叩かれた。痛い。
「さっきのアトラクションならまだしも、ここは外!」
「みんなあんまり人のことなんて見てないじゃないですか……ってさっきのアトラクションならよかったの?」
叩かれた頭を擦りながら訊ねる。
「……まぁ、暗かったしな……」
「えー! 真琴さん楽しそうに話してたからやめといたのに……あれはあれで可愛いからいいんだけど……してもよかったならすればよかった……タイミング逃したぁ……」
そんな俺の姿を見て真琴さんは、あははって笑った。
「まぁ、こんくらいなら許してやるよ」
そう言って、俺の手を取った。
「誰も見てないし、楽しんだ者勝ちって気がしてきたよ、あのイチャつきっぷり見てたら」
前をくっついて楽しそうに歩く二人を見て真琴さんは言った。
二人に当てられていつもよりちょっと甘い真琴さんは最高だった。
そんなわけで、すごく楽しく四人で色んなアトラクションに乗って、いろいろ見たり、食べたり。
初めてのWデートは想像の何倍も楽しかった。
夏樹先輩とコータ先輩の間に終始漂うとろっとろの甘さは、俺の中にある疑心暗鬼を少しずつ晴らしてくれていた。
はずなのに。
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