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俺と彼氏と彼氏の特別に大切なヒトとその彼氏で遊園地に行った話

Park

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「真琴さん……俺たち何見せられてるんですかね」
 遊園地に入園していくつかのアトラクションを楽しんだ後、目の前を歩く二人を見て俺はぼそりと呟く。
 さすがに手を繋いだり腕を組んだりしているわけではないが、二人の距離はずっとゼロ距離だ。
「俺はいつものことだけどね? あのね多分夏樹は無意識なんだよ、あの距離。コータは分かっててわざと止めない。っていうか喜んでる」
 夏樹先輩はコータ先輩とぴったりとくっ付いて歩きながら、時折コータ先輩の持つチュロスをかじっている。なんだろう?小鳥かな?
 コータ先輩はチュロスを持つ手と逆にの手にストローの付いた飲み物も手にしていて、チュロスをかじる夏樹先輩のタイミングをよく見て、ストローを口に近付けてあげる。
 そしてちゅるっと夏樹先輩が飲み物を飲むと、その様子を見守っているコータ先輩は見たことないくらい優しく笑う。
 そして夏樹先輩が口を外したストローをそのまま自分の口に運んだ。
「コータ先輩いつも綺麗な紅茶色の目ぇしてますけど、今それにハチミツ100杯は入れたような目、してません?」
 真琴さんの耳元で囁くと、ふは、っと真琴さんは笑った。
「うまいこと言うね。タスク。ほんと、コータでろでろの目で夏樹のこと見てるもんね。あ、タスクも食べる?」
 真琴さんは自分が食べていたキャラクターの形をしたアイスキャンディを俺の目の前に差し出した。
「耳のとこ、先に食べちゃったんですか?」
 耳が無くなってまぁるくなったオレンジアイス。
「えー、だって耳から食べる以外なくない?」
 くすくす笑って真琴さんは俺の口の中にアイスを突っ込む。
 んー、甘ずっぱい。
 そんなこんなで話しているとパークの奥にあるちょっとおどろおどろしい洋館のような建物の前に着いた。
「えー……これ乗るの? 前ちょっと怖かったじゃん。お化け屋敷でしょ」
 夏樹先輩はちょっと嫌そう。
「今ハロウィンとクリスマス仕様でちょっと可愛くなってるから、この前みたく怖くないよ」
 夏樹先輩はコータ先輩と付き合うまではこの遊園地に来たことはなかったらしいが、コータ先輩と初めて行ってからは大のお気に入りの場所になってもう何度か二人で遊びに来ているらしい。
「ほんと?」
 夏樹先輩はちょっと疑わしい目をコータ先輩に向けている。 
「ホントだよ、夏樹。これさ、今の時期限定で前に俺がお勧めしたストップモーションアニメの映画の世界観になってるんだよ」
 コータ先輩に代わって真琴さんが説明する。
「ストップモーションアニメの映画って、あのちょっと気持ち悪いけど可愛い人形が動いてるやつ?」
「そうそう、一コマごとに動かして撮っているやつね。あの世界観だから、怖くはないよ。面白いから絶対乗ったほうがいいよ」
 真琴さんが楽しそうに説明する。
 真琴さんはそのちょっと不気味で不思議で、でもどこか可愛い世界観のアニメーションが大好きで、今日このアトラクションに乗るのをとっても楽しみにしていた。
「真琴が言うなら乗ってみる……」
 夏樹先輩がそう言ったので四人でアトラクションの中に入った。
 
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