俺の彼氏には特別に大切なヒトがいる

ゆなな

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俺と彼氏と彼氏の特別に大切なヒトとその彼氏で遊園地に行った話

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 それは、日が暮れた頃。
 有名なSF映画をモチーフにした宇宙船のアトラクションに乗るために並んでいるときだった。
 ここは、並んで待っているところもとりわけ凝っていて、映画に出てくるロボットや宇宙船が見れたりして待ち時間も楽しめるようなところだった。
「ここすごいよね。細かいところまで、めっちゃ凝ってる」
 まだそんなに何回も来たことのない夏樹先輩はきょろきょろと辺りを見回していて楽しそうだった。
 この映画も真琴さんは大好きなので、あちこちにある小さな仕掛けを夏樹先輩に説明してあげて、楽しそうだった。
「実はさ、俺子供の頃この仕掛けに見入っちゃってる間に列が進んじゃって迷子になったことあんの」
 そう言って真琴さんはふふ、と笑った。
「へぇ。真琴しっかりしてるのに、ホントよく迷子になるよね」
 夏樹先輩もそう言って笑った。
「ホントだよ。でもその度に俺が見つけてあげてるよなー。ここで迷子になったときもさ、乗るときになって真琴いない!ってなって慌ててさ、俺が一番チビだったから、人の間すり抜けて探しに行ったの。そしたらじーっとこのコンピュータシステムみたいなやつとロボット眺めててさ」
 懐かしいなってコータ先輩が笑った。
「いやだって、これ凄いかっこよくない? 今でもテンション上がるよ!未来の世界!って感じで。でもさ、コータだってあのときは中々探しに来てくれなかったじゃん」
「琴音さんが、面白い動画見せてくれてたんだよなぁ」
「琴音さんって?」
 俺も思った疑問を夏樹先輩が二人に問う。
「まこちゃんの兄貴。もう一人暮らししてるから滅多に帰ってこないけど。まこちゃんとよく似てるからめっちゃカッコいいよ」
 コータ先輩が目を細めて話す。
「そう言えばお兄さんいるって言ってたもんね。真琴」
「うん、そう。その兄貴。でも兄貴よりも親よりも絶対先にコータが見つけてくれるんだよなぁ。いつもコータが迎えに来てくれる」
 そう言って笑った真琴さんの顔を見たとき、ずきっと胸の奥が痛んだ。
 夏樹先輩は穏やかに笑ってるけど、何にも思わないのかな。
 俺は今結構胸が痛いんだけど、これくらいでこんなこと思うなんて心が狭いのかな。
「迎えに行くと『うぇーん、コータぁ』って大泣きしてるか、『コータ、慌ててどうしたの?』って迷子になってたことさえも気付いてないかのどっちかなんだよな」
「そうそう、見つけてくれるのが絶対コータだからママーって泣いてくれないっていつも親に言われる」
 コータ先輩と真琴さんが優しい顔で笑い合うと夏樹先輩は今の真琴から想像できないねって微笑んで二人を見ていた。
 俺だけが笑えないでいた。

 そんな気持ちで宇宙船のアトラクションに乗り込んだ。大きな画面と揺れる座席。本当に宇宙を旅している気分になれる楽しい乗り物なんだけど、座席はかなり激しく揺れた。
 地面に落ちていくような感覚。
 みんなが楽しそうに声を上げている中、俺の頭は少しずつ痛くなり、胃の中がむかむかと締め付けられるような吐き気に襲われる。
 さっき聞いた話のせいなのか、この揺れる乗り物のせいなのか。
 もうわからないくらいに俺の中はかき混ぜられていた。



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