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番外編SS
旦那さんは心配症1
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※本編終了後からちょっと経った頃。まだ妊娠中です。
「はぁ? 高梨先生点滴しなかったわけ?」
かかりつけの病院で妊娠の検診を終え、沢村が待つ車に戻ると、怒りで眉を寄せながら沢村が言った。
「今日凄い混んでて……だから俺がしなくていいって言ったんです」
高弥が言うと
「患者がいらねぇつっても、無理にでも点滴するとこだろーが。ちょっと文句言ってくる」
「ちょっ……ちょっーと待ったぁ」
車から飛び出しかけた沢村の袖を何とか捕まえて運転席に引き戻す。
「んだよ。すぐ済むから待ってろ。すぐに点滴の準備させる」
「もーこれ以上やったら通いづらくなるから止めて下さい。そもそも沢村先生がこの前の検診のとき診察室まで付いて来るから、高梨先生超ビビっちゃったじゃないですか」
「はぁ? 診察室まで旦那が入るのなんて別に珍しくねぇだろうが」
「そうですけど……威圧感半端ないし、あの質問の嵐ホント止めてください」
「んだよ、患者と家族の質問に答えるのは医者の当然の職務だろーが。俺でさえもちゃんとやってるっつーの。つーかさぁこんなに痩せて殆んど食えてねぇんだから点滴すんだろーが、普通」
「体重もまだ2キロくらいしか減ってないし、尿検査でケトン体は陽性でしたけどそんなひどいのは数字じゃなかったし」
「ケトン体出て体重減少してんだから点滴の案件だろうが、何処に目ぇ付けてんだよあのヤブ医者」
「だから、自分で断ったんですって……っう」
勢いよく喧嘩したら、くらりと目眩がして、 助手席のシートに高弥は凭れた。
「っと、わり……大丈夫か?」
心配そうな顔で覗き込まれる。この男に心配そうな顔をさせているのだと思うと、しんどいけれど悪くもないと思えてしまった。
「大丈夫です……ただちょっと疲れました。眠い……」
ふ、と小さく吐息を吐くと
「なぁ、何か飲めるか? できればちょっとでも甘いモンがいいと思うんだけど」
そう言ってコンビニの袋の中を沢村が見せる。
どうやら駐車場で待っているうちに買ったらしい。
中には水、麦茶、りんごジュース、オレンジジュース、スポーツドリンク。
「何本買ってんすか……」
呆れた声を出す高弥に
「だって日によってお前飲めるモン変わんじゃん」
「……じゃあ折角だから」
そう言った沢村の持っていた袋からスポーツドリンクを選ぶ。そのまま袋から取り出そうとしたが、先に沢村が取ってボトルキャップを回してから高弥に渡した。
そうして、恐る恐る口を近づける。ここで勢いよくいってしまうと水分補給どころか、更に体内の水分が奪われる結果になるのだ。
ふわりとスポーツドリンクの爽やかな香りが鼻腔を擽る。
「……すみません……折角買ってくれたのに、やっぱだめです……多分吐いちゃう……」
ここ数日は益々つわりが酷くなったため、 嘔吐が怖くて食べたり飲んだりすることも躊躇ってしまう。
「あー買ってくるのは別にいいんだけどさぁ……飲めないのは問題点だと思うぜ……とりあえず、眠れるなら寝とけよ。長かったから疲れたろ」
「はい……すみません、 じゃあ着くまで寝ますね」
そう言って高弥は重たい瞼を閉じた。
「はぁ? 高梨先生点滴しなかったわけ?」
かかりつけの病院で妊娠の検診を終え、沢村が待つ車に戻ると、怒りで眉を寄せながら沢村が言った。
「今日凄い混んでて……だから俺がしなくていいって言ったんです」
高弥が言うと
「患者がいらねぇつっても、無理にでも点滴するとこだろーが。ちょっと文句言ってくる」
「ちょっ……ちょっーと待ったぁ」
車から飛び出しかけた沢村の袖を何とか捕まえて運転席に引き戻す。
「んだよ。すぐ済むから待ってろ。すぐに点滴の準備させる」
「もーこれ以上やったら通いづらくなるから止めて下さい。そもそも沢村先生がこの前の検診のとき診察室まで付いて来るから、高梨先生超ビビっちゃったじゃないですか」
「はぁ? 診察室まで旦那が入るのなんて別に珍しくねぇだろうが」
「そうですけど……威圧感半端ないし、あの質問の嵐ホント止めてください」
「んだよ、患者と家族の質問に答えるのは医者の当然の職務だろーが。俺でさえもちゃんとやってるっつーの。つーかさぁこんなに痩せて殆んど食えてねぇんだから点滴すんだろーが、普通」
「体重もまだ2キロくらいしか減ってないし、尿検査でケトン体は陽性でしたけどそんなひどいのは数字じゃなかったし」
「ケトン体出て体重減少してんだから点滴の案件だろうが、何処に目ぇ付けてんだよあのヤブ医者」
「だから、自分で断ったんですって……っう」
勢いよく喧嘩したら、くらりと目眩がして、 助手席のシートに高弥は凭れた。
「っと、わり……大丈夫か?」
心配そうな顔で覗き込まれる。この男に心配そうな顔をさせているのだと思うと、しんどいけれど悪くもないと思えてしまった。
「大丈夫です……ただちょっと疲れました。眠い……」
ふ、と小さく吐息を吐くと
「なぁ、何か飲めるか? できればちょっとでも甘いモンがいいと思うんだけど」
そう言ってコンビニの袋の中を沢村が見せる。
どうやら駐車場で待っているうちに買ったらしい。
中には水、麦茶、りんごジュース、オレンジジュース、スポーツドリンク。
「何本買ってんすか……」
呆れた声を出す高弥に
「だって日によってお前飲めるモン変わんじゃん」
「……じゃあ折角だから」
そう言った沢村の持っていた袋からスポーツドリンクを選ぶ。そのまま袋から取り出そうとしたが、先に沢村が取ってボトルキャップを回してから高弥に渡した。
そうして、恐る恐る口を近づける。ここで勢いよくいってしまうと水分補給どころか、更に体内の水分が奪われる結果になるのだ。
ふわりとスポーツドリンクの爽やかな香りが鼻腔を擽る。
「……すみません……折角買ってくれたのに、やっぱだめです……多分吐いちゃう……」
ここ数日は益々つわりが酷くなったため、 嘔吐が怖くて食べたり飲んだりすることも躊躇ってしまう。
「あー買ってくるのは別にいいんだけどさぁ……飲めないのは問題点だと思うぜ……とりあえず、眠れるなら寝とけよ。長かったから疲れたろ」
「はい……すみません、 じゃあ着くまで寝ますね」
そう言って高弥は重たい瞼を閉じた。
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