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「ただいまー」
誰も居ない小さなアパートの一室。玄関を入ってすぐにキッチンと小さな古くてガタついているテーブルが置かれた部屋があり、奥の襖を開けると寝室になっている和室ががあるだけ。母親と二人暮らしであったが、夜の仕事をしている母親と、放課後にアルバイトをしている高校生の陽也がこの部屋で共に過ごすのは、朝のほんの短い時間と母親の店が休日の日くらいで殆ど一人暮らしと言ってもいいような状態であった。
通学鞄を奥の部屋に片付け制服を着替えてから読み掛けの本を手に取ると、昼休みに本を覗きこんできた親友の甘い香りを思い出して陽也はもぞり、と腰を動かした。綾人の滑らかで艶やかな絹糸のような髪や真っ白な肌を思い出すとどうしようもなく躯が熱くなって、熱を吐き出したくなってしまう。綾人の癖なのか吐息が感じられるほど近くでいつも話す。だから、こんなときは綾人の吐息の香りまでが思い出されてしまいどうも我慢出来なくなってしまう。
「あぁ……っ綾人……っ」
呆気なく掌に劣情を吐き出してしまうとあんなにも清らかな綾人を汚してしまったようでひどく罪悪感に苛まれた。
ころん、と傷んだ畳の上に陽也は転がると、
「綾人……」
声に出して呟いた。本当はあの艶やかな髪や肌に触れてみたい。綺麗な形のくちびるに触れてみたい。でもそれを無理に叶えて嫌われたらきっと陽也は耐えられない。
(ずっと友達で居られたら……それだけで充分)
誰も居ない小さなアパートの一室。玄関を入ってすぐにキッチンと小さな古くてガタついているテーブルが置かれた部屋があり、奥の襖を開けると寝室になっている和室ががあるだけ。母親と二人暮らしであったが、夜の仕事をしている母親と、放課後にアルバイトをしている高校生の陽也がこの部屋で共に過ごすのは、朝のほんの短い時間と母親の店が休日の日くらいで殆ど一人暮らしと言ってもいいような状態であった。
通学鞄を奥の部屋に片付け制服を着替えてから読み掛けの本を手に取ると、昼休みに本を覗きこんできた親友の甘い香りを思い出して陽也はもぞり、と腰を動かした。綾人の滑らかで艶やかな絹糸のような髪や真っ白な肌を思い出すとどうしようもなく躯が熱くなって、熱を吐き出したくなってしまう。綾人の癖なのか吐息が感じられるほど近くでいつも話す。だから、こんなときは綾人の吐息の香りまでが思い出されてしまいどうも我慢出来なくなってしまう。
「あぁ……っ綾人……っ」
呆気なく掌に劣情を吐き出してしまうとあんなにも清らかな綾人を汚してしまったようでひどく罪悪感に苛まれた。
ころん、と傷んだ畳の上に陽也は転がると、
「綾人……」
声に出して呟いた。本当はあの艶やかな髪や肌に触れてみたい。綺麗な形のくちびるに触れてみたい。でもそれを無理に叶えて嫌われたらきっと陽也は耐えられない。
(ずっと友達で居られたら……それだけで充分)
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