15 / 18
天使の証人A
しおりを挟む
「黒磯!凄いぞ!今回の試験は二位だった!!」
そう言って見たこと無いくらい上機嫌で迎えの車に乗り込んできた私の若き主、綾人様、こと蓮城綾人。
「は……ぁ?」
それは私にとって実に不思議なことであったため思わずおかしな返答を返してしまった。定期試験で学年二位というのは非常に素晴らしい順位であることから、この喜び様は未だ高校生という年齢を考えれば特段不思議なことではないと一般的には思うだろう。
だが、前回の試験。いや、幼稚舎の頃からずっと学年首位以外の順位を取ったことがない人が、二位を取ってしまったらがっかりするだとか、悔しがるだとか、そういった反応が正しいのではないだろうか?
しかし、私のおかしな返答など上機嫌の綾人様は気にも留まらないようだった。
「一位を取ったのは高等部からの編入生らしいんだ。英語の授業でも留学経験もないらしいのに綺麗なクイーンズ・イングリッシュを話すからただ者ではないと思ってはいたが……」
湧き起こる笑いが抑えられないといった様子だ。
綾人様を抜き去り、学年一位を取得した神代陽也という人物について、邸宅に到着するまで綾人様は話し続けた。
一応私に向かって話しているようだったが、私の反応など正直なところどうでもいいと言った体であった。だが、恐らくこの人物についてのデータは少しでも多く蓄積しておいた方が良いと長年の勘から感じ取った私は綾人様の言葉に注意深く耳を傾けた。
その人物はどうやら、素晴らしく優秀で豊富な知識を持ちながらも謙虚な人柄らしい。
もうすぐ邸宅に着くというところで
「灰だらけになって健気に頑張るお姫様、ね……どうやって捕まえようかな………」
そう言って、くつくつと笑う綾人様の貌は、ぞっとするほど美しかったが、こういう貌をしたときの主は万事において素晴らしい力を発揮して下さるので、発言の内容は捨て置き、私は非常に頼もしく思ったのであった。
これが、私の持つ陽也さんに関する記憶の中で一番古いものである。
そう言って見たこと無いくらい上機嫌で迎えの車に乗り込んできた私の若き主、綾人様、こと蓮城綾人。
「は……ぁ?」
それは私にとって実に不思議なことであったため思わずおかしな返答を返してしまった。定期試験で学年二位というのは非常に素晴らしい順位であることから、この喜び様は未だ高校生という年齢を考えれば特段不思議なことではないと一般的には思うだろう。
だが、前回の試験。いや、幼稚舎の頃からずっと学年首位以外の順位を取ったことがない人が、二位を取ってしまったらがっかりするだとか、悔しがるだとか、そういった反応が正しいのではないだろうか?
しかし、私のおかしな返答など上機嫌の綾人様は気にも留まらないようだった。
「一位を取ったのは高等部からの編入生らしいんだ。英語の授業でも留学経験もないらしいのに綺麗なクイーンズ・イングリッシュを話すからただ者ではないと思ってはいたが……」
湧き起こる笑いが抑えられないといった様子だ。
綾人様を抜き去り、学年一位を取得した神代陽也という人物について、邸宅に到着するまで綾人様は話し続けた。
一応私に向かって話しているようだったが、私の反応など正直なところどうでもいいと言った体であった。だが、恐らくこの人物についてのデータは少しでも多く蓄積しておいた方が良いと長年の勘から感じ取った私は綾人様の言葉に注意深く耳を傾けた。
その人物はどうやら、素晴らしく優秀で豊富な知識を持ちながらも謙虚な人柄らしい。
もうすぐ邸宅に着くというところで
「灰だらけになって健気に頑張るお姫様、ね……どうやって捕まえようかな………」
そう言って、くつくつと笑う綾人様の貌は、ぞっとするほど美しかったが、こういう貌をしたときの主は万事において素晴らしい力を発揮して下さるので、発言の内容は捨て置き、私は非常に頼もしく思ったのであった。
これが、私の持つ陽也さんに関する記憶の中で一番古いものである。
243
あなたにおすすめの小説
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
悪夢の先に
紫月ゆえ
BL
人に頼ることを知らない大学生(受)が体調不良に陥ってしまう。そんな彼に手を差し伸べる恋人(攻)にも、悪夢を見たことで拒絶をしてしまうが…。
※体調不良表現あり。嘔吐表現あるので苦手な方はご注意ください。
『孤毒の解毒薬』の続編です!
西条雪(受):ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗(攻):勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
ファントムペイン
粒豆
BL
事故で手足を失ってから、恋人・夜鷹は人が変わってしまった。
理不尽に怒鳴り、暴言を吐くようになった。
主人公の燕は、そんな夜鷹と共に暮らし、世話を焼く。
手足を失い、攻撃的になった夜鷹の世話をするのは決して楽ではなかった……
手足を失った恋人との生活。鬱系BL。
※四肢欠損などの特殊な表現を含みます。
人並みに嫉妬くらいします
米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け
高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。
昔「結婚しよう」と言ってくれた幼馴染は今日、僕以外の人と結婚する
子犬一 はぁて
BL
幼馴染の君は、7歳のとき
「大人になったら結婚してね」と僕に言って笑った。
そして──今日、君は僕じゃない別の人と結婚する。
背の低い、寝る時は親指しゃぶりが癖だった君は、いつの間にか皆に好かれて、彼女もできた。
結婚式で花束を渡す時に胸が痛いんだ。
「こいつ、幼馴染なんだ。センスいいだろ?」
誇らしげに笑う君と、その隣で微笑む綺麗な奥さん。
叶わない恋だってわかってる。
それでも、氷砂糖みたいに君との甘い思い出を、僕だけの宝箱にしまって生きていく。
君の幸せを願うことだけが、僕にできる最後の恋だから。
【BL】無償の愛と愛を知らない僕。
ありま氷炎
BL
何かしないと、人は僕を愛してくれない。
それが嫌で、僕は家を飛び出した。
僕を拾ってくれた人は、何も言わず家に置いてくれた。
両親が迎えにきて、仕方なく家に帰った。
それから十数年後、僕は彼と再会した。
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる