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狐太郎の生い立ち
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狐太郎は食堂で、狼牙と夕食を食べ、狼牙を風呂に入れ、寝る準備をした。狼牙は服が嫌いなので、基本部屋の中では全裸だ。狐太郎も無理強いはせず好きにさせていた。
もう寝る時間なのだが、狼牙は狐太郎のベッドに入って、おしゃべりをしていた。狼牙は音子と遊んだ事がとても楽しかったらしい。
「俺、音子好きぃ。あと亜子も好き」
「そうなのか」
「うん。音子も亜子も優しい。あ、でもね、一番好きはコタ!」
「おお、そうか。ありがとうな」
狐太郎は狼牙の形の良い頭を撫でた。狐太郎はクラスメートになった亜子と音子の事を考えた。二人は半妖ではあるが、普通の善良な少女だった。だが二人とも強い妖力を有していた。中でも、亜子の妖力はクラスで一番だった。
亜子こそ、狐太郎が探していた人物だと思った。物思いにふけっていた狐太郎に、狼牙はずっとしゃべり続けている。
「あのね、それでね、音子と虫見つけたの」
「ほう?何の虫だったんだ?」
「てんてん虫!」
「てんとう虫か。何個星があったんだ?」
「うんとねぇ」
狼牙は両手の指を必死に折り曲げていたが、いつの間にか眠ってしまった。
狐太郎と狼牙の部屋には、ベッドが二つあるのだが、狼牙はいつも狐太郎のベッドで寝る。これは狼牙が一人で寝るのが怖いからなわけではない。狼牙は狐太郎の事をずっと守っているのだ。
狐太郎は陰陽師の家柄である神明家の主人正勝の次男として生まれた。長男の雅樹は人間の母親から生まれた。雅樹の霊能力はそれほどでもなかった。そこで正勝は妖狐との間に子供を作った。それが狐太郎だ。
狐太郎は生れながらにして、多くの悪意にさらされていた。物心つくと、妖狐の母親と無理矢理離された。
幼い狐太郎を守ってくれたのは、狼牙だった。狐太郎の母親と、狼牙の母親は親友同士だった。狼牙は赤ん坊の狐太郎から片時も離れなかった。
人間の霊能力と妖狐の妖力を持って生まれた狐太郎は、父の正勝から跡取りと決められていた。それを面白くないと考えていた兄の雅樹は、狐太郎を排除しようとした。
狐太郎は食事に毒を入れられる事もしばしばだった。その度に狼牙が毒の臭いを嗅いで助けてくれた。
兄の雅樹の取り巻きは、事あるごとに狐太郎になんくせをつけて暴力を振るってきた。
狼牙は恐怖で震えている狐太郎におおいかぶさり、取り巻きたちの暴力から狐太郎を守ってくれた。
泣いてばかりいる狐太郎に、狼牙はいつも笑顔で言っていた。
コタ、泣かない。俺、コタ守る。
狼牙は兄の取り巻きたちに殴られてもけられても、決して泣かなかった。狼牙は取り巻きたちに一度も反撃しなかった。狼牙が人間を攻撃すれば、危険なあやかしとして、陰陽師に処分されてしまうからだ。
狐太郎は、狼牙を頼もしい兄だと思っていた。だが成長するにつれて、自身の間違いに気づいた。狼牙は痛がりの泣き虫の怖がりだった。
狼牙はひたすら耐えていたのだ。自分より幼い狐太郎を守るために、ずっとガマンしていたのだ。その事に気づいた時、狐太郎は己れの愚かさに戦慄した。
狐太郎は幸せそうに眠っている狼牙の顔を見つめた。狼牙はいつも狐太郎の考えに同意してくれる。これから狐太郎が学園でやろうとしてしている事も了解してくれている。
狐太郎は狼牙に辛い思いをせてばかりなのだ。
「すまない、狼牙」
狐太郎は、眠っている狼牙に、うめくように謝った。
もう寝る時間なのだが、狼牙は狐太郎のベッドに入って、おしゃべりをしていた。狼牙は音子と遊んだ事がとても楽しかったらしい。
「俺、音子好きぃ。あと亜子も好き」
「そうなのか」
「うん。音子も亜子も優しい。あ、でもね、一番好きはコタ!」
「おお、そうか。ありがとうな」
狐太郎は狼牙の形の良い頭を撫でた。狐太郎はクラスメートになった亜子と音子の事を考えた。二人は半妖ではあるが、普通の善良な少女だった。だが二人とも強い妖力を有していた。中でも、亜子の妖力はクラスで一番だった。
亜子こそ、狐太郎が探していた人物だと思った。物思いにふけっていた狐太郎に、狼牙はずっとしゃべり続けている。
「あのね、それでね、音子と虫見つけたの」
「ほう?何の虫だったんだ?」
「てんてん虫!」
「てんとう虫か。何個星があったんだ?」
「うんとねぇ」
狼牙は両手の指を必死に折り曲げていたが、いつの間にか眠ってしまった。
狐太郎と狼牙の部屋には、ベッドが二つあるのだが、狼牙はいつも狐太郎のベッドで寝る。これは狼牙が一人で寝るのが怖いからなわけではない。狼牙は狐太郎の事をずっと守っているのだ。
狐太郎は陰陽師の家柄である神明家の主人正勝の次男として生まれた。長男の雅樹は人間の母親から生まれた。雅樹の霊能力はそれほどでもなかった。そこで正勝は妖狐との間に子供を作った。それが狐太郎だ。
狐太郎は生れながらにして、多くの悪意にさらされていた。物心つくと、妖狐の母親と無理矢理離された。
幼い狐太郎を守ってくれたのは、狼牙だった。狐太郎の母親と、狼牙の母親は親友同士だった。狼牙は赤ん坊の狐太郎から片時も離れなかった。
人間の霊能力と妖狐の妖力を持って生まれた狐太郎は、父の正勝から跡取りと決められていた。それを面白くないと考えていた兄の雅樹は、狐太郎を排除しようとした。
狐太郎は食事に毒を入れられる事もしばしばだった。その度に狼牙が毒の臭いを嗅いで助けてくれた。
兄の雅樹の取り巻きは、事あるごとに狐太郎になんくせをつけて暴力を振るってきた。
狼牙は恐怖で震えている狐太郎におおいかぶさり、取り巻きたちの暴力から狐太郎を守ってくれた。
泣いてばかりいる狐太郎に、狼牙はいつも笑顔で言っていた。
コタ、泣かない。俺、コタ守る。
狼牙は兄の取り巻きたちに殴られてもけられても、決して泣かなかった。狼牙は取り巻きたちに一度も反撃しなかった。狼牙が人間を攻撃すれば、危険なあやかしとして、陰陽師に処分されてしまうからだ。
狐太郎は、狼牙を頼もしい兄だと思っていた。だが成長するにつれて、自身の間違いに気づいた。狼牙は痛がりの泣き虫の怖がりだった。
狼牙はひたすら耐えていたのだ。自分より幼い狐太郎を守るために、ずっとガマンしていたのだ。その事に気づいた時、狐太郎は己れの愚かさに戦慄した。
狐太郎は幸せそうに眠っている狼牙の顔を見つめた。狼牙はいつも狐太郎の考えに同意してくれる。これから狐太郎が学園でやろうとしてしている事も了解してくれている。
狐太郎は狼牙に辛い思いをせてばかりなのだ。
「すまない、狼牙」
狐太郎は、眠っている狼牙に、うめくように謝った。
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