15 / 22
世界はとても残酷で(特にご飯が)
お正月…それは試練
しおりを挟む
「うっ…透子さん、早く迎えに来てねぇ…!」
泣いちゃダメ!
いくら地獄の実家行きとはいえ、透子さんにだってお休みは必要なんだから!
幼女、前世の記憶があるけど幼女だからイヤなことには泣きそうになる!
施設にいる女児専用ベビーシッター達は基本住み込みだけど、そんな彼女達にも当然休みはある。
ただどうしても都合上、安全面からシッターを交代と言うことは出来ないので、休みたい土日は父親の誰かが泊まりに来るような制度だ。
料理バレしてからはお父さんが積極的に来ている。
長期休暇として、夏と冬に最低でも二週間ずつの休みを設けるように法律で決まっているらしい。幼女はそのへんよくわからない。
ベビーシッターを休ませるのと同時に、ちょっと血縁と一緒に生活して関係修復してほしいなって思惑もあるんだろう。
二週間ぐらいなら双方我慢できるでしょう、って感じかな…。
正直、自分は関係修復できるとは思ってないよね。
「お嬢様、お土産買ってきますから…!」
透子さんは長期休暇を利用して、北海道へ旅行に行く。
二人で旅行雑誌眺めてテンション上げてたけど、美味しいお土産はないんだよね。
北海道産にこだわったパワーバーとかならあったけど。…そういうこだわりが残ってるのは、パラレルワールドでも日本を感じる。
「できれば美味しいもの見つけて来てねェ…!」
そんな会話を交わして、透子さんとはしばしの別れ。
葛木のおばあちゃまのところにも行けず、美味しいものも食べられない。
前世では長い休みで旅行や、お取り寄せなど楽しみも多かった正月。
ごちそうもおせちもお餅も消え去った今世…。
一体何を楽しみにしたらいい…?
せめて気分を上げるためとお気に入りのブラウスとカーディガン、長袖のワンピースだのを用意して、ミント色の子供用スーツケースに入れる。
入れるのはお気に入りだけ。どうせ実家に行けば、服はある。一言お洋服欲しいって言えば、父親達が買ってくれる。
イヤ、前世の価値観から言えばホイホイ物を買う親でいいの?とは思うけど、娘に貢ぐってのはこの世界では一種のステータスだから…。
実知ってる。休みが終わったら、職場で言うんだぜ。正月は娘に振り回されていましたよ、なんて言ってマウント取るの。
最後にチェック柄のコートに黒いボアキャスケットを被って完成。
「お待たせ、お父さん」
「ああ」
いざ、実家に出発ー!
施設から車で約三十分。
閑静な住宅地に我が家は合った。
マンション住まいかと思いきや、三階建ての一軒家である。
ただ、芸能人のお宅並みにセキュリティが高そう。と言うか実際に高いのだろう。
高級住宅街ってやつなのか、まわりのお宅も豪邸ばかり…。
私、本当にお嬢様だったんだな…。
イヤ、ご飯のことしか頭になくて、家族とか生活レベルとか考えてこなかったから…。
ガレージのシャッターが開くと、お父さんの車がスムーズに駐車した。
案外手慣れた手つきで、チャイルドシートのシートベルトを外してくれる。
お父さん…ちゃんと子どもの面倒見てるのね。仕事にしか興味ないみたいな容姿なのに…。
「やっぱり、男の子と女の子は違うな。お兄ちゃんたちはこんなに良い子にしていない」
この年頃の幼児なんて男女関係なく怪獣よ。
私が特殊なだけ。
ただいまと自宅に入れば、広々とした玄関。シューズクロークも広く色々な種類の靴が詰め込まれている。
土間の部分には2台の子ども用自転車、壁にはロードバイクが飾りのように掛けられているが、傷がついているので父親の誰かが使っているのだろう。
人口増加がないから、都内でもお家も庭も広い。キッチンは狭い…と言うか、納戸か給湯室かなってサイズ。
とりあえず、冷蔵庫は大きめだけどおそらく入っているのは酒。
手洗いうがいをして、リビングへと向かう。
キッチンが無い分だけリビングが広くて、こだわっていることがわかる。
そこには、お腹の大きな女性が寛いでいた。
ママだ。
何というか、お腹の大きな妊婦なのに不思議と母親と言うよりは女性と表現する方が正解な気がする人。
子どもである自分が言うのもなんだが、美人ではある。ただ、清楚な見た目と雰囲気は完全に仕事ができるOL感があるため、この人にとって本当に出産は仕事なんだなって感じ。
いや、相性悪くて施設に預けられた身としてはもっと毒々しい毒花系美女を想像していたのだが…。
よく考えたらこの人、まだ二十代半ばなんだよね。
こんな世界じゃなきゃ、バリキャリにでもなっていそう。
私を産んで一旦、妊娠はお休みしたが二十代のうちにあと二人ぐらいは産んでおきたいらしい。
パパ、そう言うことを明け透けに娘に言うのどうかと思うよ。
「来たの」
「おじゃまします」
これ、約八ヶ月ぶりくらいに会う母と幼女の会話な。
「お元気そうで何よりです。赤ちゃんの様子はどうですか?」
「順調よ。来年の一月末ぐらいには生まれるわ」
「楽しみですね」
「そうね」
もう一度言う。親子の会話ね、コレ。
前世の会社の同僚だって、もうちょっとフレンドリーに話してたわ。
関係修復とか無理無理。
うわーん、透子さん早く迎えに来てー!
「ところで、最近英治と仲良しね」
英治=お父さん。
一瞬、誰の名前だっけって思っちゃった。
「親子が仲良しなのは良いことでは?」
「そうね。でも、英治が居ないと不安だわ。もうすぐ、弟も生まれるし、貴方も可愛がってくれる?」
「もちろん」
弟生まれるから、大人しくして。英治盗るんじゃないわよってことね。
だってさ、お父さん。
幼女に対してマウントとる女ってどう思う?
私の位置からじゃ、お父さんの顔見えなくて残念。
泣いちゃダメ!
いくら地獄の実家行きとはいえ、透子さんにだってお休みは必要なんだから!
幼女、前世の記憶があるけど幼女だからイヤなことには泣きそうになる!
施設にいる女児専用ベビーシッター達は基本住み込みだけど、そんな彼女達にも当然休みはある。
ただどうしても都合上、安全面からシッターを交代と言うことは出来ないので、休みたい土日は父親の誰かが泊まりに来るような制度だ。
料理バレしてからはお父さんが積極的に来ている。
長期休暇として、夏と冬に最低でも二週間ずつの休みを設けるように法律で決まっているらしい。幼女はそのへんよくわからない。
ベビーシッターを休ませるのと同時に、ちょっと血縁と一緒に生活して関係修復してほしいなって思惑もあるんだろう。
二週間ぐらいなら双方我慢できるでしょう、って感じかな…。
正直、自分は関係修復できるとは思ってないよね。
「お嬢様、お土産買ってきますから…!」
透子さんは長期休暇を利用して、北海道へ旅行に行く。
二人で旅行雑誌眺めてテンション上げてたけど、美味しいお土産はないんだよね。
北海道産にこだわったパワーバーとかならあったけど。…そういうこだわりが残ってるのは、パラレルワールドでも日本を感じる。
「できれば美味しいもの見つけて来てねェ…!」
そんな会話を交わして、透子さんとはしばしの別れ。
葛木のおばあちゃまのところにも行けず、美味しいものも食べられない。
前世では長い休みで旅行や、お取り寄せなど楽しみも多かった正月。
ごちそうもおせちもお餅も消え去った今世…。
一体何を楽しみにしたらいい…?
せめて気分を上げるためとお気に入りのブラウスとカーディガン、長袖のワンピースだのを用意して、ミント色の子供用スーツケースに入れる。
入れるのはお気に入りだけ。どうせ実家に行けば、服はある。一言お洋服欲しいって言えば、父親達が買ってくれる。
イヤ、前世の価値観から言えばホイホイ物を買う親でいいの?とは思うけど、娘に貢ぐってのはこの世界では一種のステータスだから…。
実知ってる。休みが終わったら、職場で言うんだぜ。正月は娘に振り回されていましたよ、なんて言ってマウント取るの。
最後にチェック柄のコートに黒いボアキャスケットを被って完成。
「お待たせ、お父さん」
「ああ」
いざ、実家に出発ー!
施設から車で約三十分。
閑静な住宅地に我が家は合った。
マンション住まいかと思いきや、三階建ての一軒家である。
ただ、芸能人のお宅並みにセキュリティが高そう。と言うか実際に高いのだろう。
高級住宅街ってやつなのか、まわりのお宅も豪邸ばかり…。
私、本当にお嬢様だったんだな…。
イヤ、ご飯のことしか頭になくて、家族とか生活レベルとか考えてこなかったから…。
ガレージのシャッターが開くと、お父さんの車がスムーズに駐車した。
案外手慣れた手つきで、チャイルドシートのシートベルトを外してくれる。
お父さん…ちゃんと子どもの面倒見てるのね。仕事にしか興味ないみたいな容姿なのに…。
「やっぱり、男の子と女の子は違うな。お兄ちゃんたちはこんなに良い子にしていない」
この年頃の幼児なんて男女関係なく怪獣よ。
私が特殊なだけ。
ただいまと自宅に入れば、広々とした玄関。シューズクロークも広く色々な種類の靴が詰め込まれている。
土間の部分には2台の子ども用自転車、壁にはロードバイクが飾りのように掛けられているが、傷がついているので父親の誰かが使っているのだろう。
人口増加がないから、都内でもお家も庭も広い。キッチンは狭い…と言うか、納戸か給湯室かなってサイズ。
とりあえず、冷蔵庫は大きめだけどおそらく入っているのは酒。
手洗いうがいをして、リビングへと向かう。
キッチンが無い分だけリビングが広くて、こだわっていることがわかる。
そこには、お腹の大きな女性が寛いでいた。
ママだ。
何というか、お腹の大きな妊婦なのに不思議と母親と言うよりは女性と表現する方が正解な気がする人。
子どもである自分が言うのもなんだが、美人ではある。ただ、清楚な見た目と雰囲気は完全に仕事ができるOL感があるため、この人にとって本当に出産は仕事なんだなって感じ。
いや、相性悪くて施設に預けられた身としてはもっと毒々しい毒花系美女を想像していたのだが…。
よく考えたらこの人、まだ二十代半ばなんだよね。
こんな世界じゃなきゃ、バリキャリにでもなっていそう。
私を産んで一旦、妊娠はお休みしたが二十代のうちにあと二人ぐらいは産んでおきたいらしい。
パパ、そう言うことを明け透けに娘に言うのどうかと思うよ。
「来たの」
「おじゃまします」
これ、約八ヶ月ぶりくらいに会う母と幼女の会話な。
「お元気そうで何よりです。赤ちゃんの様子はどうですか?」
「順調よ。来年の一月末ぐらいには生まれるわ」
「楽しみですね」
「そうね」
もう一度言う。親子の会話ね、コレ。
前世の会社の同僚だって、もうちょっとフレンドリーに話してたわ。
関係修復とか無理無理。
うわーん、透子さん早く迎えに来てー!
「ところで、最近英治と仲良しね」
英治=お父さん。
一瞬、誰の名前だっけって思っちゃった。
「親子が仲良しなのは良いことでは?」
「そうね。でも、英治が居ないと不安だわ。もうすぐ、弟も生まれるし、貴方も可愛がってくれる?」
「もちろん」
弟生まれるから、大人しくして。英治盗るんじゃないわよってことね。
だってさ、お父さん。
幼女に対してマウントとる女ってどう思う?
私の位置からじゃ、お父さんの顔見えなくて残念。
15
あなたにおすすめの小説
転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!
女性が少ない世界に転移しちゃったぁ!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比40:1の世界に転移した主人公
人のようで人ではなかった主人公が様々な人と触れ合い交流し、人になる話
温かい目で読んでいただけたら嬉しいですm(__)m
※わかりにくい話かもです
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
女性が少ない世界でVTuberやります!
dekoma26+ブル
恋愛
ある日朝起きてキッチンに行くとそこには知らない男性たちが! …え、お父さん⁉
なぜか突然女性の少ない世界に来てしまった少女がVTuberをしたり、学校に通ったりするお話。
※大賞が始まった記念に2/3~6(金)まで連続投稿予定!
※忘れてなければ毎週火曜・金曜日の夜に投稿予定。作者ブル
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
異世界召喚されました。親友は第一王子に惚れられて、ぽっちゃりな私は聖女として精霊王とイケメン達に愛される!?〜聖女の座は親友に譲ります〜
あいみ
恋愛
ーーーグランロッド国に召喚されてしまった|心音《ことね》と|友愛《ゆあ》。
イケメン王子カイザーに見初められた友愛は王宮で贅沢三昧。
一方心音は、一人寂しく部屋に閉じ込められる!?
天と地ほどの差の扱い。無下にされ笑われ蔑まれた心音はなんと精霊王シェイドの加護を受けていると判明。
だがしかし。カイザーは美しく可憐な友愛こそが本物の聖女だと言い張る。
心音は聖女の座に興味はなくシェイドの力をフル活用して、異世界で始まるのはぐうたら生活。
ぽっちゃり女子×イケメン多数
悪女×クズ男
物語が今……始まる
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる