囚われた元王は逃げ出せない

スノウ

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「ハルマ、シャワーに行くぞ」


「ほーい」


気が済んだのか戻ってきたレンジ






「この時間混んでんなぁ」


シャワー室の空きは一つだった

他の隊も終わるタイミングが一緒だったのかシャワールームは激混みだ


「なぁ大浴場あんだろ?俺そこ行くわ、グエッ」


クルッと向きを変えた俺の襟元をグッと掴まれた


「大浴場は駄目だって言ってんだろお前は」


「なんだよ、俺の世界の俺の国は温泉大国、大浴場の文化だぞ」


「ニホンだろ?ここの連中とは駄目だ」


「たまにはいいじゃんか入りたい!」


「今度連れて行く、我慢しろ」


「え!ホント!?」


「約束だ」


「やったー!じゃぁ今日は一緒にシャワー浴びようぜっ」


「・・・は?」


「行こ行こ~」


レンジの腕をグイグイ引っ張ってシャワー室に入り込んだ


「あっおい、まじか」


そう俺は日本男児一緒のシャワーなぞなんとも思わない


「脱がないの?お先に~」


???


レンジは脱がずに俺のシャワーを眺めてる


ただ

ジッと見てる


大浴場なんて何度も行ってる


男同士のシャワーなんて別に



別に・・・


「み、見すぎだろ」


「ずいぶんと積極的だなと」


「??なにが積極的なんだよ」



「背中、洗ってやるよ」


「お?おうありがと」


やっと脱ぎだしたレンジの身体は俺とは違うしっくすぱっくだった


「なんだよお前その腹筋!!」


「あ?ああ、元々もあるが筋肉の付きやすい体でな」


「ふ~ん?!」


男の理想だなぁ!?クソ



「ほら前向いとけよ洗うから」


人肌の温度のはずのシャワーが少し冷たく感じる

俺がおずおずと体を洗ってるともこもこにしたレンジの手が背中に伸びてきた

「っび、っくりした」


「気にするなほら洗えよ」


「お、おう」


もこもこ泡を通り越してレンジの手の形が、指の動きが伝わってくる


「うっ、あの」


「なんだ?」



泡のようにキラキラとした甘い声が後ろから聞こえる

滑らかな手から剣術でできたタコがやたら硬くて背中が敏感になる
背中を指でなぞられ、腰を撫でられ肩までスーと手が動く


「ふ、あっんん・・・、ちょちょっとマテ」


「どうした」


「いやなんか、手つきが」


「手つきが?どうした」


「い」


「い?なんだ?」


涙目になった俺が後ろを振り向くと満足そうに笑うレンジの顔があった


「いやらしい、です」


「ク、ハハハ」


「あと太ももにナニか当たってて」


「あーナニかな」


「も、もう十分です自分で洗いマス!」


「そうか、残念だ」


名残惜しそうに離れる泡がもどかしい



「おれもう洗ったし先に出とく」


「待てよ、あっちは危ないだろ」


なにがあっちは危ないだよ、ナニか危険ブツがここにあんだろ
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