囚われた元王は逃げ出せない

スノウ

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「とりあえず俺は、家に帰るよ」



「残念です。まだ愛を囁き足りないのが」



少し眉が下がり気味なのが、後ろ髪を引かれる理由だ


だが、ここに居ればただじゃすまないだろう

これ以上は身も、心も持たない




ガクガク震えてた足が、丁寧にバーナによって拭かれ、足の感覚が戻ったタイミングで俺は家に帰った


「我が愛しの王、良い夢を」


別れ際まで歯の浮くような事を言うイケメンだった





コソコソと帰り、

風呂に入り、寝間着に着替え、ベッドに入る頃、部屋にレンジがやってきた



「なんだ、随分な夜遊びだったな」


「へっ!?あーまあな、色々決める事があって」


「へ~?」



上から下までわざとらしく見られて、思わずベッドに潜り込んだ


「きょ、きょうはもう疲れたんだ寝るよ」


さっきまで男に抱かれてた。

俺は今どんな顔をしてる?朝の俺と同じだろうか?

なにか違うか

男が好きそうな顔にでもなったのか?

男を咥え込んだ顔になったのか?



俺がセックスした事がバレたのか……?



「なんだよ?レンジ」


「んーなんか怪しい」


腕組みしながらジッと見られてる


「っ・・・めちゃくちゃ」


「めちゃくちゃ?」


「チョコ食べまくった」


「フンッ、なんだよそれ鼻血出ても知らねーぞ」


レンジは笑いながら部屋を出て行った



は、ハァー。ビビッた。




寝よ、とりあえず寝て忘れよう



が、夢にバーナが出てきたのは言うまでもない







時は流れて祝賀会



白に紺のラインが入った服を着た俺は


「馬子にも衣装だな」


「ああ、俺もそう思う」


似合うか心配だったが腕の良いデザイナーなんだろう、豚に真珠にならずに済んだのはメイド達の腕のおかげもある

レンジのからかいも今は上の空だ


「緊張してるのかい?ハルマ君」


今日のために家に帰ってきたタンドール兄貴


「はい、なんかちょっとさすがに」


「大丈夫、胸を張って」


「うっす」


「私はアイツと馬車で行くから、会場でまた会おう」


アイツとはタンドールさんを待ってる隊長のことだ


さらっと馬車に乗るのをエスコートする隊長、それを受け入れるタンドールさん


この二人は好き同士の幸せな二人なんだろうな



「さあ、俺らも行こうか王様」


「ああ、俺も腹を括った。行くぞ」




馬車に揺られ門をくぐる際見慣れた姿があった



「あれ!?ライチ」


「おいおい、お邪魔虫のおチビじゃねーか」



そのまま馬車を進めようとするレンジを制止して馬車を止めるとライチが入ってきた



「お久しぶりですハルマ様」


「ライチ!また大きくなった気がするな」


「はい、また背が伸びました。そこの人なんてすぐに追い越しますよ」


「言ってくれるじゃねぇか、見てくれがデカくなっても中身がスカスカじゃ意味ないぜ」


「自己紹介でもしているんですか?ご丁寧にありがとうございます」


「わ、ライチが嫌味言うようになった」


「そんなイヤミだなんて、ただの貴族の挨拶ですよ」


いつもの可愛い笑顔でなんか怖いぞ

ヒキコモリの可愛い子犬が社会の荒波で揉まれたのか


「ハルマ様は今日もとびきり格好いいです」


「んふふ~ありがとうなライチ。ところであんな門でまさか俺を待ってたのか?」


「当たり前じゃないですか、ハルマ様の大事な時に少しでもそばにいたかったんです」



「ありがとうな」


なんだかニヤける、心がむずがゆい

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