王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良

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13話

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「――どうかしましたか?」

 ここではないどこかに、やましい思いがあるから、ほかのところに隠しているのではないか。そう思い、引き出しという引き出しを、棚という棚を開けて中身を確認していたラファエルに冷ややかな声が降りかかる。
 だがとまどい焦っているラファエルに、声色に気づく余裕はなかった。

「いや、それは……クリスティーナから、何か聞いていないか……秘密の隠し場所があるとか、そういうことを……」
「秘密の隠し場所? そんなものを聞いたことはありませんが……そもそも、王である兄上が知らないことを、この俺が知っているわけがないでしょう」

 王に即位すると決まったとき、ラファエルの両親は彼に城の見取り図を託した。いつどこで誰にどのように命を狙われるかわからないから、詳細な――秘密の通路などを記した地図は王にしか引き継がれないのだと言いながら。
 そして頭に叩き込んだ地図には、クリスティーナの部屋も載っていた。ただ、隠し場所となりそうな不自然な空間は載っていなかったが。

「だが、こんなのは……彼女の買ったものがどこにもないのは……」

 おかしい、と言葉に出さなくてもルシアンには伝わったのだろう。彼は考える素振りをしてから、神妙な面持ちで口を開いた。

「ならば、義姉上が亡くなられてから盗んでいった者がいる、ということでしょうか。……一緒に調べたいところですが……申し訳ございません。そろそろ、帰らなければいけないので……ちなみにですが、元から誰かが着服していた、という可能性はないのですか?」

 それはありえない話だった。提出された申請書にはクリスティーナの印章が捺されていた。そして印章の管理はクリスティーナ自身がしていた。
 印章がどれほど大事なものか、わかっていないはずがない。だからありえないと首を振ると、ルシアンは「そうですか」と小さく返した。

「……それでは、俺は行きますが……また近いうち、顔を出します」
「あ、ああ。わかった」

 なら、誰が盗んだのか。クリスティーナが亡くなってから、この部屋に出入りする許しを誰かに出した覚えはない。遺品の整理を託したこともない。
 葬儀の準備で慌ただしかったが、不審な人物が出入りしていれば誰かが気づくはずだ。

 考えをまとめ、巡らせているラファエルの耳に扉が閉まる音と、その直前に発せられたルシアンの声が届く。

「――署名はありましたか?」

 そんな、短い問いかけが。
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