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第25話 エスコート
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ついに迎えた土曜日、俺は例によって仙台駅のステンドグラス前にいた。もちろん、デートのために夏織さんと待ち合わせしているのである。
「ふああ……」
昨日はよく眠れなかった! なんだかんだ言って楽しみだったからな!
「変なとこないよな……」
シャツをつまんでみたりして、自分の服を確認してみる。今までは「飲み会」だったから、服装はあまり気にしていなかった。だけど今日は「デート」だからな、あまり変な恰好だと夏織さんに恥をかかせてしまう。
ふと、夏織さんの姿を思い浮かべる。今日はどんな格好で来るんだろうか? シュラスコの時は半袖Tシャツだったよな。今日もそうなのか、それとも違う服装で来るのか。
「ん?」
一瞬、近くの人たちがざわめいた気がした。顔を上げると、右の方にあった人ごみが道を開けるようにはけていく。その先にいたのは……え、芸能人?
水のように透き通った白いワンピースに、日本の夏を思わせる麦わら帽子。モデルみたい、という形容すら失礼にあたりそうなほど、可憐で美しい姿。周囲に涼し気な風が吹いている、そんな幻すら見えてきた。ついつい見惚れてしまいそうな――
「あっ、怜!」
「……へっ?」
俺の名前を呼んだ? ……って、嘘だよな? 綺麗で、背が高くて、まるで芸術品みたいな人。俺が女優か何かと見間違えたのは、間違いなく――
「お待たせした、怜!」
「……!?」
夏織さん、その人だった。いや、ちょっと待ってくれよ。もともと美人だとは思っていたけど……本当に? マジ? Really?
「どうした、怜? そんなに口をあんぐり開けて」
「えっと、その恰好は……」
「母がむかし着ていたのをお下がりで貰ったんだ。……似合って、いるだろうか?」
夏織さんは少し顔を紅潮させて、ちらりとこちらに視線をよこした。もはや似合っているとか似合ってないとかそういう次元ではない。白のワンピースと麦わら帽子を身に付けて様になる人間なんて、この世に存在するんだな……。
「に……」
「に?」
「似合ってます。すごく」
「ほ、本当か?」
「遠目で見たとき、女優かと思いましたよ」
「またまた、怜はお世辞がうまいな……」
麦わら帽子を使って、照れたように口元を隠す夏織さん。お世辞なんかじゃない。夏織さんは……本当に綺麗なんだから。
「お世辞なんかじゃないですよ」
「えっ?」
「本気です。今日の夏織さん、綺麗です」
「や、やめてくれ……!」
ああ、この人はやっぱり可愛い。もちろん本当にやめてほしいのではなく、照れ隠しの言葉なんだろうな。
さて、そろそろ行かないとな。電車の時間もあるし。まずは改札を通って、ホームに向かうわけだけど……今日は「デート」だもんな。
「夏織さん」
「こ、今度はなんだ!?」
急に名前を呼んだせいか、驚かせてしまった。この間は夏織さんに主導権を握られてしまった。だったら、今日は俺がちゃんとエスコートしないと!
「今日は僕がお誘いしたんですから、ご案内します」
「怜……」
「さあ、行きましょうか!」
そっと、右手を差し出した。一瞬、夏織さんは目を見開いたけど……何も言わずに俺の手をとってくれた。
「ああ、行こう!」
夏織さんの笑顔に、俺までつい笑ってしまった。手を繋ぎ、二人で歩き出す。なんて理想的なデートなんだろう。今日はどんな一日になるのか、それを考えただけでも胸が躍った。
……この後、手を繋いだままだと改札を通れないことに気が付いたのはまた別の話である。
「ふああ……」
昨日はよく眠れなかった! なんだかんだ言って楽しみだったからな!
「変なとこないよな……」
シャツをつまんでみたりして、自分の服を確認してみる。今までは「飲み会」だったから、服装はあまり気にしていなかった。だけど今日は「デート」だからな、あまり変な恰好だと夏織さんに恥をかかせてしまう。
ふと、夏織さんの姿を思い浮かべる。今日はどんな格好で来るんだろうか? シュラスコの時は半袖Tシャツだったよな。今日もそうなのか、それとも違う服装で来るのか。
「ん?」
一瞬、近くの人たちがざわめいた気がした。顔を上げると、右の方にあった人ごみが道を開けるようにはけていく。その先にいたのは……え、芸能人?
水のように透き通った白いワンピースに、日本の夏を思わせる麦わら帽子。モデルみたい、という形容すら失礼にあたりそうなほど、可憐で美しい姿。周囲に涼し気な風が吹いている、そんな幻すら見えてきた。ついつい見惚れてしまいそうな――
「あっ、怜!」
「……へっ?」
俺の名前を呼んだ? ……って、嘘だよな? 綺麗で、背が高くて、まるで芸術品みたいな人。俺が女優か何かと見間違えたのは、間違いなく――
「お待たせした、怜!」
「……!?」
夏織さん、その人だった。いや、ちょっと待ってくれよ。もともと美人だとは思っていたけど……本当に? マジ? Really?
「どうした、怜? そんなに口をあんぐり開けて」
「えっと、その恰好は……」
「母がむかし着ていたのをお下がりで貰ったんだ。……似合って、いるだろうか?」
夏織さんは少し顔を紅潮させて、ちらりとこちらに視線をよこした。もはや似合っているとか似合ってないとかそういう次元ではない。白のワンピースと麦わら帽子を身に付けて様になる人間なんて、この世に存在するんだな……。
「に……」
「に?」
「似合ってます。すごく」
「ほ、本当か?」
「遠目で見たとき、女優かと思いましたよ」
「またまた、怜はお世辞がうまいな……」
麦わら帽子を使って、照れたように口元を隠す夏織さん。お世辞なんかじゃない。夏織さんは……本当に綺麗なんだから。
「お世辞なんかじゃないですよ」
「えっ?」
「本気です。今日の夏織さん、綺麗です」
「や、やめてくれ……!」
ああ、この人はやっぱり可愛い。もちろん本当にやめてほしいのではなく、照れ隠しの言葉なんだろうな。
さて、そろそろ行かないとな。電車の時間もあるし。まずは改札を通って、ホームに向かうわけだけど……今日は「デート」だもんな。
「夏織さん」
「こ、今度はなんだ!?」
急に名前を呼んだせいか、驚かせてしまった。この間は夏織さんに主導権を握られてしまった。だったら、今日は俺がちゃんとエスコートしないと!
「今日は僕がお誘いしたんですから、ご案内します」
「怜……」
「さあ、行きましょうか!」
そっと、右手を差し出した。一瞬、夏織さんは目を見開いたけど……何も言わずに俺の手をとってくれた。
「ああ、行こう!」
夏織さんの笑顔に、俺までつい笑ってしまった。手を繋ぎ、二人で歩き出す。なんて理想的なデートなんだろう。今日はどんな一日になるのか、それを考えただけでも胸が躍った。
……この後、手を繋いだままだと改札を通れないことに気が付いたのはまた別の話である。
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