転生した愛し子は幸せを知る

本編

出会い

　ティアはオオカミの魔物達に追いかけられていた。走って逃げるティアを追うオオカミの魔物達はすぐにはティアを殺さず逃げるティアをわざと殺さず追いかけていた。なぜなら、ティアは4歳。走っているつもりでも大人のはや歩きと変わらない。いつでも殺せるからこそオオカミの魔物達はゆっくりティアを追いつめていた。

「はっ、はっ。誰か助けて！あっ、きゃっ」

　ティアの体力は限界に近づき木の根に引っかかって転んでしまった。

「うぅ…痛い」

　オオカミの魔物達はティアに近づいてきた。

(まだ新しい人生始まったばかりなのに…1日も経たずにまた死んじゃうの？いやだよ…怖いよ…)

「お願い、誰か助けて……」

　諦めて目を閉じたティアにオオカミの魔物の1匹がティア目がけて襲いかかった。

　いくら目を閉じてもやってこない痛みに恐る恐る目をあけるティア。目の前にはついさっきまでティアに襲いかかっていたオオカミの魔物が血を流して倒れている。そう、倒れているのはオオカミの魔物の方なのだ。

(なんで？)

　そんな考えが頭をよぎっていると、

「ギャン！！キャウン……」

　オオカミの魔物が悲鳴をあげているのが聞こえてよく見てみると、誰かがオオカミの魔物を倒しているのが見えた。夜で暗いせいもあり、まだ何者かも分からないが、騎士のような服を着ていて体型からしても男だろうという判断はついた。

　男は強くあっという間にオオカミの魔物の群れを1人で倒してしまった。そして、急いでティアに近づき、

「大丈夫か⁉︎無事か⁉︎」

　そう言ってティアを見た。ティアもまた近づいてきた男の顔を見た。男は、黒髪に綺麗な緑の瞳を持った二十代前半だろうイケメンだった。

　男はティアをみて一瞬目を見開いたが、

「君はここで何をしているんだい？1人なのかい？」

　優しくティアに聞いた。ティアは何て言えばいいか少し悩んだあと、

「気がついたらここに1人でいたの…誰か人がいる所に行こうと思って歩いてたら、あのオオカミの魔物に見つかったの…」

　ティアがそう言うと、

「捨てられたか、人さらいにあったんだな…」

「？？？」

　男はボソボソと言ったため、ティアには聞こえず分からなかった。

　ティアは男の手をちょいちょいと引っ張り、

「ありがとっ！助けてくれてありがとうなの！」

　満面の笑みでお礼を言った。

「…っ！！！あぁ。ここにいては危ない。一緒においで。安全なところまで連れて行こう」

　ティアは男の人に抱っこされて、疲れていたこともありそのまま眠りについた。