転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

住む場所、決まりました

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 ティアです。ただいまギルマスの膝の上にいます。ニールさんからギルマスの膝の上に移動しました。うん、私1人で座るという選択肢はないの?

「ティア、ワシのお願いを聞いてくれないか?」

「お願い?なぁーに?」

「ワシの事はローブおじいちゃんって呼んでくれないか?」

 おうおう。ニールさんといい、皆んな呼び方を指定してくるのは何故だ。別にいいけどさ…

「ローブおじいちゃん!」

「ティアや!可愛いのぉ!!おじいちゃん…おじいちゃん…いいな。」

 マッチョことローブおじいちゃんがにやけている。うん、なんか怖いな。

「「「チッ」」」

 なんだろねぇ?ベティさん、エリック隊長、ニールさんから舌打ちが聞こえたような…私は知らなーい!聞こえてませーん!特にベティさんからは聞こえてないと信じたい。

「お前達…ワシはこれでもギルマスだぞ!酷い!ティアや、おじいちゃんを慰めてくれ~」

「……お、おじいちゃんよしよし。」

「「「チッ、羨ましい…」」」

 なんか3人がモゾモゾと呟いていたが、私は聞こえてないからね…別に舌打ちとか、羨ましいとか。それでもってローブおじいちゃんが 「良いだろう 」的な顔を3人に向けているなんて知らないからね…

「ところでティア、今は騎士寮で保護してもらっているんだろう。ずっと騎士寮にいるわけにはいかんだろうし。どうするかは決めているのか?」

 そっか。ずっとエリック隊長やセシル達とはいれないよね…全然考えてなかった。

「決めてない…」

「ならばワシと一緒に住ま……」

「何言ってるんだ!ティアはずっと俺と一緒だ。なんなら、俺の家に来い。ティアの親を見つけるまでいたらいい。」

 エリック隊長…ローブおじいちゃんの言葉をキレイに遮ったね。

「私がいたら邪魔にならない?それにエリック隊長は貴族なんでしょ。そんな家に私なんかがいたら困らない?」

「問題ない!ティアを邪魔に思うわけがないだろう。それにな、俺の家には母さんと父さんがいるが2人とも可愛い女の子が欲しい欲しいって言ってたからむしろ喜ぶぞ。使用人たちもいい奴らだから安心しろ。」

 ほんとにいいのかな?私、エリック隊長と一緒にいたい。

「本当にいいなら……お願いします!」

「おう!」

 ローブはエリックをこれでもかというほど睨んでいる。小さな声で、"よくもワシが先に一緒に住もうと言おうとしていた時に!本当ならワシと住むはずだったのに!!"と言っていた。また、ニールやベティも同様にエリック隊長を睨んで、"先に言っていれば…"などと呟いていた。ティアはというとエリックの言葉が嬉しくて聞こえていない。

「あっ!ニールさん!エリックさんとギルマスにお金のこと伝えなくていいんですか?」

「そうでした。実は…」

 ニールさんは私が白金貨を持っていることについてローブおじいちゃんとエリック隊長に話した。

「「はっ?」」

「ティア、お前貴族じゃないんだよな?王族ってわけでもないよな!?」

 エリック隊長、驚きすぎて早口になってるよ!ローブおじいちゃんについては、もう開いた口が塞がらないって感じだよ…ちょっと魚みたいで笑える。

「私、貴族でも王族でもないよ…それはたしかだよ。このお金はパパに貰ったの。その、お小遣い的な感じで。だからベティさんにお金について聞いて私も驚いてる…」

「「「「どんなパパだよ!」」」」

 それ思った!間違いない!貴族でも王族でもない私がそんな大金持ってたらそりゃそーだよね。しかも感覚がお小遣い感覚だしね…ベティさん口調がもう崩れてるよ。まぁ、仕方ないよねー。あははは。さっき、ベティさんとニールさんにはパパに貰ったとしか言ってなかったもんね。お小遣い感覚なんて言ってなかったし…皆さんいいツッコミありがとうございました。

「と、とにかくこの事を含め色々と他言無用だぞ、ニールとベティ。」

「「はい、もちろんです。」」

「よし、ニールもベティも信頼できる奴だから大丈夫だろう。エリックもこの2人は大丈夫だから安心しろ。」

「あぁ。また何かあれば来る。」

 エリック隊長は私を抱き上げるとドアへと歩き出した。

「ばいばーい!またね、ローブおじいちゃん、ニールさん、ベティさん!!」

 3人はまたね、と手を振ってくれた。




♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 冒険者ギルドを出て私はエリック隊長に抱っこされながら街を見渡していた。約束通り、帰りに街を見てまわっているのだ!

「なんかいい匂いがする!!」

「あの店からだな。そういやお昼がまだだったからお腹すいたな。」

「エリック隊長!私に買いに行かせて!お金の使い方を勉強してくるの!!」

「(初めてのおつかい…役得だな。)いいぞ!俺はここから見守ってるからな。」

「はーい!行ってきまーす!」

 私はいい匂いのするお店へと駆け出した。
 
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