転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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【閑話】後悔 3(直斗視点)

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 俺はそれから可能な限り家に帰るようにした。始めは毎日帰るように頑張っていたが仕事も難しく、華を一人にする事がどうしてもあるのだ。今まで家事などした事がなかった俺は優香さんが居なくなってどうしたらいいのか分からなかった。しかし華は一通り出来るようで俺がする事は何もなかった。これでは前の生活とあまり変わらないのではないかと思うようになった。


 会社に行っても華の事が気になり仕方がなかった。優香さんの時と同じで家に帰ったらもういないなんて嫌だった。そんな時だった。仕事先のお客さんに誘われて飲みに行ったのだ。お得意様という事もあり断れず仕方なくではあったが飲みに行った。そこで俺の話になり妻が亡くなり今は一人だと話すと「ならば是非儂の娘と会ってみないか?」と言われた。俺には華がいるし優香さん以外ともう結婚もするつもりもなかったのでお断りしたのだがそれからも度々お願いされるので一度だけ会うことにした。



「はじめまして。私、恵美めぐみと申します。」


「私は娘の心愛ここあと言います!」


 俺は驚いた。まさか子持ちの女性を紹介されるとは思わなかったのだ。


「私は宮月 直斗と申します。」


 俺は結婚するつもりなどない事をしっかり伝えた。


「たしか直斗さんにも娘さんがいると聞きましたわ。娘と同じくらいの子どもだと聞いたのですが。」


「はい。心愛ちゃんが一つ上ですね。」


「まぁ!ならお母さんが亡くなって大変じゃない?まだその歳なら母親が必要なんじゃないかしら。」


 たしかに、華は手間がかからないと言ってもまだ小学生だ。優香さんがいなくなった以上、母親が恋しく思っているかも知れない。


「私の心愛も父親が居なくていつも寂しい思いをさせてるんです。きっと華ちゃんも寂しいはずですよ。」


「心愛ね直斗さんにお義父さんになって欲しいなぁー!だめぇ?」



 心愛ちゃんが俺に抱きついてきた。なんて言うか押しが強い二人だ。この二人なら華も仲良くなれるか?俺にはもう見せてくれない笑顔を…二人なら華を笑顔にさせてくれるかもしれない。


「心愛ちゃん、俺には娘が一人います。華と仲良くしてしてくれるかい?」


「心愛がお姉ちゃんって事?もちろんその子とするよ?」


「恵美さん、私は華を幸せにしたい。でもそれは私だけでは出来ない。」


「安心して下さい。私と心愛に任せて下さい。華ちゃんをしっかり見ますわ。私も心愛も華ちゃんと出来ますもの。」


 俺は彼女たちの言葉を信じてしまったのだ。そして行動は早くするべきだと思い華にも二人を紹介した。


「二人は新しい家族だ。」


「私は恵美と言います。華ちゃんの新しいお義母さんになるわ。」


「私は心愛よ!華の姉よ!」


 華は大きな目をぱちくりさせて二人を見た。そして俺を睨むと二人に挨拶だけして自分の部屋へと戻って行った。


「華が失礼な態度をとってすみません。」


「いいえ、全然気にしてないわ」


 俺は二人が帰った後、華に先程の態度は失礼だと説教しなくてはならないと思い声をかけた。


「先程の態度はなんだ。恵美さんと心愛ちゃん失礼だろう!!二人は新しい家族になるんだ。」


「……失礼?新しい家族?私の気持ちは……」


 華が最後まで話すことはなかった。俺は次の日、会社で部下に相談した。そう優香さんとの件で打ち解けた部下。名前を吉田と言う。


「吉田、俺は間違った事したか?」


 吉田は俺の話を聞くと大きなため息をついた。


「一言で言えば、最低だと思いますよ?だって華ちゃんからしたら優香さんが亡くなってまだ時間が経ってないんですよ?この前まで母親だった人が居なくなってまだ心の傷も癒えてないのに、そこに急に現れた人を新しい母親だって紹介されたんですよ。そりゃ優香さんを母親と思ってる華ちゃんからしたら失礼な態度を取るのも納得ですね。俺でもそうしますよ。」


「…………」


 俺は吉田の言葉を聞いて自分の過ちに気付いた。俺は華の為を思ってした事だったが返って華を傷つけたんだ。俺は華を大切にしたい。空回りしてばかりだ。


「それに普通前の奥さん…優香さんが亡くなってすぐ結婚しようなんて相手の恵美さんでしたっけ?その人本当に大丈夫なんですか?その人も娘さんがいるんですよね。相手の方はなんで旦那さん居ないんですか?理由ちゃんと聞きました?」


「うっ…それは。だ、だが!彼女たちは華とも仲良くすると言っていた。母親がいない華を心配していた。」


「俺は怪しいと思うんですが……」



 俺は吉田の話を間に受けなかった。あの時、ちゃんと調べていれば未来は変わっただろうに……


 俺は優香さんの時に出来なかった分、恵美さん、心愛ちゃん、華を大切にしようとした。二人はやはり優しかった。「お母さんが死んで辛かったね」と華を慰めていた。俺はやはり彼女たちに任せて正解だったと思った。華は何か言いたげだったが俺の顔を見て言うのを諦めたようだ。



 恵美さんと心愛ちゃんが家にも住み慣れてきた頃、俺は仕事の関係で海外に行く事になった。吉田は華をどうするのかと聞いてきた。俺は恵美さんと心愛ちゃんもいるし俺といるよりも二人と一緒がいいだろうと思い俺一人で行くと伝えた。吉田は華を心配していたが一体何を心配しているのか分からなかった。













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