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本編
カップケーキ
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「それで一体何を作るんです?」
「それはね~カップケーキだよー!!」
「カップケーキですか?それなら私が作りますよ?」
カップケーキ。そうこの世界にはあるのだ。しかし私が知っているカップケーキとは近くて遠いんだよね。固いし、味もないに等しい。パサパサなんだよ!?水分持ってかれるし…
「トムさんは私のお手伝い!トムさんもきっと驚くよ?私が作るカップケーキの美味しさに!!」
私が自信ありげな表情をしてトムさんを見ると、トムさんは目をパチクリさせた。
「分かりました。ティアお嬢様が作るカップケーキがどんなものか見せてもらいましょう!!」
「すごい……」
出来上がったカップケーキを味見したトムは呟いた。
「トムさん手伝ってくれてありがとー!」
流石にオーブンは危なくて出来なかったからトムさんに手伝ってもらったよ。ってあれれ?トムさん聞こえてる?
「トムさーん?おーい!!」
「ティアお嬢様!!これがカップケーキですか!?私の知るカップケーキではありませんよ!ふわふわですよ!?」
そんなに揺らさないで~頭が揺れる~
「トムさーん、揺れる揺れる!!頭が~」
「あっ…失礼しました!!」
バツの悪そうにするトム。
「とにかくジュリアンおばあちゃんに食べてもらいたいから持って行こう?」
「そうでしたね。分かりました」
トムさんが少し残念そうな顔をしてるが無視だ。トムさんの目が私の持ってるカップケーキにくぎ付けなのがちょっぴり怖い。
「ジュリアンおばあちゃんお待たせ~」
「出来たのね!さぁさぁ、早く見せて頂戴!何を作ったのかしら?」
「カップケーキだよ!」
そう言ってジュリアンおばあちゃんにカップケーキを乗せたお皿を差し出す。
「まぁ!美味しそうね。こんなに作ったの?全部食べれるかしら…」
私は聞き逃さなかったよ。ジュリアンおばあちゃんがマリーさんに飲み物多めでって頼んでいたのを。ジュリアンおばあちゃんもカップケーキは喉が渇くものってイメージ持ってるみたい。
「奥様、もし余るようなら是非とも私に分けて貰えませんか!?」
トムさんが身を乗り出すようにジュリアンおばあちゃんに頼みでていた。これにはジュリアンおばあちゃんやマリーさん、他の側に控えていた人達も驚いている。
「そんなに食べたいのトム?そ、そうね。ティアちゃん、トムに3つほどあげてもいいかしら?」
「もちろん!もともとトムさんに分けてもいいかジュリアンおばあちゃんに聞こうと思ってたんだ。」
なにせ15個作ったのだ。
「ではありがたく頂戴して行きますね!」
トムさんはそそくさとジュリアンおばあちゃんから分けて貰うと調理場へと戻って行った。唖然とするジュリアンおばあちゃん達。トムさんらしからぬ行動に軽く、いやかなり驚いているようだ。
「ねーねー!ジュリアンおばあちゃん!マリーさん達にも分けてもいい?」
「え?えぇいいわよ。」
ジュリアンはマリー達4人の侍女にカップケーキを2個ずつ渡す。
「それじゃあ食べましょうか。ティアちゃんもいらっしゃい。」
ジュリアンおばあちゃんのお膝に乗せられカップケーキを2つ置いてくれた。
「マリー達も一緒にここで食べていいからね。それじゃあ、いただきます。」
「「「いただきます!!」」」
どうかなどうかな?私はみんなが食べるのをわくわくして見ていた。
みんな一口食べると動きを止めた。シンクロしたよ。そのまま時間だけが過ぎていく。
「ど、どうかな?美味しい?」
「「「「なにコレ……」」」」
「カップケーキだよ?」
これが!?とでも言いそうな表情を全員が浮かべた。
「ティアちゃん…これ私の知るカップケーキじゃないわ。ふわふわよ。パサパサじゃないのよ。美味しい。美味しいわ。」
ジュリアンおばあちゃんはそう言うとまた一口、さらに一口と食べ始めた。それはマリーさん達も同じで無言で食べる食べる。
あっという間に食べ終わった皆んな。私、まだ1つしか食べてないよ?
「ティアちゃん!!もうないのかしら?」
「えぇ!?お試しって事で作ったからここに出した分だけだよ。」
「「「「そんな~」」」」
ジュリアンおばあちゃんやマリーさん達が目に見えてがっかりする。
「はっ!!トムよ!トムに私3つも渡したわ。私でさえ2つしか食べてないのに。なんて事!トムらしくないと思ったけれどトムは知ってたのね。こんなにティアちゃんのカップケーキが美味しいだなんて…」
た、たしかにトムさんが一番カップケーキを多く食べる事になるね。
仕方ないなぁ。そんなにジュリアンおばあちゃんが落ち込むなんて。
「ジュリアンおばあちゃん、私の一個食べていいよ?」
「いいの!?ってダメよダメ。それはティアちゃんのよ。」
「なら半分ずつにしよっ?」
私は半分をジュリアンおばあちゃんに向けて差し出す。
「ありがとうティアちゃん~大好きよ!」
ジュリアンは噛みしめるようにティアから貰った半分のカップケーキを食べる。
「ご馳走さまでした。」
「「「ティアお嬢様ご馳走さまでした」」」
美味しくいただいて貰えたようでなりよりなりより。嬉しくなっちゃうね!!
その夜、トムはマリー達に「1人で3つも食べたなんてズルい」と言われ、責められたのは余談である。
「それはね~カップケーキだよー!!」
「カップケーキですか?それなら私が作りますよ?」
カップケーキ。そうこの世界にはあるのだ。しかし私が知っているカップケーキとは近くて遠いんだよね。固いし、味もないに等しい。パサパサなんだよ!?水分持ってかれるし…
「トムさんは私のお手伝い!トムさんもきっと驚くよ?私が作るカップケーキの美味しさに!!」
私が自信ありげな表情をしてトムさんを見ると、トムさんは目をパチクリさせた。
「分かりました。ティアお嬢様が作るカップケーキがどんなものか見せてもらいましょう!!」
「すごい……」
出来上がったカップケーキを味見したトムは呟いた。
「トムさん手伝ってくれてありがとー!」
流石にオーブンは危なくて出来なかったからトムさんに手伝ってもらったよ。ってあれれ?トムさん聞こえてる?
「トムさーん?おーい!!」
「ティアお嬢様!!これがカップケーキですか!?私の知るカップケーキではありませんよ!ふわふわですよ!?」
そんなに揺らさないで~頭が揺れる~
「トムさーん、揺れる揺れる!!頭が~」
「あっ…失礼しました!!」
バツの悪そうにするトム。
「とにかくジュリアンおばあちゃんに食べてもらいたいから持って行こう?」
「そうでしたね。分かりました」
トムさんが少し残念そうな顔をしてるが無視だ。トムさんの目が私の持ってるカップケーキにくぎ付けなのがちょっぴり怖い。
「ジュリアンおばあちゃんお待たせ~」
「出来たのね!さぁさぁ、早く見せて頂戴!何を作ったのかしら?」
「カップケーキだよ!」
そう言ってジュリアンおばあちゃんにカップケーキを乗せたお皿を差し出す。
「まぁ!美味しそうね。こんなに作ったの?全部食べれるかしら…」
私は聞き逃さなかったよ。ジュリアンおばあちゃんがマリーさんに飲み物多めでって頼んでいたのを。ジュリアンおばあちゃんもカップケーキは喉が渇くものってイメージ持ってるみたい。
「奥様、もし余るようなら是非とも私に分けて貰えませんか!?」
トムさんが身を乗り出すようにジュリアンおばあちゃんに頼みでていた。これにはジュリアンおばあちゃんやマリーさん、他の側に控えていた人達も驚いている。
「そんなに食べたいのトム?そ、そうね。ティアちゃん、トムに3つほどあげてもいいかしら?」
「もちろん!もともとトムさんに分けてもいいかジュリアンおばあちゃんに聞こうと思ってたんだ。」
なにせ15個作ったのだ。
「ではありがたく頂戴して行きますね!」
トムさんはそそくさとジュリアンおばあちゃんから分けて貰うと調理場へと戻って行った。唖然とするジュリアンおばあちゃん達。トムさんらしからぬ行動に軽く、いやかなり驚いているようだ。
「ねーねー!ジュリアンおばあちゃん!マリーさん達にも分けてもいい?」
「え?えぇいいわよ。」
ジュリアンはマリー達4人の侍女にカップケーキを2個ずつ渡す。
「それじゃあ食べましょうか。ティアちゃんもいらっしゃい。」
ジュリアンおばあちゃんのお膝に乗せられカップケーキを2つ置いてくれた。
「マリー達も一緒にここで食べていいからね。それじゃあ、いただきます。」
「「「いただきます!!」」」
どうかなどうかな?私はみんなが食べるのをわくわくして見ていた。
みんな一口食べると動きを止めた。シンクロしたよ。そのまま時間だけが過ぎていく。
「ど、どうかな?美味しい?」
「「「「なにコレ……」」」」
「カップケーキだよ?」
これが!?とでも言いそうな表情を全員が浮かべた。
「ティアちゃん…これ私の知るカップケーキじゃないわ。ふわふわよ。パサパサじゃないのよ。美味しい。美味しいわ。」
ジュリアンおばあちゃんはそう言うとまた一口、さらに一口と食べ始めた。それはマリーさん達も同じで無言で食べる食べる。
あっという間に食べ終わった皆んな。私、まだ1つしか食べてないよ?
「ティアちゃん!!もうないのかしら?」
「えぇ!?お試しって事で作ったからここに出した分だけだよ。」
「「「「そんな~」」」」
ジュリアンおばあちゃんやマリーさん達が目に見えてがっかりする。
「はっ!!トムよ!トムに私3つも渡したわ。私でさえ2つしか食べてないのに。なんて事!トムらしくないと思ったけれどトムは知ってたのね。こんなにティアちゃんのカップケーキが美味しいだなんて…」
た、たしかにトムさんが一番カップケーキを多く食べる事になるね。
仕方ないなぁ。そんなにジュリアンおばあちゃんが落ち込むなんて。
「ジュリアンおばあちゃん、私の一個食べていいよ?」
「いいの!?ってダメよダメ。それはティアちゃんのよ。」
「なら半分ずつにしよっ?」
私は半分をジュリアンおばあちゃんに向けて差し出す。
「ありがとうティアちゃん~大好きよ!」
ジュリアンは噛みしめるようにティアから貰った半分のカップケーキを食べる。
「ご馳走さまでした。」
「「「ティアお嬢様ご馳走さまでした」」」
美味しくいただいて貰えたようでなりよりなりより。嬉しくなっちゃうね!!
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