転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

ニールさんの説明

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もぐもぐ


「ティア、美味しいか?」


コクコク


 私はリスのごとく口にパンを詰め込んで食べている。3日も食べてなかったからもうぺこぺこで喋る暇なし!!


「「「和む」」」


 なんだそれ!?














「けぷっ…ごちそうさまでした!」


 お腹いっぱい、満足だー!しかし3日も食べ損ねるなんて勿体ないことしたな。



「それで、何で私は3日も寝てたわけ?スノウ曰く、絵本で読み疲れたからなんだって。そりゃ読み疲れて寝ることもあるだろうし?けど、3日間も寝続けるってありえないよね。詳しく説明してほしいな?」


 私は説明して欲しくて皆んなの方を見る。エリック隊長たちは「任せた!」とでも言わんばかりにニールさんを見つめる。



「やはり私の口からなのですね。はぁ…別にいいですけど。」


 なんとなくニールさんが説明するだろうなとは思っていたよ。エリック隊長やバンさんが説明が上手そうとは思えないし。



「ティアさん、何故3日間も寝ていたのかについて説明しますね。ティアさんは絵本を最後に読んでいた所までは覚えていますよね。実はティアさんが読んでいた絵本にはある仕掛けがしてあったのです。」


「仕掛け??」


「はい。その仕掛けというものは、、、魔力を吸い続けるというものです!」


 えぇ!私、絵本を読む代償に魔力取られていたってこと!?


「で、でも!私、自分で言うのもあれですけど魔力はそこそこある方だと思うの。」


 ゴーレムくんの召喚とか従魔契約とかした時も魔力を取られたけど空っぽになるほどじゃなかったよ?


「あーそれは…テ、ティアさんが読んでいた絵本は一定量の魔力が吸い取られるタイプではなかったからですよ。あらかじめ決められた量が持っていかれるのではなく、私が先程も言ったように吸い続けるタイプなのですよ。」


 つまり?限界近くまで吸われ続けていたってこと?魔力がなくなるまでとかやばくない?それ絵本じゃなくね?呪われた書物とかのカテゴリーじゃん!!危険!そんなもの普通の本棚に置いてちゃ危険です。


「それじゃあ私、読み疲れでってより魔力切れで倒れて寝てたって事の方が正しいの?」


「魔力切れになっても大抵は徐々に回復するものですが、それすら吸われ続けていた為に魔力枯渇に陥っていたのです。その為、身体が保たなかったのでしょう。魔力を回復させる為に3日も寝ていたのはその為ですね。」


「な、なるほど?」


 なんか難しいな。簡単に言うと魔力枯渇でやばくなったから回復に専念する為に身体がずっと寝てたよって事だよね。


「とんでもない絵本だったんだね。普通の絵本と何も変わりないから気づかなかったよ。絵本にそんな仕掛けがしてあるなんて危ないね。」


「え、えぇ。本当ですね。絵本にそんな仕掛けがあるなんて危険ですね。ですが昔の物ですから何かしら守る為にそうしていたのかもしれません。何かあるかもと疑わず注意しなかったのはティアさんも悪いのですよ?安全な物だと確認すること!これ重要です。」


 たしかに…自己責任と言われればそうだよね。あれ?でも…


「ニールさんも書庫に来た当初、すぐに近くにある本を手にとって見てなかった?たしか、ロスターザだっけ。」


ギクっ!


「そ、そんなわけないじゃないですか。もちろん、何か魔法や仕掛けがないか確認した上で取って見ましたよ。私がつけているこのリングにはそういったものに反応するようになっているんです。」


「そうなんだ!流石ニールさん!対策してたんだね。」


 キラキラ~!尊敬するよ、ニールさん!


「くっ…その澄んだ眼差しが心に刺さりますね。」



⦅うわぁ。俺様だったら白状しちまいたくなるな。ボソッ⦆


〈あそこまで次々と話を作れるって…ニールってやばいね。ボソッ〉


「そこ!!グラムさんとスノウさん!聞こえてますからね。なに私だけに聞こえるように呟くんですか。変わってくれるなら大歓迎ですよ!?」


〈⦅遠慮する⦆〉


 グラムとスノウだけでなく、エリックとバンも同様に首を横に振って拒否する。


「いいですよ…どうせ適任なのは私ですし。これもティアさんの為だと思えばこれしき堪えてみせますよ。」


「ニールさんの犠牲は忘れない。」


「哀れまないでくれません!?」


 エリックが手を合わせ、ニールに合掌をする。





「ムムゥー!!私の話なのに仲間はずれしないでよー。拗ねちゃうよ?」 


 もう!途中からまたニールさん達だけで話してるしー!



「拗ねてるティア嬢も可愛いぞ?」


 バンさんや、私のほっぺをつんつんしてご機嫌ですね!!楽しいかい!?


「だぁぁああ!!結局のところ、私はもう魔力も回復して元気なんだよね?でもって、今ここはどこなの?どうみても古代遺跡周辺じゃないよね。」


「その通り。すでに古代遺跡からは離れている。俺たちは今、王都へと帰っている途中だ。行きと道が違うから気付かなかったのも仕方ないな。もう少ししたらパッチーナという街に着く。」


 パッチーナ!!パッチーナでは少し滞在するらしいから王都とは違った街並みを見れる。楽しみだなっ!










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 パッチーナに行く前に…古代遺跡編で入れたかった話を【閑話】で投稿します!
 バルフの出番が少なかった事がすごく気がかりだったのでそれを踏まえてリーナのお話を書きます。【閑話】の扱いですが、かなり本編に関わる話です。むしろ本編扱いしていいかも?なので話数は多くなりそうです。

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