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本編
【閑話】???年前のお話
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我は神獣フェンリル。この世界の生き物たちは我を敬い、畏れ、縋り、拒絶する。全く勝手な奴らだ。見返りを求めて近づくものもいれば、無礼にも我を従えようとするものまでいる。そんなこんなで毎日を送ることに飽きてきた我は森の奥深くでひとりのんびりと過ごしていた。
パキッ
「あれ~おかしいな?お母さんの話だとこの辺りだったんだけど。」
どうやら何者かが近くにやって来たようだ。喋りからして子どものようだ。何をしに来たのかは知らないが早くこの場から立ち去って欲しいものだ。と言っても我の所までは来れないだろうが。
「んー!!なんで見つからないのー!金色に輝く空飛ぶ薬草さーん!」
そんなもの存在するか!!誰かは知らんが絶対お前騙されてるぞ。そんな薬草あるわけないだろう。空飛ぶ時点で草とは言えないからな!?薬草とはいえ、根本は草だ。地面から離れている時点でそれは謎の生命体だ。
「こっちかな?」
どんどん足音が近づいて来た。まぁ、我の周辺には結界を張っており、行き止まりのように見えるようにもしているから気づかないだろうがな。どれ、こちらからは向こうの姿は見えるゆえ、一体どんな子どもなのか見てみるか。久しぶりの来客だ。少しばかり気になるものだ。
「ここらへん蔓が多いなぁ。ここを抜ければ少しは景色が良くなりますよーに!!お?足に蔓が引っかかっ……うぎゃ!!」
べたーん
うわっ、盛大に転んだ。視界の端で、こちら側に抜けて来た子どもは見事に顔から転けていた。ドジなのか?
「うぅ…いた~い!こんなに蔓が生えてるなんて、、、立派に成長した証だな。そのまま長く伸びるんだぞっ。」
いや、何故そうなる!?蔓に向かって「こんなに長く伸びるなんて凄いなぁ。引っかかっちゃってごめんね」とか言ってるんだが。
「さてと、広い所に出たかな。金色に輝く空飛ぶ薬草さんはいるかな!って……」
ん?こっち見てる?目が会ったような。いや、気のせいだよな。我が見えるはずないし。
「…………」( ◉ △ ◉ )ジー
我じゃないよな?(゚Д゚≡゚Д゚)チラチラ
左確認よし、右確認よし、後ろも確認よし!……あれ?おかしいな。我以外なにもいなくない???
「ねぇ、こんな所で何してるの??」
〈……………〉
「聞こえないの?うーん。ボールでも持ってきたら良かったかな。」
ま、まさか、いやいや、ないない!でも…
〈子どもよ、我が見えるか?〉
「えっ。この声なに!?もしかして、あなたの声なの?大きなわんちゃん。」
〈もしや、その大きなわんちゃんとは…〉
「目の前に座ってる白い大きなわんちゃんだよ?」
そう言うと子どもは我に近づいて、我に触れた。
〈はっ!?な、なぜ我に触れるのだ!!そもそも何故見えている。結界も張ってあったはずだ。行き止まりの幻覚も見せてあったはず。解除はしていないぞ。今だって、正常に発動している!〉
「んー。難しいお話は私にはよく解らないけど、、、私ね!初めてお喋りするわんちゃんと会ったんだー!」
我はまだ混乱の最中にあるというのに、この子どもは我を撫で始める。
〈我はわんちゃんではない!!もし、我がお前を食べる悪ーい魔物だったらどうするつもりだ!〉
「わんちゃんは魔物なの!?それでもって私を食べちゃうの?」
〈我はそこらへんの魔物とは違う!我は神獣フェンリルである。どうだ!凄いだろう。〉
ふふん。これでこの子どもも我の偉大さが分かるだろう!
「しんじゅう?それって好きな人と一緒に…」
〈それは心中!!〉
神獣は分からないのに心中の意味は分かるのか!?我、びっくり!!生きてきて神獣を心中と勘違いした者など初めて出会ったぞ。
〈もうなんだ!ウルフの魔物の王様とでも思っておけばいい。神獣の説明も面倒だしな。そもそもちゃんと伝わるかの方が心配だしな。〉
これは説明を諦めたともいう。
〈それにしても、お前は人族だろう?何故こんな森の奥へやって来たんだ。魔物だっている危ない場所であるぞ。それをお前のような子どもが1人でいるなどおかしいではないか。〉
「私の名前はオリビアだよ!ちゃんと名前で呼んでよー。」
〈はいはい。それでオリビア?我の質問に対する答えはまだか。〉
「せっかちさんなんだから。私は金色に輝く空飛ぶ薬草を取りに来たの!お母さんに地図を貰って、それを頼りに探してたの。」
だろうな。まぁ予想はついていたがな。先程の独り言を聞いていれば分かる事だったが確かめておく必要があったからな。
〈その地図というのを我にも見せてくれ。〉
「いいよ。」
オリビアはカバンから地図と思われる紙切れを出し我へと見せた。
〈これは……本当にオリビアの母親がそこにあると言ったのか?〉
「そうだよ???」
それが本当ならオリビアの母親はクズだな。地図に指し示されていたのは我がいる所のさらに森の奥、魔物達の巣窟だ。今も昔も変わらない。大人である母親が知らなかったはないだろう。
「わんちゃんどうしたの?なんか怖い顔してるよ?」
〈いいか、辛いかもしれんがよく聞くんだ。オリビアの母親は嘘をついている。探している薬草は存在しない。そしてその地図の指し示す場所は魔物の巣窟だ。オリビアの母親はお前に死ねと言っているようなものだ。〉
泣くか?
「そっかー。やっぱりそうだったんだね。」
〈は?〉
オリビアはニコニコと笑っている。
「別に辛くなんかないよ。お母さんが嘘ついてるのも本当は分かってたんだ。ただ、信じたかっただけなの。地図を渡されて森に1人放り出された時点で私に死んで欲しいんだなって気付いてたし。それにこれが初めてでもないしね。前はボアに見つかって命からがら逃げ帰ったらね、なんで生きて帰ってきたんだって3日間何も食べさせてくれなかったの。村の人たちも私の事は嫌いみたいでさ、会えばいつも怒鳴ったり、八つ当たりしたりするだよね。なんかもう慣れちゃったや。」
オリビアはまるで他人事のように語る。
〈なぜ、そんな扱いを受けているんだ!!なぜ、平気な顔をするんだ!!〉
「本当、なんでだろうね。私、何かしたのかな?それすら分からないからさ、どうしようもないんだよね。だから受け入れるの。それだけの事だよ。」
そんな理不尽な事が許されていいのか。馬鹿げている。
「探してる薬草もないって分かった事だし、そろそろ帰らなきゃ。」
〈待て。まさか1人で帰るつもりか?〉
「ここまで1人で来れたし大丈夫だよ。仮に死んでもそれまでだったってだけよ。」
我の所へと来れたのは偶然に等しい。これも何かの縁か。
〈オリビア、我の背に乗れ。送ってやろう。〉
「えっ!いいの!?ありがとっ。」
久しぶりに結界外に出るな。オリビアを送り届けたら一度結界を見直すとするか。
〈しっかり掴まっておくんだぞ。落としたりはしないが上であまりはしゃぐなよ。〉
「はーい!」
オリビアに教えてもらった村の方向へと走り始める。その間オリビアは我の背で我の毛並みを堪能していた。我の毛並みがそんなに気に入ったのか!?
〈ほら着いたぞ。人の目につかぬようにここからは歩いて帰るんだ。〉
村人に我の存在が見つかるのは避けたいからな。
「すごーい!あっという間だったね。さっきまで森の奥だったのに。」
〈ふん!我にかかれば容易いことだ。そうだ。我が途中で取って渡した実はちゃんと持っているな?〉
「うん!はいコレ。」
〈それはオリビアのものだ。ありもしないとは言え薬草を持って帰らなかったら何かしらあるのだろう?それを渡せばよい。それは滅多に手に入らない実だからな。レアものだぞ?〉
オリビアはギョッとすると慌てて大事そうに実を抱えた。
「本当に貰っていいの?」
〈もちろんだとも。〉
「へへっ。ありがとう。大切にするね。絶対に誰にもあげたりなんかしないんだから!」
〈いや、だから何かあれば渡せと…〉
オリビアは我に感謝を述べると最後まで我の話を聞かずに村へと元気よく走って行った。我は一つ溜め息をつくと森の住処へと歩き出した。
パキッ
「あれ~おかしいな?お母さんの話だとこの辺りだったんだけど。」
どうやら何者かが近くにやって来たようだ。喋りからして子どものようだ。何をしに来たのかは知らないが早くこの場から立ち去って欲しいものだ。と言っても我の所までは来れないだろうが。
「んー!!なんで見つからないのー!金色に輝く空飛ぶ薬草さーん!」
そんなもの存在するか!!誰かは知らんが絶対お前騙されてるぞ。そんな薬草あるわけないだろう。空飛ぶ時点で草とは言えないからな!?薬草とはいえ、根本は草だ。地面から離れている時点でそれは謎の生命体だ。
「こっちかな?」
どんどん足音が近づいて来た。まぁ、我の周辺には結界を張っており、行き止まりのように見えるようにもしているから気づかないだろうがな。どれ、こちらからは向こうの姿は見えるゆえ、一体どんな子どもなのか見てみるか。久しぶりの来客だ。少しばかり気になるものだ。
「ここらへん蔓が多いなぁ。ここを抜ければ少しは景色が良くなりますよーに!!お?足に蔓が引っかかっ……うぎゃ!!」
べたーん
うわっ、盛大に転んだ。視界の端で、こちら側に抜けて来た子どもは見事に顔から転けていた。ドジなのか?
「うぅ…いた~い!こんなに蔓が生えてるなんて、、、立派に成長した証だな。そのまま長く伸びるんだぞっ。」
いや、何故そうなる!?蔓に向かって「こんなに長く伸びるなんて凄いなぁ。引っかかっちゃってごめんね」とか言ってるんだが。
「さてと、広い所に出たかな。金色に輝く空飛ぶ薬草さんはいるかな!って……」
ん?こっち見てる?目が会ったような。いや、気のせいだよな。我が見えるはずないし。
「…………」( ◉ △ ◉ )ジー
我じゃないよな?(゚Д゚≡゚Д゚)チラチラ
左確認よし、右確認よし、後ろも確認よし!……あれ?おかしいな。我以外なにもいなくない???
「ねぇ、こんな所で何してるの??」
〈……………〉
「聞こえないの?うーん。ボールでも持ってきたら良かったかな。」
ま、まさか、いやいや、ないない!でも…
〈子どもよ、我が見えるか?〉
「えっ。この声なに!?もしかして、あなたの声なの?大きなわんちゃん。」
〈もしや、その大きなわんちゃんとは…〉
「目の前に座ってる白い大きなわんちゃんだよ?」
そう言うと子どもは我に近づいて、我に触れた。
〈はっ!?な、なぜ我に触れるのだ!!そもそも何故見えている。結界も張ってあったはずだ。行き止まりの幻覚も見せてあったはず。解除はしていないぞ。今だって、正常に発動している!〉
「んー。難しいお話は私にはよく解らないけど、、、私ね!初めてお喋りするわんちゃんと会ったんだー!」
我はまだ混乱の最中にあるというのに、この子どもは我を撫で始める。
〈我はわんちゃんではない!!もし、我がお前を食べる悪ーい魔物だったらどうするつもりだ!〉
「わんちゃんは魔物なの!?それでもって私を食べちゃうの?」
〈我はそこらへんの魔物とは違う!我は神獣フェンリルである。どうだ!凄いだろう。〉
ふふん。これでこの子どもも我の偉大さが分かるだろう!
「しんじゅう?それって好きな人と一緒に…」
〈それは心中!!〉
神獣は分からないのに心中の意味は分かるのか!?我、びっくり!!生きてきて神獣を心中と勘違いした者など初めて出会ったぞ。
〈もうなんだ!ウルフの魔物の王様とでも思っておけばいい。神獣の説明も面倒だしな。そもそもちゃんと伝わるかの方が心配だしな。〉
これは説明を諦めたともいう。
〈それにしても、お前は人族だろう?何故こんな森の奥へやって来たんだ。魔物だっている危ない場所であるぞ。それをお前のような子どもが1人でいるなどおかしいではないか。〉
「私の名前はオリビアだよ!ちゃんと名前で呼んでよー。」
〈はいはい。それでオリビア?我の質問に対する答えはまだか。〉
「せっかちさんなんだから。私は金色に輝く空飛ぶ薬草を取りに来たの!お母さんに地図を貰って、それを頼りに探してたの。」
だろうな。まぁ予想はついていたがな。先程の独り言を聞いていれば分かる事だったが確かめておく必要があったからな。
〈その地図というのを我にも見せてくれ。〉
「いいよ。」
オリビアはカバンから地図と思われる紙切れを出し我へと見せた。
〈これは……本当にオリビアの母親がそこにあると言ったのか?〉
「そうだよ???」
それが本当ならオリビアの母親はクズだな。地図に指し示されていたのは我がいる所のさらに森の奥、魔物達の巣窟だ。今も昔も変わらない。大人である母親が知らなかったはないだろう。
「わんちゃんどうしたの?なんか怖い顔してるよ?」
〈いいか、辛いかもしれんがよく聞くんだ。オリビアの母親は嘘をついている。探している薬草は存在しない。そしてその地図の指し示す場所は魔物の巣窟だ。オリビアの母親はお前に死ねと言っているようなものだ。〉
泣くか?
「そっかー。やっぱりそうだったんだね。」
〈は?〉
オリビアはニコニコと笑っている。
「別に辛くなんかないよ。お母さんが嘘ついてるのも本当は分かってたんだ。ただ、信じたかっただけなの。地図を渡されて森に1人放り出された時点で私に死んで欲しいんだなって気付いてたし。それにこれが初めてでもないしね。前はボアに見つかって命からがら逃げ帰ったらね、なんで生きて帰ってきたんだって3日間何も食べさせてくれなかったの。村の人たちも私の事は嫌いみたいでさ、会えばいつも怒鳴ったり、八つ当たりしたりするだよね。なんかもう慣れちゃったや。」
オリビアはまるで他人事のように語る。
〈なぜ、そんな扱いを受けているんだ!!なぜ、平気な顔をするんだ!!〉
「本当、なんでだろうね。私、何かしたのかな?それすら分からないからさ、どうしようもないんだよね。だから受け入れるの。それだけの事だよ。」
そんな理不尽な事が許されていいのか。馬鹿げている。
「探してる薬草もないって分かった事だし、そろそろ帰らなきゃ。」
〈待て。まさか1人で帰るつもりか?〉
「ここまで1人で来れたし大丈夫だよ。仮に死んでもそれまでだったってだけよ。」
我の所へと来れたのは偶然に等しい。これも何かの縁か。
〈オリビア、我の背に乗れ。送ってやろう。〉
「えっ!いいの!?ありがとっ。」
久しぶりに結界外に出るな。オリビアを送り届けたら一度結界を見直すとするか。
〈しっかり掴まっておくんだぞ。落としたりはしないが上であまりはしゃぐなよ。〉
「はーい!」
オリビアに教えてもらった村の方向へと走り始める。その間オリビアは我の背で我の毛並みを堪能していた。我の毛並みがそんなに気に入ったのか!?
〈ほら着いたぞ。人の目につかぬようにここからは歩いて帰るんだ。〉
村人に我の存在が見つかるのは避けたいからな。
「すごーい!あっという間だったね。さっきまで森の奥だったのに。」
〈ふん!我にかかれば容易いことだ。そうだ。我が途中で取って渡した実はちゃんと持っているな?〉
「うん!はいコレ。」
〈それはオリビアのものだ。ありもしないとは言え薬草を持って帰らなかったら何かしらあるのだろう?それを渡せばよい。それは滅多に手に入らない実だからな。レアものだぞ?〉
オリビアはギョッとすると慌てて大事そうに実を抱えた。
「本当に貰っていいの?」
〈もちろんだとも。〉
「へへっ。ありがとう。大切にするね。絶対に誰にもあげたりなんかしないんだから!」
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