転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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「よし、ここが俺とビスが泊まる部屋だ。」


「さぁ、入ろう!入ろう!!」


「分かったから!揺らすな、鍵が上手く入らないだろ。」


 ゆさゆさアルの腕を揺らす私に「待て!」をするアル。私は大人しく横でピタッと止まって待つ。


「ふぅ、開いた。もういいぞ。よく大人しく待てたな?偉いぞ。」


 よしよしと頭を撫でるアル。これ飼い主が犬や猫にするのと同じじゃない?私、ペット枠なの?スノウじゃなく、私がペット枠なのだろうか?


 アルがドアを開けてくれて中に入る。アルたちも私たちの同じ4階を借りてたみたいで意外と私たちが借りてる部屋から近い。それもあってエリック隊長たちも許可したんだろうな。



「で?何するんだ?」


 何しようか。遊ぶって言ったけど、遊ぶような玩具なにもないや。トランプ?オセロ?スゴロク?そもそもこっちの世界に無いもんな。今度、エリック隊長に頼んで似たもの作って貰おうかな。


「えっと、何しよっか?アルは何かしたい遊びある?」


「俺に聞くのか!?」


「かくれんぼとか鬼ごっことか、でもこれはこの部屋の中じゃムリか。なら宝探しとか、しりとりとか?」


「……かくれんぼは知っているがとはなんだ?鬼人族のマネをするのか?宝探しは面白そうだが、この宿の部屋に宝が隠してあるのか?はまさか尻を…」


「ストップ!ストッーープ!!」


 なんか的外れな回答多くなかった!?この世界の子どもたちは何して遊んでいるの!?


 え、なに?アルが知らないだけで「鬼ごっこ」とかは存在してるかな。アルも身分が高い貴族っぽいし、そもそも庶民的な遊びなんてしないか。


「かくれんぼは知ってるみたいだけど、一応確認ね。かくれんぼは隠れた人を探すゲーム。鬼ごっこは鬼役…つまり、捕まえる人と逃げる人がいて、逃げる人を捕まえる人がタッチしたら、タッチされた人が今度は捕まえる側にチェンジするんだよ。宝探しは本当の宝を探すこともあるけど、私がしたいのは何か決まった物をあらかじめ隠しておいてそれを見つけるゲーム。最後のしりとりは、言葉の最後の文字を取って、その文字から単語を続けるの。例えば、、、魔法→ウルフ→風呂!とかね。ただし最後に「ん」を付けたら負けなの。もちろん次が思いつかなくて続けられない場合も負けだよ。」



「な、なるほど?」


 イマイチ理解できてない?まぁ、どれもこれも2人でするには退屈だよね。ならば…    


「じゃあ、絵本読もう!!」


「今挙げていた案は没になったのか!?」


 気分屋のティアちゃんなのです!えへっ!


「何系がいい?」


「絵本なんていつぶりだろうか…ティアの読みたいやつにしていいぞ。」


 そうだな~前に読んだ勇者のやつがいいかな。ドラゴンも捨てがたい。あっ!ジュリアンおばあちゃんから貰った絵本でまだ読んでないのが何冊かあったな。たしか持って来てたはず。


「コレコレ!!」


 取り出した絵本を手に、アルに見せる。


「ティア、アイテムボックススキルを持っているのか。」


「あっ…」


 普通にアイテムボックスから出してしまった。いつもはアイテム袋に見せかけて出したりしてるのに。エリック隊長にも気をつけるように言われてたのに~!!


「心配するな。珍しいスキルではあるが俺がそれを悪用することはない。」


「アル~!!!」


 ぎゅっ。もうアルのそういうところ大好き!


「すぐに抱きつく癖をどうにかしてくれッ」


 と言いつつも無理に離れようとしたりしないあたり、アルの優しさ?を感じる。


「それで?何を読むんだ?」


「えっとね、『腹ペコ誰だ!』ってやつ。」


「タイトルセンス!!なんだその『腹ペコ誰だ!』とは!絶対かいた作者が1番の腹ペコだっただろう!」


 斬新なタイトルだよね~。ジュリアンおばあちゃんのチョイスだから面白いのは間違いないはずだよ?


「タイトルを気にしても仕方ないよ。早く読もう?」


「そうだな。タイトルが独特なだけで内容は普通にいい話かもしれないしな。」


「そうそう!」



 私とアルはベットの上に座り、絵本を開いて読み始めた。














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