174 / 314
本編
なんの張り合い?
しおりを挟む
エリック隊長とアルは夕食中、何かと私に絡んできては火花を散らしていた。
「ティア、コレも食べるか?ほら、口開けて。あーん。」
「あ、あーん。」
「美味しいか?」
「うん。美味しいよ。」
エリック隊長は小さく切り分け、私の口に箸を運ぶ。それを見たアルは何をエリック隊長と競い合っているのか同じように私に海鮮丼を勧めてきた。
「ティア、俺の海鮮丼も美味しいぞ。」
「あ、うん。」
そう言って私の口もとへ海鮮丼を持ってきたアル。これは食べろという事だよね。気になっていたし嬉しいけどさ。あーん。モグモグ…最高の美味しさだ。
「エビフリャー1つ俺にくれないか?」
「え?いいよ。はいっ!」
海鮮丼分けてもらったし、エビフリャーの1つや2つあげるよ。と思ってエビフリャーをアルのお皿に乗せてあげようとしたらお皿をずらされた。なんで!?驚いてアルの方を見ると、口を開けて待っていた。
「………はい、あーん」
アルの口にエビフリャーを持っていくと嬉しそうに耳や尻尾が動いていた。バンさん同様、感情がわかりやすいな。
「ずりぃ!!ティア、俺にも!俺にもくれるよな?」
だと思った。アルにしたら絶対さっきから張り合ってるエリック隊長も同じこと求めてくると思ってたよ!エビフリャーをエリック隊長の口にも入れてあげる。満足そうでなりよりです。
「ご馳走様でした~」
プリンも食べ終わり、お腹もぽっこりと満腹を示している。
その間にエリックとスノウは念話で会話をしていた。
〈それで、ティアを部屋に戻してから話すの?〉
「そうしたいんだが…スノウにも話を聞きたいからお前にはいてほしいんだよ。すると、ティアを部屋に1人でいさせる事になるわけだが…」
〈不安だもんね〉
「まだ寝そうな感じでもないしなぁ」
エリックはチラッとティアを見るがまだ目はぱっちりしており、寝そうな雰囲気がない。どうしたものか。
「アルも食べ終わった?」
「あぁ。」
「ならアルの部屋で遊ぼう!!エリック隊長、私アルの泊まってる部屋にいるね!」
「あっ、お、おい!引っ張るなっ!」
私、空気読める子!えっへん!さっきからエリック隊長が私をチラチラ見てたからね。概ね、今日の事を話すんだろうけど、聞かせたくないって感じかな?現にアルと2人で遊ぶって言っても心配性のエリック隊長がダメだって言わない(顔は愉快な事なってるけど)。ニールさんたちもダメとは言わない(アルに何か目で全員訴えてるけど。特にニールさんが「分かってますよね?」と声には出てないが目がそう言ってる気がする。)
私はアルを引っ張り退場するとしよう!アルも子供だよ?私だって話に混ざれないのにアルだけ聞けるとかずるいもんね!巻き込んでやる!
「アルベルタ、ティアを頼んだからな?いいか?頼んだからな?ティアの遊び相手として頼んだからな!!」
「分かったからその物騒な剣から手を離せよ!!」
「あぁ?剣なんて…あっ、無意識に。悪りぃ悪りぃ。」
絶対悪いなんて思っていないな。グラムから手を下ろさないしエリック隊長。言ってる事と行動が伴ってない。
「全く…お前の父さんと保護者どもは面倒だな。」
アルはもう敬語を使うのをとうにやめたらしい。そんでもって、げっそりしてない?アルはビスに部屋の鍵を受け取るとしっかりと私の手を握り引っ張った。さっきまで私が引っ張っても全然動かなかったのに、今度は私が引っ張られる番なの!?
「ほら行くぞ。」
「うん!」
「後で迎えに行くからな!」
「はーい!」
エリック隊長が永遠の別れのような表情で見送っている。同じ宿にいるからね!?
「アルベルタ様、何かあったら…」
「心配するな。俺が簡単に負けるわけ」
「いえ、そうではなく、ティアちゃんにという意味です。」
「お前もか!!ビス、お前の仕事は何なのか忘れてないか!?俺の護衛だぞ?その護衛対象から離れるというのに、俺の心配はどこに置いてきた!?ティアとの出会いで捨ててきたのか!?」
アルがご乱心である。
「ティアちゃんが関わると知らないアルベルタ様が見れておもしろ…いえ、新発見ですのでついつい楽しく…あ、その微笑ましく思えまして。」
「フォローするならちゃんとしろ!?お前もだいぶ面白ろおかしくなってるからな!!」
「私はもともとこのような性格ですので。一応は主人に仕える身、護衛らしく振る舞うのは当たり前でしょう。ですが今回、アルベルタ様の素を見せていただけた事ですし、私も素でいいかと…というかいい加減、面倒で疲れると思いまして。今更、前のように接するよりアルベルタ様もこちらの方が宜しいでしょう?確固たる主従としての信頼関係を築くにあたって私の人となりは知っておいていただけないとアルベルタ様も心を開いてはくださらないでしょうしね?現に今までお仕えしてきて、今の1度もこのような姿はお見せいただいたことはありませんでしたしねぇ」
「グヌヌ…」
「今のアルベルタ様は年相応で結構親しみやすくて、良いと思いますよ?」
アルは「うるさいっ!」と言うと再び歩き出した。ふと見たアルの顔がほんのり赤くなっていたのは見間違いではないだろう。
早々と歩くアルにクスクス笑いながら、私とアルは食事処をあとにした。
「ティア、コレも食べるか?ほら、口開けて。あーん。」
「あ、あーん。」
「美味しいか?」
「うん。美味しいよ。」
エリック隊長は小さく切り分け、私の口に箸を運ぶ。それを見たアルは何をエリック隊長と競い合っているのか同じように私に海鮮丼を勧めてきた。
「ティア、俺の海鮮丼も美味しいぞ。」
「あ、うん。」
そう言って私の口もとへ海鮮丼を持ってきたアル。これは食べろという事だよね。気になっていたし嬉しいけどさ。あーん。モグモグ…最高の美味しさだ。
「エビフリャー1つ俺にくれないか?」
「え?いいよ。はいっ!」
海鮮丼分けてもらったし、エビフリャーの1つや2つあげるよ。と思ってエビフリャーをアルのお皿に乗せてあげようとしたらお皿をずらされた。なんで!?驚いてアルの方を見ると、口を開けて待っていた。
「………はい、あーん」
アルの口にエビフリャーを持っていくと嬉しそうに耳や尻尾が動いていた。バンさん同様、感情がわかりやすいな。
「ずりぃ!!ティア、俺にも!俺にもくれるよな?」
だと思った。アルにしたら絶対さっきから張り合ってるエリック隊長も同じこと求めてくると思ってたよ!エビフリャーをエリック隊長の口にも入れてあげる。満足そうでなりよりです。
「ご馳走様でした~」
プリンも食べ終わり、お腹もぽっこりと満腹を示している。
その間にエリックとスノウは念話で会話をしていた。
〈それで、ティアを部屋に戻してから話すの?〉
「そうしたいんだが…スノウにも話を聞きたいからお前にはいてほしいんだよ。すると、ティアを部屋に1人でいさせる事になるわけだが…」
〈不安だもんね〉
「まだ寝そうな感じでもないしなぁ」
エリックはチラッとティアを見るがまだ目はぱっちりしており、寝そうな雰囲気がない。どうしたものか。
「アルも食べ終わった?」
「あぁ。」
「ならアルの部屋で遊ぼう!!エリック隊長、私アルの泊まってる部屋にいるね!」
「あっ、お、おい!引っ張るなっ!」
私、空気読める子!えっへん!さっきからエリック隊長が私をチラチラ見てたからね。概ね、今日の事を話すんだろうけど、聞かせたくないって感じかな?現にアルと2人で遊ぶって言っても心配性のエリック隊長がダメだって言わない(顔は愉快な事なってるけど)。ニールさんたちもダメとは言わない(アルに何か目で全員訴えてるけど。特にニールさんが「分かってますよね?」と声には出てないが目がそう言ってる気がする。)
私はアルを引っ張り退場するとしよう!アルも子供だよ?私だって話に混ざれないのにアルだけ聞けるとかずるいもんね!巻き込んでやる!
「アルベルタ、ティアを頼んだからな?いいか?頼んだからな?ティアの遊び相手として頼んだからな!!」
「分かったからその物騒な剣から手を離せよ!!」
「あぁ?剣なんて…あっ、無意識に。悪りぃ悪りぃ。」
絶対悪いなんて思っていないな。グラムから手を下ろさないしエリック隊長。言ってる事と行動が伴ってない。
「全く…お前の父さんと保護者どもは面倒だな。」
アルはもう敬語を使うのをとうにやめたらしい。そんでもって、げっそりしてない?アルはビスに部屋の鍵を受け取るとしっかりと私の手を握り引っ張った。さっきまで私が引っ張っても全然動かなかったのに、今度は私が引っ張られる番なの!?
「ほら行くぞ。」
「うん!」
「後で迎えに行くからな!」
「はーい!」
エリック隊長が永遠の別れのような表情で見送っている。同じ宿にいるからね!?
「アルベルタ様、何かあったら…」
「心配するな。俺が簡単に負けるわけ」
「いえ、そうではなく、ティアちゃんにという意味です。」
「お前もか!!ビス、お前の仕事は何なのか忘れてないか!?俺の護衛だぞ?その護衛対象から離れるというのに、俺の心配はどこに置いてきた!?ティアとの出会いで捨ててきたのか!?」
アルがご乱心である。
「ティアちゃんが関わると知らないアルベルタ様が見れておもしろ…いえ、新発見ですのでついつい楽しく…あ、その微笑ましく思えまして。」
「フォローするならちゃんとしろ!?お前もだいぶ面白ろおかしくなってるからな!!」
「私はもともとこのような性格ですので。一応は主人に仕える身、護衛らしく振る舞うのは当たり前でしょう。ですが今回、アルベルタ様の素を見せていただけた事ですし、私も素でいいかと…というかいい加減、面倒で疲れると思いまして。今更、前のように接するよりアルベルタ様もこちらの方が宜しいでしょう?確固たる主従としての信頼関係を築くにあたって私の人となりは知っておいていただけないとアルベルタ様も心を開いてはくださらないでしょうしね?現に今までお仕えしてきて、今の1度もこのような姿はお見せいただいたことはありませんでしたしねぇ」
「グヌヌ…」
「今のアルベルタ様は年相応で結構親しみやすくて、良いと思いますよ?」
アルは「うるさいっ!」と言うと再び歩き出した。ふと見たアルの顔がほんのり赤くなっていたのは見間違いではないだろう。
早々と歩くアルにクスクス笑いながら、私とアルは食事処をあとにした。
59
あなたにおすすめの小説
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
愛する夫が目の前で別の女性と恋に落ちました。
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵令嬢のアンジェは公爵家の嫡男であるアランに嫁いだ。
子はなかなかできなかったが、それでも仲の良い夫婦だった。
――彼女が現れるまでは。
二人が結婚して五年を迎えた記念パーティーでアランは若く美しい令嬢と恋に落ちてしまう。
それからアランは変わり、何かと彼女のことを優先するようになり……
婚約破棄されなかった者たち
ましゅぺちーの
恋愛
とある学園にて、高位貴族の令息五人を虜にした一人の男爵令嬢がいた。
令息たちは全員が男爵令嬢に本気だったが、結局彼女が選んだのはその中で最も地位の高い第一王子だった。
第一王子は許嫁であった公爵令嬢との婚約を破棄し、男爵令嬢と結婚。
公爵令嬢は嫌がらせの罪を追及され修道院送りとなった。
一方、選ばれなかった四人は当然それぞれの婚約者と結婚することとなった。
その中の一人、侯爵令嬢のシェリルは早々に夫であるアーノルドから「愛することは無い」と宣言されてしまい……。
ヒロインがハッピーエンドを迎えたその後の話。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 呉羽
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
愛する夫にもう一つの家庭があったことを知ったのは、結婚して10年目のことでした
ましゅぺちーの
恋愛
王国の伯爵令嬢だったエミリアは長年の想い人である公爵令息オリバーと結婚した。
しかし、夫となったオリバーとの仲は冷え切っていた。
オリバーはエミリアを愛していない。
それでもエミリアは一途に夫を想い続けた。
子供も出来ないまま十年の年月が過ぎ、エミリアはオリバーにもう一つの家庭が存在していることを知ってしまう。
それをきっかけとして、エミリアはついにオリバーとの離婚を決意する。
オリバーと離婚したエミリアは第二の人生を歩み始める。
一方、最愛の愛人とその子供を公爵家に迎え入れたオリバーは後悔に苛まれていた……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる