転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

モッサの目覚め

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 と、まぁなんだかんだで落ち着いたところで顔を引き締めたエリック隊長たち。


「それじゃあ今から悪いがモッサさんを起こすぞ。時間もないからな。なにか重要な情報がある場合、早く知っておく必要がある。」


 ティアのおかげで外傷は完全回復までしたモッサ。体力的な面では回復していないため本来なら自然と目を覚ますのを待ちたいところだが、そうは言ってられない状況だ。


「シノについてもお聞きしたいので我々からもお願いします。」


 そう、モッサさんと一緒に行動していたというシノさんの姿は誰もまだ見ていない。アルやビスさん達はシノさんについて知りたがっているはずだ。


「そうだな。……モッサ。おいモッサ、起きろ。目を開けるんだ!!」


 いや、テルボーさん!モッサさんを揺すりすぎじゃない!?一応ベットの住人枠だからね!?


「うぅ…そんなに揺すらなくても、起きますよ…」


 モッサさんは弱々しく声を出した。


「モッサ!!」


 ガバッと抱きつくテルボーさんに苦しそうなモッサさん。エリック隊長が引き離していた。


「皆さん…あっ!私はどれくらい眠っていましたか!?」


「お前が運び込まれてきて2時間くらいだ。まだ横になっていたいだろうにすまない。」


「…は?2時間?馬鹿な…2日間の間違いではなく?」



 モッサさんは困惑しているようだ。


「間違いじゃない。」


「ありえません!私の怪我は直ぐに治る程度では…ハッ!傷が…な、い?」


「ヤバかった左腕も肉が抉れてたところも完治してるぜ!良かったなモッサ。」


 動揺しているモッサさん。


「あの怪我を短時間で治せる神官が近くにいたのですか…」


「ん?あーいや、流石に上級回復魔法を使えるほどの神官はすぐには呼べないから…えっと、そう!知り合いに頼んだんだよ。ほら、ここにはニールもいるしな!」


 テルボーさん、思わず私が治したって言いそうだったよね?誤魔化し方が雑だよ…


「まさか…夢じゃなかった?(ボソッ)」


 モッサはテルボーに起こされる前の光景をぼんやりと憶えていた。温かな力が自身に降り注がれ痛みが消えていったのをぼんやりとした意識の中で感じとっていた。


「本当に運が良かったなモッサ!」


「え、えぇ。本当に運が良かった…です。その方にお礼をお伝えしたいのですが。」


「その方はすでに帰られたので私から感謝の旨は伝えておきます。」 


「お願いしますニール様。」


 ニコニコ話しかけてくるテルボーにモッサはぎこちなく笑う。まるで運が良かったとは思っていないような歯切れの悪さにエリックとニールは違和感を感じとった。が、それは一瞬の事でその違和感について問う事はしなかった。


「すみません、シノは…シノは無事なのでしょうか?」


「えっ。あぁ、獣王国の方たちですね…申し訳ありません。彼は捕らえられました。」


「なんだと!?」


 アルベルタはシノの実力を知っているだけに驚いた。


「潜入時に厄介な相手に見つかったのです。実力はおそらく騎士団長クラスです。」


 騎士団長クラス…つまりはエリックたちと対等に渡り合える可能性を含めているわけだ。そうなるとそんじょそこらの実力者では太刀打ちできない。


「そして、彼らが動き始めるのは、、、明日です。何が起きようと変更はしないと話していましたので大々的に動いても問題はないかと。」


「明日か…分かった。時間は限られているがやれることはやろう。何があっても明日行動するの事が分かっているならば、此方も動きやすい。事前に冒険者の収集や住民の避難をしても奴らが雲隠れすることなくやらかしてくれるわけって事だしな。」


「噴水広場…パッチーナの中央通りの噴水広場に現れるはずです。噴水広場での話をしていました。」


「それは有難い情報だ。そこに人員を配置するのは確定だな。」


「人質たちの居場所、それからアジトの見取り図はラムに託してあります。ラムが戻ってきていませんか?」


 すぐに確認してくるとテルボーさんは一度部屋を後にした。














 


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