転生した愛し子は幸せを知る

ひつ

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本編

賄賂です

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「ティア、確認だがその奇跡の実は何個持っているんだ?この一個…いやティアを過保護に思っている父親がそんな一個とか持たせるわけがない。白金貨がお小遣い感覚だぞ。なら、この実だって……」


〈エリックの言う通りだろうね。心配性で親馬鹿のあの方がこの一個だけしかティアに渡してないとか可能性として低いし。〉


 スノウはアティスを思い出し一人頷いている。


「何個って…その~」


「その反応だと10ほどか?はぁ~数年に1つ発見されるかされないかってものなのに…」


「………そ、そうだね~。10くらい、かもね~あははは」


 い、言えない!0が1つ足りないなんて言えないよ!!目が動きまくるティアの反応にエリックは自分の予想が当たっていない事を悟る。


「ティア~???この際、正直に話そうか?正確な個数を教えてくれるか??正確な!」


 にんや~りと笑うエリック隊長!白状しないとダメなやつだ!


 私は目を泳がせながら言う。


「ちょっと桁が足りてないと言いますか…0が1つ足りないかなぁ~なんて。えへへへ」


「つ・ま・り??」


「100個あるかな…あ、でもモッサさんに使えば99個で桁は2桁で済むよ!!」


「桁の問題じゃない!!」


 頭が痛いとでも言うようなエリック隊長の様子にどうしたものかと考える。


「は?100?奇跡の実が??は?え?アルベルタ様、頬を抓っていいですか?」


「気持ちは分かるが自分の頬を抓ろよ!!」


 ビスは現実か疑い始め、確認方法としてアルベルタの頬を抓ろうとした。が、逆に近づいて来たビスの頬を抓り返した。


「いててて!!!ちょっ、手加減ってものをして下さいよ。痛いじゃないですか!!」


「痛くしないと意味ないだろう!」


「そうですけど!!」


 今日も今日とて相性ばっちりだねビスさんとアル!楽しそうでなりよりだ。1人クスクス笑ってるいると、上に影がさした。


「楽しそうに笑っているけどな、笑えない事だからな?」


 エリック隊長からコツンと叩かれた。


「そうですよティアさん。誓約をしておいて本当に良かった。」


 心から安堵するようなニールさんにこの奇跡の実のヤバさを感じ取る。やっぱり入手困難度MAXの代物とか迷惑物でしかないんじゃない!?パパ~!!!!やり過ぎなんだよきっと!!!


〈まっ、アティス様ならそれくらいして当然だよね~〉


 スノウは親バカだしと呟く。


「こ、こんなの1人で抱えておくなんて怖いよ!もう皆んな貰って!あげる!!」


 そう言うと返事が返ってくる前に急いで皆んなの手のひらに奇跡の実を握らせていく。


「ばっ、なっ!こ、これが本物の奇跡の実…ヒィイイイ~!!」


 テルボーさんは悲鳴をあげるとガクガク震え(?)出した。


「ティア!こんな貴重なもの易々と人に渡すんじゃない!」


 アルはなんかお説教し出したよ…


「はぁ……きっと使う時が来るまでまだまだ恐ろしい物がティアのマジックボックスには入っているんだろうな。よぉし!ティア!ここにいる奴らには賄賂として奇跡の実を貰ってもらえ。」


「はーい!!!」


「「「はぁあ???」」」


 つまるところ、奇跡の実をやるから共犯になれ!的な感じかな。共犯ってのもおかしいけど。


「てなわけでビスさんたちも遠慮なく貰ってね!」


「別にこんなもの貰わなくたって俺はティアの味方だぞ!だから要らない!」


 今、奇跡の実をこんなものって言ったよアル…奇跡の実に顔がついてたらショック顔だっただろう。


「誓約もしてますしね~まぁ、でも遠慮なくいただいておきます。」


「なっ!ビス!?」


「なんです?せっかくくれると言ってくれているんです。有り難く貰っておきましょう。それに…私はムバード様に、アルベルタ様だって本当は喉から手が出るほど欲しいはずです。これさえあれば、あの方は治るのですよ。」


 ビスの言葉にアルベルタは声をつまらせる。


 アルベルタは奇跡の実を見つめ、険しい顔をしたかと思うとティアに向き直り、「ありがとう」とだけ伝えた。






 
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