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第八話
しおりを挟むそれはどういう事だ? 確かに自己紹介の際、調査官だと言っていたが、お前たちは王宮から来たんだろう? 父の命令書は持って来てないのか? 国王である父が『王命』として伯爵に命じればすぐに終わることじゃないか。伯爵の罪を明らかにして罰するのは後で構わないんだ、モニカを僕の元へ帰してくれることを優先してくれれば、後の事は父の判断に任せる。父ならば、きっと的確に処断してくれるだろうから。だから、早く行動してくれないか。…全ては事実を確認してから判断されることで、現状では動くことはないって? 何故だ? まさかこの僕が嘘をついていると、間違っていると言いたいのか? そんな訳がないだろう!! 僕は第一王子だったんだ。国王である父の唯一の息子、その僕が直に調べたことなんだぞ! 間違っているなんてあるはずが…!
――今の国王陛下に娘はいても、息子は存在しないって…?
…王家から籍を抜いて、王族からも除名されているから…絶縁された僕には国王陛下を『父』と呼ぶ権利も立場もないと、そう言うのか…。だ、だけど、お前たちがここへ来たのは、息子の僕からの書簡だったから父が目を掛けてくれたんじゃ……そうか、普通なのか。調査官が派遣される事は、僕以外の他から投函された書簡と同じ対応でよくある事でしかないのか…。
…でも僕は間違っていない。今までだって、間違ったことはしていないのだから、その事実調査とやらを手早く終わらせる事をお勧めするよ。僕は王子として正しい道を選んできた。王として貴族として常に模範であれ、と学んだ通りになるようにだ。恥ずべき事はしていない。…最初に話していた『モニカとの不貞行為』は恥ずべき事で間違いじゃなかったかって? それは…そう周囲に見られていただけで、僕は真実愛した相手と過ごしていただけなのだから、行為自体は間違っていなかったはずだ。それに婚約者だったスノーベルとは愛し合っていなかったし実際に結婚もしなかったのだから、モニカとの逢瀬は『不貞行為』には当たらない。…うん、ほら、どう考えても僕自身は間違った事をしていないだろう?
考えてもみてくれ。恋人を愛する事は悪い事か? 課せられた義務より妻を愛する事は罪になるのか? 誰もが愛は尊いモノだと学んでいるはずだ。なら僕が真実の愛を選んだことは、悪い事でも間違った事でもないだろう? …王家が僕とモニカの話を流行らせ『見せしめ』としたのも、対外的に唯一の王子であった僕の評価を下げる事で、新たな女王誕生を受け入れる下地を作る為のはずだ。つまり、王家側の都合でそうなってるだけで、僕自身は何も悪い事はしておらず、正しい道を選んだだけなんだ。…確かにその代償は大きいかもしれない。けれど、愛のない結婚をせずに済み、権力の象徴である王座の代わりに、僕は真実の愛と言う何よりも尊く得難い、大切な宝物を得たんだ。
ほら、どんな物語でも真実の愛はハッピーエンドで終わってるものだろう。なら僕は幸せになるに決まっている。愛するモニカと僕達の子供に囲まれて、これからもっと幸せになるんだ。その為にも早くモニカを悪質な伯爵から取り戻すよう父に伝えてくれ。頼んだよ。
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