レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

文字の大きさ
200 / 283
第四章 世界中が敵

第197話 戦いを終えて

しおりを挟む
「…もう、あなたには、なんの力もないよ。」


ロックが静かな声で伝えた。


「は?」


何を言ってるかわかっていないキニア。


「あなたのスキルは、もう全て……奪った。」


「は!?」


ステータスを確認するキニア。

そこには、確かに1つもスキルがなかった。


「はああああああ!?!?」


「ハンナさん、すみません。
 欲望を満たすため人に、仲間を傷つけ殺そうとしたキニアさんを、許すことはできません。」

「…当然だ。
 私がやるべきことを…、辛い役をさせちまったね。」

「いえ…。
 ここから先は…、お任せします。」

「ああ…。」

その後は、ハンナ・スー・ランが3人がかりで暴れるキニアを取り押さえた。

そして、ファルクに乗って先にエスの首都へと戻った。

ロックたちの滞在場所や倒したモンスターをどうしようかという話になったが、「諸々の処理は任せてくれ。」との申し出を受け、ハンナの屋敷を使うことになった。

ファルクはロックたちとモンスター・魔族を全て運ぶのに、結局四往復する羽目となり、ふてくされていた。


その翌日…。

「待たせたな。」

ロックたちがハンナの屋敷でくつろいでいると、外出していたハンナとラン・スーが帰ってきた。

「お帰りなさい!」


「国王に話を通してきたよ。」


「「「「え?!」」」」


昨日帰ってきてから、1日とちょっとしか経っていない。

国王ってそんなにすぐ会って話せるものなのか?

そんなロックたちの気持ちを察してハンナが説明しだした。

「これでもこの国唯一のS級冒険者だったからね。
 それなりに顔は効くのさ。
 それに、国にとっても重要な事実がてんこ盛りだからね…。
 ここの国王は話がわかるから、今後の対応も大方決めてきたよ。」

「し、仕事が早すぎる…。」

「そ、それでどういう話になったんですか?」


「ん~、何から話せばいいかね。
 まず、キニアのことから話そうか。」

「…はい。」

「国にとってS級冒険者は非常に大事な存在だ。
 私欲のためにそのS級冒険者を殺そうとしたキニアは死刑、という案も出た。
 だが…、甘いかもしれないが更生のチャンスを与えてもらった。
 投獄されることにはなるが、改心できるように対話していくつもりだ。
 もっとも…、本人は精神状態がかなりおかしくなってるから、話せるようになるのは少し先になるかもしれないが。

 キニアがやったことについては…、本当に申し訳ない。
 結局涅槃珠も2つ失わせてしまったし、嫌な思いもさせてしまった。
 どんなことをしても償わせてもらう。」

「いえ、そもそも一緒に戦って得たものですし、気にしないでください。
 それにハンナさんが強くなってくれたのでよかったです。」

「…恩に着る。
 ただ、何かしらの償いはさせて欲しい。

 …次に、ロックたちの指名手配の件だ。」

「そ、それも話したんですか…?」

指名手配犯と一緒に行動していて、しかも匿ってる状況。

話して大丈夫だったの?と、ロックたち全員が唾を飲む。


「実はね、ランとスーもS級冒険者になってたんだ。
 ランがレベル70、スーが72になってた。
 最後のキングベヒーモスへの攻撃が経験値として多かったんだろうね。
 もしレベルが100だったら、レベル差が30以上あったんだからね。
 ブレスレットがなかったから、【鑑定】を持っている大臣に証明してもらったよ。
 国に1人しかいなかったS級冒険者が3人に増えたことでかなり喜んでたね。
 スキルについても話した。

 で、当然、短期間で急激に強くなったり、スキルをどうやって入れ替えたのか、聞かれたよ。
 そこで、ロックたちの話をしたんだ。」

「そ、それで…?」

「最初は戸惑ってたよ。
 指名手配のことは知っていたからね。
 でも、国益に大きく貢献した事実があるから、冤罪であることも信じてもらえたよ。
 …なんとかね。」

「なんとか…ですか?」

「ああ。
 まあ証拠がないからなかなか信じてもらえなくてね。
 そこでボスモンスターと魔族を倒したことを報告したんだ。」

「ボスモンスターを倒したこと、怒ってましたか?」

「いや?
 魔王はともかく、昔はボスモンスターは一定期間で復活するからたまに倒されてたからね。
 魔族も一緒に倒してるし、侵攻されるリスクが減ったと喜んでたよ。」

「それはよかったです…。」

「でも、本当に倒したかどうかを確認する必要があった。
 すぐに【脱兎】スキルを持ってる兵士がこの家に置いていたボスモンスターと魔族を確認しに行ったんだ。
 それで倒したことは確認できたけど、じゃあどうやって?という話になる。
 倒したのはロックたちであること、抑制されていた力を開放する方法を教えてもらったことを説明した。」

「ハンナさんたちも一緒に倒しましたけどね。」

「いや、ほとんど何もしてないよ。
 それでな、ブレスレットが力を抑制していた事実を伝えると、当然ギルドと魔王やモンスターたちが裏で繋がってたってことに行き着くよな。」

「そうですね。」

「力を抑制したまま倒せるとは思えないから、事実だろうってことで、なんとか信じてくれたんだ。
 それでギルドが指名手配しているロックたちと、モンスターと繋がっているギルド、どっちを信じるかって言ったら、S級冒険者を増やしてくれたロックたちだろうってことになったのさ。」

「まあ、ハンナさんが強引に信じさせた感もありましたけどね。」

「な!?
 ランだって、信じてくれないなら別の国に移り住みます、なんて言ってたじゃないか!」

「い、いや、まあそうですけど…。
 あ、スーもしつこく異論を唱えてたじいさんに、『私たちの恩人を愚弄する気ですか?』って脅してましたね。」

「あれは当然です。」

「ははは!
 最初ロックにいきなり攻撃してきたやつと同一人物とは思えねえな!」

ファルクが笑うと、ハンナはバツが悪そうにしていた。

「あ、あれはロックの目がいやらしかったから…。」

「結局そこに行き着くんですか!?
 勘弁してくださいよ!」

オチがついてみんなでひとしきり笑った後、ハンナが報酬について切り出した。

「報酬があるんですか!?」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依
ファンタジー
 主人公クロスは、マスターで聞いた事のない職業だが、Eランクという最低ランクの職業を得た。 そして、差別を受けた田舎を飛び出し、冒険者ギルドに所属しポーターとして生活をしていたが、 同じパーティーメンバーからも疎まれている状況で話は始まる。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

処理中です...