婚約破棄されて森に捨てられたら、フェンリルの長に一目惚れされたよ

ミクリ21 (新)

文字の大きさ
30 / 54
番外編1

クロムの旦那さん【1】クロム視点

しおりを挟む
これは、まだバジルが人間だった頃の私のお話。

ついでに、バジルがまだ三つ子を生んでいない頃でもあるよ。

私は当時、まだ伴侶どころかお付き合い中のフェンリルすらいなかった。

けれど、実はとあるフェンリルにアタックされている身ではあったんだ。

それが、今の旦那のオリヴァーだった。



「クロム、今日も綺麗な毛並みだね。これ、良かったらどうぞ♡」

「ありがとうオリヴァー。私の好きなミカンですね」

「僕の手で剥き剥きして、僕の指で一つ一つ丁寧にあーんって食べさせてあげるよ」

「ご遠慮します」

オリヴァーが昔から私に構いたがるところはあったが、それがお付き合いしたいとかの意味の好意だと私が知ったのは最近だ。

こうやって私に積極的にアピールをしては、そのアピールが私に響いてなくて……でも諦めない雄、それがオリヴァーなのである。

今日も元気に尻尾を振っていて、私に毎日会っているのによく飽きないね。

「朝からクロムの愛らしい微笑みをみれて、僕はご飯が三杯ほど食べれる感じがするよ!」

「私、微笑んでないんですけど」

ルディガー様はルディガー様で頭がお花畑だけど、オリヴァーはオリヴァーでお花畑なんだよな………。

そう思いつつ私は貰ったミカンを剝いてもぐもぐと食べた。美味しい♡

一通り口説いたら、オリヴァーは仕事をしに森に向かったよ。

オリヴァーの仕事は、布を作るための素材集めが主なんだ。

私は私でルディガー様の右腕として、今日も仕事を頑張ろう!



「クロムさんクロムさん」

「バジル、どうしましたか?」

バジルがじっと私をみながら私の尻尾をモフモフするので、私はそっとその手を尻尾から離す。

何故なら、ルディガー様が射殺さんばかりの眼差しを私に向けてるからね。

バジルは名残惜しいといった表情をしたけど、すぐに切り替えて聞きたいことがあるのだと私に言った。

「クロムさんは、お付き合いとか伴侶とか興味ないんですか?」

「その気にならないだけで、興味はありますよ。その気にならないだけで」

「二回言いましたね」

「大事なことは二回言う的なノリです」

「なるほど?」

オリヴァーの気持ちは正直嬉しいし、お付き合いやら伴侶やらに興味はあるんだけれど……その気になれないものは仕方ないと思うんだよね。

オリヴァーがどうしても私をものにしたいなら、私をその気にさせるしかないだろう。

無理だったら………所詮その程度だったというだけだよ。

「どうして聞いたんですか?」

「オリヴァーさんが毎日クロムさんにアピールしてるから、なんとなく気になって」

「なるほど」

えへへと笑うバジルを、いつの間にか近寄っていたルディガー様が抱き寄せて、自分自身の尻尾を握らせたのはこの直後の出来事だった。
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした

こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

黒とオメガの騎士の子育て〜この子確かに俺とお前にそっくりだけど、産んだ覚えないんですけど!?〜

せるせ
BL
王都の騎士団に所属するオメガのセルジュは、ある日なぜか北の若き辺境伯クロードの城で目が覚めた。 しかも隣で泣いているのは、クロードと同じ目を持つ自分にそっくりな赤ん坊で……? 「お前が産んだ、俺の子供だ」 いや、そんなこと言われても、産んだ記憶もあんなことやこんなことをした記憶も無いんですけど!? クロードとは元々険悪な仲だったはずなのに、一体どうしてこんなことに? 一途な黒髪アルファの年下辺境伯×金髪オメガの年上騎士 ※一応オメガバース設定をお借りしています

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

皇帝に追放された騎士団長の試される忠義

大田ネクロマンサー
BL
若干24歳の若き皇帝が統治するベリニア帝国。『金獅子の双腕』の称号で騎士団長兼、宰相を務める皇帝の側近、レシオン・ド・ミゼル(レジー/ミゼル卿)が突如として国外追放を言い渡される。 帝国中に慕われていた金獅子の双腕に下された理不尽な断罪に、国民は様々な憶測を立てる。ーー金獅子の双腕の叔父に婚約破棄された皇紀リベリオが虎視眈々と復讐の機会を狙っていたのではないか? 国民の憶測に無言で帝国を去るレシオン・ド・ミゼル。船で知り合った少年ミオに懐かれ、なんとか不毛の大地で生きていくレジーだったが……彼には誰にも知られたくない秘密があった。

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

処理中です...