欠片の軌跡⑥〜背徳の旅路

ねぎ(塩ダレ)

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第九章「海神編」

蛇塚信仰

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「うわぁ~、これはまた酷いなぁ~。」

俺はそれを前に言葉を失くした。
引き継ぎが終わると、イヴァンが最後に意味深に笑って言ったのだ。

『女神の祭壇、面白い事になってるから見た方が良いですよ?』

俺はツッコミたかったが「じゃ、寮に帰って僕は寝ますね~」と言われ、それ以上、引き止められなかった。

イヴァンは実は今日、休みだったらしい。
ガスパーの状況から無理だなと判断し、引き継ぎ内容を聞いて俺に伝えてくれたのだそうだ。
制服着てたから、てっきり出勤日なのだと思ってしまった。

まぁ確かに何でイヴァンが王宮警護じゃなくて、別宮にいるんだろうとはちょっと思ってたんだよ。
ライオネル殿下ももう別宮に帰ってきても良さそうなのだが、古参貴族がごそっと抜けたし、ランスロット第二王子殿下も療養中だし、ガブリエル皇太子殿下は仕事に精を出してはいるが晴れて恋人同士になったランスロット殿下にべったりらしく、王宮内もバタバタしていてそれどころじゃないみたいだ。
それもあって、イヴァンには第三別宮臨時王宮警護担当責任者という長ったらしい名前の警護責任者にされてしまって、王宮でのライオネル殿下の警護を一任されている。
だから、こっちで書類仕事をしているはずはないのだ。

それにしても、だ。
俺は苦笑いしながらなんちゃって祭壇を見つめる。

祭壇って言っても、ただ、長机の上に棚が作ってあるようなものだ。
ウィルもシルクも俺の新しい家に住むので、皆の神聖な女神部屋はなくなってしまった。
これについては散々文句を言われた。
そして今、二人がいた部屋は「女神の生活した空間」=「聖域」として無人のまま鍵を頑丈にかけられて保存されている。(何なの?こいつら??)

そして空き部屋にされていた隣部屋が新しい祭壇部屋になっているのだが、ここが凄い。
もう、祭壇と呼ばれるテーブルの上に、酒が大量に置かれている。

空き瓶じゃない。
中身の入った酒瓶だ。

俺は酒の事はよくわからないが、どう見ても高そうな酒瓶が並べられている。

「……え?何?これ??シルクへの陰膳なのか??」

女神の祭壇って事だから、ここに置いてあるのはたぶん女神宛のものだろう。
シルクが酒豪なのは有名だし、祭壇に供えるなら酒だし、そんな訳で誰が始めたかは知らないが、修行の旅に出た女神たちの為に陰膳として酒を置くようになったようだ。

と言うか、瓶はまだいい。

机の下に、小さいが酒樽が置いてあるんだが……?!
誰だよ!酒樽なんか供えたのは?!
と言うかどうするんだよ?!この大量の酒は?!

「あれ?!サークじゃん?!」

「と言うかサーク!!俺達の女神を返せ~っ!!」

「二人とも連れて行くとか聞いてないぞっ!!」

俺があまりの光景に固まっていると、部屋のドアが開いて隊員数名が入ってきた。
一人に至っては、手に酒瓶を持っている。

「お前ら~っ!!独身寮は基本!酒類禁止だろうがぁ~!!」

俺は思わず我鳴った。
まぁ建前禁止されてるが、皆様、酔いつぶれない程度には持っているし、たまの気晴らしに軽い飲み会とかは黙認されている。
ただ一応禁止なのに、大量の酒がここにあるのは如何なものなのだろう?!

「そんな事はどうでもいい!!」

「いや、良くねぇよ。」

「なんでサークは!ウィルさんもシルクさんも連れて行くんだ~!!あんまりじゃないかぁ~!!俺達は二人が仲良くする様をただ尊いと眺めていただけなのにぃ~っ!!」

「そうだぞ!!せめてシルクさんは寮に残してくれよ!!どうしてウィルさんと結婚すんのに!シルクさんも同居させてんだよっ!!」

「え??元々シルクは俺の従者だし。シルクが一緒に住みたいって言うし、ウィルもいいって言うから……。」

俺がそう言うとそれまで死んだ魚みたいな目をしていた隊員の一人が、いきなりキランッと目を輝かせた。
そしてガバッと俺の肩を掴む。

「……そうか!!お前の家に!ウィルさんもシルクさんも住んでいる!!つまり!!ウィルさんとシルクさんは!サークの家で一緒に暮らしているんだよな?!」

「まだ一緒に住んでねぇよ。昨日、引っ越しが終わったばっかだし、ウィルもシルクも修行とか研修に行っちゃうから。」

シルクがレオンハルドさんの弟子なのは知れ渡っているので修行に行くと皆知っているが、ウィルの力の事は秘密にされているので、ウィルは身分回復にあたっての研修に行くと言う名目になっているのだ。

流石に今回の事で、ウィルにもシルクにも了承を取った上で、仲間内にはシルクがカイナの民で正式な演舞継承者な事も、ウィルが実は竜の谷の民である事や俺達もよくわかっていないが夜の宝石と言うものである事を話した。

はっきり言ってめちゃくちゃ怒られたし、もう隠している事はないのかと言われて、俺も知ったばかりなんだけど実はちゃんとした人間じゃないらしいって言ったら、皆、白目向いてた。
何でそう言う大事な事をお前は言わないんだって言われたが、実は人間じゃないとか俺も初めて知ったし。
ある意味体質みたいなもんだろ?って言ったら、物凄く呆れられた。
いや、俺が実は精霊との間に生まれたみたいだって事、そんなにお前らに取って重要でもないだろうが??
俺は俺なんだし。

「だが?!帰ってきたら!!二人は一緒に住むんだよな?!」

ぼんやり考えている俺に、そいつは食い気味で聞いてくる。
怖いよ、ギラギラしてて怖いよ、お前……。

「そうだけど……。あのさ、言っとくが俺もそこに……。」

「お前の事はどうでもいい!!」

「はぁ?!俺んちだぞ?!」

自分の家なのにお前はどうでもいいとか言われムッと来たが、おかしなテンションに入ったこいつらは聞いていない。

「そうか!!寮にいないだけで女神たちの共同生活は健在なんだな!!」

「良かった!!尊い!!女神信仰は廃れないっ!!」

「おい!サーク!!お前の家って方向どっちだ?!」

とうとうトチ狂った女神信者たちはおかしな事を言い出した。

どうしてくれようかと思ったが、さっきイヴァンに言われた事を思い出して止めるのはちょっと気が引けた。
こんなバカやってるが、こいつらだって色々難しい状況の中、変わらず明るく振る舞っているんだ。
馬鹿げたお遊び信仰であっても、こいつらの心の支えになってはいるのだ。

そう思ったら強くも言えず、俺の家の方向である窓辺に祭壇を移すのを呆れ顔で眺めているしかなかった。

「ふぅ、これで二人が帰ってくれば、今まで通りだ!!」

「……でも、寂しいな……今まではこの奥の部屋でふたりが過ごしているんだと思って、色々祈っていたのに……。」

「おい、お前!何を祈ってた?!何を?!それって祈りに対しての冒涜だぞ?!」

「でも!人妻なウィルさんと事実婚みたいなシルクさんがひとつ屋根の下でと思うと……っ!!」

「おいおいおいおいっ!!」

「うわぁっ!!人妻とか!人妻とかっ!!女神信仰もグレードアップするな!!」

「おいっ!!お前らの信仰って何なんだよっ!!」

「うるせぇ!サークっ!!夢ぐらい見せろっ!!いいとこ総取りしやがってっ!!」

ギンッと睨まれ、思わず口を噤む。
うわぁ……女神信仰者、やべぇ……。
つか人の奥さんで変な妄想すんじゃねぇよっ!!

「でもなぁ……。」

俺がウィルで変な妄想するなど言おうと思ったら、さっきまでの変なテンションはどこへやら、いきなりがっくりと項垂れ始めた。

一人に至っては、床に座り込んで持っていた酒瓶を開けて飲み始めてしまった。
いや……まぁ、夜番以外は定時終業後だから、飲んでも良いけどさ?!

え?何??今度はどうした?!
さっきまでの空元気はどうした?!
お前ら情緒不安定すぎるぞ?!

いきなりずーんとばかりに凹んだ奴らを目の前に、俺はアワアワしてしまった。

「え?!お前ら、大丈夫か?!」

「大丈夫じゃねぇよ……女神二人とも寮を出ちゃうし……ウィルさんはお前と結婚するし……シルクさんは既に隊長と事実婚状態だし……。」

「……お前らも結婚すれば良いだろ?」

「簡単に言うなっ!!出来るんならこんなにならんわっ!!」

「あ、はい、すいません……。」

「しかも、最近ときめきをくれるガスパーも……!!」

「何で皆、サークなんだよ~!!狡いだろ!!お前~っ!!」

「いや、ガスパーは別に俺の従者とかじゃないし、な??」

「お前さぁ~?!マジで言ってる?!それ?!」

「むしろ嫌味なのか?!嫌味なのか?!」

「ええええええぇぇ?!何?!どういう意味?!」

「……お前……マジ??」

「あ~あの噂、本当なんだな~。」

「噂?!何?!何なんだよ?!」

「へ~、そうなんだ、本当にそうなんだ~。」

「教えろよ!何なの?!」

何かありそうなので必死に聞き出そうと頼むが、何故か哀れみとざまぁ感半々の生暖かい目で俺を見てくる。

「え?!何?!何なの?!マジで?!」

「知らぬが仏って言うだろ?世の中、知らない方がいい事もあるんだよ、サーク。」

「そうそう、そのまま悩んで禿げろ。」

「禿げろ?!」

「あ~!だとすると!!なんか本当、いじらしい!!キュンときたっ!!」

「キュン?!」

「女神達と違って表立って言えないけど!!もう何か!もう何か……っ!!ずっとワルぶってたのに!!その控えめで大きすぎる愛は何なの?!三歩下がって影踏まずなの?!無償の愛なの?!もしかして聖母なの?!菩薩なの?!ギャップが凄すぎて悶え死にそうっ!!」

「菩薩?!ガスパーが菩薩?!」

「幸せにしたいなんておこがましい事は言わない!!でも幸せになって欲しい!!その愛が報われないままなんて切ないっ!!見てる俺らも切ないっ!!別の形でいいから幸せになって欲しいっ!!」

「え?!何なの?!マジで?!」

「だから!!俺らは!不良ツンデレ薄幸美人のガスパーの幸せを影からずっと見守りたいんだよ!!」

「え?!見守りたいの?!自ら幸せにしてやろうって奴はいねぇのかよ?!」

「お前!!それじゃあ意味がねぇだろうがっ!!」

「は?!何で?!好きなら俺が幸せにしてやろうってなんないの?!」

「あのな!!サーク!!相手を誰だと思ってんだよ?!ラティーマーだぞ?!ずっと宰相を努めるラティーマー一族だぞ?!古参貴族がほぼ居なくなった今!!どこの家がラティーマー家に太刀打ちできると思ってんだよ!!少なくとも俺ん家ぐらいじゃ門前払いだよ!!」

「は?!家は関係ないだろうが!!」

「それを簡単に言葉に出来んのは!!飛ぶ鳥を落とす勢いで平民から叙爵した上、陞爵したお前ぐらいだよ!!」

「なぁ?ライルが結婚する時も思ったけど、何で貴族ってそんな面倒くさいの??好きなら全部かっ飛ばすなり、それが可能な様にどうにかすればいいんじゃねぇの?!特に今、立場とか色々不安定なんだし、逆にのし上がるにはチャンスじゃん?!ガスパーに並べるくらい出世しちまえよ?!」

「簡単に言うなよ!!ガスパーに並ぶって?!どうやって?!お前だって見ただろう?!裁判でガスパーの真の姿を!!ラティーマーの神童だぞ?!家もビッグネームな上!!本人は100年に一人の天才とか言われるような神童なんだぞ?!俺らごときがどうやってそれに匹敵するものを得られるんだよ?!無理だろ!!」

「だから!!好きなら能力とか立場とか!!爵位とか!!関係ないじゃんか!!」

「それが簡単に言える相手じゃねぇんだよ!!お前だって!ライオネル殿下のアプローチから逃げたじゃねぇか!!立場の差ってそう言うもんだろうが!!」

「ゔぅ……それを言われると返す言葉がない……。」

「俺らはさ……ただ見守りたいんだよ……ガスパーを……。」

「悪ぶってるしツンデレだけど、実はひたむきに影から無償の愛を捧げるだけの薄幸美人の幸せを祈りたいだけなんだよ~。」

「いや、祈らずに幸せにしてやれよ。」

「祈るにしても、女神達と違って寮にもいないし、おおっぴらに祭壇とか作ったら本人から殺されそうだし……。」

「俺の話、聞いてんのか??お前ら??」

「なぁ!!何かガスパーを信仰するのに良い方法はないのか?!サーク?!」

「……やっぱり信仰する気なのか……お前ら……。」

「俺達には希望の光が必要なんだよ!!」

「そう!!心の拠り所がいるんだよ!!」

「いや、普通に教会に行って神様に祈れよ?!」

「そんな堅苦しい神様じゃ!!俺らの乾いた心は潤わないんだよ!!」

「お前ら、ちょっと神様に懺悔してこい!!失礼だろうが!!」

「目と心に潤いを!!キュンとしてたいんだよ!!俺達は!!」

「愛らしくて!尊いものにキュンキュンさせられてたいんだよ!!」

「お前ら!1回病院行けっ!!ちょっとヤバイぞ?!」

「病院の処方箋より!!キュンが欲しいんだよ!!」

「そう!!キュンは万能薬!!特効薬!!生きる糧!!」

「落ち着け!!お前ら一旦落ち着けっ!!」

「俺らに光を!!心の拠り所として!希望の光が俺らには必要なんだよ!!」

「だから!落ち着け~っ!!正気に戻れ~っ!!」

「だからサーク!!何か良い方法はないのか?!ガスパーにバレないように!こっそり信仰する良い方法は!!」

食いつかんばかりに迫られ俺も動揺した。
不安定になってるとは聞いてたけど、こいつらマジで大丈夫なのか?!
副隊長代理として物凄く不安を感じるぞ?!
おいっ?!

方法はともかく、精神面のケアは何か必要なんだとひしひしと感じた。
それをへんてこななんちゃって宗教にするのもどうかとは思うんだが……。

「え~……う~ん?ガスパーだろ……??」

でもそれでこいつらの気持ちが少しでも和らぐんならなぁ……。
信仰されてるとか知ったらガスパー、キレそうだけど致し方ない。
女神信仰と同じでそのうち飽きると思うし。


「……俺の国……蛇塚信仰ってのならあるけどさぁ~……。」


ガスパーを信仰すると言われ、ぽんっと頭に浮かんだのは蛇塚だった。
中央王国には蛇塚とかないし、そんな信仰もないけどさ。
東の国だと道祖神なんかと同じで、全国各地にあって、生活に密着した感じの信仰だ。

「蛇塚信仰??」

「塚って……土が盛ってある??」

「あ、うん……。蛇って龍に似てるから神様になるって考えがあったり……水の神様だったり……なんでたが富の象徴だったり……。あ、一般的には仕事や商売の信仰対象かな??……蛇は知恵の象徴でもあるし……。蛇塚に蛇が埋まってるのかどうかはよく知らないけど結構普通に各地にあって、堅苦しい感じじゃなく、身近に信仰されてるかなぁ……??」

「富と仕事と知恵の象徴って……!!ピッタリじゃん!!」

俺の話に隊員たちの目がぱぁっと明るく輝いた。
そしてめちゃくちゃアドレナリンが出てる気配がある。
何かヤバそうだ。

「……塚なら林ん中に作ってもバレないよな?!」

「それだ!!ガスパーってどっちの方向に住んでる?!」

「おっおいっ!!」

馬鹿どもは急に元気と活気に漲ると、止める間もなく飛び出して行く。

え?!マジで?!
あいつらマジでなんちゃって蛇塚作る気なのか?!
頭、大丈夫か?!

と言うか、もう夜だぞ?!
こんな時間に林で土盛ってたら、めちゃくちゃ怪しいぞ?!おいっ?!

止めに行こうかとも思ったがやめた。

ちょっとアイツらヤバすぎる。
信仰だから、すぐ様ガスパーに何かある事もないだろうし、流石にヤバそうなら俺も止めるし。

ガスパーには悪いが、しばらくの間、あいつらの精神安定剤になってもらおう……。

そんなこんなで、第三別宮には女神信仰に続き、「蛇塚信仰」と言う新しい宗教が誕生したのだった。
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