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48話
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それから数日後、私はモヤモヤした気持ちが収まらず、執筆もまともに進まないため、気分転換も兼ねてエマ先生のお屋敷へと向かった。
途中、お土産を買うため、赤ちゃんのお洋服を扱っているお店へと入ると、自然と笑顔になれた。
どんな物にしようかしらと悩んでいるのさえも楽しく思えた。そして、やっと決めた物を包んでもらいながら、きっと似合うはずと、身につけた姿を想像していた。
エマ先生のお屋敷に着くと、赤ちゃんはお昼寝中とのこと。残念に思ったが、きっと私が帰るまでには目を覚ましてくれるはず、楽しみは後に取っておきましょうとエマ先生との会話を始めた。
先生とは先日のパーティー以来だった。
「あまり根を詰めては体に良くないわ」
言われてしまった。そういえばそう言って、先生より先に帰ってしまったのだと思い出した。
私はこの間の、よく分からない感情を正直に先生に話した。それはまるで娘が自分の母に相談するみたいに。
そう、あれ以来、私の中ではエマ先生は既に本当の母親だった。だからこそ教えてほしい、この感情の正体を。
そんな私に優しく語りかけるように言ってくれる。
「あなたも人を愛することを知ったのね。今まで書いていたあなたの恋愛小説は、それはそれとしてよく書けてはいたけれど、それはあくまで表面的な恋愛なのよ」
「愛する? 私がですか?」
エマ先生は笑いながら言い聞かせるように話し出された。
「あなたはまだ気づいていないようだけど、間違いなく陛下のことを好きになりかけている。もしくはもうそうなっているのよ」
「言い難いのですが、ルイス様は男性の方がお好きだという噂を聞きました。私もずっとそう理解して来たつもりですが」
「それはあくまで噂でしょう? それともご本人から直接聞いたのかしら?」
「側で見ていた私には確信があります。だって、先王に捕らえられた編集長さんのところへ毎日、料理長にお食事を作らせ、それをご自分で届けに行ったりして、とってもお優しくなさるのですよ」
「それは当たり前ではなくて? 元々あの方はお優しい方なんだし、ましてやご自分のせいで捕まってしまったのよ」
それはそうなのですが……と、言いかけたが次の言葉が出てこない。
「編集長さんが陛下のお相手だとあなたは思っているのね」
「……」
それから先生はとんでもないことを言い出した。
「それに陛下だってあなたに好意を持たれているはずよ」
と続けて
「その証拠にあなたに贈ったドレスを考えてごらんなさい。二度も続けてご自分の瞳と同じ色の物を選ばれているのよ」
そう言われ、私自身思い当たることがなくもないと感じていた。でも、やはりまだ完全には納得できていない。それに私がルイス様を好き? 確かにそれを認めてしまえば、あの感情の説明がつく気がした。
「本当に愛し、愛されることを知ったら、もっと小説に深みが出るわ。それにもっと多くの感情表現も増えるはずよ」
するとエマ先生は昔を懐かしむように話された。
「あなたの本当のお父様もそうだったわ。だからって小説のために恋愛をしなさいってわけではないわよ。
でもそうなると、かわいそうに、私の甥はあなたに失恋してしまうということね」
そう言って、笑われた。
私はただ、黙ったまま聞いていた。
「あなたがこれからどんな小説家に育っていくか、またひとつ楽しみができたわ」
そう言って、また微笑まれた。
それを聞き私は、きっと亡くなった本当のお父様もエマ先生と出会ってから作風が変わっていかれたのだと思った。
確かに私が初めて読んだお父様の作品とその後に書かれた作品とではその違いが感じられた。
そして『私も成長できているのかしら?』と思った。
……本当はとっくに気づいていた、好きだという感情に。それなのに傷つくのがこわくて勝手に自分の気持ちに蓋をしていただけだった。そう、この感情はもう認めざるを得なかった。
その後、私は目を覚ました赤ちゃんを抱かせてもらい、幸せな気分を味わってから公爵邸へと帰った。
心はなんだか晴れていた。
途中、お土産を買うため、赤ちゃんのお洋服を扱っているお店へと入ると、自然と笑顔になれた。
どんな物にしようかしらと悩んでいるのさえも楽しく思えた。そして、やっと決めた物を包んでもらいながら、きっと似合うはずと、身につけた姿を想像していた。
エマ先生のお屋敷に着くと、赤ちゃんはお昼寝中とのこと。残念に思ったが、きっと私が帰るまでには目を覚ましてくれるはず、楽しみは後に取っておきましょうとエマ先生との会話を始めた。
先生とは先日のパーティー以来だった。
「あまり根を詰めては体に良くないわ」
言われてしまった。そういえばそう言って、先生より先に帰ってしまったのだと思い出した。
私はこの間の、よく分からない感情を正直に先生に話した。それはまるで娘が自分の母に相談するみたいに。
そう、あれ以来、私の中ではエマ先生は既に本当の母親だった。だからこそ教えてほしい、この感情の正体を。
そんな私に優しく語りかけるように言ってくれる。
「あなたも人を愛することを知ったのね。今まで書いていたあなたの恋愛小説は、それはそれとしてよく書けてはいたけれど、それはあくまで表面的な恋愛なのよ」
「愛する? 私がですか?」
エマ先生は笑いながら言い聞かせるように話し出された。
「あなたはまだ気づいていないようだけど、間違いなく陛下のことを好きになりかけている。もしくはもうそうなっているのよ」
「言い難いのですが、ルイス様は男性の方がお好きだという噂を聞きました。私もずっとそう理解して来たつもりですが」
「それはあくまで噂でしょう? それともご本人から直接聞いたのかしら?」
「側で見ていた私には確信があります。だって、先王に捕らえられた編集長さんのところへ毎日、料理長にお食事を作らせ、それをご自分で届けに行ったりして、とってもお優しくなさるのですよ」
「それは当たり前ではなくて? 元々あの方はお優しい方なんだし、ましてやご自分のせいで捕まってしまったのよ」
それはそうなのですが……と、言いかけたが次の言葉が出てこない。
「編集長さんが陛下のお相手だとあなたは思っているのね」
「……」
それから先生はとんでもないことを言い出した。
「それに陛下だってあなたに好意を持たれているはずよ」
と続けて
「その証拠にあなたに贈ったドレスを考えてごらんなさい。二度も続けてご自分の瞳と同じ色の物を選ばれているのよ」
そう言われ、私自身思い当たることがなくもないと感じていた。でも、やはりまだ完全には納得できていない。それに私がルイス様を好き? 確かにそれを認めてしまえば、あの感情の説明がつく気がした。
「本当に愛し、愛されることを知ったら、もっと小説に深みが出るわ。それにもっと多くの感情表現も増えるはずよ」
するとエマ先生は昔を懐かしむように話された。
「あなたの本当のお父様もそうだったわ。だからって小説のために恋愛をしなさいってわけではないわよ。
でもそうなると、かわいそうに、私の甥はあなたに失恋してしまうということね」
そう言って、笑われた。
私はただ、黙ったまま聞いていた。
「あなたがこれからどんな小説家に育っていくか、またひとつ楽しみができたわ」
そう言って、また微笑まれた。
それを聞き私は、きっと亡くなった本当のお父様もエマ先生と出会ってから作風が変わっていかれたのだと思った。
確かに私が初めて読んだお父様の作品とその後に書かれた作品とではその違いが感じられた。
そして『私も成長できているのかしら?』と思った。
……本当はとっくに気づいていた、好きだという感情に。それなのに傷つくのがこわくて勝手に自分の気持ちに蓋をしていただけだった。そう、この感情はもう認めざるを得なかった。
その後、私は目を覚ました赤ちゃんを抱かせてもらい、幸せな気分を味わってから公爵邸へと帰った。
心はなんだか晴れていた。
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