ジャンヌ・ダルクがいなくなった後

碧流

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アニェスとの対面

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アニェスとの対面は案外あっさり叶った。

ふらりと用務でやって来たシャルルに頼んだところ、意外にも拒まれなかったのである。

今日はその日で、マリーは貴賓室で深呼吸をした。

そうこうするうちに、ドアがノックされた。

ガチャリ…

ドアがあき、シャルルにエスコートされて伏し目がちにアニェスが入ってきた。

輝く金の髪、細い身体に豊かな胸。
アニェスは噂通り美しかった。

「王妃さまにアニェス・ソレルがご挨拶申し上げます。」

顔を上げたアニェスを見て、マリーは固まった。

輝く金の髪に青い瞳…

違う、色じゃない。
顔立ち…いや、違う。似ているかどうかもう覚えていない。

でも、彼女の纏う空気を私は知っている…

「…ジャネット…」

声にならない声で呟いた。

後は何を話したか覚えていない。

ただ分かったのは、アニェスは賢いことだ。王の寵をかさに威張り散らかすこともなく、マリーに対して敬意を示し、マリーに不快感を与えない程度に上手くシャルルに甘えている。

後は見たこともない夫の姿だった。

とろけるような瞳でアニェスを見つめ、常にアニェスの手を握り、頻繁に手や髪にキスをする。
あなたは誰ですか?と言いたくなる姿だった。

マリーの姿が目に入っていたかどうかも怪しい。

そのシャルルに頬を染め、甘えるように見上げるアニェス。甘えているのにシャルルを真っ直ぐ見つめる瞳。  

二人の姿はいつか目にした光景の続きを見せられているよう…

マリーは目の前が暗くなった。

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