ジャンヌ・ダルクがいなくなった後

碧流

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シャルルの回想2

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それからすぐ私は神託の話を義母上にし、すぐジャネットを侍女見習いとして城に呼び入れたい相談した。

私を王にしたい義母上は、ジャネットの保護を了承した。
またマリーの陰湿さを知っていた義母上は、ジャネットを秘密裏に守ることを約束してくれた。そして、マリーに知られた時にジャネットを逃がすことも。

ジャネットが来てから私の人生は華やいだ。
生まれてきて一番幸せな時間だったかもしれない。

ジャネットは年追うごとに、ますます美しくなり、そして私への愛を隠さないようになった。

マリーの目を逸らすため、ジャネットを見てはいけないのに、ジャネットからの熱い視線をうけると胸が震えた。

ジャネットとすれ違う時、ジャネットを従えて歩く時、ジャネットとふと見つめ合うとき、私はこの上ない幸せを感じていたのだ。

…触れることもできない僅か10歳ばかりの少女を、私は心の底から愛していた。

その頃から、ジャネットの神託をうける日が増えていった。

そしてある日すべての予知を与えられた。

…それはとても残酷な神の宣告であった…


ジャネットは私と義母上にこう言った。

『自分はこれからドンレミ村の少女となるでしょう。
時がきたら、シャルル様の下に馳せ参じ、イングランド軍を退け、あなた様を王にせよ。との神のお告げです。』
私は酷く動揺した。
ジャネットが私から離れる?
戦う?

『戦うのか?女のその身で。それはならぬ。決して私は許さぬ!そなたと離れるくらいなら、私は王にならずともよい!』

ジャネットは凛とした顔で首を振った。

『王よ、真のフランスの王よ。私はあなたを王にするために遣わされた女。私はあなたを王にした時、すべての役目を終え、貴方様への想いごと神の業火に焼かれながら、神の下に召されるでしょう。

シャルルさま、怖れることはありません。それが運命で私の使命。そして私の幸せなのです。』

そう言い切ったジャネットは誰よりも美しかった。

私は運命などどうでもよかった。
ジャネットを手放すなどしたくなかった。

…でも、運命は予言通り進んでいく。

そして、マリーが私たちのことを怪しみ始めた頃を見計らって、あの茶番を演じ、ジャネットはジャンヌという本名に戻り、遠いドンレミ村へ去って行った。

ジャンヌに手出しできないよう、ジャンヌをドンレミ村に向かわせる最終決定をマリーにさせたのは、義母上の案だ。

あんな幼い子に過酷な運命を与えることに罪悪感を感じるなら、さすがのマリーも手出しはしないだろう。と。

…残念ながらそんなことは全くなかったが。

マリーは私たちが選んだジャンヌの従者を勝手に変え、何度も刺客を送った。

しかし、ジャンヌは、神に護られた娘だ。

予言通り16歳の夏、私の下に軍を率いて現れた。

美しくも凛々しい姿で。
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