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シャルルの回想3
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ジャンヌは神託通り、快進撃を続け、そして最期は味方に裏切られ敵の手に落ちた。
…まるで、神の御手によって書かれたシナリオをなぞるように…
私はどうやってでもジャンヌを助けたかった。
義母上も同じ気持ちだったようだ。
しかし、何をしても運命は私の足掻きを嘲笑うかのように、粛々と終末にむけて進んで行った。
釈放金も、せめて苦しまず逝けるようにと送った毒も、何故か翌朝私の手に戻って来ていた。
義母上は、ジャンヌが捕虜になると予言したコンピエーニュ包囲網には行くな。と書簡を送ったが、何故かジャンヌを見捨てるように。と書き換えられていた。義母上の筆跡で。
聖女は魔女に
嘆願は交渉打ち切りに
自身の筆跡で、書き換えられる。
そうやって、すべての打ち手が潰されていった。
どうあがいても変わらない人生に絶望し、毒を自身で飲もうとしても、決して蓋が開かない。
人の手ならざる何かの強制力が働いていた。
何もしてもしなくても、ジャンヌは処刑される。
否が応でも理解させられた。
そう決まっているのだ
私が王になることも
ジャンヌがいなくなることも…
決まっているのに、それなのに、運命を加速させるかのように暗躍するマリーを恨んだ。
逆恨みだったかもしれないが…
ジャンヌが炎とともに消えたあと、私の心も灰になった。
しかし、ジャンヌが命をかけて私を王にしてくれた。
私はジャンヌに与えて貰ったこの『王』という地位を全うせねばならぬ。
心は死んでいても。私は積極的に政務に専念した。
その頃ジャンヌがいなくなって調子に乗ったマリーが私を閨に積極的に誘うようになった。
つまらない女
権力にしがみついてくれていた方がまた良かった。
私にしがみつくマリーを憎んだ。
しかし、心が死んだ私が憎いマリーと子を作るのは容易なことであった。
不思議なことに、こんなに憎んでいても子はできるもので、そのことにも神の御業を感じる。
しかし、マリーとの間にできた子になぞ何の情も持ち合わせなかった。
すべて自分の子であるのに、生きようが死のうが、全く心は動かない。
ただ、ジャンヌが死んだ後の子に、ジャンヌと名付けた女児だけは、可愛かった。それでも人並み以下の愛情であったが。
嫡男のルイはマリーに似た陰湿な性格が、マリーより賢かったようで、私がマリーを表面的にしか大事にしてないか気がついたらしい。愛する母親を守るために私に冷たい目を向けるようになっていった。
ジャンヌが死んで25年後。
私が起こした裁判によりジャンヌの名誉が回復し、カトリック教会の聖人に列せられた。
やっと彼女は聖女として認められたのだ。
私は彼女の献身に少しでも報いることができたのだろうか…
この頃私はまた光に出会った。
ジャンヌの面影に光を纏うアニェスに。
…まるで、神の御手によって書かれたシナリオをなぞるように…
私はどうやってでもジャンヌを助けたかった。
義母上も同じ気持ちだったようだ。
しかし、何をしても運命は私の足掻きを嘲笑うかのように、粛々と終末にむけて進んで行った。
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義母上は、ジャンヌが捕虜になると予言したコンピエーニュ包囲網には行くな。と書簡を送ったが、何故かジャンヌを見捨てるように。と書き換えられていた。義母上の筆跡で。
聖女は魔女に
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自身の筆跡で、書き換えられる。
そうやって、すべての打ち手が潰されていった。
どうあがいても変わらない人生に絶望し、毒を自身で飲もうとしても、決して蓋が開かない。
人の手ならざる何かの強制力が働いていた。
何もしてもしなくても、ジャンヌは処刑される。
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そう決まっているのだ
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ジャンヌがいなくなることも…
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ジャンヌが炎とともに消えたあと、私の心も灰になった。
しかし、ジャンヌが命をかけて私を王にしてくれた。
私はジャンヌに与えて貰ったこの『王』という地位を全うせねばならぬ。
心は死んでいても。私は積極的に政務に専念した。
その頃ジャンヌがいなくなって調子に乗ったマリーが私を閨に積極的に誘うようになった。
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私にしがみつくマリーを憎んだ。
しかし、心が死んだ私が憎いマリーと子を作るのは容易なことであった。
不思議なことに、こんなに憎んでいても子はできるもので、そのことにも神の御業を感じる。
しかし、マリーとの間にできた子になぞ何の情も持ち合わせなかった。
すべて自分の子であるのに、生きようが死のうが、全く心は動かない。
ただ、ジャンヌが死んだ後の子に、ジャンヌと名付けた女児だけは、可愛かった。それでも人並み以下の愛情であったが。
嫡男のルイはマリーに似た陰湿な性格が、マリーより賢かったようで、私がマリーを表面的にしか大事にしてないか気がついたらしい。愛する母親を守るために私に冷たい目を向けるようになっていった。
ジャンヌが死んで25年後。
私が起こした裁判によりジャンヌの名誉が回復し、カトリック教会の聖人に列せられた。
やっと彼女は聖女として認められたのだ。
私は彼女の献身に少しでも報いることができたのだろうか…
この頃私はまた光に出会った。
ジャンヌの面影に光を纏うアニェスに。
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