ジャンヌ・ダルクがいなくなった後

碧流

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シャルルの回想4

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ジャンヌが死んで数年後、私は無性にジャンヌに会いたくてたまらなくなった。

突如として心の奥底にあったジャンヌに再び恋焦がれ、狂ったようにジャンヌの面影を追い求めた。貴賤を問わず濃いブラウンの髪と瞳の乙女を探し始めたのもこの頃だ。

しかし、私を射抜くあの熱い瞳も、短く切ったにも関わらず美しかったあの髪も、二度と出会うことはできなかった。

その鬱憤を晴らすようマリーを抱き潰した。
それをマリーは愛情と受け取ったようだ。

子を妊み、産み続けるマリーの監視が緩んだ。
それ幸いに私はジャンヌの面影を探し続けた。

その頃の私は傍から見ても危うかったのだろう。義母上に『ジャンヌの血筋を当たって見てはどうか?』と助言を受けた。

その事を失念していた私は、乳母の家系を調べさせた。

そして、見つけたのだ。

眩いばかりの金髪に青い瞳のジャンヌの面影を色濃く残す少女、アニェスを。

少女はジャンヌの異母妹の子で、間違いなく乳母とジャンヌの血を引いていた。

元々淡い茶色だった髪と瞳が、長じるにつれ、金髪碧眼に変わったという。

アニェスの金色は、ジャンヌが神託を受けたときの金色の繭と同じ美しい彩をしていた。

まだ13才の少女でありながら、アニェスの美しさはまばゆいばかりであった。

もう少し経てば男が放っておかないだろう。

私はすぐに義母上に相談し、義弟のルネにアニェスの身柄を預けた。

最初は急に親元から離され、嘆き悲しんでいたアニェスであったが、私は辛抱強く、少しずつ少しずつアニェスの心と身体を開いていった。

私たちの年は20近く離れている。

私は人より美しいと言われるが、アニェスにとっては、父親より年上のおじさんだ。

怖がらせないように、そして私にだけ懐くよう仕向けた。

最高級の教育を施し、気高く美しい淑女たれと教育されるアニェスは辛いとよく泣いていた。

それを私だけが慰めた。

傷ついているアニェスは私にだけ心を開き、甘え、慰めはやがて男女の触れ合いとなり、アニェスはどんどん淫らに成長していった。

私は夢中になって、ジャンヌにできなかったことをすべてアニェスに注ぎこんだ。

アニェスは私の理想そのものとなった。

そう、私はついに初恋と最愛を手に入れたのだ。

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