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9 晩餐会 中編
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「どうしたのだね。何かあったのか?」
「はい…実は―――」
わたくしは今回の晩餐会に先程ロッタ様に招待されたこと、それとこれまでロッタ様に苛められ、虐げられてきたことをお話しました。
それを黙って聞いていた王太子が口を開きました。
「そのような事があったのか……。噂では耳にしたことがある。ロッタ嬢の取り巻き達もあまりいい印象を持っていないと……なるほど」
良い機会でした。
一度二人きりになったらこのことを打ち明けようと思っていたところだったのです。
そして王太子にお聞きしようと思っていたのです。
何故わたくしと婚約者として選んだのかを。
わたくしの成り立ちは恐らくご存じのはずと思っておりました。
父は公爵としての地位はありますが、わたくしの母は庶民の出身です。
その子供だということは理解している筈、そんな娘を妃に迎えるなどと戯言だとそうわたくしは思っていたのです。
「それは勿論知っていたさ。しかし其方を以前王族の主催するパーティで見かけた時、私は其方に一目惚れをしてしまったのだ。最初は父…国王殿下には反対されたさ。貴族とはいえ庶民の母の出身者を王族に招くなど言語道断だ、とな」
「それはご尤もなご意見で御座います」
「しかしな、其方は外見だけの美しさだけではないものを持っているのだよ。私の生前の母に少しばかり似ておってな。実はな王妃とはいえ母も庶民の出身の子供だったのだ。このことは一部の幹部のみしか知らぬことなのだがな。其方には話しておこうと思っていた」
このことは内密だ、そう王太子に口止めされました。
このような事実を口外するほどわたくしは肝が据わってはおりません。
口外しないことをお約束したものの、正直ビックリな事をお聞きしてしまいました。
まさか、王妃様がわたくしと同じお立場だったとは。
そして王太子はご自分の母君の事を語り始めました。
王族にはない庶民特有の考えや行動、そして王族だからできる民たちとの関わり方、色々話してくださいました。
生前の王妃様がご自身でお料理をするという話にも合点がいきました。
「まぁ、私も初めは其方と婚約をするとは思わなかったのだ。だが、これも血筋なのかな、其方の事を忘れることが出来ずいたのだよ。殿下が紹介して下さった姫君や貴族の令嬢との見合いも全て断ってしまっていたのだ」
「まぁ……そのような事が」
「ああ、もう王族だの、貴族だの、庶民だの、一時の身分に捉われない、そんな国づくりを私はしたいのだよ。それに先程の其方の話、貴族の令嬢だから他の者を虐げること、それはあってはならない事。私が必ず其方を守る。約束しよう。だから安心して今日の晩餐会に行こうではないか」
王太子はそう言って私の手を優しく握って下さいました。
しかし王太子の言うこと、それは私に彼女たちへの復讐を止めろと言っているようにわたくしには聞こえました。
でも止めません。
今までどれだけの事をされ、耐えてきたのか。
王太子には申し訳ありませんでしたが、わたくしは今夜の晩餐会で彼女達を懲らしめる策を一人で考える事にしたのであります。
「はい…実は―――」
わたくしは今回の晩餐会に先程ロッタ様に招待されたこと、それとこれまでロッタ様に苛められ、虐げられてきたことをお話しました。
それを黙って聞いていた王太子が口を開きました。
「そのような事があったのか……。噂では耳にしたことがある。ロッタ嬢の取り巻き達もあまりいい印象を持っていないと……なるほど」
良い機会でした。
一度二人きりになったらこのことを打ち明けようと思っていたところだったのです。
そして王太子にお聞きしようと思っていたのです。
何故わたくしと婚約者として選んだのかを。
わたくしの成り立ちは恐らくご存じのはずと思っておりました。
父は公爵としての地位はありますが、わたくしの母は庶民の出身です。
その子供だということは理解している筈、そんな娘を妃に迎えるなどと戯言だとそうわたくしは思っていたのです。
「それは勿論知っていたさ。しかし其方を以前王族の主催するパーティで見かけた時、私は其方に一目惚れをしてしまったのだ。最初は父…国王殿下には反対されたさ。貴族とはいえ庶民の母の出身者を王族に招くなど言語道断だ、とな」
「それはご尤もなご意見で御座います」
「しかしな、其方は外見だけの美しさだけではないものを持っているのだよ。私の生前の母に少しばかり似ておってな。実はな王妃とはいえ母も庶民の出身の子供だったのだ。このことは一部の幹部のみしか知らぬことなのだがな。其方には話しておこうと思っていた」
このことは内密だ、そう王太子に口止めされました。
このような事実を口外するほどわたくしは肝が据わってはおりません。
口外しないことをお約束したものの、正直ビックリな事をお聞きしてしまいました。
まさか、王妃様がわたくしと同じお立場だったとは。
そして王太子はご自分の母君の事を語り始めました。
王族にはない庶民特有の考えや行動、そして王族だからできる民たちとの関わり方、色々話してくださいました。
生前の王妃様がご自身でお料理をするという話にも合点がいきました。
「まぁ、私も初めは其方と婚約をするとは思わなかったのだ。だが、これも血筋なのかな、其方の事を忘れることが出来ずいたのだよ。殿下が紹介して下さった姫君や貴族の令嬢との見合いも全て断ってしまっていたのだ」
「まぁ……そのような事が」
「ああ、もう王族だの、貴族だの、庶民だの、一時の身分に捉われない、そんな国づくりを私はしたいのだよ。それに先程の其方の話、貴族の令嬢だから他の者を虐げること、それはあってはならない事。私が必ず其方を守る。約束しよう。だから安心して今日の晩餐会に行こうではないか」
王太子はそう言って私の手を優しく握って下さいました。
しかし王太子の言うこと、それは私に彼女たちへの復讐を止めろと言っているようにわたくしには聞こえました。
でも止めません。
今までどれだけの事をされ、耐えてきたのか。
王太子には申し訳ありませんでしたが、わたくしは今夜の晩餐会で彼女達を懲らしめる策を一人で考える事にしたのであります。
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