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序章:新たなる日々
5話:歓迎会
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結局その場は夕食を押し込んで離れたランバートだったが、「来なければ迎えに行く。逃げようなどと考えるでないぞ」というシウスの招待状つきで帰ってきた。
歓迎会なのだから制服も脱いで私服で来いとの仰せに甘え、ランバートは実家から持ってきた私服に着替えた。同じく招かれているラウルも、短いズボンに簡素な服という楽な格好に着替えていた。
「ラウル、俺はお前に聞きたい事が山ほどできた」
「え?」
白いドレスシャツの胸元を開け、細身のトラウザーズにベルトを通しながらランバートは睨むように言う。そこに悪意はないつもりだが、ラウルは純粋に声の低さに怯えたようだった。
「あの人達と、どういう知り合いなんだ」
「あの……えっとね、それは、その」
問い詰める言葉にラウルは真っ赤になって下を向き、もじもじする。着替えを八割がた終えたランバートは、肉食獣が迫るようにしなやかに距離を詰めると、ベッドに腰を下ろしたままのラウルのすぐ傍まできた。
その迫力に思わず体を捩ったラウルは図らずもベッドに倒れ込む。まるで押し倒したような構図は、妙な生々しさがあった。
「さぁ、言ってしまいなさい。ラウル、いい子だから」
「僕の口からは、あの」
可愛い瞳に涙を浮かべるラウルは、怯えながらも誠実に答えようとする。その心のありようは真っ白なものだ。だから、これ以上ランバートは問い詰める事をせずに体を離した。
こんな真っ白なものをどうこうしようとは思わない。それに、大事なルームメイトだ。
「まぁ、あの人達に聞けば済む話だし、いいけれど。まったく、入団早々に悪目立ちするなんて。こんな予定ではなかったんだけれど」
「ランバートなら遅かれ早かれ、あの人達の目に留まったよ」
体が離れて安心したのか、ラウルは途端に安堵の表情を浮かべて苦笑してみせる。それをもう一度睨みながらも、ランバートは溜息をついて部屋を出る事にした。
3階へ上がる階段のすぐ脇には、外部の様子が見える小窓のついた部屋がある。そこには夜警の騎士がいて、人の出入りを監視している。
ラウルとランバートがその小窓を叩くと、すぐに人が出てきた。
「シウス様の部屋に行きます」
「あぁ、聞いている」
出された帳簿に名前をそれぞれ書いて階段を登っていく。そうして廊下に出ると、廊下の向こうからこちらへ向かってくる一人の男の姿が見えた。
「ラウル、シウスのところか?」
「はい、クラウル団長」
その名に覚えがある。暗府団長、クラウル・ローゼン。
「そちがランバートか。シウスの所で歓迎会らしいな。あれに気に入られるとは、入団早々災難だな」
「そんな事はございません、クラウル様。むしろ幸運ととっております」
丁寧にそう告げると、クラウルの瞳が僅かに細くなる。何か癇に障る事があったか、勘ぐられたか。そう感じたランバートはすぐさま笑みを胡散臭いものに変え、楽しげに笑った。
「随分刺激的な方達なので、俺程度がどこまでついてゆけるか心配ですが。それでも、あの方々の目に留まったのはこれからの騎士人生において幸いな事だと思っています」
「……物好きだな、お前も」
その一言でクラウルの追及は終わる。今はなんとも言い難いというところだろう。とりあえずそれでいい。別に騎士団に害を成す気はないのだ。まぁ、暗府を預かる長としてこれは職業病のようなものかもしれないが。
「すまない、俺は合流する事ができない。二人とも、度を超すような事はするなよ。困った事があればファウストが助けてくれる」
「はい、団長」
去り際にラウルの頭をくしゃりと撫でたクラウルが通り過ぎていく。その足音は無いに等しいくらい小さい。ランバートもやっと息がつけた。
歓迎会なのだから制服も脱いで私服で来いとの仰せに甘え、ランバートは実家から持ってきた私服に着替えた。同じく招かれているラウルも、短いズボンに簡素な服という楽な格好に着替えていた。
「ラウル、俺はお前に聞きたい事が山ほどできた」
「え?」
白いドレスシャツの胸元を開け、細身のトラウザーズにベルトを通しながらランバートは睨むように言う。そこに悪意はないつもりだが、ラウルは純粋に声の低さに怯えたようだった。
「あの人達と、どういう知り合いなんだ」
「あの……えっとね、それは、その」
問い詰める言葉にラウルは真っ赤になって下を向き、もじもじする。着替えを八割がた終えたランバートは、肉食獣が迫るようにしなやかに距離を詰めると、ベッドに腰を下ろしたままのラウルのすぐ傍まできた。
その迫力に思わず体を捩ったラウルは図らずもベッドに倒れ込む。まるで押し倒したような構図は、妙な生々しさがあった。
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こんな真っ白なものをどうこうしようとは思わない。それに、大事なルームメイトだ。
「まぁ、あの人達に聞けば済む話だし、いいけれど。まったく、入団早々に悪目立ちするなんて。こんな予定ではなかったんだけれど」
「ランバートなら遅かれ早かれ、あの人達の目に留まったよ」
体が離れて安心したのか、ラウルは途端に安堵の表情を浮かべて苦笑してみせる。それをもう一度睨みながらも、ランバートは溜息をついて部屋を出る事にした。
3階へ上がる階段のすぐ脇には、外部の様子が見える小窓のついた部屋がある。そこには夜警の騎士がいて、人の出入りを監視している。
ラウルとランバートがその小窓を叩くと、すぐに人が出てきた。
「シウス様の部屋に行きます」
「あぁ、聞いている」
出された帳簿に名前をそれぞれ書いて階段を登っていく。そうして廊下に出ると、廊下の向こうからこちらへ向かってくる一人の男の姿が見えた。
「ラウル、シウスのところか?」
「はい、クラウル団長」
その名に覚えがある。暗府団長、クラウル・ローゼン。
「そちがランバートか。シウスの所で歓迎会らしいな。あれに気に入られるとは、入団早々災難だな」
「そんな事はございません、クラウル様。むしろ幸運ととっております」
丁寧にそう告げると、クラウルの瞳が僅かに細くなる。何か癇に障る事があったか、勘ぐられたか。そう感じたランバートはすぐさま笑みを胡散臭いものに変え、楽しげに笑った。
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「……物好きだな、お前も」
その一言でクラウルの追及は終わる。今はなんとも言い難いというところだろう。とりあえずそれでいい。別に騎士団に害を成す気はないのだ。まぁ、暗府を預かる長としてこれは職業病のようなものかもしれないが。
「すまない、俺は合流する事ができない。二人とも、度を超すような事はするなよ。困った事があればファウストが助けてくれる」
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