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9章:帰りたい場所
おまけ2:復活を祝して
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ファウスト達に呼び出しを受けた翌日の安息日、ランバートは早朝訓練もそこそこに連れ出された。向かったのはルカの店。割られたショーウィンドーは綺麗に修復されている。
「ルカ」
「兄さんいらっしゃい!」
ファウストが裏口を叩くと直ぐに中から明るい青い瞳が覗き、扉が開く。ダイニングキッチンは見慣れたものより華やいでいた。
「あの」
「ランバートさんも入って! ほら、早く!」
「あの、わっ!」
背中を押されて中に入ると、パーティーの準備は整っていた。料理が並び、花も飾って。
「座って」
「あの、でも俺は」
邪魔なんじゃないか。そう思ってしまう。気持ちの面で後ろめたさや不安は消えたものの、後ろ向きな気持ちはそう簡単に切り替わらない。ルカには大変な光景を見せてしまった。怖くないのだろうか。
「ランバートさん」
心持ちピシッとしたルカが、腰に手を当てて少し怒った顔をしている。ランバートの服を引いて眉を寄せる姿は、ファウストが説教をする前に似ている。
「一度しか言わないから、ちゃんと聞いてね」
「え? はい」
自然と背が伸びて居住まいを正した。
「僕はランバートさんに感謝してる。助けてくれて有り難う」
「そんな、俺……」
「話はまだ終わってない!」
「はい!」
クワッと言われてしまい、思わず返事。その様子を、後ろでファウストが笑って見ている。
「ランバートさんのこと、怖いとか思ってない。僕はランバートさんの優しさを知ってる。僕は優しいランバートさんが本当だと思ってるから、怖くない。申し訳ない顔なんてして欲しくない。僕に対して、ランバートさんは何一つ謝る事なんてない」
きっぱりと言われた言葉が嬉しく響く。ここ最近、申し訳ないとか、身の振りばかり考えていたから余計にだ。
「僕は誰に何を言われても、ランバートさんの味方だよ。ランバートさんは僕の恩人で、僕の友達で、僕のお兄さんだから」
「有り難う、ルカさん……ん?」
最後の「お兄さん」は、どういう意味だろう。
「ルカ」
「と言うことで兄さん、早くランバートさんと仲良くしてね。僕はランバートさんならいつでもお兄さんって呼べるから」
「おい、ルカ!」
不意打ちを食らったファウストが声を大きくして、せっせと準備をしているレオとルカが笑う。置いて行かれたランバートはオロオロと見回すしかなかった。
「さぁ、今日は全部お終いのパーティーだよ。僕も明日からお店再開するから、再出発おめでとうパーティーもね!」
「俺も再出発。明日からまた、修行させてもらうんだよリフ」
「レオくんは筋がいいと思うよ。覚えもいいし、僕にはないフレッシュな感覚を持ってる」
側に来たレオが自慢するように胸を張る。その姿が可愛くて、ランバートも笑った。
「さぁ、リフも座って!」
「あっ、こら!」
「兄さんもね」
レオに背を押されて椅子に座らされ、隣にファウストも座る。ファウストの前にはルカが、ランバートの前にはレオが座って、グラスを持って乾杯をした。
温かな食卓は楽しい話と美味しい食事で賑わう。最初遠慮がちだったランバートも、徐々に前と同じように笑った。隣の人はその様子に、どこか安堵したようだった。
食事が片付いて、食後のケーキも食べ終えて、ファウストが片付けを申し出た。一度見た事のある紺色のエプロン姿でテキパキと仕事をする背を見ながら、やっぱり見慣れないなと苦笑した。
「ランバートさん、これ」
そう言ってルカが出してきたのは黒い箱だ。中身は香水だろうが、それにしては大きい。首を傾げながら箱を開けると、中には二つの香水が収まっていた。
「二つ?」
一つは以前にお願いしていたものだろう。透明なガラスに金の装飾がされ、月の形にカッティングされた栓をした香水瓶からは確かに、試作に近い爽やかでどこか甘い香りがした。
だがもう一つは覚えがない。透明なガラス瓶はこの店の物で間違いがないが。
確かめると、不思議な香りがした。植物性なのだろうが、花などのフローラルな感じはしない。清涼感のある感じだろうか。だがその奥には微かに甘さもある。使った事のないタイプだ。
「それ、俺が作ったんだ」
「レオが?」
照れたように言ったレオがおずおずと頷く。そばかすのある頬を僅かに赤くして。
「リフに、つけて欲しいなって思ってさ。これでも頑張って作ったんだぞ」
「そっか」
なんだかくすぐったくて笑う。少量を取ってつけてみると、シトラス系とは違う爽やかさと清涼感が広がる。悪くない感じだ。
「俺、ここで頑張ってみる。ルカさんにいつか一人前って認めてもらえるようになってみせる。そうしたら、俺がリフの香水を作るんだ。つけて、くれるか?」
「勿論!」
オレンジの髪をくしゃくしゃと撫でる。今からその日が楽しみで、思わず頬が緩む。レオの作った香水が、動くとフワフワと香った。
「ルカ」
「兄さんいらっしゃい!」
ファウストが裏口を叩くと直ぐに中から明るい青い瞳が覗き、扉が開く。ダイニングキッチンは見慣れたものより華やいでいた。
「あの」
「ランバートさんも入って! ほら、早く!」
「あの、わっ!」
背中を押されて中に入ると、パーティーの準備は整っていた。料理が並び、花も飾って。
「座って」
「あの、でも俺は」
邪魔なんじゃないか。そう思ってしまう。気持ちの面で後ろめたさや不安は消えたものの、後ろ向きな気持ちはそう簡単に切り替わらない。ルカには大変な光景を見せてしまった。怖くないのだろうか。
「ランバートさん」
心持ちピシッとしたルカが、腰に手を当てて少し怒った顔をしている。ランバートの服を引いて眉を寄せる姿は、ファウストが説教をする前に似ている。
「一度しか言わないから、ちゃんと聞いてね」
「え? はい」
自然と背が伸びて居住まいを正した。
「僕はランバートさんに感謝してる。助けてくれて有り難う」
「そんな、俺……」
「話はまだ終わってない!」
「はい!」
クワッと言われてしまい、思わず返事。その様子を、後ろでファウストが笑って見ている。
「ランバートさんのこと、怖いとか思ってない。僕はランバートさんの優しさを知ってる。僕は優しいランバートさんが本当だと思ってるから、怖くない。申し訳ない顔なんてして欲しくない。僕に対して、ランバートさんは何一つ謝る事なんてない」
きっぱりと言われた言葉が嬉しく響く。ここ最近、申し訳ないとか、身の振りばかり考えていたから余計にだ。
「僕は誰に何を言われても、ランバートさんの味方だよ。ランバートさんは僕の恩人で、僕の友達で、僕のお兄さんだから」
「有り難う、ルカさん……ん?」
最後の「お兄さん」は、どういう意味だろう。
「ルカ」
「と言うことで兄さん、早くランバートさんと仲良くしてね。僕はランバートさんならいつでもお兄さんって呼べるから」
「おい、ルカ!」
不意打ちを食らったファウストが声を大きくして、せっせと準備をしているレオとルカが笑う。置いて行かれたランバートはオロオロと見回すしかなかった。
「さぁ、今日は全部お終いのパーティーだよ。僕も明日からお店再開するから、再出発おめでとうパーティーもね!」
「俺も再出発。明日からまた、修行させてもらうんだよリフ」
「レオくんは筋がいいと思うよ。覚えもいいし、僕にはないフレッシュな感覚を持ってる」
側に来たレオが自慢するように胸を張る。その姿が可愛くて、ランバートも笑った。
「さぁ、リフも座って!」
「あっ、こら!」
「兄さんもね」
レオに背を押されて椅子に座らされ、隣にファウストも座る。ファウストの前にはルカが、ランバートの前にはレオが座って、グラスを持って乾杯をした。
温かな食卓は楽しい話と美味しい食事で賑わう。最初遠慮がちだったランバートも、徐々に前と同じように笑った。隣の人はその様子に、どこか安堵したようだった。
食事が片付いて、食後のケーキも食べ終えて、ファウストが片付けを申し出た。一度見た事のある紺色のエプロン姿でテキパキと仕事をする背を見ながら、やっぱり見慣れないなと苦笑した。
「ランバートさん、これ」
そう言ってルカが出してきたのは黒い箱だ。中身は香水だろうが、それにしては大きい。首を傾げながら箱を開けると、中には二つの香水が収まっていた。
「二つ?」
一つは以前にお願いしていたものだろう。透明なガラスに金の装飾がされ、月の形にカッティングされた栓をした香水瓶からは確かに、試作に近い爽やかでどこか甘い香りがした。
だがもう一つは覚えがない。透明なガラス瓶はこの店の物で間違いがないが。
確かめると、不思議な香りがした。植物性なのだろうが、花などのフローラルな感じはしない。清涼感のある感じだろうか。だがその奥には微かに甘さもある。使った事のないタイプだ。
「それ、俺が作ったんだ」
「レオが?」
照れたように言ったレオがおずおずと頷く。そばかすのある頬を僅かに赤くして。
「リフに、つけて欲しいなって思ってさ。これでも頑張って作ったんだぞ」
「そっか」
なんだかくすぐったくて笑う。少量を取ってつけてみると、シトラス系とは違う爽やかさと清涼感が広がる。悪くない感じだ。
「俺、ここで頑張ってみる。ルカさんにいつか一人前って認めてもらえるようになってみせる。そうしたら、俺がリフの香水を作るんだ。つけて、くれるか?」
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