特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第12章 -廃都フォレストトーレ奪還作戦-

†第12章† -07話-[七精の扉VSキマイラ戦]

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「(ニル、ここで分かれるぞ)」
『えぇー!?ソウハチ、自分の状況判ってるんですのー!?
 ニルが一緒だったから抵抗力が上がっていて生き残れたんですわよー!?
 分かれた瞬間死んじゃいますわよー!!』

 確かに今の俺は直接口で喋られるほどの余力すら無い。
 今もただただ落下していて、
 方向だけをユレイアルド神聖教国の陣営へと向けているだけだ。

「(お前の制御範囲を出ちまうとマリエルの磁界が解けるだろ。
 そうしたらあいつも俺の二の舞になっちまう・・・。
 アニマが回復を施してくれているし騙し騙しでクレアの元へ向かう。
 お前はマリエルとの合流を目指せ)」
『あ、アニマ!本当に大丈夫ですのー!?』
『大丈夫、と安請け合いは出来ないですぅ。
 でも問題はこちらだけではなくマリエルは現在も戦闘をしているのですよ?
 あの戦場にはニル。貴女が必要なのでは無いですか?』
『ぐぬぬ・・・』

 心配してくれてありがとうな、ニル。
 でも、今は俺よりもマリエルの方が心配なんだよ。
 わかってくれるな?

 心に映るニルの表情が悔しそうに歪んでいる。
 俺にお願いされ、アニマに諭されて。
 俺に付いていたい気持ちを無理矢理押さえ込もうとしているのがわかる。

「(マリエルを頼むぞ、ニル。死なすなよ)」
『んもぉ!!わかりましたわー!!
 ソウハチも絶対死んじゃ嫌ですからねー!アニマ!頼みましたわよー!!』
『任されたのですぅ』

 そう言い放ったニルは風精霊纏エレメンタライズを解除し、
 落下する俺とは反対に上昇を開始する。
 綺麗に魔神族と俺を直線で結ぶ線の上を飛んでいくのは、
 アポーツで俺を追撃出来ないようにする為だろう。
 全く、良く出来た娘だよ。

 アポーツを発動させる条件付けとして、
 対象に自分の磁力を付与させる必要がある。
 それは一瞬で対象に届き、一瞬でアポーツは発動するので判りづらいが、
 タネさえわかっていれば磁界を展開して磁力の付与を妨げれば先の強襲を再び受ける事は無い。

「(とはいえ、時間はないな)」
『その通り、人体破壊はかなり深刻ですぅ。
 クレアの再生魔法も万能ではないと思いますけれど、
 文字魔法ワードマジック以外となれば聖女に頼らざるを得ませんですぅ』

 アニマの言うとおり、俺は俺の苦しみをすぐに治める方法がある。
 しかしそれを使っては今回の戦場にはもう復帰できなくなってしまい、
 ベッドの上で勝ったか負けたかを聞かされる羽目になる。
 そんなのはごめんだ。
 もし、負けてみろ。俺は耐えられる自信が無い。

 だからクレアを頼るのだ。
 同じく肉体破壊を治す再生魔法を操る聖女クレアをだ。

「(時空を制御して空中にランディングする。
 その後はゲートを開いてクレアの元へ行くぞ)」
『ニルとマリエルと勇者が上手く立ち回っていなければ、
 最悪聖女の元へ乗り込まれますよ?』
「(迷惑掛けて申し訳ないが、信じるしか無いだろ。
 アニマは俺が死なないようにHP管理をしてくれよ)」
『今も回復は継続しています。
 それでも継続ダメージでガリガリと削れていますがね・・・』

 今回初めて知った事実だが、
 臓物が焼けただれたり焦げたりすると継続大ダメージが発生するらしい。
 おかげで俺はずっと死にかけさ。

 ザ、ザ、ザザァ・・・
 足裏に全神経を集中させて時空の制御力を展開。
 空中でランディングを開始。
 空間を固定出来る規模もそこまで大きくはないので、
 幅2cmの緩やかな坂を形成して滑り降りていく。
 落下速度もそのままなので風も強くて必死にバランスを取りながらなんとか停止することに成功した。

「・・・ふぅぅぅぅぅぅ」

 何をするにも体が痛い。
 ランディングの間も足が膝から崩れ落ちそうで怖かった。
 集中する為に止めていた息もやっと吐き出して、
 俺はやっとゲートの作成を開始する。

「ぼげぇぇぇぇぇぇ・・・・」
精霊の呼吸エレメンタルブレスで肉体強度が増しているとはいえ、
 死にかけではありますからね・・・。
 私が言うのもアレですが、よく生きていますね』
「(それは俺も思う。スキル様々だよな。
 血を吐かなくても良い位良スキルなら尚良しだったわ)」

 血を吐きながらもスッスとゲートを描く。
 マリエルとメリオを信じてはいるものの急ぐに越したことは無い。

「(クレアへの説明はアニマちゃんお願いね)」
『ちゃん、とか・・・おえっ』
「(ひどくね?とにかく頼むぞ?)」
『精霊王に任せてください!』

 契約者が死にそうなのにアニマは相変わらずだな。
 まぁ俺も苦しく血も吐いているほど重傷なのに想像していたより体が動かせるのは流石ファンタジーって感じだ。

「(《解錠アンロック:クレアんとこ》)」
宗八そうはち、雑ですよ』
「(これで繋がるんだから大丈夫。
 詠唱と同じでイメージさえ出来ていればいいんだよ)」

 詠唱は魔法のイメージを補填する意味がある。
 イメージさえ出来ていれば制御力で使用は出来るんだから、
 ある程度適当でもクレアのところに繋がるゲートと繋がるのは確定的明らかだ。

 当然ゲートは繋がる。
 向こうからは何かごちゃごちゃ声が聞こえるけれど、
 残念ながら俺は死にかけているのでちゃっちゃとゲートを超えていく。
 このゲートも通ったら閉めないと余計な戦火にクレアを巻き込みかねない。
 それは俺的にも面白くないし、
 もしも巻き込んだ場合はとある姉妹が俺を血祭りに上げることだろう。

 一歩目で地面に着地する。
 なんと安心することか。
 まさか地面に足を付けるだけでここまで心が落ち着くとは・・・。
 ファンタジーな世界はなんと恐ろしいことか・・・。
 なんて事を考えていたらクレア(?)がなんか指示を出している姿が目に映る。

「水無月さん!こちらへ横になってください!」
「歩けますか?」
「どちらに攻撃を受けられたのですか?」

 何が起こっているんだ?
 いくらなんでも登場からすぐにこの状況を理解したような動きはおかしくね?
 アニマ、聞いてくれ。

『皆さん、何故宗八そうはちが怪我を負ったと知っているのですか?』
「声からしてアニマ様ですね。
 アルシェから予想の範疇でしたが連絡を受けておりまして、
 もしも水無月みなづきさんが私の元へ訪れたら力になって欲しいと」

 アルシェすげぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
 予想!?予想ってマジっすか!???
 賢すぎだろぉぉぉぉぉぉぉっ!!

『アクアが宗八そうはちの異常に気付いたのでしょうね。
 そこから宗八そうはちを落とせる戦力などから計算したのでしょう。
 人間ながら素晴らしい洞察力ですね。
 宗八そうはちは喋ることも出来ないほどダメージを負っていますからさっさと連れて行ってくださいですぅ』
「わかりました、二人とも」
「「水無月みなづき様、失礼いたします」」

 あ、ちょ、あぁぁぁぁぁぁぁ・・・あ?
 素早く俺を担いで素早く移動しているのに全然振動とか感じない。
 おかげで内蔵系のダメージに影響を与えないとかこれまた凄いな。
 そのままマットレスに見える簡易ベッドへ寝かせられる。

「装備品の解除をお願いします。
 体のどこにダメージを負っているのか診察いたします」

 指示に従いステータスを操作して頭からつま先まで外していく。
 でも兜って透明化にチェック入れてるから防御力補正だけが含まれるだけなんだよな。
 外す必要ってあるのかな?

『(医者が外せと言っているのですから黙って外しなさいな)』

 はいはい、難癖付けて申し訳ございませんでした。
 この世界に医療機器はアーティファクトしかなく、
 それらは全て魔法ギルドが管理している。
 だから彼女達は俺の体を触診して痛いかどうか聞いてくる。
 全身が痛いけど、特には触れていた土手っ腹が痛いッス。

『全身が痛いけど、特には触れていた土手っ腹が痛いッス。だそうです』
「確かに全体的に肌が硬直していますね」
「お腹に至っては吐き気を催す異臭を放っていますね」
「臭い」

 鼻を摘まみながら冷静に言うのはやめていただけませんかね?
 あと妹の方は本当に遠慮なくなってんな!

「これで生きてるって凄いですね」
『スキル[精霊の呼吸エレメンタルブレス]で肉体強度が上がっているので、
 原型を留め臓物も辛うじて稼働し我々無精が常に回復魔法を掛け続けています』
「無精ではHPは回復できても内面の回復が出来ないから来られたのですね。
 ただ、精霊の呼吸エレメンタルブレスが私の治療の障害になるかと・・・」

 今生きているのは精霊の呼吸エレメンタルブレスのおかげ。
 でも、復帰する為にはこれを解除しないといけない。
 いくら聖女の再生魔法でも一気に内部が治療出来るわけじゃない。
 俺、生き残れるのか?

『だそうですが?流石にこれが死ぬと私も困るですぅ』
「う~ん、体に魔力が直接通っている人を治療するのは初めてなのではっきりとは言えません。
 魔力を抜いてもらう必要は絶対にあるのですけれど、
 どのラインで水無月みなづきさんが死んじゃうかわかりませんね・・・」

 怖いこと言わないでくれ。
 過大評価する訳じゃないが、俺が死んだらマリエルが持たない。
 早めに戻らないと・・・。

「治療には水無月みなづきさんの魔力を使わせていただきます。
 これはアルシェから許可を頂いていますし時間も無いので了承ください」
『もう、勝手にしてくれ。
 魔力は徐々に抜いていくから逐次指示をしてほしい、とのことですぅ』
「わかりました。
 では、これより再生魔法の施術を始めます。
 ハミングも手伝ってくださいね」
『任せてください!』


 * * * * *
 複数のモンスターが合わさった様な外見のモンスター。
 戦闘を継続観察した結果、それなりに判ったことがある。

「中央の山羊から優先して潰します!
 メリー、低ランクを全て対処しつつ私に合わせて下半身の拘束を!」

 1つ。肉体は強靱で物理攻撃力が異常に高い。
 あの巨体を支えて十二分に前足だけで前後左右の攻撃でも威力が落ちない。
 山羊の後ろ足も蹴り上げで地面が割れる威力。

「威力が足りずとも攻撃には回避や振り払いを行います!
 弓と魔法は常に最大威力で位置のコントロールを!」

 2つ。背中の山羊頭が魔法を多用する。
 炎、水、風、土と基本四属性の表のみではあるけれど、
 牽制や回避で体勢が崩れている所へ撃ち込まれると危ない場面をどうしても作ってしまう。

「ゼノウは蛇の視線を釘付けにしなさい!
 ライナー他二名は魔法の誘発と囮です!」

 3つ。尻尾の蛇が毒全般を扱い、なんか伸びる。
 かみつき攻撃、強靱な肉体でのなぎ払い、毒霧などだけれど、
 根元の身体がどっしり安定感がある所為で縦横無尽の軌道を取って読み切れない攻撃を仕掛けてくる。

「ポシェントとセーバーは全面の猫と全体の動きを抑えなさい!
 拘束を掛けたら肉を削いでそのまま核の破壊を!
 セーバーは反対から[嵐剣]のノックバックを利用して拘束が解けないように位置固定の手伝いを!」

 4つ。核が3つ存在している。
 聖水セイントウォーターを掛け瘴気を祓い、攻撃を行っても深手にはならない。
 それでも何度も攻撃を加えるうちに核の露出は何度かあった。
 つまり、今まで見たことのある禍津核まがつかくモンスターと違う理由は、
 三位一体のモンスターだったから。

「リッカは下半身の拘束が完了したら直ぐさま蛇頭を根元から切断しなさい!」

 中でも際立って強さを見せているのはやはり、
 ポシェント、メリー、リッカの三人。
 セーバーもリュースィの力を借りて一撃の高さは評価に値する。
 でも一瞬一瞬煌めくのも悪くはないですが、
 もう二段ほど上に居るのが先の三人です。

 正面から戦っているのがポシェントとリッカの二人。
 山羊頭の魔法は片っ端からメリーが食い荒らしていたけれど、
 これ以上は叩いても何も出てこないと判断して交代させた。
 おかげで被害は今のところ出ていない。
 他のメンバーも陽動や蛇、周囲の低ランク瘴気モンスターの相手をしていて仕事を熟してくれた。

「やっと行動の把握が出来ました。
 思考は元から高かったけれど操られているだけの状態では成長は見られなくて助かりました。
 とはいえ、山羊が居る限りはこちらの魔法反応にも敏感でしょう」

 動きを制限し、瘴気を剥ぎ、肉を削ぎ、核を破壊する。
 少なく見積もっても4つの工程が必要。

 ますたーの[魔法剣戟まほうけんげき]はあぁいうのを相手にする為の技なのになぁ~。
 大物を倒す為に編み出した技だし~。

蒼天氷覇斬そうてんひょうはざん
 でも、あれは既にお兄さんの固有魔法と言っても良いものでしょう?
 それにお兄さんと私は役割が違いますから」

 お兄さんは正確には一人ではないけれど、
 便宜上一人で大物も倒せる護衛隊のエースの役割も持つからそういう技も扱うけれど、
 そもそも魔法剣でなければ冒険始めの人は発動すら出来ない魔力量を要求されますし。

 変わって私はお兄さんが帰ってしまった後もこの世界で生き続けることを考えて、
 仲間と役割分担をして楽して勝つ方法を取っている。
 一人でもそれなりに戦える自信はもちろんありますが、
 マリエルやメリーやクランメンバーといった壁を突破した敵を倒せる可能性を少しでも高める為に力を温存させるという目的もありますから。

「ん、そろそろタイミングが取れそうね」

 魔力は十分に用意出来てるよぉ~!

「《アイスピラーバインド!!》」

 セーバーに向けて振り下ろされる大きな前足。
 魔法も乗って素早く回避したセーバーの代わりに氷柱が発生し、
 攻撃の勢いを利用してそのまま手のひらを刺し貫いた。

「GYAOOOOOOOO!!!!!!」

 痛いのだろうか?
 少なくとも肉体の再生に魔力を回された囚われの精霊は悲鳴を上げている事だろう。
 氷柱は尖っていた先端を留め金へと姿を変え敵の前足を地面へと拘束に成功する。

「《八重結び》《影縫かげぬい》」

 メリーの魔法[八重結び]。
 影から八本の閻手えんじゅが伸びて交互に重なり合って拘束すると、
 対象が受けようと身体を引くたびに締まりがキツくなる。
 一度受けると抵抗は逆に窮地に追い込まれるので、
 正しい解除方法はメリーを倒すしかない。
 どちらにしろ難しいという地獄のような拘束魔法がモンスターの後ろ足の二本共を飲み込んだ。

 ちなみ前足も片方だけでは暴れられると解けてしまうので、
 バランスを取ろうともう片方の腕を振り下ろした時に拘束させてもらった。
 これでこのモンスターは四肢の動きが制限され、
 自由に動かせるのは背中の山羊頭の魔法と尻尾の蛇頭だけとなる。

「絶刀!かすみの構え!《花仙かせん!》」

 リッカの技は名前が長い分基本的には一撃で終わる。
 型を言っているだけだろうから言わなくても問題はないはずとお兄さんは零していた。
 その言葉の通りに一太刀の下、尻尾の蛇は根元より跳ね上がって少し遠い位置で瘴気へと消えた。

「ポシェント!セーバー!」

 山羊頭は冷静に魔法の行使により拘束魔法の解除を選択したらしい。
 闇属性と氷属性であれば四属性しか扱えない山羊頭が選択するのは当然前足の解放だろう。

 魔法の気配は火属性と土属性。
 溶かして砕こうとしているみたいだよぉ~!

『《水霊瀑布槍メイルシュトローム!!》』
「《嵐伸剣ヴェルテリア・ザンバー!!》」

 アクアちゃんの警告を聞いている間に二人は攻撃の準備を整えて行動に移していた。
 ポシェントの水霊瀑布槍メイルシュトロームは槍の先端が刺さった傷口から水が侵入し傷口を広げて肉を内側から弾かせた。
 その威力に一瞬バインドが解けるかと危惧を抱いた瞬間には、
 セーバーが反対からモンスターの肉体を押して位置の固定を上手く調整してくれた。

〔核の露出確認!傷は入れられたが破壊には至れなかった!〕
「《竜玉りゅうぎょく》セット:聖水セイントウォーター

 ふぉいやー!

「リッカ!」
〔はい!《一ノ型:風花抜き!》〕

「ノルキアとディテウス、ゼノウとライナーも続きなさい!」
〔行きます!〕

 核にも瘴気は多分に含まれており、
 それがより一層囚われの精霊を苦しめる。
 核自体の防御力も上がってしまうので先に瘴気を剥がしてから攻撃をさせてみたけど・・・。

 アクアちゃんの[ウォーターレンズ]で遠目から確認しても、
 細かなヒビまでは入っているけれど破壊には至っていない。
 先の攻撃したメンバーは硬直が入ってすぐには動けない・・・。
 モンスターの肉も盛り上がり初めて肉体の修復は時間の問題だ。

「フランザ、アネスはトワイン、モエアの支援をして、
 核への追撃にて破壊しなさい!」

〔了解!〕

「《蒼天そうてんに広がる星々ほしぼしよ、魔力の奉納ほうのうを持って我は願う。アブソリュート・ブレイカー!》」

 核の周囲へと放射を開始する。
 後続の攻撃を邪魔するわけにはいかないけど、
 同時に肉体の再生を阻害しなければならない。
 絶妙に弱めた放射で核周りだけを凍り付かせ、四人も素早く行動に移してくれた。

「「《強弓!》《波動ブラストアロー》!!」」

 弓使い達が選択した技は波動ブラスト
 ヒビが入って崩れる寸前の核を破壊するならば妥当な選択であり、
 そしてこの波動ブラストの属性は無属性。

 つまり他属性なら著しく威力が落ちる事になるのだが、
 波動ブラストであれば無精の未熟さ意外に落ちる要因はない。

「「シュート!!」」

 間に合った。
 放たれた二本の矢は核へと吸い込まれていき、
 衝突と同時に小規模ながらその肉体を通り抜けていく。

 核は肉体に半分埋まった状態ながら受けた衝撃で破裂。
 見事に三つ存在する核の一つを破壊することに成功した。

〔よし!〕
〔〔やったぁ!〕〕

 敵には核は二つ残っていて未だ生きているものの、
 これにて魔法の使用は出来なくなるうえに、
 出力も落ちるこの複合モンスターのランクは10を下回ることだろう。

「喜ぶのは後回しです!
 浮遊精霊ふゆうせいれいの保護を優先!」
〔私の影の中に一旦保護いたします〕
「これより私は他の将軍たちの支援に向かいます。
 以後の指揮権を一旦ゼノウに任せます」
〔了解、お気を付けて〕

 うちの将軍達も善戦はしていても、
 こちらと同じくランク10超えの敵を相手に戦闘の出来る人材が揃っていない。
 将軍達に負担が偏り消耗を強いてしまっている状況を早めに解消しなければ、
 紅い夜の効果もあって少し怖い。

「フリューネ様ぁ~~!!
 少し図々しいとは思いますがお願いがございますぅ~~!!」
『ん~~?どうしたの?』
「お隣の大きいモンスターの下まで届けて貰えませんかぁ~~?」
『アルシェのお願いなら聞くようにって宗八そうはちから言われてるから良いけどさぁ~、
 空の戦闘はどうするの?』
「生命力の高い個体が狙われるのでどちらにしろフリューネ様に群がります。
 多少であればメリーが処理致します!」

 クーちゃんと[ユニゾン]したメリーは私たちよりも柔軟性が高い。
 魔法が不得手なメリーは私だけでなくお兄さんの魔法や、
 アクアちゃん達精霊の訓練の様子も見て発想力が鍛えられたらしい。

 元から攻撃に不向きの闇魔法だからこそ、その形は発想次第。
 腕を振るえば影から大きな鎌が出て小型モンスターを瘴気に変え、
 手首を返せば影から杭が出て中型モンスターを瘴気に変え、
 握って見せればそこには[黒玄翁くろげんのう]が発現し、
 それを打ち込めば[波動ブラスト]の効果で核ごと破壊する。

 大型以外であれば彼女達が一番瘴気モンスターを個人で倒しているのは疑いようのない事実であった。
 空から強襲しようがメリーの支配領域に飛び込むなら望む所ってもんですよ。

 バッサバッサと力強い羽ばたきで私の身体は宙に浮いていく。

『振り落とされないように角でも掴んでおいてよ』
「わかりました、よろしくお願いします」

 力量が同じであれば敵情報さえ判明次第対処は出来るでしょう。
 アインスさんへの報告はすでに終えていて、
 各将軍にも伝わっているだろうから核の個数と戦闘方法くらいは把握出来ていると助かりますが・・・。
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