特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第12章 -廃都フォレストトーレ奪還作戦-

†第12章† -36話-[改めて、キュクレウス=ヌイ対策検討]

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 ピリリリリリリリ、ピリリリリリリリ!
 [アインス=ヴォロートから連絡が来ています][Y/N]

 隣に来て一緒に[キュクレウス=ヌイ]の様子を見ていたアルシェも反応した事から、
 俺達2人に動じ通話が来ているらしい。

「「お疲れ様です」」
〔あ、お二方ともご一緒なのですね。お疲れ様です。
 トレントの女王が動き出しましたが、魔神族は退かれたのですか?〕
「はい。俺達は無事ですが、怪我をした者は聖女の元へ送って治療中です」
〔ご無事で何よりです。
 さっそくですが、キュクレウスを見られておりますか?
 未だ動きらしい動きはありませんが、
 各地に凶暴な見た目の触手が地面より複数体出現しております〕

 確かにエイリアンの頭みたいな先端をした触手がアスペラルダでも確認出来ている。
 だが、目に属する部分は見当たらず、
 周囲を見渡す動作すら行わずそこに佇んでいる。

「トレントは後少しのようですね」
〔精霊様方のおかげで被害はほぼありませんでした。
 残りも触手が動く前にと奮闘しておりますので時間の問題かと〕
「わかりました。
 数えてみましたが、うちに出ている触手は合計42本です」
〔地上からでは出現範囲が広くて数えるのは諦めていましたが、
 助かります。他国にも情報共有致しますね〕

 ピリリリリリリリ、ピリリリリリリリ!
 [セリア=シルフェイドが通話に参加しようとしています][Y/N]

 おっと、丁度良いタイミングですね先生。
 動きの無い今のうちに新情報があればお教え願いたいのでYESをプッシュだ!

〔割り込み失礼致しますわ。
 とりあえず本物を観察した限りの情報をお伝え致します〕
「お願いします」

 予想通りセリア先生が新しい情報を持ってきて下さった。
 返事はアルシェが行い先生の説明が始まる。

〔まず、前提としてキュクレウスの上位互換がヌイとなりますわ。
 つまり樹姫の能力である[森林共生]が強化と瘴気による狂化でヤバイ事になっていますわ〕

 トレントの最上位種、キュクレウス。
 その能力である[森林共生]とは、キュクレウス自身が住処となって小型~中型の魔物と協力関係を結んで力を合わせて支配地域を守る守備に適した能力のことだ。

 そして、ヌイは身体も大樹の街[ハルカナム]に存在したグランハイリアハイリアに及ばずとも一回り~二周り小さい程度のデカさだ。
 その分住処としても巨大であり、
 禍津核まがつかくの効果なのか本来な長い時間を掛けて集まる森林の仲間を次々と生成しているらしい。

〔各地の触手ももちろんですが、
 本体に成っている果実もおそらくは魔物化していると思います。
 そもそも、今回に限っては本体から離れる全ては魔物と思って行動すべきですわ!〕
「アクア」
「アクアちゃん」
『あいあい。《ウォーターレンズ》』

 もたらされる情報だけでなく自分の目でもその果実とやらを確認する。
 指で作った輪っかにアクアの魔法で水の膜が張られ、
 遠近感の調整をして焦点を各果実に合わせる。

「変な形の物からよく知る果物もありますね」
「あれは鬼灯か……」
〔こちらからは遠すぎて視認出来ませんね
 知っている果実があるのでしたら教えていただけますか!?
 各国に情報共有いたしますので!〕

 アインスさんの希望に沿ってまずアルシェが良く知る果実を伝えていく。
 まぁ、ここからズームして見える果実って時点で大きさは実際に知る果実と数十倍違うだろうけどな。

「鬼灯は柔らかな表皮に守られた果実が中に入っている袋状の植物です」
「袋状……あの赤いっぽいのですね」
「他はちょっとわからないです」
〔情報に感謝します〕
〔果実だけでなく虫類も共生の観点から存在するでしょう。
 さらに加えて守護者しゅごしゃの役割を担う竜種がいるはずですわ。
 大抵はその辺に居るトカゲのような魔物の進化を促して行う共生ですが、
 今回は本当に竜がいるかもしれませんわ〕

 竜?何だっけ?世界樹にも根っこを囓ってる奴居たよなぁ。
 ニーズヘッグ?
 ユグドラシルとキュクレウスがもし似た繋がりを持つなら、
 もしかしたら蛇かもしれない。

 ピリリリリリリリ、ピリリリリリリリ!
 [カティナ=スプリディアが通話に参加しようとしています][Y/N]

「応!解析終わったか?」
〔終わるわけないデスカラァ!!
 アニキは馬鹿デスネ!ばか!BAKA!〕
「あ”?」
〔じょ、冗談デスカラ!怖い声出すのは無し!無しデスヨ!
 あちし3徹してるデスカラ、多少情緒不安定でも許して欲しいデスカラァ!ゴメンナサイ!!〕

 おっと、つい幼稚な馬鹿連呼に苛ついてしまった。
 俺も連戦が続いていて疲れが溜まっている様だ。

「丁度良いタイミングだからさ、ちょっと顔出せよ。
 なかなか見る機会の無い奴が居るから、最終決戦が始まる前に見ておいた方がいい」
〔確かに一生の内にランク10以上を見る機会はありませんわね〕
〔うぇ~~、う~~~ん。
 見たいという欲求とそろそろ休みたい欲求が鬩ぎ合うデスヨォ……〕
「あくしろ」
〔ハイ!〕

 セリア先生のお誘いもあって最後は良い返事をした寝不足カティナは、
 すぐに空間転移で俺達の真上に出現する。

『――そらっ!!?アニキッーーーーーーーーーーー!!!』
「はいはい、暴れんな」

 俺を起点に空間を繋げたカティナはいつもの感覚でこちらに来たのだろう。
 地上なら問題なく足を踏み出して問題はなかったが、
 キュクレウス=ヌイの全容を見ておこうと残念ながら現在は上空だ。

 なので空間に前兆が見えた時には、
 ちゃんと下に移動して受け止め体勢を整えていた。
 そのまま叫びつつ落下してきたカティナを綺麗にお姫様抱っこでキャッチして任務完了。

『空なら空と言っておいて欲しかったデスカラァ!!
 目が覚めちゃったデスヨ!どうするんデスカッ!!』
「じゃあ最後までこっちを手伝うか?」
『あちし戦闘向きじゃ無いデスカラ!!
 判明した情報伝えてキュクレウス見たら帰らせていただくデスケドォ!!』

 まぁ仕方ないね。
 カティナは後方サポートメンバーって感じだし。

『オ~!アレがキュクレウス!!
 ……なんか…思っていたよりも……巨大デスネ』
「なかなか見られないだろ?
 あと、情報くれ。少しでも糸口が欲しい」
『あーハイハイ。
 瘴気の魔石デスケドォ、アレの発生は普通の魔石と同じデスネ。
 ただし、欠片から成長する過程が違っていて欠片自身が大きくなる魔石と違い、
 瘴気の魔石は周囲にある物質を歪めて大きくなるデスカラァ!
 理由は瘴気の特性デスネ』

 自身を成長させるか外郭を嵩ましするかの違いか。
 なら成長速度は全く違ってくるだろうな。

「濃度が高くなければ成長出来ない魔石と、
 瘴気として周囲を浸食する特性を持って成長する魔石ですか……」
『流石に数日で急成長するわけじゃ無いデスヨ?
 アルシェやアニキが見た大きさは数ヶ月で成長した現時点での最大デスカラ。
 それに多くは浄化したって聞いてるデスヨ?』
〔アルシェ様が浄化をしましたけれど、
 結局の所何がしたくてあの魔石を作っていたかが問題ですわ〕

 まぁ魔石の成長度合いは今回の短期決戦なら問題では無い。
 何に使用する為に生成場を作ったのかだ。

『そこまではわからなかったデスネ。
 普通の魔石とのさらなる違いは外も内も瘴気まみれってところデスカラ!』
「瘴気まみれ?」
『普通の魔石はその身は確かに魔力溜まりの属性に合ったものデスケドォ、
 中身はアニキ達が込めないと空っぽデスヨ。
 それに比べて瘴気の魔石はなんと!中身もセットで存在するデスカラ!』
「つまり浸食もするし自身で瘴気を増産できるって事か。
 完璧とは言えなくともかなりの範囲を浄化は出来て総量的には瘴気溜まりは半分以下になっていると思うが……」

 だからといって、結局瘴気がキュクレウスにどのような影響を与える物なのかはわからない。

『わかったことの報告は以上デスカラ!!
 アルシェの目も怖いしあちしは帰るデスヨ!!アニキ!落として!!』
「情報ありがとう、また頼るだろうからちゃんと睡眠は取ってくれ」
「カティナさん!私が怖いってどういうことですかっ!?」
『アデュー!!!』

 こうしてカティナは魔法ギルドへ帰っていった。
 怖いという評価を受けて憤慨するアルシェは納得いかないとカティナへ鬼電を始めている。

「瘴気を使って何かをする可能性は高いですから、
 各国の光精に瘴気を気に掛けて貰いましょう」
〔ですわね〕
〔ギルマス回線で伝えておきます〕

 瘴気は人間にも精霊にも聖獣にも害になるものではあるが、
 最も敏感なのは光精だから任せてしまおう。
 セリア先生のキュクレウス情報はどこまで聞いたかな?

「話を戻しましょう。
 キュクレウスの戦力が果実が複数と竜と頭持ちの触手ですよね?」
〔まぁキュクレウスとしての情報は実際以上になりますわね。
 あとは対処方法を検討ですわ。他にも禍津核まがつかくを持っていますから何かしらの能力は持っているでしょうね〕
「動き出さないなら勇者達が戻ってから開始したいところですけどね。
 アインスさん。勇者はどうなっているかわかりますか?」

 仮称で言えばあの触手はキュクレウス=トレマーズとでも呼ぶか。
 鬼灯はキュクレウス=ファイサレス。
 その他多くも見た目から適当に決めていく。
 どうせ戦いが終われば最終的は名前はギルドは決めてしまうだろう。

 それよりヌイの戦闘力がわからない以上、
 戦力として勇者が戻ってくるに越したことは無い。

〔ダンジョンの攻略は順調のようですが、
 構造はダンジョン化によりラフィート殿下から伺っていたマップが意味を成していないと……〕

 改心しても使えねぇ王子だな。

〔地下は無し。
 階に上がる毎に狭くはなっているらしいので予想ではあと二時間程度で[ガーディアン]と戦えるかと〕
「ダンジョンなら理不尽な出現はしないだろうから、
 トラップに気をつければなんとかなりそうか……。
 ただし、こっちの戦力に考えない方がいいですね」
〔エンカウントは瘴気の影響を受けたダンジョンなので高いようですが、
 水無月みなづきさんが考える様に勇者様の戦力を当てにするのは愚策かと〕

 方針はこんなもんか。単純やな。
 本体のキュクレウス=ヌイはランク14か15の魔物と判断出来ているが、
 トレマーズやファイサレスのランクは個別に把握しておかないと兵士に無駄死にを出してしまう。
 先発は強い奴に出させる必要がある。
 もちろん各国が同時に動き出して変な暴れ方をされないように気をつけないといけない。

「んっ!?ヤバイヤバイ…。
 アルシェの命令で全体の動き出しは調整しておいてくれ」
「え? あぁ、そういう。
 今更お兄さんが主導になっていたって気付いたんですか?」
〔魔神族の相手を出来て撃退も出来るアスペラルダは、
 今や人間領の救世主ですわ。
 この戦場、始まりから今まで牽引した実績からも発言権は一番ですわ。特に水無月みなづきくん〕
〔確かに護衛隊長が王族を通り越して他国に命令はダメですね…ははっ……〕

 ついいつもの感じで考えて言葉にしちゃっていたけど、
 残念ながら今回は三国共同戦線だったな。

「じゃあ、アインスさんとセリア先生と各ギルマスと代表を交えて調整しますね」
「頼む」

 俺はグループ通話を切って、改めてコールを掛ける。

「《コール》プルメリオ=ブラトコビッチ」
 ピリリリリリリリ、ピリリリリリリリ、ポロン♪

〔み、水無月みなづきさん!?いま俺ダンジョンで戦闘中なんですけどっ!?〕
「あと二時間くらいでガーディアンだって?」
〔予定ですけどね〕
「遅い。爺さん前に出してさっさとガーディアンを倒してくれ」
〔えぇ~!?そんな無茶な!!
 こっちは瘴気モンスターと瘴気の状態異常と戦ってるんですよ!?〕
「瘴気の状態異常?」
〔ダンジョン中に瘴気が漂っていて、
 いちいち浄化していると戦闘のテンポも悪いからと放置していたら瘴気の状態異常になってステータスが全体的に弱体化するんです〕

 なるほど、魔神族は結構今回の作戦に本気なのかも知れない。
 瘴気の状態異常があるとは気付かなかった。
 長く吸い過ぎると弱っていくのだろうと考えていたが、
 実際に状態異常として存在するなら殺傷性は高そうだ。

 勇者以外の踏破が難しい勇者専用ダンジョンとは恐れ入る。

〔都度浄化するか、サンクチュアリを常時展開しないとまともに前には進めないんです。
 これでも外の状況を理解した上で急いでいるんですよ〕
「わかった。無理を言って悪かったな。
 おそらく外の衝撃とかはダンジョン化の影響で何も伝わらないと思うけど、
 何か状況が変わったら知らせてくれ」
〔わかりました。外の事、よろしくお願いします〕

 メリオとの通話が切れた。
 う~ん、やっぱり後から考えても無茶を言っちゃったなぁ。
 終わったら改めて謝っておこう。

 とはいえ、勇者なしでってのも辛いには辛いがなぁ。

『精霊使い。腕を出して下さい』
「速過ぎんか?」
『《硬化スチール

 聞こえた声は光精テルナローレ。
 お忘れだろうがアスペラルダに協力している唯一の光精だ。

 希望通りに腕を突き出せば間髪入れずテルナローレが鉄棒のように腕に捕まり、
 一回転して上部に着地した。

『アーティファクトを使っても良かったですが外なら一瞬なので直接来ました』
「もう動いたんですか?」
『量が量なのか動きは鈍いですが確かに動きましたよ。
 ほら、果実が徐々に増えているでしょう?』
「どのくらいで枯渇する予定で?」
『8時間は持つかと思われます』

 ちっ!
 それでもアルシェ達が浄化した事を考えればかなり短くなった方か?

『本来なら24時間以上は持っていたでしょうし、
 これからの働き次第でまだ短く出来るとは思います』
「アルシェ達の方にもそれを伝えて下さい」
『わかりました』

 光の残滓を残しながらブルー・ドラゴンフリューネの上に移動したテルナローレと入れ替わりに風精組が戻って来る姿が見える。
 どうやら、脚の治療をクレアから受けた後に各地の触手を見て回っていたらしい。

「たいちょ~!ご報告があります」
「何かわかったか?」
「アレ、見た目通り視界は0みたいです。
 おそらく地面の震動で周囲の索敵とか行っているかと」

 植物系だし大地との接触はほぼ必須だとは思っていたが、
 マリエルの話が本当なら完全にトレマーズやんけ。

「じゃあ空を移動する俺達は敵対はされない可能性があるな。
 本体に挑みやすいのは助かる」
「逆に既に各国の兵士たちの動きはバレているので逃げるのも一苦労しますよ。
 倒せるならいいんですけど、レベル分からないんですよね?」
「アインスさんの情報だと、
 確認されている手下を生産出来るタイプを参考すれば4ランクは確実に下がるらしい。
 予測としてはLev.90~100なら戦えそうかな」
「ノイちゃんだと不利属性だから倒せないんじゃ無いですか?」

 そうなのだ。
 現在のパートナー精霊のノイティミルは地属性。
 トレントを相手にした時も刃の通りが悪かった事からも、
 トレマーズだけでなく本体への攻撃に期待は余り出来ない。

『ボクも不本意ですけど、
 竜の魔石から供給される水氷魔力を上手く運用して戦うしか無いですね。
 もしくは地属性ではなく重力属性の攻撃ですかね』
「重力ってコレだけしかありませんよね?」

 ノイの言葉を受けてマリエルが己の拳を勢いよく握りしめ、
 パンッ!と軽快な音を鳴らし確認してくる。
 重力、反射、幻は上級属性でありながら裏属性の為、
 精霊では無く人間サイドの制御力が必要となる。

 つまりは俺の制御力が貧弱なので重力属性の手札が少ないってわけ。
 この戦場で色々と成長はしたものの、
 手札をじっくり増やす時間もないってのがまた酷いよね。

「焼け石に水だしアクアの剣で戦うよ」
『「『ですよねー』」ですわー!』
「あとさっきのテルナローレさんとの話を盗み聞きしてて思ったんですけど、
 地面のアレって倒しても復活しそうじゃ無いですか?
 瘴気を吸収して果実の生成しているって事ですよね?」
「あ~、そうなるのか。
 根とは違って触手はマリエル的には同じなん?」
「同じですね。植物に手足って概念はありませんし、
 幹と根以外は攻撃用の手札程度かと思います」

 マリエルがそう言うならそうなんだろう。
 俺に植物の知識は無いに等しいし、
 実家で薬草園を営んでいるマリエルの言葉なら信じられる。

「ってか、そうか。根っこも調べておかないといけないか……。
 マリエルはアルシェに今の話を伝えておいてくれ。
 俺はヴィルトゲンを連れて城下町に一旦降りる」
「りょーかいです!」

 地中の瘴気を吸収してって話であれば、
 キュクレウス=ヌイ自体が巨木なのを鑑みれば成長と共に城下町の真下には根が張り巡らされた可能性がある。

 逆に張り巡らされていなくてどうやって瘴気を広範囲から吸収してるのかって話だし。
 調べると言っても事実確認の態が強い。

「さて、ヴィルトゲンはどこだったかな……」


 * * * * *
『範囲は城下町の外まで伸びています。
 本体の成長は限界まで進んだのであればこれ以上範囲が広がる事は無いでしょう。
 ですが、触手に関してはカエル妖精が言う通り攻撃の手札でしょうから、
 もっと広範囲に動かすことは可能かと思います』
「端の瘴気の具合はわかるか?」
『ほぼ吸い尽くされていますね。
 まぁ、元から中央が発生源ではと目星を付けていますから。
 城下町の外側に近ければその分、量としてはお察しですね』

 マリエルと分かれた後に土精のヴィルトゲンを連れて城下町の端にやってきていた。
 アルシェ達の浄化も効いているから光精からもお墨付きをいただいていたけれど、
 とりあえず根の範囲は知っておきたかった。

 何事も知らないより知っておいた方が良い。
 まぁ、根の範囲がわかったところで役に立つかは二の次だな。
 この世界の常識で根に俺が知らないお役目があるとも限らんし。

『精霊使い。火精かせいは出さないのですか?
 相手が風属性ならあの火精かせいは有効ですよ?』
「とはいえ調査とか後方支援ならともかく、
 連携も出来ない手札も知らない奴を前線には出せないから」
『それはまぁ……そうですね…』
「戦うにしてもヴィルトゲンやスィーネ達と一緒に触手の対応に回すしか無いよ」

 ただ、今回土精達は攻撃すれば減衰し防御すれば特攻になるから、
 あまり戦わせたくは無い。
 本来人間に属性は無いから一方的に弱点属性の魔法や武器で戦えば良いダンジョンと違い、
 敵はランク14の風属性で弱点しか無い土精を戦わせるメリットははっきり言って無いわけで。

「後で合流させるから皆で土精を死ぬ気で守る様に言い聞かせてね」
『えぇー……、そういうのはスィーネ様の役割でしょう』
「賢いし口も上手いしね。そこは任せて良い」

 短い間に分からされているじゃないか。
 ボジャ様は後ろから見守ってるし、ポシェントは武士だから、
 必然的にスィーネが交渉とか会話を回すことになっている。
 コミュニケーションも彼女が一番ヴィルトゲンと取っているんだと思う。

 ちなみに何故に様付けなのかは、
 ヴィルトゲンの位階よりもスィーネの位階が高い為である。
 彼の様にある程度成長するまで精霊の里で育つ者は、
 目上の精霊を敬う様に様付けを行う。それは別の属性であってもだ。

 さらに言えばウチの子供達は基本的に敬わない。
 筆頭のアクアなぞはセリア先生を「せりゃ~」、ボジャ様を「ボジャ爺」、現水精王を「ばぁば」と呼ぶ。これは酷い。
 クーはメイドの仕事柄ちゃんと敬うし、ノイも精神的に大人びているので人によっては敬う。

「親の教育の所為だな」
『え?』
「なんでもない。
 一緒に戻ってスィーネに依頼しようか。
 間もなく戦闘が再開される」
『わかりました』

 色々分かったことはあったけれど、
 それが作戦や戦闘にどう影響を及ぼすか……。
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