特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第12章 -廃都フォレストトーレ奪還作戦-

†第12章† -47話-[瘴気に狂う高貴な樹姫⑥]

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「アルシェ、殿下。少しよろしいでしょうか?」
「目途は立ちましたか?」
「こちらの話し合いはある程度終わった。聞こうか」

 フランザ達には最長でも10秒で出せる火力の均一性を調整させている間に、
 アルシェとラフィート王子が話し合うテーブルへと声を掛けた。
 セリア先生にも仕事を頼みたいし、
 アインスさんにもエゥグーリアへ打診を出してもらわにゃならん。

「手順は単純に3工程です。
 1.高火力で焼き 2.高氷力で冷やす 3.高打力で砕く。
 この3工程を核に届くまで繰り返すだけの簡単なお仕事です」

 猿でも分かる説明をしつつ、
 メンバーリストと注釈で細かな役割を書いたメモを渡す。

「確かに簡単ですね、口にするだけならですが…。
 あちらでフランザ達が調整しているのは互いで威力を殺さない様にという事でしょう」
「あら、私も連れて行くつもりですの? それに役割が細かいですわね」
「確定ならリリトーナさんへ連絡してしまいますが?」
「ずいぶんと豪華なメンバーリストだな」

 各々メモを覗き込んで感想だったり次の行動を考え始める中、
 やはりアルシェだけは問題点が気になり思案顔でフランザ達へと視線を送る。

「隊長~!3発目で暑さが限界来ます~!」
「アクア、GO!」
『あいあ~い』

 自分の魔法とはいえ[溜撃チャージ]をした魔法はその分制御が難しくなる。
 10秒も溜めればサウナでロウリュウをキメた時くらい暑くなる。正直冬とはいえ地獄だろう。
 俺みたいに水精の加護を持っていれば気にするほどでもないけれど、
 トワインとフランザは加護を持っていないから色々と辛いと思う。
 そんな時は第一長女アクアのとある魔法が役に立つ。

『《クールボール》』

 アクアの拙い投球フォームから放たれた魔法の玉はフワリと弧を描いて2人の頭上で固定される。
 その玉からはエアコン的に言えば28度設定の冷気が周囲にばらまかれるので、
 暑さに喘ぐ2人にとっては救いも救いのはず。
 うろ覚えで青い狸ロボットの作品の劇場版に登場した周囲を暖かくする秘密道具から着想を得た魔法で、
 対となる[ホットボール]もフラムと一緒に開発済みだ。

「ありがとうございます」
「助かりましたぁ~」

 本番もこれは基本装備と考えておこう。

「お兄さん。ミリエステさんの実力に私は詳しくないのですが大丈夫なのですか?」
「期待は出来ると思うが正直厳しいかもってのはある。
 無理をさせれば大丈夫だろう」
「わかりました。冷やす役目は私とフリューネ様だけですね?」
「うぃ」

「私は風の膜を張って熱気から皆を守りつつ、
 各攻撃後の余波を[風珠かざだま]で吸収ですわね」
「密室なので蒸し焼きにならない為の大事な役目です」
「キュレウスに取り込まれていなければ外に逃がすだけですものね。
 私もいざとなれば上位精霊の意地は見せますけれど、限度はありますからね」
「極力早めに片付けばとは俺も願ってます」

拳聖けんせいは参加可能だそうです。
 あちらの戦闘は安定して防いでいるのでいつでも派遣できると回答が来ています」
「勇者がボスフロア攻略が完了次第の早急な突入が必要です。
 さきほど入ったばかりなら流石にまだ余裕はあるんですよねぇ……」
「来てすぐに説明しても上手く行くかもわかりません。
 余裕があるうちにしっかりと打ち合わせはした方がいいかと」
「そう…ですね。じゃあ早いとは思いますが程々でこっちに向かうように伝えてください」

「本当にあんなデカイ奴を倒せるのか?」
「アレが禍津核まがつかくモンスターじゃなければ俺も焦りますけどね。
 幸いマニュアルがある上に動きが鈍い敵なので」
「お前は驕らないな、それ程の力がありながら。何故だ?」
「今までの人生観と元来の自信の無さ、
 それに娘たちに悪影響の出そうな態度は出来ませんよ」
「いや、大概ひどい態度も取っていると思うけどな!
 ——はぁ…、アルカンシェ姫も連れて行くんだからその調子で気を抜くんじゃないぞ」

 アルシェ、セリア先生、アインスさん、ラフィート王子。
 それぞれと言葉を交わして質問に答えてシュミレーションのパーツを補完していく。
 ラフィート王子だけは戦力外であるし最後の王族だから連れて行けない。
 雑談交じりのエールを送ってもらえるだけありがたい。

「お兄さん、フリューネ様を呼んでください。打ち合わせが出来ません」
「はいはい。フリューネ、今どこ居んの?」
 〔適当に空を飛びながら突っ込んでくる奴を潰してるよぉ〕

 コイツ…。キュクレウスの護役を倒すのに手間取ったことを気にしてわざと戻っていないな?
 クーたちの支援には間に合った様だし別に怒りはしてないけど、
 それこそ驕った慢心が原因であることは確定的に明らかだろ。
 だからといって次の仕事があるんだからサボるんじゃねぇよ。

「話があるから戻ってこい」
 〔……わかった〕
「呼んだから話し合ってくれ。
 たぶん拗ねた態度を取るから俺は気にしてないけど反省はしろと伝えて」
「わかりました、ありがとうございます」

 さて、俺はこれからどうやって時間を潰そうか。
 そういえばトワイン達が使える火力を出せるか確認をするって言ってたな。

「どうだ~?」
「MP供給さえあればいくらでも大丈夫です。
 威力も高めに調整は出来ました」
「今の問題は射速が段違いなのでタイミングをどうするかってところです」

 見せてもらった威力は確かに均一になっていた。
 これなら強い1撃が邪魔をする心配は解決したと考えていいだろう。
 今取り組んでいる射速の問題は俺の頭で想定していなかっただけに早いうちに露呈して良かったと内心安堵の溜息を漏らす。

「目標までの距離によって違いが出るから練習をするってわけにもいかないか……」
「ですよね…。どうしますか、隊長?」
「う~ん。散々訓練してるし射速調整ぐらいなら制御力も余らせてるだろ?
 経験でなんとかなると信じて試し撃ちに行こうか」
「「え”!?」」

 試し撃ちとは、
 試しにキュクレウス=ヌイの近くから幹に直接撃ち込んで効果と射速問題の糸口を見つけようという意味である。

「ど、どうやって近くに行くんですか?」
「クーの影でもいいし俺が抱えてぶっ飛んでもいい」
「影でお願いします。安全、ではないですよね?」
「オフコース。もちろんさ」

 幹の硬さを理解して威力向上を検討できる一助にもなるし、
 ついでにセリア先生たちも連れて試してみるのも手だ。
 その場合、俺が浄化と破壊を担うことになるので大変だけど実験は出来るだけやった方がいいのはモチのロンだもんな。

 ただし護衛は欲しいか。
 全員が目の前の仕事に集中するためには邪魔が入らないに越したことはない。
 誰か暇な強い人はいないものだろうか……。
 こんな雑事にまたアナザー・ワンを借りるのも申し訳ない気持ちもあるが、
 さっき教国に送って行ったのにまた貸してって行動意味わかんなくね?

「「あっ…」」

 あーでもないこーでもないと考え始めた俺の判断を待つ2人が何かに気付いて小さく声を上げた。
 何か巨体が落下してきた様に風が巻き上がったのに振動などは一切感じない。

「待たせた。合力の依頼を聞いて馳せ参じた」
「早かったですね、エゥグーリア。良いタイミングです」

 強力な護衛が到着したらしい。
 ってかマジで早すぎるよ。まだこっちは準備中なんや。
 気合い入れて馳せ参じたところ申し訳ないがちょいと手伝っていただこう。
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