特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

文字の大きさ
269 / 451
閑話休題 -次に向けての準備期間-

閑話休題 -73話-[黄竜と魔石と新たな武器と④]

しおりを挟む
 精霊使いとしての訓練内容を知るゼノウPT/トワイン=エリアルスに助手セーバーPT/ディテウス=マレマールを付け、エルダードワーフ達の訓練はお任せして手が空いたのでさっそくゲートを繋げてドラゴドワーフの村に移動した。

「おはようございまーす。水無月みなづきです」
「勝手に入ってきな!こっちはもう作業に入ってるからねぇ!」

 一応先日の訪問時にどういう物が欲しいと伝えてはいたけど惰眠姫がすでに働き始めているとはこれ如何に?
 ネフィリナの声に従い扉を開けて中へ進むとそこにはアンバードラゴンラーツァグリアニスを侍らせた彼女は並べたインゴットの山を前に胡坐を組んで座り込んでいた。

「どうもぉ~。今は何をしているんですか?」
「今はアンタが持ち込んだ魔石と相性の良いインゴットを調べてる所だよ。
 あれ? ソニューザは一緒じゃないのかい?」
「あいつは近い将来貴女を守れるようになる為に訓練中ですよ。
 夕方頃には一度顔を出すと言ってました」
「そう…」

 おぉ!口調は男勝りでもソニューザが恋しいのか!愛されてるよ、ソニューザ!

「っていうか、敬語じゃなくていいよ。
 仕事は受け合うけど島外からの依頼なんて初めてだし身内でしか基本的に仕事やらないから敬語が痒いんだよ」
「あー、わかった。ネフィリナさんがそう言うならタメ口にするよ」
「こっちは時間がまだまだ時間が掛かりそうだ。
 この魔石は相当なじゃじゃ馬だよ、50以上のインゴットがフラれてる」

 依頼内容は籠手に出来ればって話だったが、
 魔石をそのまま加工するのではなくて実際は相性の良いインゴットと合成して出来上がった新しいインゴットから籠手を作成してくれるらしい。
 この魔石と鉱物の合成と新インゴットの加工の2つがドラゴドワーフにしか出来ない技術とのことだ。
 都会ドワーフが出来ると聞いたことが無いからやっぱり違うんだなぁ。

「爺様、青の守り人をグリュエザール様の元へ案内するんでしょ。
 ここに居ても邪魔だから連れてってよ」
『そうであったな。昨日伝えたのだし数年は放置でも気づかれんと思ったのだが』

 こちらを振り向くことなく魔石とインゴットのお見合いを続けるネフィリナの一声にアンバードラゴンラーツァグリアニスがのそりと起き上がった。
 長命種あるあるなスケジューリングは定命の俺たちにとっては大問題なのだから、
 そこはちゃんと貴方たちに合わせられない俺たちに合わせて欲しいもんですがね。

『付いて参れ、青の守り人よ。
 外で待っている青竜も連れて来ていいそうだ』
「あ、はい。じゃあ加工の方はよろしく」
「はいよ~」

 心の篭らぬ相槌を最後にネフィリナの家を出ればすぐにフリューネが駆け寄って来た。

『どうだった?』
「魔石と相性の良いインゴット選びのまだまだ初期段階だな。
 今日はアンバードラゴンラーツァグリアニスの案内で黄竜にお目通りだ」
『へぇ~、昨日は下っ端があんな態度取ってたんだ。
 黄竜からどんな謝罪が貰えるのか楽しみだね』
「フリューネも意外とプライドが残ってたんだな」

 俺が雑に扱っても怒らないからもうペットとして生きていく覚悟を決めたのかと思っていたのに、
 同族からの失礼な態度には失っていたプライドも再建されるのか。
 グルルルルゥ♪
 しかし、煽った後にその態度は如何かな、青竜様?


 * * * * *
 道中はある意味地獄だった。
 ドラゴドワーフの村から少し離れた所に巣へ繋がる洞穴に移動した俺たちはアンバードラゴンラーツァグリアニスに付いて中へと突入した。
 そんな俺たちを出迎えてくれたのはそこ等辺に寝転びながらもフリューネに殺気を飛ばしまくるアースドラゴン達。

『青の守り人は人間だからわからぬだろう。
 青竜と言っても勢力が違うからな、下位竜のアースでも普通にケンカ腰なのは当然なのだぞ』
「青竜にケンカを売っても負ける未来しかないでしょうに……」
『勝ち負けなど関係ない。王以外は本能に抗えず他勢力竜には声高になるのだ』
『僕の巣に黄竜が来ても同じ状況になるからわかってるんだけどね…良い気はしないね…』

 逆に生存本能はどこに忘れてきたのだろうか?
 道中の俺はフリューネの意識を俺に向けさせることに苦心して撫でまわしながら進む羽目になった。
 ここで殺っちまえばマジで全面戦争待ったなしだもん。

 外から見ただけではわからなかったけれど、
 意外と奥に進めるだけの広さがあったのか続いて登場したのは地竜アースよりデカイ琥珀竜アンバー達からの殺気であった。
 はぁ…、君たちさぁ…。
 これまでに無い程にケンカを売られてブチ切れ半分、
 これまでに無い程俺に構われて喜び半分で忙しいフリューネの精神がこれ以上は持たないよ!

 それに地竜アース程度の殺気なら危機意識を持つまでもいかなかったけど、
 流石に琥珀竜アンバーにもなれば俺も心穏やかではいられない。
 常に巣内部でどのように立ち回れば被弾なく倒せるかを計算しながらフリューネの相手も強要されて、
 俺の精神的にのダメージが蓄積していくから早く黄竜のところに辿り着いてくれぇ!

『この奥でイエロードラゴングリュエザールが待っている』
「わかりました。気配がイエロードラゴンだけですけど、世話役とか居ないんですか?」
竜玉りゅうぎょくを後継して100年程度なら世話役も居るであろうが、すでにその時期は過ぎている』

 竜はそんな生態になってるんだな。
 フリューネは角もしっかりしているし参謀のように誰かが傍にいるのは当たり前だと思っていたけど、
 もっと成長すればフロストドラゴンのエルレイニアとムグンダールもお役御免になる予定だったのか。
 ってか、今現在すでに俺にお世話を任せっきりになっている件については後で文句言ってやる!

「魔力濃度が高いな」
『基本的に巣にする場所は[マギウスヴェスル]の吹き出し口の近くに作るものだしね』

 巣に入ってからここまで進む道中にも各所に魔石が生え散らかしていた。
 魔石は採掘しなければその場の魔力濃度により光源となるのだが、
 入ってすぐは仄かに光っている程度だったのが黄竜イエロードラゴンが居るこの最奥にもなると整備されたトンネル並みに視界は良好となっている。

「マギウスヴェスルって循環される自然魔力の事でいいんだよな?」
『そうそう。使用された個の魔力を星が吸収して、
 綺麗な魔力に浄化してから一定量を超えれば決まった場所が開いて高濃度魔力が噴き出すんだ。
 噴出場所の特定は大変だけど分かればあとは移住するだけだしね』

 竜も特定に苦労するならやっぱり世界を構成するシステムに組み込まれているのだろう。
 亜空間から噴き出すということは港町アクアポッツォで確認していたけれど、
 あれだけの高濃度魔力の流れが見つけられないってことは本来あり得ない。
 おそらく自然魔力が流れる用の特別な空間を見つけて枯らすことも魔神族の目標のひとつなんだろうな…。

 やがて、地下へと続く道も直線を残すだけとなり、
 その最奥には大きな竜が待ち受けているのが見えた。
 近づくにつれ、細部まで視認出来るようになるとなるほど青竜とは種族が違うというのは納得がいった。

『遠路遥々よく参られた、青竜よ』
『黄竜よ、こちらこそ受け入れてもらえて感謝している』
『青の守り人も顔を上げてください。
 我は地竜アース琥珀竜アンバーと違って聞く耳は持っております。
 我が名はグリュエザール、今代のイエロー・ドラゴンを担っている竜です』
「ありがとうございます。
 青竜の守り人、並びに精霊使いの水無月宗八みなづきそうはちと申します」

 土属性の面々は温厚なのか、顔を上げて黄竜の瞳を見やれば確かに先ほどまでに見て来た竜とは違うらしい。
 ティターン様と同様に存在としての大きさを感じつつも安心して話が出来る相手だと認識出来た。
 ボディの方もブルー・ドラゴンフリューネの本来の姿が想像しやすい竜に近しいものに対し、
 黄竜は筋肉量も凄ければ鱗も鎧と言っても良いほどに守りを重視していることがわかる。

『魔石は見せてもらった。あれほど高濃度の魔石は色持ちしか精製出来ないでしょう。
 瘴気に関わりのある集団と戦って居るとも伺いましたがそこまでの力が必要なのでしょうか?
 守り人を選ぶ程なのですから厄介なのは理解していますが、
 やはり竜として生来の傲慢な気質が危機意識を歪ませてしまうので貴方達の口から詳しく聞きたいと思ったのです』

 イエロー・ドラゴングリュエザールはフリューネの様に幼くなくかなりの知性を備えているようだ。
 生物のひとつの頂点である竜種のさらにひとつの頂点である黄竜にもなればそりゃ傲慢になっても仕方ないと思うが、
 それを気質だからだの言い訳もせずあくまで理性的に話を聞いてくれようとする姿勢は大変にありがたい。

 俺とフリューネはこの世界で起こっている[破滅]についての説明と、
 逐次挟まる質問に回答しつつ俺たちの希望もイエロー・ドラゴングリュエザールに嘆願した。
 何せ現時点で一緒に居ることが多いのは第二長女ノイだから地属性の竜の魔石は喉から手が出るほど欲しいからね!

『では既に魔石は加工に入っているのですね?』
「ここに来る前の進捗はインゴットとの相性選びでしたからまだまだ完成には時間が掛かりそうです」
『魔石は青の守り人の分だけでよろしいのでしょうか?』
「出来れば複数人分をお願いしたいところです。
 戦力が今後も増えると考えて10人以上にはなってくるかと……」

 人間だけでなく精霊の分も合わせれば魔力供給も威力も格段に改善するからな。
 今の時点で俺、ノイ、セプテマ氏、契約精霊ファレーノ、タルテューフォ、マクライン、契約精霊タイラスと6人分は確実に精製してほしい。

『協力は致しましょう。魔力量によっては精製回数を増やす必要があります。
 まずはその者たちをこちらへ連れて来てもらえますか? 我が口添えをして眷族たちに協力させましょう』
「ありがとうございます!」
『感謝する、黄竜よ。
 しかし、宗八そうはちの魔力は加護もあって普段から鍛えている分かなり多い。
 これは黄竜か琥珀竜アンバーでなければならないのではないか?』
『島にしばらく滞在するならばラーツァグリアニスに協力させましょう。
 アレの子孫も無職を卒業したのであればアレの子離れも卒業させないといけませんから』

 先代黄竜をアレ呼ばわりとは…。苦労してんだな、この人。

「他の魔石精製が必要なメンバーへ確認を取りますので少々お待ちいただいてもいいでしょうか?
 それとここで闇魔法を使う事もお許し願いたいのですが……」
『島で時々反応があったのは青の守り人でしたか。どちらも構いませんよ、早くに動き始めるのは良いことです』
しおりを挟む
感想 87

あなたにおすすめの小説

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

それは素晴らしきメイド達の世界

夏ノ木の実
ファンタジー
世界一のメイド愛を持っていた葉風は死後、メイドが街中に溢れている世界に転生した。 しかし、そこはメイドが執事の下位互換として虐げられている世界だった。 貴族でも富豪でもなく、”ご主人様”を職業として選んだ葉風は、メイド達の忠誠心で戦うことに……。 ※メイド愛に溢れた主人公が、メイドさんとほのぼの過ごしたり、頭脳戦を繰り広げたりする話です。 少年漫画のような王道を目指しています。よろしければどうぞ!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

処理中です...