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閑話休題 -次に向けての準備期間-
閑話休題 -81話-[黄竜と魔石と新たな武器と⑫]
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「どうぞこちらでお待ちくださいませ」
「わかりました」
ぴーとさんから魔物の情報を聞き取ってからフォレストトーレへとやってきた俺はさっそくラフィート陛下が滞在する町長邸へとやって来て客間に案内された。アルシェからある程度状況を伺っているとはいえ裏を知っているとなんとも後味が悪い。
まず、元々町長をしていたゲンマール氏はご子息をフォレストトーレ事変で亡くしており、その後釜に陛下が入って臨時王都として大樹の街ハルカナムの運営に取り組み始めていた。
その一助に俺は助けた風精霊の元の居場所が観光名所にもなっている[グランハイリア]である事を加味して、契約による自衛力の向上も考えてラフィート陛下に進言した結果がこの状況に繋がっていると思うとなんとなくゲンマール氏に申し訳が無い気持ちになって来る。
「失礼いたします」
案内してくれたメイドさんと入れ違いで入って来た二人目のメイドさんがテーブルに紅茶・ジュース・クッキーを置いてから出て行ったのを見計らって胸に抱くアニマがさっそく催促してきたのでクッキーを一枚与える。
『悪くないですね』
「さようで」
普段プライドが高く甘えられないアニマでもおやつの時間は大好きで、座るソファは広いタイプだから横に座ればいいのに俺の膝のうえで大人しくサクサク食べ始めた。しばらく基本はクッキー時々ジュースの配給をアニマに奉仕していればノック音が聞こえてすぐに扉が開く。
ガチャッ。
「待たせた。よく来たな水無月宗八」
「お久しぶりです陛下。ゲンマール氏もあれから息災の様で何よりです」
「ふははは、当時はお世話になりました。
あれから半年程度でここまで情勢が変わるとは夢にも思ってはいませんでしたが……」
扉を開けて不用心にも入室してきたのはラフィート陛下と元町長のゲンマール氏だった。
ぞろぞろ。
今日訪問すると伝えてはいたが何時頃などは伝えていなかった為、仕事を切り上げて俺の対応をしに来てくれたらしい。
二人の後ろから先日助けた風精も続いて入室し……、ゾロゾロと文官風の男女が十名続けて入室して最後にメイドさんがお茶やお菓子を乗せたワゴンから追加でテーブルに配置してから出て行った。
『ラフィートさん、ご挨拶してもよろしいでしょうか?』
「好きにするといい。私たちは協力関係にあって立場に差は無いのだからいちいち聞かずともよい」
『ありがとうございます。
先の戦にて救出に尽力してくださったとセリア様や多数の方からお話はかねがね伺っておりました。
グランハイリアにて風精の里の守護者を務めておりますファウナと申しますわ。以後お見知りおきを』
当時はグッタリして痩せ細っていた風精ファウナは、救出後すぐにセリア先生の手によりグランハイリアへと療養に戻されていた。
今ではしっかりと自分の足で立ち優雅な挨拶をして陛下の隣に収まっている。
「元気になったようで何よりです。グランハイリアの頭頂部は確認されましたか?」
『私に敬語は結構ですわ。確認はしましたが伺っていたよりは葉も戻っておりましたわ』
「流石に植物は再生が早いな。
ところで陛下? その背後に控える方々はどちら様で?」
「あぁ、こいつらは今後の国を支える試金石だ。
各町で後進育成をして優秀と認められれば一族を重宝しようと試みている」
光源治計画みたいな言い方だな。
でも、実際王都で働いていた重鎮も若手もすべて居なくなった今となっては一から育てるしかないのも事実か。
というか、彼らは俺の事を訝しい眼で見ている事から陛下やゲンマール氏から何も情報を得ていないのかもしれない。
いまこの瞬間も試金石の試験中とは恐れ入るな。
「さて、時間もあまりないのでなこちらも伝えたいことはあるが先に貴様の話を伺おうか」
「ありがとうございます。
私が先日黄竜の巣へ赴いた件はお伝えしたと思いますが、魔神族の世界と繋がった場合に黄竜含め地竜は身体を乗っ取られる恐れがあるのでどこかに逃がしたいと考えております。そこでフォレストトーレの復興着手に時間が掛かるようであれば避難場所に利用出来ないかと」
「王になって持ち込む問題がさっそくこれか…。ギュンター王が言っていた通りだな」
何やらラフィート陛下が頭痛でもするのか眉間に手を添え何か呟いておられる。
隣のファウナとゲンマール氏は「あはは」と陛下のその様子を苦笑して見守っているが、背後に立つ文官たちは眉根を寄せて不快感を表していた。
まぁ他国の子連れの男が新王の元へ訪問してくる事だけでも怒髪天物なのに、王がわざわざ時間を作って会ったかと思えば荒唐無稽な事を口にすればこの反応も分からなくはない。
「復興着手に関しては時間は掛かる。
復興金と人手の確保、復興期間の生活に必要な建物の建設などがすぐに取り掛かれるものではない。
だからと言って多くの臣民が亡くなった地に竜を招致することは民の気持ちを考えれば許可を出せない。
説得するにしても貴様が何をしているか知らぬ者に何と言う?」
「クレアや協力いただいた国王たちの名を連ねた文面を配布するのは如何ですか?
全てを伝える事は出来なくともそれが必要な事と訴える事は出来ると思います」
「それで貴様の名は出さないのであろう?
他国の御偉方の連名で文書を出したとしても負担するのは我らが地なのだ。その補填はどう考えている?」
「地竜たちは岩を食べ砂を吐くことが出来るので建物の残骸の解体は楽に出来るでしょう。
他にも土精に協力を求めて石製にはなりますが生活基盤の用意はすぐ出来ます。これから夏なので涼しく生活できる工夫は必要ですが」
う~ん悩んでおられる。
結局は俺が直接補填をするわけではなくとも俺が起点となって補填するわけだから陛下としては文句はない。
残骸を取り除く作業を人の手で行うには時間が掛かり過ぎて数年先を見なければならないのは事実だ。岩が砂になれば量を調整して運び出す効率は格段に良くなるので全く同じ場所に王都を再建せずとも色んな面で楽になる。
復興作業を行う人々が寝食を行う建物も複数軒建築が必要だが、これも一軒建てるだけでも建材の用意から何まで手順がいくつもある。
それが石製とは言え屋根があり日陰を作る事が簡単に出来るのは喉から手が出るほど欲しいはず。
まぁ一番の問題は金。
Q,金・金・金!王族として恥ずかしくないのか! A,国庫も失せてんだから仕方ねぇだろ!
「持ち帰って検討しよう。すぐで無くてもいいだろうか?」
「異世界が繋がるのはまだ時間はある予定なので大丈夫です。
それにアーグエングリンに話を通そうとした場合にあっちで場所を用意すると横槍が入るかもしれません」
「だろうな、その辺りもこちらで調整をしてみる。他にはあるのか?」
「フォレストトーレ周辺の魔物が戻ってきている様なのです。
その中に[アーミーワスプ]が方々で確認が取れましたので養蜂中心にした町を作る事を提案します」
この世界にも蜂蜜は存在する。
安全にクソデカイ花から取る蜜ですらそれなりにお高いのだが、蜂型の魔物から得る蜂蜜は高級品なのだ。
つまり金になる!
しかし得る方法はランク6の魔物[アーミーワスプ][アーマーワスプ]が守るハチの巣へ襲撃し、八割を倒せば[マザーワスプ]が降参してハチの巣を半分得るという物。巣が大きければ大きいほど集団も拡大するので基本的に数PTが協力して確保しているのだ。
「提案だけでは無かろう?草案を聞かせろ」
「うちの次女にちょっかいを掛ける[アルブムキャット]が居まして、その駄猫に翻訳してもらって共生態勢を取りたいと考えてます。
ワスプは他の魔物から蜜を狙われることも多く、全滅したり巣の修繕を繰り返していると聞いてますから逆に魔物から守ることと花の蜜を供給出来る場所を提供する代わりに定期的に蜂蜜を貰えればと」
「陛下……これは…」
「はぁ……わかっている。
水無月宗八、この案はアルカンシェ王女殿下に相談していないな?」
「え? あー、そうですけど……」
ファウナは分かっていない様だがゲンマール氏が苦い顔をして陛下に声を掛けている。
そのうえで陛下からアルシェの名が出たという事はやっちゃったのだ。何かを。
どれだ?まるで将棋みたいだな?黙れドン太郎?HIPのYOU?どれも言っていないはずだが?
「貴様も分かっていないのなら少し待て。
おい!別室を用意しておけ。数分話すだけだが準備だけしておけ」
「かしこまりました」
「ゲンマールは今のうちに後進共に理解しているか確認しておいてくれ」
「わかりました。早急に確認いたします」
「《コール:アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダ》」
俺は急に暇になったのに彼らは急に忙しく喋り始めた。
へぇ~、ラフィート陛下は[揺蕩う唄]を使用する時はフルネーム派なんやねぇ。
『お父様、クッキー』
「これ以上食べたらご飯食べられなくなるからダメ」
『ご飯も食べるから取りなさい』
「ダメ。我慢しなさい」
十枚並べられていたクッキーはすでに五枚がアニマのお腹の中に収められている。
加階し立てで身体も小さい子が甘いものばかり食べるのも良くない。あとでメリー辺りに野菜を食べさせておくように伝えておこう。
我儘を言って俺の膝上から脱出を図るアニマを軽くホールドしてやると頬を膨らませて睨みつけて来た姿がなんと可愛い事か。
「頑張れぇ~♪」
『馬鹿にしてぇ~~~っ!』
「ちょっと目を離した隙に子供とイチャつくな水無月宗八!」
『どこに目を付けているのです!訂正なさい!』
陛下も子供が出来ればこうなるってのに親子のスキンシップに嫉妬だなんて、嫌だわね。
アニマとイチャイチャしている間にアルシェとのコールも終わってソファに荒く座るラフィート陛下と同じタイミングでゲンマール氏も後進教育の目途が立ったのか戻って来た。
「ここから先はアルカンシェ王女殿下が来てからだ。どうせすぐ来る」
コンコンッ。
「アルカンシェ王女殿下をお連れ致しました」
「通せ」
俺がアニマの可愛さに免じて一枚渡したクッキーを大事に大事に食べている間に本当にアルシェが到着したらしい。
まぁ到着自体はクーの[ゲート]で簡単に来られるけど引継ぎとか準備は後回しで来たのだろうか?
ガチャ。
「お久しぶりでございますラフィート陛下。この度は私の護衛隊長の件、ご連絡いただき感謝いたします」
「挨拶はその辺でかまわん。別室を用意しているから連れて行くと良い」
「ありがとうございます。宗八、付いて来なさい」
「はい」
メイドがドアを開けるとそこには当然アルシェが姿を現した。
その足元を駆け抜けてくるアクア・クー・ニル・ベル・フラムが仲良く俺の座る椅子に上がって来て、皿に残ったクッキーを分け合うのだ。可愛いなぁ。
こうなるとアニマを連れて一緒に怒られるわけにはいかないから椅子の残して俺だけ立ち上がりアルシェに着いて退室した。
もちろんメリーもこちらに来ていたがこの部屋に残ってお嬢様たちのお世話をするっぽい。
「こちらをお使いくださいませ」
「ありがとう。退室後は離れてください」
「かしこまりました」
え?俺何を言われるんだ?
廊下で待機予定だったメイドさんの気配が遠ざかっていくのみ見送り、窓に寄っていたアルシェが口を開いた。
「わかりました」
ぴーとさんから魔物の情報を聞き取ってからフォレストトーレへとやってきた俺はさっそくラフィート陛下が滞在する町長邸へとやって来て客間に案内された。アルシェからある程度状況を伺っているとはいえ裏を知っているとなんとも後味が悪い。
まず、元々町長をしていたゲンマール氏はご子息をフォレストトーレ事変で亡くしており、その後釜に陛下が入って臨時王都として大樹の街ハルカナムの運営に取り組み始めていた。
その一助に俺は助けた風精霊の元の居場所が観光名所にもなっている[グランハイリア]である事を加味して、契約による自衛力の向上も考えてラフィート陛下に進言した結果がこの状況に繋がっていると思うとなんとなくゲンマール氏に申し訳が無い気持ちになって来る。
「失礼いたします」
案内してくれたメイドさんと入れ違いで入って来た二人目のメイドさんがテーブルに紅茶・ジュース・クッキーを置いてから出て行ったのを見計らって胸に抱くアニマがさっそく催促してきたのでクッキーを一枚与える。
『悪くないですね』
「さようで」
普段プライドが高く甘えられないアニマでもおやつの時間は大好きで、座るソファは広いタイプだから横に座ればいいのに俺の膝のうえで大人しくサクサク食べ始めた。しばらく基本はクッキー時々ジュースの配給をアニマに奉仕していればノック音が聞こえてすぐに扉が開く。
ガチャッ。
「待たせた。よく来たな水無月宗八」
「お久しぶりです陛下。ゲンマール氏もあれから息災の様で何よりです」
「ふははは、当時はお世話になりました。
あれから半年程度でここまで情勢が変わるとは夢にも思ってはいませんでしたが……」
扉を開けて不用心にも入室してきたのはラフィート陛下と元町長のゲンマール氏だった。
ぞろぞろ。
今日訪問すると伝えてはいたが何時頃などは伝えていなかった為、仕事を切り上げて俺の対応をしに来てくれたらしい。
二人の後ろから先日助けた風精も続いて入室し……、ゾロゾロと文官風の男女が十名続けて入室して最後にメイドさんがお茶やお菓子を乗せたワゴンから追加でテーブルに配置してから出て行った。
『ラフィートさん、ご挨拶してもよろしいでしょうか?』
「好きにするといい。私たちは協力関係にあって立場に差は無いのだからいちいち聞かずともよい」
『ありがとうございます。
先の戦にて救出に尽力してくださったとセリア様や多数の方からお話はかねがね伺っておりました。
グランハイリアにて風精の里の守護者を務めておりますファウナと申しますわ。以後お見知りおきを』
当時はグッタリして痩せ細っていた風精ファウナは、救出後すぐにセリア先生の手によりグランハイリアへと療養に戻されていた。
今ではしっかりと自分の足で立ち優雅な挨拶をして陛下の隣に収まっている。
「元気になったようで何よりです。グランハイリアの頭頂部は確認されましたか?」
『私に敬語は結構ですわ。確認はしましたが伺っていたよりは葉も戻っておりましたわ』
「流石に植物は再生が早いな。
ところで陛下? その背後に控える方々はどちら様で?」
「あぁ、こいつらは今後の国を支える試金石だ。
各町で後進育成をして優秀と認められれば一族を重宝しようと試みている」
光源治計画みたいな言い方だな。
でも、実際王都で働いていた重鎮も若手もすべて居なくなった今となっては一から育てるしかないのも事実か。
というか、彼らは俺の事を訝しい眼で見ている事から陛下やゲンマール氏から何も情報を得ていないのかもしれない。
いまこの瞬間も試金石の試験中とは恐れ入るな。
「さて、時間もあまりないのでなこちらも伝えたいことはあるが先に貴様の話を伺おうか」
「ありがとうございます。
私が先日黄竜の巣へ赴いた件はお伝えしたと思いますが、魔神族の世界と繋がった場合に黄竜含め地竜は身体を乗っ取られる恐れがあるのでどこかに逃がしたいと考えております。そこでフォレストトーレの復興着手に時間が掛かるようであれば避難場所に利用出来ないかと」
「王になって持ち込む問題がさっそくこれか…。ギュンター王が言っていた通りだな」
何やらラフィート陛下が頭痛でもするのか眉間に手を添え何か呟いておられる。
隣のファウナとゲンマール氏は「あはは」と陛下のその様子を苦笑して見守っているが、背後に立つ文官たちは眉根を寄せて不快感を表していた。
まぁ他国の子連れの男が新王の元へ訪問してくる事だけでも怒髪天物なのに、王がわざわざ時間を作って会ったかと思えば荒唐無稽な事を口にすればこの反応も分からなくはない。
「復興着手に関しては時間は掛かる。
復興金と人手の確保、復興期間の生活に必要な建物の建設などがすぐに取り掛かれるものではない。
だからと言って多くの臣民が亡くなった地に竜を招致することは民の気持ちを考えれば許可を出せない。
説得するにしても貴様が何をしているか知らぬ者に何と言う?」
「クレアや協力いただいた国王たちの名を連ねた文面を配布するのは如何ですか?
全てを伝える事は出来なくともそれが必要な事と訴える事は出来ると思います」
「それで貴様の名は出さないのであろう?
他国の御偉方の連名で文書を出したとしても負担するのは我らが地なのだ。その補填はどう考えている?」
「地竜たちは岩を食べ砂を吐くことが出来るので建物の残骸の解体は楽に出来るでしょう。
他にも土精に協力を求めて石製にはなりますが生活基盤の用意はすぐ出来ます。これから夏なので涼しく生活できる工夫は必要ですが」
う~ん悩んでおられる。
結局は俺が直接補填をするわけではなくとも俺が起点となって補填するわけだから陛下としては文句はない。
残骸を取り除く作業を人の手で行うには時間が掛かり過ぎて数年先を見なければならないのは事実だ。岩が砂になれば量を調整して運び出す効率は格段に良くなるので全く同じ場所に王都を再建せずとも色んな面で楽になる。
復興作業を行う人々が寝食を行う建物も複数軒建築が必要だが、これも一軒建てるだけでも建材の用意から何まで手順がいくつもある。
それが石製とは言え屋根があり日陰を作る事が簡単に出来るのは喉から手が出るほど欲しいはず。
まぁ一番の問題は金。
Q,金・金・金!王族として恥ずかしくないのか! A,国庫も失せてんだから仕方ねぇだろ!
「持ち帰って検討しよう。すぐで無くてもいいだろうか?」
「異世界が繋がるのはまだ時間はある予定なので大丈夫です。
それにアーグエングリンに話を通そうとした場合にあっちで場所を用意すると横槍が入るかもしれません」
「だろうな、その辺りもこちらで調整をしてみる。他にはあるのか?」
「フォレストトーレ周辺の魔物が戻ってきている様なのです。
その中に[アーミーワスプ]が方々で確認が取れましたので養蜂中心にした町を作る事を提案します」
この世界にも蜂蜜は存在する。
安全にクソデカイ花から取る蜜ですらそれなりにお高いのだが、蜂型の魔物から得る蜂蜜は高級品なのだ。
つまり金になる!
しかし得る方法はランク6の魔物[アーミーワスプ][アーマーワスプ]が守るハチの巣へ襲撃し、八割を倒せば[マザーワスプ]が降参してハチの巣を半分得るという物。巣が大きければ大きいほど集団も拡大するので基本的に数PTが協力して確保しているのだ。
「提案だけでは無かろう?草案を聞かせろ」
「うちの次女にちょっかいを掛ける[アルブムキャット]が居まして、その駄猫に翻訳してもらって共生態勢を取りたいと考えてます。
ワスプは他の魔物から蜜を狙われることも多く、全滅したり巣の修繕を繰り返していると聞いてますから逆に魔物から守ることと花の蜜を供給出来る場所を提供する代わりに定期的に蜂蜜を貰えればと」
「陛下……これは…」
「はぁ……わかっている。
水無月宗八、この案はアルカンシェ王女殿下に相談していないな?」
「え? あー、そうですけど……」
ファウナは分かっていない様だがゲンマール氏が苦い顔をして陛下に声を掛けている。
そのうえで陛下からアルシェの名が出たという事はやっちゃったのだ。何かを。
どれだ?まるで将棋みたいだな?黙れドン太郎?HIPのYOU?どれも言っていないはずだが?
「貴様も分かっていないのなら少し待て。
おい!別室を用意しておけ。数分話すだけだが準備だけしておけ」
「かしこまりました」
「ゲンマールは今のうちに後進共に理解しているか確認しておいてくれ」
「わかりました。早急に確認いたします」
「《コール:アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダ》」
俺は急に暇になったのに彼らは急に忙しく喋り始めた。
へぇ~、ラフィート陛下は[揺蕩う唄]を使用する時はフルネーム派なんやねぇ。
『お父様、クッキー』
「これ以上食べたらご飯食べられなくなるからダメ」
『ご飯も食べるから取りなさい』
「ダメ。我慢しなさい」
十枚並べられていたクッキーはすでに五枚がアニマのお腹の中に収められている。
加階し立てで身体も小さい子が甘いものばかり食べるのも良くない。あとでメリー辺りに野菜を食べさせておくように伝えておこう。
我儘を言って俺の膝上から脱出を図るアニマを軽くホールドしてやると頬を膨らませて睨みつけて来た姿がなんと可愛い事か。
「頑張れぇ~♪」
『馬鹿にしてぇ~~~っ!』
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『どこに目を付けているのです!訂正なさい!』
陛下も子供が出来ればこうなるってのに親子のスキンシップに嫉妬だなんて、嫌だわね。
アニマとイチャイチャしている間にアルシェとのコールも終わってソファに荒く座るラフィート陛下と同じタイミングでゲンマール氏も後進教育の目途が立ったのか戻って来た。
「ここから先はアルカンシェ王女殿下が来てからだ。どうせすぐ来る」
コンコンッ。
「アルカンシェ王女殿下をお連れ致しました」
「通せ」
俺がアニマの可愛さに免じて一枚渡したクッキーを大事に大事に食べている間に本当にアルシェが到着したらしい。
まぁ到着自体はクーの[ゲート]で簡単に来られるけど引継ぎとか準備は後回しで来たのだろうか?
ガチャ。
「お久しぶりでございますラフィート陛下。この度は私の護衛隊長の件、ご連絡いただき感謝いたします」
「挨拶はその辺でかまわん。別室を用意しているから連れて行くと良い」
「ありがとうございます。宗八、付いて来なさい」
「はい」
メイドがドアを開けるとそこには当然アルシェが姿を現した。
その足元を駆け抜けてくるアクア・クー・ニル・ベル・フラムが仲良く俺の座る椅子に上がって来て、皿に残ったクッキーを分け合うのだ。可愛いなぁ。
こうなるとアニマを連れて一緒に怒られるわけにはいかないから椅子の残して俺だけ立ち上がりアルシェに着いて退室した。
もちろんメリーもこちらに来ていたがこの部屋に残ってお嬢様たちのお世話をするっぽい。
「こちらをお使いくださいませ」
「ありがとう。退室後は離れてください」
「かしこまりました」
え?俺何を言われるんだ?
廊下で待機予定だったメイドさんの気配が遠ざかっていくのみ見送り、窓に寄っていたアルシェが口を開いた。
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