特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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第13章 -1st_Wナユタの世界-

†第13章† -14話-[異世界ゲート実験]

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 ゼノウ達に任せて三時間ほどが経ち、すでに夜の帳は降りていた。

宗八そうはち!そろそろ隙が出来ると思う!」
「あいよー!じゃあ予定通りアルシェの[ドラゴンダイブ]で一気に乗り込むぞ!」
「はい!」
「あいさいさー!」

 仮眠も取らせてもらえたし[俺式サンクチュアリフィールド]のおかげで明かりも確保出来ている。
 いやぁ、仲間集めておいて良かった。マジで。
 安心してここを任せて俺たちはナユタの世界に殴り込めるんだから……。なんか苦労が報われた気になっちゃうけど全然まだまだ早いっちゅうねん。

「セーバー、遅れるなよ」
「突入までの短い時間ならリュースィが頑張ってくれるってよ。
 だから俺のことは気にせず突っ込んでくれ」
「じゃあ殿しんがりは頼むぞ」
「殿ってなんだよ、後ろはあいつらが倒してくれるんだし追われねぇだろ」

 わからんぞぉ? メタル小動物シリーズは機敏だから追ってくるかもしれないだろ?
 そんな雑談も交えつつ突入組で軽い打ち合わせをしている間にその時はやってきた。

「——宗八そうはち‼」
「行きます!遅れず付いてきてくださいね‼ 《ドラゴンダイブッ‼》」

 身体全体が龍頭の高濃度魔力に包まれたアルシェは龍頭がひと吠えすると一気に龍は身体を構築しながらアルシェをゲート向こうへと連れて行ってしまった。続く長い体に生き残っていたメタルシリーズが突撃を仕掛けるも攻撃魔法の塊に触れた端から削り取られて瘴気に還っていった。
 アルシェ達を孤立させない為に俺達も遅れない様に後に続き突入したナユタの世界は[黒い]という印象が強すぎた。
 大気や大地は瘴気に侵され黒く染まり、辛うじて太陽に代わる星の輝きで所々に光が差しているとはいえ視界は悪い。視界に入る木々も幹は黒く染まり葉や実は何も付いていない為死んでいる様に見える。

「《レイライトウェポン》シフト:ソード! 《俺式サンクチュアリフィールド!》」

 物質武器は[クラウソラス]一本しか持っていないけど同じように魔法で武器を創れば複数のサンクチュアリフィールドは作り出すことが出来る。しかし、継続時間はどうしても短くなってしまうから俺も多少意識を向けておく必要が出るけどな。
 突入組は瘴気濃度に顔をしかめて息をするのも嫌悪感を示していたが魔法が発動したことで改善されたようだ。

「無理やり制御力で発動してるけど先にオベリスクの破壊を優先してくれ!
 アルシェとセーバー、マリエルとメリーに分かれて壊し回って来い!」
「わかりました!」「応さ!」
「りょ~かい!」「かしこまりました!」

 入り口付近にはまだまだワラワラと瘴気モンスターが押しかけているものの、広範囲攻撃がしやすくなった事とある程度は元の世界に抜けさせることで息抜きも出来たからか苦労はあまり感じなかった。
 敵を屠りつつ魔法の制御が少しずつ楽になるのを感じながら仲間の戻りを待てばある程度の掃除を終わらせて次々と戻って来た。

「オベリスクの破壊に加えて周辺も見て来ました」
「どうだった?」
「遠目ではありますが廃村の様なものは見受けられました。
 敵に関しては星全域の敵が私達に反応しているわけでは無いようですね」
「小さ目の部類は反応しやすいように感じたな。
 遠目で見ても異常に大きい奴なんかは全く反応せずにゆったりと歩いていたぞ」

 アルシェとセーバーの報告で星に発生している瘴気モンスター全てを相手にする必要がなくなったのは幸いだが、ここまで瘴気に侵食されてしまうと超巨大瘴気モンスターも自然に生み出すという事実から警戒心を引き締め直した。
 探索を優先して戦闘は出来る限り避けたいところだが個別の索敵範囲なんて新種ばかりの異世界で調べる事じゃないか……。

「気の所為かもしれませんがクーデルカ様が遠くに微かな明かりを感じたそうです」
「目視は出来なかったから凄く凄く遠いと思いますよ。
 それに多分世界中に適度にオベリスクが刺さってるんじゃないですかね。乱れ撃ちみたいにあちらこちらに建ってますよ」

 明かりの件は右も左もわからない異世界に於いて指針になる情報だ。手透きの時間にクーを褒めておこう。
 それにマリエルの言う様に世界中にオベリスクが刺さっている可能性は否めない。臨界時に姿を現した苛刻かこくのシュティーナは一瞬で空一杯にオベリスクを出現させて大地へと射出していたことからも実際可能なのだろうし、多少の慈悲を持ち合わせるシュティーナでも末期と判断すれば遠慮なく破滅の将として仕事を全うするだろう。

「あ!あとアクアちゃんが気づいたのですが、敵のランクは五~七が多くを占め時折その上のランクが居るようです」
「それが本当なら脅威度の指標になるな。ナユタの世界は若い方らしいから成熟していなければその程度なのかも……。
 逆に苛刻かこくのシュティーナや滅消めっしょうのマティアスの世界に挑むならもっと上位の敵が多くを占めるって事にもなるけどね」
「今から考えても仕方ありません。今は目の前の事に集中!でしょ?」
「そうだな。ありがとう」

 ともかく出発する前に色々と試す必要がある。

「《ゲート》」

 設置は出来るか…。

「《アンロック……》 ダメだな。魔力が足りないか…」

 ゲートを繋げるのは入口と出口の距離によって要求魔力が変わってくる。弾かれたりはしなかった事から最終的に繋げる事は可能なのだろうけれど要求魔力が如何せんデカ過ぎる。繋げようとしたのは目と鼻の先である地竜の島だというのにだ。

「(あーあー、聞こえるか?テステス。)」
『(聞こえてるですよ。何か用です?)』

 念話は世界を超えても機能するのかよ…。

「《召喚サモン》ノイティミル」
『んえっ!?急に呼び出して本当に何です!?』
「ごめんごめん、ちょっと異世界で何が出来るか試してた。危ないからすぐに戻すよ。ありがとう」
『もう!事前に教えて欲しいものですよ!』

 可愛らしくぷりぷり怒りながら姿を消したノイに癒されながら思考を巡らせる。
 例え俺が孤立しても子供たちとの繋がりは消えず助けてもらえる事に安堵しつつどうにか異世界とのゲートを繋げる方法を考え出さなければならない。
 剣聖けんせいセプテマ氏の話では繋がりは長くても二日保った事はないらしい。この機会を逃してしまえば破滅の将[魔神族]を減らす次の機会がいつ訪れるとも限らないしいつまでも地竜の島に待機する訳にもいかない。

「お兄さん、どうでした?」
「精霊たちとは異世界の壁を超える絆を確認出来た。
 あとはゲートが開通すれば入口が塞がっても直接乗り込むことが出来るんだけど魔力が圧倒的に足りない」

 襲い掛かって来る瘴気モンスターの相手を任せていたアルシェが俺の様子を見に戻って来たので説明しておく。
 本当に今繋げる必要はないけれど繋げられると確信出来なければ不安が残る。

「私達全員で[シンクロ]しても足りませんか?
 人間が私・お兄さん・マリエル・メリーの四人と精霊が七人も居ます」
「それでもまだ足りないんだ……いや、待てよ。
 青竜の魔石が蒼天籠手とアクアとアルシェで三つ、黄竜の魔石が一つ、白竜の魔石が一つ…。ギリギリ足りそうかな…」
「試すだけ試して開けられそうか確認しましょう。
 でなければまともな休息を取る事もままなりませんし」
「よし試す前に皆にアナウンスしておかないとな。
 魔力が急速に無くなるうえに確認の為にギリギリまで搾り取るから気持ち悪くなって意識が遠退くと思う」

 魔力は精神に直結しているから減れば減るほど集中力が落ちるし体調不良や眠気に襲われる。
 だから普段から魔法使いもある程度の自衛が出来るようにとギルドでも周知されているのだ。
 今回に関してはセーバー&リュースライア組のみがシンクロの輪から外れている事で負担が増すだろう。まぁマナポーションはあるから気持ち悪くなる度合も軽くなるし意識が遠退くなんてことは有り得ないと思っている。

「(愛しい子供達にお知らせしま~す。これから異世界を繋げるゲートの解錠アンロックテストを行う。
 パートナーには念の為その旨を伝えておいてくれ。あと突入組の三人はマナポーションの用意も頼む)」
『(ノイティミルとフラムキエは了解です)』
『(アルは当選OK~)』
『(マリエルもだいじょうぶですわー!)』
『(メリーさんも何時でも良いそうです)』

 子供達の念話を聞きつつセーバーにも説明すると少し引き攣った顔をしつつ任せろと言ってくれた。
 試すのは一瞬で終わるから隙が出来る程度で収まると思ってるけどね。

「(じゃあ、テスト開始)。《シンクロ!》《ゲート:解錠アンロック》アサイン:地竜の島!」

 詠唱後急速に魔力が失われていく感覚に合わせてマナポーションを服用しつつ突き出した人差し指と中指の二指を回し始める。
 アルシェ達も魔法の使用は抑えて肉弾戦や武器にて敵を牽制することで無理せず事故が起こらない様に注意してくれている中、全員の魔力と魔石の魔力が順調に減っていくのと同時に指も止まる事無く回っていき後一㎝でも動かせば解錠アンロックという所で問題なしの判断を行い全てを白紙に戻した。
 マナポーションで増えた余剰分は攻撃魔法に使ったり排出する事で対応して実験は成功に終わった。

「(はい終了。実験は成功、お疲れ様)」

 今回の臨界で最低限やりたかった事が終わったから残り時間はこの異世界を調べつつ世界樹を探すとしよう。
 幸いクーとメリーが指針を見つけてくれたからとりあえずその方向へ進行してみよう。
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