特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。

黄玉八重

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閑話休題 -|霹靂《へきれき》のナユタ討伐祝い休暇-

閑話休題 -92話-[ナユタの民の新天地④]

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「魔神族討伐完了の報告は以上です。
 続いて本題となるナユタの民の今後についてのご相談です」
「やはり面倒ごとを持ち込んできたな……。ふん、タリア族はアスペラルダが引き受けるのだな。
 では、残る2グループをフォレストトーレで……という事か?」
「話が早くて助かります殿下。ただし、霹靂へきれきのナユタの元となった贄のナユタ少年も一緒ですが」
「はぁ……、やはり面倒ごとだな」

 王様が臣下や訪問者の前でしていい顔じゃないですよ?
 ご安心ください。お世話係が1グループ付いて来ますので!

「いずれ独立するであろうジョイザイル氏の1グループ。こっちは単純に労働者としての紹介です。
 ナユタ少年の世話をしつつ新生活を始めるつもりのセフィーナさんの1グループ。こちらは国民として入植予定です」
「謀反の種ではなかろうな?」
「俺もアルカンシェ様も再三難しい事は伝えております。なので、もしもやらかしたらちゃんと尻は拭いますよ。
 チャンスは与えたのです。手順を追って殿下に認められたうえで出世するなら良いのですが、強行するなら切り捨てますよ。責任を持って」
「そこまで貴様に任せるつもりは無い。国内の犯罪なら国内で解決するべきだからな。
 役割があるのだ。魔神族に集中してもらえた方が我々も安心して国政に力を入れられるというものだ」

 諦めたり切り捨てる決断の早さには定評がある。自称だけど。
 ラフィートが文句を言いつつも責任を持つというなら任せるとしよう。どうしようも無くなれば一言伝言をくれるだろうし。
 まぁそんな一大勢力を集められるほどジョイザイル氏に求心力があるとは思えないから絶対杞憂に終わる自信がある。

「旧王都復興には向かないとは思うけどギガファームの方ならある程度彼らの要求は満たせるかと。
 作業員としても導入出来ますし余計な考えを持たせる余裕もなく労働力を搾取出来ます。ナユタ少年も羽根を伸ばして自然豊かな生活をする事が出来るのでセフィーナさんの希望にも添えるかと」
「本当に腹黒く容赦のない奴だな貴様は……。後出しで野望対策も考えていたのだな。
 この者たちは戦闘は出来るのか? 一応護衛として冒険者も雇う予定なのだが……」
「世界樹のバリアの中で産まれ育って来た箱入り一族ですよ? 戦闘なんて出来ませんよ。
 多少の戦闘訓練をしていた者は居ますけど結局のところ自己流でごっこの延長なんで。意気込んで魔物と戦えば怪我しますよ」
「わかった。シンプルに労働者としてこちらで預かろう」

 よっし!ニート共の就職先斡旋成功だ!
 休暇の足音が聞こえて来たぁああああああ‼

「いつから働けそうなのだ?」
「出来ればすぐにでも引き取ってもらえると助かります。彼らがいま滞在しているのは地竜の島なので……。
 早めにエルダードワーフとドラゴドワーフを元の生活に戻してあげたいんですよ」
「うぅむ……。彼らの尽力によって仮設住宅や土台の工事がかなり進んでいるそうだからまだ力を借りたい所だが、被害者の彼らをこれ以上拘束する理由にはならないか。それは明日にでもという意味か?」
「早くて明日。遅くても1週間以内を希望します。
 竜はあまり気にしないかもだけど人目に付き過ぎるのも色々と問題がある気がしますし」

 それはそう、と皆が頷く。絵物語の生き物が人目の付くのは確かに不味いのだ。
 冒険者の中にはそういうに憧れる奴もいる。特に上級ランクの中にその傾向は多い。
 もちろんAランクやSランクだからと言って竜に敵う訳はない。圧倒的にステータスが足らないからだ。
 だからと言って放置するには危険度が高いしフォローも面倒であることに変わりはない。主に俺が矢面に立つ事になる。

「タレア族の移住先はほぼ確定しています。
 残る2グループが移住できるなら合わせて入れ替えを行おうかと。
 あと、タレア族の移住先とギガファームをゲートで常時繋げようかと思うんですがいかがですか?」
「それは…。フォレストトーレとアスペラルダ間のゲートですよね? 流石に許可が下りないのでは?」
「いえ、先にギュンター様からは許可を頂いています。
 海無し国のフォレストトーレに新鮮な魚介類を、ってアスペラルダの復興支援の一部と捉えてください。
 実際は他の町とは交易が不自由な位置に村が出来る事と2グループのフォロー。ついでに人間と魚人の関わりを細々とでも続けたい事などなど思惑は多いです」
「ギュンター王が面白そうに隠していた事はこれか……。お父君もご子息も隠し事がお好きだな」

 ご子息じゃないって言ってんだろ!お前も養子縁組推奨委員会の回し者かっ!
 ともかく損得勘定とか抜きにしてナユタの民はある意味まとめておいた方が新生活に戸惑う事も少なくなるだろうというのは一番の理由だ。もちろんゲートを常時開放するのは危険なのでそれぞれに管理人を立てる必要が出て来る。

「ゲートはタリア族の生活がある程度落ち着いてから設置を考え始めよう。
 こちらも設置位置などを今から検討しておこう。他に話しておきたいことはあるのか?」
「え~と、ナユタの民の移住話がある程度まとまったなら大丈夫かな?」
『お父様。お弟子さん達の武器についての相談をファウナ様にと』
「そうだった。殿下への報告と相談は以上ですがファウナへ別件があって……」

 俺のうっかりをクーがしっかりフォローしてくれたのでキョロキョロと見回す。
 ラフィートの契約精霊になったとはいえ常に傍に居るわけでは無い。そもそも彼女の役割は風精の里を守る守護者なのだ。
 うちが過保護であり精霊が幼いから基本的に一緒に居る事が多くなっているだけだ。

「よし、話は終わったな。全員撤収!仕事に戻るぞ!」
「「「「「はい!」」」」」

 素早い撤収だ。鶴の一声で皆が手早く机を綺麗にして足早に去っていく。
 素晴らしいチームワークに俺達が言葉を挟む暇もなく文官達は多目的ホールから消えて行った。
 それにしてもラフィートもラフィートだ。友人に対して何と酷い切り上げ方だ!

宗八そうはち。ファウナと話したいならその辺の植物に触れながら話しかけるかグランハイリアへ行け」

 ラフィートは席から立ち上がり俺に指を差しながら言葉を発する。もちろんすぐに出口へと移動を開始している。
 ちょっと雑な扱い。ぴえん。
 でも俺がいつもしている事だから何も言えない。ぱおん。
 俺の返事も待たず近衛を率いてラフィートは執務室へ颯爽と去っていく。ぎゃふん。

『パパ。グランハイリアへ行きましょうおおお!』
『街中で植物に話しかけるのは見た目が悪いですからね』
「じゃああんまり長居しても仕方ないし行くか。グランハイリアへ」

 ラフィートに言われずとも行くつもりだったのだ。
 何しろ今の俺は非武装状態なのだから。カレイドハイリアは実家に帰省中。
 迎えに行く為にも。弟子の武器兼カレイドハイリアの姉弟の製作依頼も兼ねて行きますかね。
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