350 / 450
第14章 -勇者side火の国ヴリドエンデ編-
†第14章† -14.5話-[一方その頃。|水無月《みなづき》編⑤]
しおりを挟む
また一人の青年を更生させてしまってから数日。俺達は空の上にやって来ていた。
ステータスの強化の外に武具を整える必要があって、武器に関してはグランハイリアと木精ファウナの協力の元でアルシェの武器の後はマリエル=テンペスト=ネシンフラのブーツ系を造ってもらったが侍女のメリー=アルカトラズ=ソルヴァは闇精クーデルカのオプション[閻手]で創られた暗器系を好んで使用している。だから武器ではなく防具系で検討している段階だ。続くメンバーもどういうのが良いかと検討してもらっているので話が決まり次第順次作成していく予定だ。
今回は竜の魔石関係で空の上に来ている。
アスペラルダ国領のブルー・ドラゴン、アーグエングリン国領のイエロー・ドラゴン、ユレイアルド神聖教領のホワイト・ドラゴンの3匹と出会い現在では高濃度魔石作成に協力してもらっている。その魔石をドラゴドワーフが武器や防具に加工してくれるので防御力はもちろんの事、魔力を大量に使用する魔法の補助にも使える。俺は青竜の魔石を[青竜の蒼天籠手]に加工してもらったし、アルシェは現在加工中だが鎧を依頼している。
「竜の巣って〇ピュタの事じゃなかったんだな……」
「お兄さん、ラピュ〇って何の話ですか?」
「それよりいい加減に雲の中へ入りませんか?」
とてつもなく巨大な雲の塊を前に俺とアルシェとマリエルはしばらくその様子を見つめていた。
バサバサと羽ばたき空中でホバリング飛竜してくれているフリューネの上でちょっと感動している俺の呟きにアルシェが興味を示しマリエルは飽きたのか中へ突入しようと催促して来る。まさかフォレストトーレ国領の空の上にこんな大きな雲が常に浮いており、その中に緑竜の巣があるらしい。この情報は先日俺に会いに来たセリア先生とテンペスト様から共有された情報なので確実に居るだろう。
『突入するならあの厚い風の防壁を越えられるように魔法を掛けてよね。流石に僕でもアレはキツイよ』
「それはマリエルとニルがやるから大丈夫。じゃあ、みんなちゃんと捕まってくれ」
「ねえお兄さん、ラ〇ュタって何ですか?」
「ラプ〇タは俺の世界の物語に登場する空飛ぶ島だよ。詳しくは後でね。魔法掛けて」
腰に抱き着くアルシェの上目遣いと胸部装甲アタックを食らいながらも理性を叩き起こして風避けの魔法をマリエル達に掛けてもらう。子供達のほとんどは副契約者と共に別行動をしているので今一緒に居るのは水精アクアーリィと風精ニルチッイと無精アニマの3人だけだ。各々しっかりと身体を固定したのを確認してからフリューネに合図を送って雲と風の防壁に突入を開始した。
凄い勢いで流れていく分厚い雲の中は視界が悪く風をまともに受けた場合は方向性が分からなくなって中心部に抜ける事は出来ないだろうが俺達は卓越した魔法制御で風避けで目的地への方向を見失うことなく進む事数十秒、バフッ!と防壁を抜けた先には本当に朽ちた遺跡と巨大な建築物が建っている浮遊島が存在した。
「うわぁ!すごっ!」
『神秘的な光景ですわー!ですけれど随分と崩れたり大穴が開いていて勿体ないですわねー』
「この島の存在を誰も知らないのですから数百年は浮かんでいるのでしょうし朽ちているのは仕方ないでしょう」
『風竜達が侵入に気付いたみたいだよ~』
俺の後ろからそれぞれの感想が聞こえてくる。
確かに遺跡やら原っぱの広がる場所には薄緑色の竜が竜が首を擡げてこちらを見上げているのが見えた。初めてみる外界の存在と青龍の存在に警戒と好奇心を向けて来ているのか首と視線で追ってはくるもののそれ以上の行動を起こす個体は居ない。その中でも大柄な個体の翆煇竜が数匹遺跡に開いた大穴から出てきて俺達に殺気を向けて来てひと声鳴けば緩慢だった薄緑竜も身体を起こしてこちらに殺気を飛ばし始めた。
『息吹を撃って来そうだね』
「マリエル、前に出て着地までのサポートお願い」
「出た出た隊長の無茶振り……、行こうかニルちゃん。《シンクロ》」
『ですわー!《ユニゾン!》』
ピカっと光りフリューネから飛び立ったマリエルが今にも吐き出されそうな息吹の射線上に舞い降りる。
見た目から薄緑の竜が[ウインド・ドラゴン]で濃緑竜が[エメラルド・ドラゴン]とかかな? そんなどうでもいい事を考えている間に放たれた雷の息吹は一瞬でフリューネに迫ったが間に立つマリエルによって雷は蹴散らされてパリパリと小さな電流を残しながら息吹は霧散してフリューネには届かなかった。続けて何度か放たれる息吹は全て防ぎ、その間に俺達は浮遊島へと降り立った。
フリューネから俺達が地面に降りる間に黄色い竜が近くまで寄って来ていたが先ほどまでの殺気は鳴りを潜め、少しだけ離れた位置で俺達の同行を観察している。フリューネの身体は小さくなりマリエルも地面に降りて来たので俺を先頭に黄色い竜へと近づくと徐に竜は喋り始めた。
『ようこそ精霊使い。緑竜の島へよくぞ参られた』
『はぁ? さっきまで殺気飛ばして息吹を放って来たでしょ?』
『青には話していないし何ならここで待て。事情は風精王から伺っている、グリーン・ドラゴンの元へ案内しよう』
「あ、話は通ってるのね……。フリューネも喧嘩売らないの」
竜って本当に自分達の領域外の竜に攻撃的だよな……。
長達はそこまででも無いけどその他の竜達は本当に排他的で面白い。不満げなブルー・ドラゴンの頭を撫でて先行する翆煇竜の後を付いて行くと遺跡はかなり古くて今の時代とは全く合っていなかった。旧文明の遺跡って感じで気か等は無いけど荘厳な雰囲気を醸しているし植物に侵食されて神秘的な感じもGood!およそ通路とは思えない大穴は自然に崩れたのか彼らがブチ抜いたのかどちらだろうか……。アルシェは興味深そうに周囲を見回しながら楽し気でマリエルもこれからグリーン・ドラゴンに会うというのに緊張せず同じく楽しげだ。子供たちは言わずもがな。フリューネだけが居心地悪そうに険しい顔でキョロキョロクンクンと首と鼻が忙しそうだ。
翆煇竜の案内で最奥の間に辿り着いた。
この遺跡は神殿だったのか複数の太い柱に支えられた神聖そうなその部屋の奥に巨大な深緑の竜が佇んでいた。下位のウインド・ドラゴンよりも色濃く、中位の翆煇竜との中間の体色をした緑色の竜。あれがグリーン・ドラゴンか……。今までの奴に比べると翼が二対四枚となっていて凄く速く飛行できそうだ。その隣には何故か笑顔で上品に手を振るセリア先生の姿がある。
『遠路遥々空の上までよくぞ参られた精霊使いと今代の水精王の娘よ。それに妖精と精霊か…。我が緑竜、[クァイアオーグナ]である。皆一様に歓迎しよう』
白竜に続けて2体目の女性体の緑竜は美しいというよりは威厳や貫禄のある皇太后とかの印象に近い声音をしていた。
彼女の名乗りを受けて俺達も順々に名乗りと挨拶をさせていただく。
「お目に掛かれて光栄です緑竜クァイアオーグナ。私はアスペラルダ王国第一王女護衛隊隊長の水無月宗八と申します。改めて七精霊使いであり、<万彩>の二つ名も拝命しております」
「美しい緑竜クァイアオーグナ、見目麗しい貴女に拝謁出来て幸甚の至りです。私はアスペラルダ王国第一王女アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダ。私も水精と契約しておりますので気軽にアルシェとお呼びください」
「初めまして緑竜クァイアオーグナ。アスペラルダ王国第一王女護衛隊副隊長を担っておりますマリエル=テンペスト=ライテウスと申します。隊長の風精霊と契約しており私も精霊使いになりますのでマリエルとお呼びください」
俺達に続いてアクアとニルとアニマも顔を出して挨拶を交わした。
竜だから正確ではないけれど優し気な瞳で俺達と子供達を見回し名前と顔を確認した緑竜はフリューネには話しかけずに再び俺達に向けて口を開いた。
『人の子と精霊の子よ、改めて歓迎しよう。話はセリアティアから伺っています。魔石の生成に協力して欲しいのでしょう?』
「確かにその通りですが、先に何故ここにセリアティア様がいらっしゃるのでしょうか?」
『それは私が分御霊だからですわ。精霊王となったから今まで協力出来ない事が多かった分色々と動いておりますの。それと私のことは今まで通りセリアと呼んで欲しいですわ』
「他の精霊王は協力こそすれ配下の精霊を付けてくれる程度でしたがここまでご自身が協力してよろしいのですか?」
入口で翆煇竜が言っていた風精王とはセリア先生の事だった様だ。
魔石の話がスムーズに進むのは良い事だがアルシェの心配するように精霊王の一人としてあまり俺達に肩入れし過ぎではないかと困惑してしまう。アルシェの母であり水精王シヴァ様も加護を与えたり精霊を派遣してくれたりはしても例え分御霊と言えどご本人が動くことは無かった。他の精霊王がしていない事を目の当たりにすると流石に怒られたりするのではと心配になる。
『実のところ私に出来る事はあまり多くありませんわ。加護を与えたり精霊を派遣したりは勿論出来ますけれど、魔族との戦争や魔神族との戦いには参戦出来ません。基本的には分御霊を使って里を作ったりして風精霊の生活をサポートするのが使命ですの。ですから、せめて緑竜との顔繫ぎくらいはと思って出張ってきましたわ』
「そうなのですね。では、やはり今後はあまり顔を見る機会は少なくなってしまうのですね……」
『うふふ。実は分御霊をアスペラルダに置いても良いとシヴァ様から許可は得ているので会おうと思えば会えますし[揺蕩う唄]も所持していますから相談にも乗れますわよ。ただ、争い事となると精霊王の立場上参加は出来ませんけれどね』
しばらく姿を見せなかったセリア先生は精霊王として帰って来た。
それでも遠い存在になってしまったと考えていたけれど彼女も俺達の事を気にしてくれている事に嬉しくなる。アルシェとマリエルなどは少し涙ぐんでいるくらいだ。遠くなったセリア先生が本当の意味で帰って来てくれた。そう思わずにはいられなかった。
ステータスの強化の外に武具を整える必要があって、武器に関してはグランハイリアと木精ファウナの協力の元でアルシェの武器の後はマリエル=テンペスト=ネシンフラのブーツ系を造ってもらったが侍女のメリー=アルカトラズ=ソルヴァは闇精クーデルカのオプション[閻手]で創られた暗器系を好んで使用している。だから武器ではなく防具系で検討している段階だ。続くメンバーもどういうのが良いかと検討してもらっているので話が決まり次第順次作成していく予定だ。
今回は竜の魔石関係で空の上に来ている。
アスペラルダ国領のブルー・ドラゴン、アーグエングリン国領のイエロー・ドラゴン、ユレイアルド神聖教領のホワイト・ドラゴンの3匹と出会い現在では高濃度魔石作成に協力してもらっている。その魔石をドラゴドワーフが武器や防具に加工してくれるので防御力はもちろんの事、魔力を大量に使用する魔法の補助にも使える。俺は青竜の魔石を[青竜の蒼天籠手]に加工してもらったし、アルシェは現在加工中だが鎧を依頼している。
「竜の巣って〇ピュタの事じゃなかったんだな……」
「お兄さん、ラピュ〇って何の話ですか?」
「それよりいい加減に雲の中へ入りませんか?」
とてつもなく巨大な雲の塊を前に俺とアルシェとマリエルはしばらくその様子を見つめていた。
バサバサと羽ばたき空中でホバリング飛竜してくれているフリューネの上でちょっと感動している俺の呟きにアルシェが興味を示しマリエルは飽きたのか中へ突入しようと催促して来る。まさかフォレストトーレ国領の空の上にこんな大きな雲が常に浮いており、その中に緑竜の巣があるらしい。この情報は先日俺に会いに来たセリア先生とテンペスト様から共有された情報なので確実に居るだろう。
『突入するならあの厚い風の防壁を越えられるように魔法を掛けてよね。流石に僕でもアレはキツイよ』
「それはマリエルとニルがやるから大丈夫。じゃあ、みんなちゃんと捕まってくれ」
「ねえお兄さん、ラ〇ュタって何ですか?」
「ラプ〇タは俺の世界の物語に登場する空飛ぶ島だよ。詳しくは後でね。魔法掛けて」
腰に抱き着くアルシェの上目遣いと胸部装甲アタックを食らいながらも理性を叩き起こして風避けの魔法をマリエル達に掛けてもらう。子供達のほとんどは副契約者と共に別行動をしているので今一緒に居るのは水精アクアーリィと風精ニルチッイと無精アニマの3人だけだ。各々しっかりと身体を固定したのを確認してからフリューネに合図を送って雲と風の防壁に突入を開始した。
凄い勢いで流れていく分厚い雲の中は視界が悪く風をまともに受けた場合は方向性が分からなくなって中心部に抜ける事は出来ないだろうが俺達は卓越した魔法制御で風避けで目的地への方向を見失うことなく進む事数十秒、バフッ!と防壁を抜けた先には本当に朽ちた遺跡と巨大な建築物が建っている浮遊島が存在した。
「うわぁ!すごっ!」
『神秘的な光景ですわー!ですけれど随分と崩れたり大穴が開いていて勿体ないですわねー』
「この島の存在を誰も知らないのですから数百年は浮かんでいるのでしょうし朽ちているのは仕方ないでしょう」
『風竜達が侵入に気付いたみたいだよ~』
俺の後ろからそれぞれの感想が聞こえてくる。
確かに遺跡やら原っぱの広がる場所には薄緑色の竜が竜が首を擡げてこちらを見上げているのが見えた。初めてみる外界の存在と青龍の存在に警戒と好奇心を向けて来ているのか首と視線で追ってはくるもののそれ以上の行動を起こす個体は居ない。その中でも大柄な個体の翆煇竜が数匹遺跡に開いた大穴から出てきて俺達に殺気を向けて来てひと声鳴けば緩慢だった薄緑竜も身体を起こしてこちらに殺気を飛ばし始めた。
『息吹を撃って来そうだね』
「マリエル、前に出て着地までのサポートお願い」
「出た出た隊長の無茶振り……、行こうかニルちゃん。《シンクロ》」
『ですわー!《ユニゾン!》』
ピカっと光りフリューネから飛び立ったマリエルが今にも吐き出されそうな息吹の射線上に舞い降りる。
見た目から薄緑の竜が[ウインド・ドラゴン]で濃緑竜が[エメラルド・ドラゴン]とかかな? そんなどうでもいい事を考えている間に放たれた雷の息吹は一瞬でフリューネに迫ったが間に立つマリエルによって雷は蹴散らされてパリパリと小さな電流を残しながら息吹は霧散してフリューネには届かなかった。続けて何度か放たれる息吹は全て防ぎ、その間に俺達は浮遊島へと降り立った。
フリューネから俺達が地面に降りる間に黄色い竜が近くまで寄って来ていたが先ほどまでの殺気は鳴りを潜め、少しだけ離れた位置で俺達の同行を観察している。フリューネの身体は小さくなりマリエルも地面に降りて来たので俺を先頭に黄色い竜へと近づくと徐に竜は喋り始めた。
『ようこそ精霊使い。緑竜の島へよくぞ参られた』
『はぁ? さっきまで殺気飛ばして息吹を放って来たでしょ?』
『青には話していないし何ならここで待て。事情は風精王から伺っている、グリーン・ドラゴンの元へ案内しよう』
「あ、話は通ってるのね……。フリューネも喧嘩売らないの」
竜って本当に自分達の領域外の竜に攻撃的だよな……。
長達はそこまででも無いけどその他の竜達は本当に排他的で面白い。不満げなブルー・ドラゴンの頭を撫でて先行する翆煇竜の後を付いて行くと遺跡はかなり古くて今の時代とは全く合っていなかった。旧文明の遺跡って感じで気か等は無いけど荘厳な雰囲気を醸しているし植物に侵食されて神秘的な感じもGood!およそ通路とは思えない大穴は自然に崩れたのか彼らがブチ抜いたのかどちらだろうか……。アルシェは興味深そうに周囲を見回しながら楽し気でマリエルもこれからグリーン・ドラゴンに会うというのに緊張せず同じく楽しげだ。子供たちは言わずもがな。フリューネだけが居心地悪そうに険しい顔でキョロキョロクンクンと首と鼻が忙しそうだ。
翆煇竜の案内で最奥の間に辿り着いた。
この遺跡は神殿だったのか複数の太い柱に支えられた神聖そうなその部屋の奥に巨大な深緑の竜が佇んでいた。下位のウインド・ドラゴンよりも色濃く、中位の翆煇竜との中間の体色をした緑色の竜。あれがグリーン・ドラゴンか……。今までの奴に比べると翼が二対四枚となっていて凄く速く飛行できそうだ。その隣には何故か笑顔で上品に手を振るセリア先生の姿がある。
『遠路遥々空の上までよくぞ参られた精霊使いと今代の水精王の娘よ。それに妖精と精霊か…。我が緑竜、[クァイアオーグナ]である。皆一様に歓迎しよう』
白竜に続けて2体目の女性体の緑竜は美しいというよりは威厳や貫禄のある皇太后とかの印象に近い声音をしていた。
彼女の名乗りを受けて俺達も順々に名乗りと挨拶をさせていただく。
「お目に掛かれて光栄です緑竜クァイアオーグナ。私はアスペラルダ王国第一王女護衛隊隊長の水無月宗八と申します。改めて七精霊使いであり、<万彩>の二つ名も拝命しております」
「美しい緑竜クァイアオーグナ、見目麗しい貴女に拝謁出来て幸甚の至りです。私はアスペラルダ王国第一王女アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダ。私も水精と契約しておりますので気軽にアルシェとお呼びください」
「初めまして緑竜クァイアオーグナ。アスペラルダ王国第一王女護衛隊副隊長を担っておりますマリエル=テンペスト=ライテウスと申します。隊長の風精霊と契約しており私も精霊使いになりますのでマリエルとお呼びください」
俺達に続いてアクアとニルとアニマも顔を出して挨拶を交わした。
竜だから正確ではないけれど優し気な瞳で俺達と子供達を見回し名前と顔を確認した緑竜はフリューネには話しかけずに再び俺達に向けて口を開いた。
『人の子と精霊の子よ、改めて歓迎しよう。話はセリアティアから伺っています。魔石の生成に協力して欲しいのでしょう?』
「確かにその通りですが、先に何故ここにセリアティア様がいらっしゃるのでしょうか?」
『それは私が分御霊だからですわ。精霊王となったから今まで協力出来ない事が多かった分色々と動いておりますの。それと私のことは今まで通りセリアと呼んで欲しいですわ』
「他の精霊王は協力こそすれ配下の精霊を付けてくれる程度でしたがここまでご自身が協力してよろしいのですか?」
入口で翆煇竜が言っていた風精王とはセリア先生の事だった様だ。
魔石の話がスムーズに進むのは良い事だがアルシェの心配するように精霊王の一人としてあまり俺達に肩入れし過ぎではないかと困惑してしまう。アルシェの母であり水精王シヴァ様も加護を与えたり精霊を派遣してくれたりはしても例え分御霊と言えどご本人が動くことは無かった。他の精霊王がしていない事を目の当たりにすると流石に怒られたりするのではと心配になる。
『実のところ私に出来る事はあまり多くありませんわ。加護を与えたり精霊を派遣したりは勿論出来ますけれど、魔族との戦争や魔神族との戦いには参戦出来ません。基本的には分御霊を使って里を作ったりして風精霊の生活をサポートするのが使命ですの。ですから、せめて緑竜との顔繫ぎくらいはと思って出張ってきましたわ』
「そうなのですね。では、やはり今後はあまり顔を見る機会は少なくなってしまうのですね……」
『うふふ。実は分御霊をアスペラルダに置いても良いとシヴァ様から許可は得ているので会おうと思えば会えますし[揺蕩う唄]も所持していますから相談にも乗れますわよ。ただ、争い事となると精霊王の立場上参加は出来ませんけれどね』
しばらく姿を見せなかったセリア先生は精霊王として帰って来た。
それでも遠い存在になってしまったと考えていたけれど彼女も俺達の事を気にしてくれている事に嬉しくなる。アルシェとマリエルなどは少し涙ぐんでいるくらいだ。遠くなったセリア先生が本当の意味で帰って来てくれた。そう思わずにはいられなかった。
10
あなたにおすすめの小説
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。
希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。
手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。
「このまま死ぬのかな……」
そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。
そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。
試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。
「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」
スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。
たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
家ごと異世界ライフ
ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる