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第16章 -勇者 VS 魔王-
†第16章† -13話-[アルカンシェの暗躍]
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「じゃあ、この順番で戦力を配置するぞ」
総合的に占い結果を鑑み、避難の前に危険度の高い地域の足止めが必要と判断した。
すぐに動き出せるように、マリエルの身体には闇精クーデルカによる複数のゲート設置も同時に進められている。
「私はアンタと一緒に顔見知りの魔王のもとへ出向いて、協力してもらう。これでいいんだね?」
「辺境魔王のところまで辿り着くまでに、それなりの時間を稼げる。一応、避難が終われば全滅させるために動くけど、数が数だから数日掛かりの大仕事になる。それまでは匿ってもらわないと話にならないからな……」
パトラの信用を担保に顔合わせ。屍を見せて信憑性を証明。
そして、大魔王の危険性を喚起すると共に、この状況を抜本的に解決するためには、勇者が必要だと認識させる説得力。
そこから芋づる式に顔を繋いでもらい、多くの避難場所の確保を実行する。
「まぁ……楽観的に見て、ひと月。現実は、もっと厳しいだろうけどな……」
希望的観測を口にしてみても、魔族側の協力者を得る作戦が大前提となると、かなり不透明だ。
正確な禍津屍の数は未だ不明。
それが、どこまでも暗い雲を広げていた。
* * * * *
宗八達が計画を立てている一方で、アルカンシェも魔族領へ支援する為の準備を進めていた。
七精の門のメンバーを招集し、ほとんどを闇精クーデルカに案内させたのでアルカンシェの周りに残っている仲間は、侍女のメリー。そして、サポートに猪獅子タルテューフォ。最後に青竜フリューアネイシア。
普段は宗八の側に居たがる二匹だが、この頃には宗八だけでなくアルカンシェの側でも安全は確保されていると判断して大人しく行動を共にしてくれている。
しかし、フリューアネイシアに関しては、宗八の様に気安い命令は聞かない。
「すみません、フリューネ様。あちらでは空にいても、矢が平気で届くそうなのです。安全を考えて、こちらに残っていただきました」
足元で眠っていた青竜にアルカンシェは優しく声を掛けると、瞑っていた瞳がチラリと向けられた後に鼻から冷気を出しつつ再び閉じられた。
『……わかっているよ。僕の安全を考慮してくれている事は理解している。だから気にせず自分の役割を果たしなよ』
青竜の大人しい様子は少し寂しげに見えた。
宗八が鍛錬ダンジョンの件からずっと忙しく動き続けているので、接する時間が少なく寂しいのだろう。
すでに各国への報告は済ませ、ある程度の確約は頂いた。
ただ、実際に救援物資を用意するとなると、複数回に分けて運ぶ必要があり、最終的に必要な量の計算もあるので第一回の救援物資量は各国に判断に任せる手筈となっている。
ヴリドエンデ王国の物資については、アルカイド王太子とラッセン第二王子に任せ、アルカンシェは自国に戻り父王と王妃に話を通していた。
「それで、ギュンター陛下。どの程度を想定されていますか?」
闇精クーデルカから副契約者メリーに念話で報告は、ずっと上がって来ている。
それをメリーは紙に書きあげて、情報伝達速度はほぼ現地と変わらない様に調整していた。
「アスペラルダ王国から出すなら魚介が主となる。ただ、まだ避難も始まっていないとなると、先を見据えて加工してからでなければ口に入る前に腐ってしまうだろう。すぐに用意するとなると、一先ずは……1tくらいだな」
食生活が違う可能性もある。
だから、この1tの食料がどれだけ受け入れられるかが問題と言えば問題だった。そこは第一陣の救援の差異に判断してもらうしかない。
「準備は進めておくから心配しなくていいよ。宗八も頑張っているのだし、私達も出来る事で支えなければね」
「ありがとうございます、ギュンター陛下」
笑い掛ける父親に向けて、娘としてではなく七精の門のリーダーとして頭を下げる。
これでひとまず、アスペラルダとしての話はまとまったと見て良い。
アスペラルダに戻って来たついでに母親のナデージュ王妃に、いや……。
「シヴァ様にお願いがございます」
アルカンシェの言葉に一瞬目を見開いたナデージュは、王妃の表情から水精王シヴァとして優しく微笑み話を促した。
「契約可能な水精の斡旋をお願いしたいのです」
『契約者は誰を予定しているの?』
アルカンシェは宗八と契約する水精アクアーリィと副契約している。
しかし、彼女の声音からは主契約を目的とした問い掛けに感じた。だから契約者を誰何する。
「——私です。お兄さんが全力を出して戦う為にはアクアちゃん達の力は必須です。ですが、その間副契約者は精霊を失い戦力になれません。なので、共に戦ってくれる精霊を求めているのです」
異世界を二つ滅ぼした。
ナユタの世界は、現地人とナユタの救出が完了した時点で、アルカンシェ達は宗八を残して撤退した。
アルダーゼの世界は、神格ヲ簒奪セシ禍津大蛇が現れた時点で早急に撤退した。その時も宗八は最後まで残った。どちらの世界も精霊を託し一人となった精霊使いの自分達は、戦力外となった為に逃げだしたのだ。
——あの日の後悔を、二度と繰り返したくないから。
出来るならば……最後まで隣で戦いたかったっ!
アルカンシェの言葉。そして心の叫びを察したシヴァは思案する。
必要なのは、単純な戦力となる精霊ではない。精霊使いとして共に戦える個体。信頼関係を結べている水精……。
『提案出来る精霊は三名。スィーネ、ボジャノーイ、ポシェントです』
この三名だけが、アルカンシェと言葉を交わし、戦場を共にした経験もある。
他にも中位階以上の水精の紹介は可能だ。しかし、必要となるのは信頼ありきの≪シンクロ≫や≪ユニゾン≫が使用出来る可能性のある精霊。賢い娘の事だ。自分がこの三名を選出事も踏まえて相談して来ているのだろう。
何しろ人事は水精王である自分が管理しているのだから……。
「それでは……。水精ポシェントをお願いします」
アルカンシェの選択にシヴァは少し意外な表情を浮かべた。
『スィーネと仲が良い様なので、彼女を選ぶかと思っていましたが……』
「スィーネは純粋な魔法使いです。比べてポシェントは魔法は余り使用しませんが、私と同じく槍を駆使します。だからこそ選びました」
娘の考えは理解した。なるほど、確かに良い選択だ。
得意としている遠距離狙撃魔法が使えなくなるデメリットはある。しかし、それを補う近接戦闘力に期待しているのだろう。
『良いでしょう。ポシェントには話を通して手配しておきましょう。ところで、マリエルはどうするのです?』
当然、宗八が戦い始めれば風精ニルチッイをマリエルは失う事となる。
アルカンシェ同様に戦力外となるので尋ねた。
「風精の知り合いは、残念ながらセリア先生しか居ませんので、出来ればボジャ様の手配をお願いいたします」
この後に続けて交渉するつもりだったのか、アルカンシェは少し不服そうな視線をシヴァに送る。
娘の可愛らしい姿に王妃としての顔に一瞬戻ってしまう。慌てて表情を繕いこれも了承した。
『残るは、闇精一人。土精一人。火精一人。光精一人……ですか。どうします?』
精霊王として話を通しておきましょうか?と微笑み掛ける。
「それには及びません。時間を見つけてにはなりますが、私が頭を下げて参りますので」
それに顔繫ぎが出来ていない訳じゃない。
あとは宗八への信頼を、仲間に向けてもらえる様に各々が努力するだけだ……。
『ふふ……。不躾な事を言いましたね。頑張りなさい』
「ありがとうございます。シヴァ様」
アルカンシェ達は、アスペラルダ王城を出たその足でダンジョン≪死霊王の呼び声≫へと向かう。
次の目的は、メリーの相棒だ。契約精霊を見つける事が出来れば、子供達も宗八と一緒に居られる時間が増えるので、きっと喜んでくれるだろう。
——だからこそ、今は進もう。
きっと、皆で未来を掴むために。
* * * * *
『ふわあああぁぁぁっ~……。いま、なにしてるのぉ~?』
アスペラルダ城の宗八の部屋で、お昼寝していた呑気な長女が開きっぱなしだったゲートから、欠伸交じりに現れた。
その可愛らしい姿にパトラを始め、占い師娘三人も目をハートにしている。
逆に宗八は、アルカンシェと共に居ると思っていた長女が眠気眼に登場した事に首を傾げていた。
「何してんだ、お前……よっと。魔族領でひと仕事だよ」
抱き上げた水精アクアーリィの頰に親愛のキスしながら質問に答えてやると、お返しにキスを返してくれた。
『にゅふふ。アルシェが色々と考えてくれてるんだよぉー。だから、アクアもパパと一緒にお仕事出来るんだよぉー』
続けて、頬づりを繰り返す水精アクアーリィの頭を撫でながら、宗八は考える。アルカンシェが独自に動いてくれていたからこそ、普段彼女の側にいるアクアーリィがこうしてこの場に来られたのだ、と。己の嫁が自分の為に手筈を整えてくれている事に嬉しくなる。
ともかく、水精アクアーリィがこちらに合流したならば、宗八自身も強力な手駒として計算出来る。
「さあ、魔王様に謁見しに行こうか」
『わあー!』
父にじゃれついていた長女のアクアーリィを、四女アニマが強引に取り込みながら一喝する。
『わあーじゃありません!お姉さま!いつまでお父様に甘えているのですか!早く合流なさいっ!』
この時ばかりは妹の立場よりも、無精王アニマとしての立場が強く出ていた。
長女に負けず劣らず内心では父を好いている心を鬼にして、アニマはアクアーリィをしかりつけながら、無精霊纏中の状態で腕を伸ばす。
そして、そのまま長女を混交精霊纏に引き摺り込んだ。
アクアーリィが姿を消した瞬間、宗八のステータスが跳ね上がる。
空気が変わった。パメラは敏感な角を震わせ、その凄みをはっきりと感じ取っていた。
総合的に占い結果を鑑み、避難の前に危険度の高い地域の足止めが必要と判断した。
すぐに動き出せるように、マリエルの身体には闇精クーデルカによる複数のゲート設置も同時に進められている。
「私はアンタと一緒に顔見知りの魔王のもとへ出向いて、協力してもらう。これでいいんだね?」
「辺境魔王のところまで辿り着くまでに、それなりの時間を稼げる。一応、避難が終われば全滅させるために動くけど、数が数だから数日掛かりの大仕事になる。それまでは匿ってもらわないと話にならないからな……」
パトラの信用を担保に顔合わせ。屍を見せて信憑性を証明。
そして、大魔王の危険性を喚起すると共に、この状況を抜本的に解決するためには、勇者が必要だと認識させる説得力。
そこから芋づる式に顔を繋いでもらい、多くの避難場所の確保を実行する。
「まぁ……楽観的に見て、ひと月。現実は、もっと厳しいだろうけどな……」
希望的観測を口にしてみても、魔族側の協力者を得る作戦が大前提となると、かなり不透明だ。
正確な禍津屍の数は未だ不明。
それが、どこまでも暗い雲を広げていた。
* * * * *
宗八達が計画を立てている一方で、アルカンシェも魔族領へ支援する為の準備を進めていた。
七精の門のメンバーを招集し、ほとんどを闇精クーデルカに案内させたのでアルカンシェの周りに残っている仲間は、侍女のメリー。そして、サポートに猪獅子タルテューフォ。最後に青竜フリューアネイシア。
普段は宗八の側に居たがる二匹だが、この頃には宗八だけでなくアルカンシェの側でも安全は確保されていると判断して大人しく行動を共にしてくれている。
しかし、フリューアネイシアに関しては、宗八の様に気安い命令は聞かない。
「すみません、フリューネ様。あちらでは空にいても、矢が平気で届くそうなのです。安全を考えて、こちらに残っていただきました」
足元で眠っていた青竜にアルカンシェは優しく声を掛けると、瞑っていた瞳がチラリと向けられた後に鼻から冷気を出しつつ再び閉じられた。
『……わかっているよ。僕の安全を考慮してくれている事は理解している。だから気にせず自分の役割を果たしなよ』
青竜の大人しい様子は少し寂しげに見えた。
宗八が鍛錬ダンジョンの件からずっと忙しく動き続けているので、接する時間が少なく寂しいのだろう。
すでに各国への報告は済ませ、ある程度の確約は頂いた。
ただ、実際に救援物資を用意するとなると、複数回に分けて運ぶ必要があり、最終的に必要な量の計算もあるので第一回の救援物資量は各国に判断に任せる手筈となっている。
ヴリドエンデ王国の物資については、アルカイド王太子とラッセン第二王子に任せ、アルカンシェは自国に戻り父王と王妃に話を通していた。
「それで、ギュンター陛下。どの程度を想定されていますか?」
闇精クーデルカから副契約者メリーに念話で報告は、ずっと上がって来ている。
それをメリーは紙に書きあげて、情報伝達速度はほぼ現地と変わらない様に調整していた。
「アスペラルダ王国から出すなら魚介が主となる。ただ、まだ避難も始まっていないとなると、先を見据えて加工してからでなければ口に入る前に腐ってしまうだろう。すぐに用意するとなると、一先ずは……1tくらいだな」
食生活が違う可能性もある。
だから、この1tの食料がどれだけ受け入れられるかが問題と言えば問題だった。そこは第一陣の救援の差異に判断してもらうしかない。
「準備は進めておくから心配しなくていいよ。宗八も頑張っているのだし、私達も出来る事で支えなければね」
「ありがとうございます、ギュンター陛下」
笑い掛ける父親に向けて、娘としてではなく七精の門のリーダーとして頭を下げる。
これでひとまず、アスペラルダとしての話はまとまったと見て良い。
アスペラルダに戻って来たついでに母親のナデージュ王妃に、いや……。
「シヴァ様にお願いがございます」
アルカンシェの言葉に一瞬目を見開いたナデージュは、王妃の表情から水精王シヴァとして優しく微笑み話を促した。
「契約可能な水精の斡旋をお願いしたいのです」
『契約者は誰を予定しているの?』
アルカンシェは宗八と契約する水精アクアーリィと副契約している。
しかし、彼女の声音からは主契約を目的とした問い掛けに感じた。だから契約者を誰何する。
「——私です。お兄さんが全力を出して戦う為にはアクアちゃん達の力は必須です。ですが、その間副契約者は精霊を失い戦力になれません。なので、共に戦ってくれる精霊を求めているのです」
異世界を二つ滅ぼした。
ナユタの世界は、現地人とナユタの救出が完了した時点で、アルカンシェ達は宗八を残して撤退した。
アルダーゼの世界は、神格ヲ簒奪セシ禍津大蛇が現れた時点で早急に撤退した。その時も宗八は最後まで残った。どちらの世界も精霊を託し一人となった精霊使いの自分達は、戦力外となった為に逃げだしたのだ。
——あの日の後悔を、二度と繰り返したくないから。
出来るならば……最後まで隣で戦いたかったっ!
アルカンシェの言葉。そして心の叫びを察したシヴァは思案する。
必要なのは、単純な戦力となる精霊ではない。精霊使いとして共に戦える個体。信頼関係を結べている水精……。
『提案出来る精霊は三名。スィーネ、ボジャノーイ、ポシェントです』
この三名だけが、アルカンシェと言葉を交わし、戦場を共にした経験もある。
他にも中位階以上の水精の紹介は可能だ。しかし、必要となるのは信頼ありきの≪シンクロ≫や≪ユニゾン≫が使用出来る可能性のある精霊。賢い娘の事だ。自分がこの三名を選出事も踏まえて相談して来ているのだろう。
何しろ人事は水精王である自分が管理しているのだから……。
「それでは……。水精ポシェントをお願いします」
アルカンシェの選択にシヴァは少し意外な表情を浮かべた。
『スィーネと仲が良い様なので、彼女を選ぶかと思っていましたが……』
「スィーネは純粋な魔法使いです。比べてポシェントは魔法は余り使用しませんが、私と同じく槍を駆使します。だからこそ選びました」
娘の考えは理解した。なるほど、確かに良い選択だ。
得意としている遠距離狙撃魔法が使えなくなるデメリットはある。しかし、それを補う近接戦闘力に期待しているのだろう。
『良いでしょう。ポシェントには話を通して手配しておきましょう。ところで、マリエルはどうするのです?』
当然、宗八が戦い始めれば風精ニルチッイをマリエルは失う事となる。
アルカンシェ同様に戦力外となるので尋ねた。
「風精の知り合いは、残念ながらセリア先生しか居ませんので、出来ればボジャ様の手配をお願いいたします」
この後に続けて交渉するつもりだったのか、アルカンシェは少し不服そうな視線をシヴァに送る。
娘の可愛らしい姿に王妃としての顔に一瞬戻ってしまう。慌てて表情を繕いこれも了承した。
『残るは、闇精一人。土精一人。火精一人。光精一人……ですか。どうします?』
精霊王として話を通しておきましょうか?と微笑み掛ける。
「それには及びません。時間を見つけてにはなりますが、私が頭を下げて参りますので」
それに顔繫ぎが出来ていない訳じゃない。
あとは宗八への信頼を、仲間に向けてもらえる様に各々が努力するだけだ……。
『ふふ……。不躾な事を言いましたね。頑張りなさい』
「ありがとうございます。シヴァ様」
アルカンシェ達は、アスペラルダ王城を出たその足でダンジョン≪死霊王の呼び声≫へと向かう。
次の目的は、メリーの相棒だ。契約精霊を見つける事が出来れば、子供達も宗八と一緒に居られる時間が増えるので、きっと喜んでくれるだろう。
——だからこそ、今は進もう。
きっと、皆で未来を掴むために。
* * * * *
『ふわあああぁぁぁっ~……。いま、なにしてるのぉ~?』
アスペラルダ城の宗八の部屋で、お昼寝していた呑気な長女が開きっぱなしだったゲートから、欠伸交じりに現れた。
その可愛らしい姿にパトラを始め、占い師娘三人も目をハートにしている。
逆に宗八は、アルカンシェと共に居ると思っていた長女が眠気眼に登場した事に首を傾げていた。
「何してんだ、お前……よっと。魔族領でひと仕事だよ」
抱き上げた水精アクアーリィの頰に親愛のキスしながら質問に答えてやると、お返しにキスを返してくれた。
『にゅふふ。アルシェが色々と考えてくれてるんだよぉー。だから、アクアもパパと一緒にお仕事出来るんだよぉー』
続けて、頬づりを繰り返す水精アクアーリィの頭を撫でながら、宗八は考える。アルカンシェが独自に動いてくれていたからこそ、普段彼女の側にいるアクアーリィがこうしてこの場に来られたのだ、と。己の嫁が自分の為に手筈を整えてくれている事に嬉しくなる。
ともかく、水精アクアーリィがこちらに合流したならば、宗八自身も強力な手駒として計算出来る。
「さあ、魔王様に謁見しに行こうか」
『わあー!』
父にじゃれついていた長女のアクアーリィを、四女アニマが強引に取り込みながら一喝する。
『わあーじゃありません!お姉さま!いつまでお父様に甘えているのですか!早く合流なさいっ!』
この時ばかりは妹の立場よりも、無精王アニマとしての立場が強く出ていた。
長女に負けず劣らず内心では父を好いている心を鬼にして、アニマはアクアーリィをしかりつけながら、無精霊纏中の状態で腕を伸ばす。
そして、そのまま長女を混交精霊纏に引き摺り込んだ。
アクアーリィが姿を消した瞬間、宗八のステータスが跳ね上がる。
空気が変わった。パメラは敏感な角を震わせ、その凄みをはっきりと感じ取っていた。
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