お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。

イコ

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第五章

学園都市で仲間を集めよう

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《side フライ・エルトール》

 帝都でブライド皇帝の即位後の宴を終え、私は学園都市へと向かっていた。

 帝国の新皇帝ブライド・スレイヤー・ハーケンスは、貴族たちを血で染め、圧倒的な恐怖をもって支配を確立した。

 ただ、それは皇帝ブライドに従わない。もしくは、皇帝が変わる前に不正を働いていた者達ばかりだ。

 それは帝国にとって、新たな時代を告げるものとなった。

 そして、王国ではアイス王子が即位した。

 この二つの勢力がぶつかることは、もはや避けられない。

 その中で、どちらにも関わるつもりはない。

 エルトール公爵領は、あくまで中立を保ちつつ、この戦争の流れを見極める立場を貫く。

 エリザベートの先見により、セシリアと婚約することができたことにより、公国、公爵領、ユーハイム伯爵領を合わせて、二国に対して中立を主張できるほどにはなっている。

 だからこそ、まずは準備を整える必要がある。

 そのために、私は学園都市へと向かった。

 ♢

 馬車が学園都市の門をくぐると、帝都とはまったく異なる雰囲気が広がっていた。

 帝都の重苦しい空気とは違い、学園都市は活気に満ちていた。若い学生たちにとっては、皇帝の代替わりなど一つのセンセーショナルなニュースでしかない。

 街の至るところに学生たちの姿があり、通りには商人たちの声が響いている。

 私は彼らの元気な姿に嬉しくなりながら、だが学生たちに背を向けて、学園都市のアンダーグラウンドに入っていく。

 ♢

 酒場に入ると、いつも通り荒くれ者たちで賑わっていた。

「フェル爺さん。久しぶりだね」
「くく、フライ! フライじゃないか! よくきたな!」

 フェル爺さんは、相変わらずの様子でニヤリと笑って出迎えてくれる。

「皇帝が変わって動く気になったか?」
「うーん、どうなんだろうね。だけど、連携は必要だよね」
「お前は相変わらず飄々としながらも勝負どころをわかっているやつだ」

 私が席に座ると、フェル爺さんは嬉しそうに話し始める。

「お前さんがブライド皇帝、アイス王子に祝辞を一番に送ったことも知っているぞ」
「さすがだね」
「当然。学園都市は帝国とも王国とも繋がってるからな。皇帝になったばかりのブライド皇帝が、帝都の貴族たちをぶった斬ったって噂は、もうここまで届いてるぜ」

 フェル爺さんは苦笑しながら酒を飲み干した。

「で、お前さんはどう動くんだ? ブライドの犬になるか? それとも王国につくか?」

 私はゆっくりとワイングラスを手に取ると、軽く揺らしながら口を開いた。

「どちらにもつかないよ」
「……ほう?」
「この戦争に直接関わるつもりはない。ただ、僕の領地に戦火が及ぶようなら、全力で守るだけさ」
「ふむ……まあ、お前さんらしい答えだな」

 フェル爺さんは顎を撫でながら、しばらく考え込んでいた。

「戦争は避けられねぇだろうが、どちらに転ぶかはまだ分からねぇってわけか」
「そういうこと」
「ま、学園都市は裏はお前の味方だぜ。商売人ってのは、戦争が起きても中立を守るもんだからな」

 フェル爺さんは、すでに状況を全て理解しているのだ。

「何か困ったことがあれば、相談しな。すでに我々はFの元に集う準備はできている」
「ありがとう、フェル爺さん」

 私は軽く礼を言うと、席を立った。

 ♢

 エルトール公爵家は、学園都市にも屋敷を保有している。

 私はそこを訪れ、以前から屋敷を任せていた二人を迎えに行くことにした。

 トアは学園都市で研究を続けており、ミミは鼠人族として新たな生活を送っていた。すでに出会ってから三年近くの時が流れたので、二人とも私に対して慣れてくれるようになった。

 だが、戦争の兆しが見えてきた今、彼女たちを安全な場所へ移す必要がある。

 私は屋敷の門をくぐると、すぐに執事が迎えてくれた。

「公爵様、お帰りなさいませ」
「トアとミミはいるか?」
「はい、お二人とも中にいらっしゃいます」

 私は屋敷の奥へと進み、研究室へと向かった。

「フライ様!」

 扉を開けると、トアが顔を輝かせながら飛び出してきた。

「久しぶりだね、トア」
「お帰りなさいませ!」

 彼女は嬉しそうに笑いながら、私の前に立った。

「それで、今日はどうされたのですか?」
「そろそろ、公爵領に戻ろうと思ってね。トアも、そろそろ研究を続けるにしても安全な場所に移った方がいい」
「……安全な場所ですか?」

 トアの顔が曇る。

「ああ、公爵領にドワーフの街を作ったんだ。彼らと協力することで、君の目的のものができるだろう」
「……分かりました。私も、フライ様の領地で研究を続けたいです!」

 トアは力強く頷いた。

「うん、君の研究環境はちゃんと整えておくよ」

 次に、私はミミの部屋へ向かった。

「フライ様……!」

 ミミは少し戸惑いながら、私を見つめる。

「ミミも、公爵領へ戻ろう」
「えっ……でも、私はここで……」
「このまま学園都市に残るのもいいけど、公爵領にも迷宮は存在する。鼠人族で希望者は連れて行こうと思う」

 私は彼女の目を見て、真剣に意味を込めて伝える。

「君がどこで生きていくかは自由だよ。でも、俺の領地なら、君の仲間たちも安心して暮らせる場所を用意できる」
「……」

 ミミは少し考え込んだあと、小さく頷いた。

「……分かりました。フライ様と一緒に行きます」

 こうして、私はトアとミミを連れて、公爵領へ帰ることになった。

 鼠人族も、若者の半分が付き添ってくれた。
 動くのが苦手な者、高齢鼠人族は、学園都市を守ることを選んだ。

「さぁ安全な場所へ帰ろうか」

 僕は公爵家に向けて、大切な人たちを集めて準備を終えることができた。
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