146 / 153
第五章
学園都市で仲間を集めよう
しおりを挟む
《side フライ・エルトール》
帝都でブライド皇帝の即位後の宴を終え、私は学園都市へと向かっていた。
帝国の新皇帝ブライド・スレイヤー・ハーケンスは、貴族たちを血で染め、圧倒的な恐怖をもって支配を確立した。
ただ、それは皇帝ブライドに従わない。もしくは、皇帝が変わる前に不正を働いていた者達ばかりだ。
それは帝国にとって、新たな時代を告げるものとなった。
そして、王国ではアイス王子が即位した。
この二つの勢力がぶつかることは、もはや避けられない。
その中で、どちらにも関わるつもりはない。
エルトール公爵領は、あくまで中立を保ちつつ、この戦争の流れを見極める立場を貫く。
エリザベートの先見により、セシリアと婚約することができたことにより、公国、公爵領、ユーハイム伯爵領を合わせて、二国に対して中立を主張できるほどにはなっている。
だからこそ、まずは準備を整える必要がある。
そのために、私は学園都市へと向かった。
♢
馬車が学園都市の門をくぐると、帝都とはまったく異なる雰囲気が広がっていた。
帝都の重苦しい空気とは違い、学園都市は活気に満ちていた。若い学生たちにとっては、皇帝の代替わりなど一つのセンセーショナルなニュースでしかない。
街の至るところに学生たちの姿があり、通りには商人たちの声が響いている。
私は彼らの元気な姿に嬉しくなりながら、だが学生たちに背を向けて、学園都市のアンダーグラウンドに入っていく。
♢
酒場に入ると、いつも通り荒くれ者たちで賑わっていた。
「フェル爺さん。久しぶりだね」
「くく、フライ! フライじゃないか! よくきたな!」
フェル爺さんは、相変わらずの様子でニヤリと笑って出迎えてくれる。
「皇帝が変わって動く気になったか?」
「うーん、どうなんだろうね。だけど、連携は必要だよね」
「お前は相変わらず飄々としながらも勝負どころをわかっているやつだ」
私が席に座ると、フェル爺さんは嬉しそうに話し始める。
「お前さんがブライド皇帝、アイス王子に祝辞を一番に送ったことも知っているぞ」
「さすがだね」
「当然。学園都市は帝国とも王国とも繋がってるからな。皇帝になったばかりのブライド皇帝が、帝都の貴族たちをぶった斬ったって噂は、もうここまで届いてるぜ」
フェル爺さんは苦笑しながら酒を飲み干した。
「で、お前さんはどう動くんだ? ブライドの犬になるか? それとも王国につくか?」
私はゆっくりとワイングラスを手に取ると、軽く揺らしながら口を開いた。
「どちらにもつかないよ」
「……ほう?」
「この戦争に直接関わるつもりはない。ただ、僕の領地に戦火が及ぶようなら、全力で守るだけさ」
「ふむ……まあ、お前さんらしい答えだな」
フェル爺さんは顎を撫でながら、しばらく考え込んでいた。
「戦争は避けられねぇだろうが、どちらに転ぶかはまだ分からねぇってわけか」
「そういうこと」
「ま、学園都市は裏はお前の味方だぜ。商売人ってのは、戦争が起きても中立を守るもんだからな」
フェル爺さんは、すでに状況を全て理解しているのだ。
「何か困ったことがあれば、相談しな。すでに我々はFの元に集う準備はできている」
「ありがとう、フェル爺さん」
私は軽く礼を言うと、席を立った。
♢
エルトール公爵家は、学園都市にも屋敷を保有している。
私はそこを訪れ、以前から屋敷を任せていた二人を迎えに行くことにした。
トアは学園都市で研究を続けており、ミミは鼠人族として新たな生活を送っていた。すでに出会ってから三年近くの時が流れたので、二人とも私に対して慣れてくれるようになった。
だが、戦争の兆しが見えてきた今、彼女たちを安全な場所へ移す必要がある。
私は屋敷の門をくぐると、すぐに執事が迎えてくれた。
「公爵様、お帰りなさいませ」
「トアとミミはいるか?」
「はい、お二人とも中にいらっしゃいます」
私は屋敷の奥へと進み、研究室へと向かった。
「フライ様!」
扉を開けると、トアが顔を輝かせながら飛び出してきた。
「久しぶりだね、トア」
「お帰りなさいませ!」
彼女は嬉しそうに笑いながら、私の前に立った。
「それで、今日はどうされたのですか?」
「そろそろ、公爵領に戻ろうと思ってね。トアも、そろそろ研究を続けるにしても安全な場所に移った方がいい」
「……安全な場所ですか?」
トアの顔が曇る。
「ああ、公爵領にドワーフの街を作ったんだ。彼らと協力することで、君の目的のものができるだろう」
「……分かりました。私も、フライ様の領地で研究を続けたいです!」
トアは力強く頷いた。
「うん、君の研究環境はちゃんと整えておくよ」
次に、私はミミの部屋へ向かった。
「フライ様……!」
ミミは少し戸惑いながら、私を見つめる。
「ミミも、公爵領へ戻ろう」
「えっ……でも、私はここで……」
「このまま学園都市に残るのもいいけど、公爵領にも迷宮は存在する。鼠人族で希望者は連れて行こうと思う」
私は彼女の目を見て、真剣に意味を込めて伝える。
「君がどこで生きていくかは自由だよ。でも、俺の領地なら、君の仲間たちも安心して暮らせる場所を用意できる」
「……」
ミミは少し考え込んだあと、小さく頷いた。
「……分かりました。フライ様と一緒に行きます」
こうして、私はトアとミミを連れて、公爵領へ帰ることになった。
鼠人族も、若者の半分が付き添ってくれた。
動くのが苦手な者、高齢鼠人族は、学園都市を守ることを選んだ。
「さぁ安全な場所へ帰ろうか」
僕は公爵家に向けて、大切な人たちを集めて準備を終えることができた。
帝都でブライド皇帝の即位後の宴を終え、私は学園都市へと向かっていた。
帝国の新皇帝ブライド・スレイヤー・ハーケンスは、貴族たちを血で染め、圧倒的な恐怖をもって支配を確立した。
ただ、それは皇帝ブライドに従わない。もしくは、皇帝が変わる前に不正を働いていた者達ばかりだ。
それは帝国にとって、新たな時代を告げるものとなった。
そして、王国ではアイス王子が即位した。
この二つの勢力がぶつかることは、もはや避けられない。
その中で、どちらにも関わるつもりはない。
エルトール公爵領は、あくまで中立を保ちつつ、この戦争の流れを見極める立場を貫く。
エリザベートの先見により、セシリアと婚約することができたことにより、公国、公爵領、ユーハイム伯爵領を合わせて、二国に対して中立を主張できるほどにはなっている。
だからこそ、まずは準備を整える必要がある。
そのために、私は学園都市へと向かった。
♢
馬車が学園都市の門をくぐると、帝都とはまったく異なる雰囲気が広がっていた。
帝都の重苦しい空気とは違い、学園都市は活気に満ちていた。若い学生たちにとっては、皇帝の代替わりなど一つのセンセーショナルなニュースでしかない。
街の至るところに学生たちの姿があり、通りには商人たちの声が響いている。
私は彼らの元気な姿に嬉しくなりながら、だが学生たちに背を向けて、学園都市のアンダーグラウンドに入っていく。
♢
酒場に入ると、いつも通り荒くれ者たちで賑わっていた。
「フェル爺さん。久しぶりだね」
「くく、フライ! フライじゃないか! よくきたな!」
フェル爺さんは、相変わらずの様子でニヤリと笑って出迎えてくれる。
「皇帝が変わって動く気になったか?」
「うーん、どうなんだろうね。だけど、連携は必要だよね」
「お前は相変わらず飄々としながらも勝負どころをわかっているやつだ」
私が席に座ると、フェル爺さんは嬉しそうに話し始める。
「お前さんがブライド皇帝、アイス王子に祝辞を一番に送ったことも知っているぞ」
「さすがだね」
「当然。学園都市は帝国とも王国とも繋がってるからな。皇帝になったばかりのブライド皇帝が、帝都の貴族たちをぶった斬ったって噂は、もうここまで届いてるぜ」
フェル爺さんは苦笑しながら酒を飲み干した。
「で、お前さんはどう動くんだ? ブライドの犬になるか? それとも王国につくか?」
私はゆっくりとワイングラスを手に取ると、軽く揺らしながら口を開いた。
「どちらにもつかないよ」
「……ほう?」
「この戦争に直接関わるつもりはない。ただ、僕の領地に戦火が及ぶようなら、全力で守るだけさ」
「ふむ……まあ、お前さんらしい答えだな」
フェル爺さんは顎を撫でながら、しばらく考え込んでいた。
「戦争は避けられねぇだろうが、どちらに転ぶかはまだ分からねぇってわけか」
「そういうこと」
「ま、学園都市は裏はお前の味方だぜ。商売人ってのは、戦争が起きても中立を守るもんだからな」
フェル爺さんは、すでに状況を全て理解しているのだ。
「何か困ったことがあれば、相談しな。すでに我々はFの元に集う準備はできている」
「ありがとう、フェル爺さん」
私は軽く礼を言うと、席を立った。
♢
エルトール公爵家は、学園都市にも屋敷を保有している。
私はそこを訪れ、以前から屋敷を任せていた二人を迎えに行くことにした。
トアは学園都市で研究を続けており、ミミは鼠人族として新たな生活を送っていた。すでに出会ってから三年近くの時が流れたので、二人とも私に対して慣れてくれるようになった。
だが、戦争の兆しが見えてきた今、彼女たちを安全な場所へ移す必要がある。
私は屋敷の門をくぐると、すぐに執事が迎えてくれた。
「公爵様、お帰りなさいませ」
「トアとミミはいるか?」
「はい、お二人とも中にいらっしゃいます」
私は屋敷の奥へと進み、研究室へと向かった。
「フライ様!」
扉を開けると、トアが顔を輝かせながら飛び出してきた。
「久しぶりだね、トア」
「お帰りなさいませ!」
彼女は嬉しそうに笑いながら、私の前に立った。
「それで、今日はどうされたのですか?」
「そろそろ、公爵領に戻ろうと思ってね。トアも、そろそろ研究を続けるにしても安全な場所に移った方がいい」
「……安全な場所ですか?」
トアの顔が曇る。
「ああ、公爵領にドワーフの街を作ったんだ。彼らと協力することで、君の目的のものができるだろう」
「……分かりました。私も、フライ様の領地で研究を続けたいです!」
トアは力強く頷いた。
「うん、君の研究環境はちゃんと整えておくよ」
次に、私はミミの部屋へ向かった。
「フライ様……!」
ミミは少し戸惑いながら、私を見つめる。
「ミミも、公爵領へ戻ろう」
「えっ……でも、私はここで……」
「このまま学園都市に残るのもいいけど、公爵領にも迷宮は存在する。鼠人族で希望者は連れて行こうと思う」
私は彼女の目を見て、真剣に意味を込めて伝える。
「君がどこで生きていくかは自由だよ。でも、俺の領地なら、君の仲間たちも安心して暮らせる場所を用意できる」
「……」
ミミは少し考え込んだあと、小さく頷いた。
「……分かりました。フライ様と一緒に行きます」
こうして、私はトアとミミを連れて、公爵領へ帰ることになった。
鼠人族も、若者の半分が付き添ってくれた。
動くのが苦手な者、高齢鼠人族は、学園都市を守ることを選んだ。
「さぁ安全な場所へ帰ろうか」
僕は公爵家に向けて、大切な人たちを集めて準備を終えることができた。
50
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。
遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。
「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。
「異世界転生に興味はありますか?」
こうして遊太は異世界転生を選択する。
異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。
「最弱なんだから努力は必要だよな!」
こうして雄太は修行を開始するのだが……
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる