山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する

紅子

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子にゃんこ、山賊に保護される

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「フィリア!居るのは分かってるのよ。出てらっしゃい。今日こそは、ここを出て人の中に修行に行ってもらうわよ!」

嫌だぁー!私はこの森に居られれば幸せなのよ。魔女の掟なんて知らない!

私は物置の奥にじっと隠れて、師匠のアルテが帰るのを待った。だが、しかし、そうは問屋が卸さない。私のことなどお見通しの師匠はすぐに私を見つけ出し、容赦なく引きずり出した。

「いやー!やだやだ。私はここに居るの~!」

「だから、人の中で修行しないと、魔女じゃなくなるのよ!そうしたら、貴女は消えちゃうの!人と魔女の差を学んでらっしゃい!あわよくば、貴女と魔力の相性がいい相手も捕まえるのよ?」

「でもでも、人、怖いー!私はここで消えていくの~」

師匠は、イライラマックスの顔で私に魔法を施してきた。

「んも~!!!せっかく見つけてここまで育てたんだから、きっちり修行してもらいます!その身体の間はここへは戻れないから。それに、自分のためには命の危険でもない限り、最低限の魔法しか使えないわ。でも、そうね。ひとりではここから出ていけそうもないから、ここまで迎えを寄越すから。そのあとは、好きにすればいいわ。修行が終われば元に戻るから。じゃあね♪」

「にゃ、にゃにゃ~ん!にゃあ~!」
し、師匠~!置いてかないで!

え?にゃあ?

私は慌てて自分を見た。見下ろしたそこにあるのは、白い毛に覆われたぽっこりのお腹と目の端に映るピンとしたお髭。そして、くるんと身体に沿って丸まったしっぽ。

急いで鏡の前に走った。そこにいたのは、紛れもなくネコ。しかも、子ネコ。白い体毛に金の瞳の子ネコ。しかも、可愛い。

・・・・。
子ネコ・・・・?
師匠、なんで子ネコ?
白いふわふわのおけけとピンクの肉球がぷりちー♪

「なぁ・・・・」
ハァ・・・・

私が自分を認識したのを見届けたかのように、「ぽん!」と音をたてて、私の大切な大切な家が消えた。

消えた・・・・消えた・・・・。

「ふにゃあーーーーー!!!!にゃあにゃあにゃあーーー!!!」
いやーーーーー!!!!私の家を返してーーー!!!

「にゃあーーー!」
どうしろっていうのーーー!

もう、どうにでもなれ!と、私は家があった場所で子ネコのまま、ふて寝することにした。まあ、師匠が誰かを寄越すって言ってたし、たぶんファビアーノだから見つけたら連れていってくれるでしょう。




そして、目が覚めて青褪めた。

「にゃ!にやあにゃにゃにゃなああああ!」
師匠!なんでよりによって山賊なんて寄越すの~!

「お、起きたな。こらこら、そんなに暴れると落ちるぞ。おまえ、あんなところで昼寝なんてしてたら、危ないだろう?俺が通りかかったからよかったものの、魔獣に襲われるぞ。なんであんなところにいたんだ?」

あれ?あの辺りは魔女の縄張りだから、魔獣は来れないはず。それに、人間も。ましてや山賊なんて、途中でお帰り願うようになってるはずなのに、なんで?

私は寝ていたから気づかなかった。師匠の依頼を受けた師匠の弟子、私の兄弟子ファビアーノが私を人間でも入り込める森の中に運び放置したことを。兄弟子ファビアーノよ、私が魔獣に襲われてたら呪ってやったのに!

「フシャーーー!!!」
おろせーーー!!!

「おい、助けてやったのに、威嚇するなよ。ああ、よしよし、怖かったんだな?」

「ブミャア!!!」
お前がな!!!

「そうかそうか。可愛いなぁ。もうすぐ、俺の仲間と合流できるからな。そしたら、王都に一緒に連れていってやる。お前、野良だろう?安心しろ、ちゃんと飼ってやるからな」

「びみ″ゃー。みゃみゃみゃ」
やめてー。スリスリしないで。

この山賊にもふもふスリスリされながら暫く行くと、開けた場所に出た。その間この山賊は私に甘々、デレデレ。赤ちゃん言葉じゃないだけましかもしれないけど、さすがに引く。山賊の掌から辛うじて開いている目をキョロキョロ動かして辺りを伺った。そこには、結構な数の男と女がのんびりとくつろいでいる。大きな荷物もたくさんあった。あれ?山賊じゃない?

「団長!何処まで行ってるんですか!もう出発の用意は整ってますよ!団長待ちです!」

この山賊は団長だそうだ。マジか・・・・。ということは、山賊ではなくて騎士?私にもそのくらいの常識はある。家に引きこもっていたとはいえ、師匠が教えてくれたし、何より、魔女は自分の生きた人生全ての記憶があるのだ。忘れていることも多々あるけど・・・・。服装で気づけ!というのは受け付けない。私には、この山賊の顔しか見えなかったんだから。

騎士より山賊の方がピンとくるよね。こんな凶悪な顔、なかなかお目にかかれないよ。うわー、山賊の騎士団長、ないわー。いや、ありなのか?見ただけで逃げ出す仕様なのか?

私は山賊改め団長にもふもふスリスリされ過ぎて、グッタリと団長の手の中で寝そべりながら、どうでもいいことを考えていた。その間も団長は、私をもふり続けている。

「悪かったな。こいつを森の中で見つけたもんだから、保護してきた」

団長に声を掛けた男の人は手の中でグッタリとしている私を見て、顔をひきつらせた。

「・・・・団長。その子ネコは、死にかけだったんですか?」

「いや、ただ寝てたところを捕まえた」

「・・・・死にかけてますよ?」

「えっ!!!うわー!!!しっかりしろ!」

もふもふスリスリし過ぎなんだよ!

「死なせたくなければ、僕に渡すか、ポケットに入れて休ませてください。いいですね?お触り禁止です!」

団長は「わかった」と言うとすぐさま私を自分の胸ポケットに仕舞った。

ふうー、やっと休める。ありがとう、名も知らぬ青年騎士よ!

適度に暖かいポケットの中は居心地がよく、子にゃんこの私はほどなく眠りに落ちた。
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