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子にゃんこ、よくある話しを耳にする
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私の頭の上では相変わらず難しい話しがされている。ファビアーノは、この国の王様に力を貸している魔女としては変わり者だ。私達は、基本、我が儘で気まぐれだからひとつの国に力を貸すことはあまりない。ちなみに、魔女というのは、私達のように過去の記憶をすべて持ち合わせ、今の姿で自然発生した存在のこと。女だけでなく、男も魔女と呼ばれる。聞くともなしにポケットという私の定位置でぬくぬくと聞いていると、どうやら、話しが団長の進退のことになったようだ。
「本当に辞めるのか?」
「ああ。もう決めたことだ」
「だが、眼は治ったんだろう?」
「それだけじゃない。わかっているだろう?」
「貴方のせいではないですよ。あれは、学園の責任です。馬鹿な子息令嬢の痴情の縺れなどにいちいち付き合っていられませんよ」
「おい、私の息子を馬鹿とはなんだ。まあ、馬鹿だがな」
「その馬鹿な息子に学園の夜会で婚約破棄をされたのは俺の姪だ。あろうことか、国外追放とか言われたらしいしな。あれでも王族だ。引っ込めさせるにはこっちもなにがしかせねばならんだろう?」
ん?なんだか、聞いたことあるような話だな。
「だから、あのバカ息子は謹慎させている。それに理由が理由だからな。お前の姪も屋敷に待機させているはずだ。何処かに連れていかれる前に保護できてほっとしたわ」
「間一髪、王都を出る前だったがな」
「お前の姪がどこぞの下級貴族の令嬢を虐めたとか、階段から落ちたくせにピンピンしている女の嘘も見抜けんとは情けない。破落戸だって公爵令嬢だからこそそんな簡単に用意できるはずもない。そんなことも分からんとは・・・・ハァ。だいたい家同士の契約をそう簡単に覆せるわけもないのに勝手をしおって。私は散々言い聞かせたんだがなぁ。あやつときたら・・・・」
あはは、本当によく聞く話だよ。王様が段々愚痴っぽくなってきた。
「ねぇ」
あまりのテンプレなお話しに思わずポケットからひょこっと顔を出した。
「どうしました?」
「今の話し、なぁんかどこぞの過去で何度か経験があるんだけど・・・・。その下級貴族ちゃん、魅了の魔法とか使えたりしない?もしくは、ヒロインとかイベントとか言ってたり、他にも訳のわからないことを言ってなかった?」
3人は顔を見合わせていたが、王様は心当たりがあったようだ。
「そういえば、バカ息子に付けている影が聞きなれない言葉を言っていたなぁ。確か・・悪・・悪なんとか令嬢?とか」
「悪役令嬢、ね?」
「そうそう、それだ!」
この世界、私達、魔女ほどでなくても、みんな生活魔法くらいは使える。時々、他の人よりも少しだけ強い魔法を使える者もいる。まあ、魔女には遠く及ばないけど。その下級貴族ちゃんが魅了の魔法を使えたとしてもおかしくはない。でも、問題はそこではなくて・・・・。
「なんですか?それは」
「悪役令嬢はね、主役の女の子を虐める役回りの高位貴族の女の子のこと。私も前の前の前くらい?の時にやらされた。私が動かないもんだから主役ちゃんが自作自演で頑張ってたけどね。結局、その子を虐めたとか言うことになって、婚約破棄された」
「冤罪ということか?」
「うん。でもねぇ、その時の婚約者がぼんくら王太子でね。私、大嫌いだったから、家族で領地ごと隣国に寝返ってやったわ。確かその国は、その後、すぐに陛下が崩御されて、その王太子が国王になって5年持たなかったんじゃなかったかな?」
「「・・・・」」
「よく似てますね・・・・」
「よくある話しよ。もう忘れたけど、どこかの生の時、そんな感じの物語とかたくさん出てたし。そうそう。その世界の物語の記憶を持ったまま産まれちゃった子が、その物語の世界と勘違いしちゃってね。引っ掻き回してたこともあったわ。現実で逆ハーレムなんてあり得ないのにね。巻き込まれたこっちはいい迷惑だったよ。その下級貴族ちゃんも物語の記憶がある子だよ」
遠い目になったのは仕方ない。その時は男だったけど、ハーレム要員に勧誘され続けてげんなりだった。私は可愛いだけのバカは嫌いなんだよ。
「なんと言うか、調べる必要がありそうですね」
「そのようだな」
「ファビアーノ、頼む」
「仕方ないですね」
団長の進退は一時保留となり、アーノは下級貴族ちゃんの身辺調査をするらしい。私は団長の部屋に寝床が用意され、普段は気ままに王宮内を散歩している。時々、王様に遭遇してお茶の相手を務めたりしているけど、「にゃー」としか聞こえない侍女や侍従たちが、王様に憐れみの目を向けているのを私は知っている。
だって、よく考えてみて?大の男が子ネコをなでなでしながら話しかけてるんだよ。しかも深刻そうだったり、笑ってお菓子を与えてたり。端から見たら人生に疲れた危ない人だよ。
「ザム、お腹減った~」
ザムは、団長愛称だ。ガルザムが団長の名前だと知ったのは、つい最近。2週間ほど経ってからだった。名前なんて、知らなくてもなんとかなる。王様の名前なんて未だに知らない。
「やっと帰って来たな」
「王様に捕まっちゃって」
「・・・・何処にいた?俺は部下に陛下をさんざん探し回らせていたんだが?」
「あははははは。えっと、内緒?たぶん王様の息抜きスペースだと思うから。えへ」
「まあ、いい。食堂に行くぞ」
「わーい!」
この人も端から見ると危ない人なんだよね。見た目山賊が子ネコと話してる姿を想像するといい。山賊のポケットから顔を出す子ネコ。それと話す厳つい山賊。近づいたらダメでしょ?
騎士団の人も遠巻きにする中、私たちに声をかけてきた強者がいた。
「ガルザム、遅かったな」
誰この人?ザムの上司かな?
いやー、この人も厳ついなぁ。まあ、ザムほどじゃないし、人によっては威厳のあるおじ様とも見えるかな?
「総帥。何か俺に用でも?」
「・・・・」
なんか、目が合った?こっちを凝視してるような?
「総帥?」
「・・それは何だ?」
「?」
ザムは、総帥の視線を辿って私に行き着いた。
「子ネコですが?」
そう言いながら、私の首根っこを掴みぷらーんとポケットから出した。
「にゃあー!」
それ止めてー!
「すまん」
ぷらーんを止めて、掌にぽふと乗せ直してくれた。目の前には、総帥の厳つい顔。
「お前、早く嫁をもらった方がいいぞ」
総帥の顔には憐れみの表情が浮かんでいるし、周りもここぞとばかりに頷いている。やっぱり、みんなもそう思っていたらしい。
「・・・・余計なお世話です・・・・。フィー、何食いたい?」
「なー!」
唐揚げ定食!
「分かった」
「儂でなく、少しでも母さんに似れば良かったものを・・・・。これ以上は不憫を通り越して憐れとしか・・・・」
あら、ザムのお父様でしたか。
私を見ながら言わないでください。
「放っとけ!」
ザムは、さっさと総帥に背を向けて食堂のカウンターへ向かったけど、後ろからパパが着いてきた。
「まあ待て!明日朝イチで陛下の執務室だ。ファビアーノ殿も来る」
「分かった」
「にゃー、にゃー!」
私も行く!
ザムは、頷きながら唐揚げ定食大盛りを注文してくれた。それを見るパパの視線は何とも言えないものだったけど、私には関係ない。
満足満足♪
「本当に辞めるのか?」
「ああ。もう決めたことだ」
「だが、眼は治ったんだろう?」
「それだけじゃない。わかっているだろう?」
「貴方のせいではないですよ。あれは、学園の責任です。馬鹿な子息令嬢の痴情の縺れなどにいちいち付き合っていられませんよ」
「おい、私の息子を馬鹿とはなんだ。まあ、馬鹿だがな」
「その馬鹿な息子に学園の夜会で婚約破棄をされたのは俺の姪だ。あろうことか、国外追放とか言われたらしいしな。あれでも王族だ。引っ込めさせるにはこっちもなにがしかせねばならんだろう?」
ん?なんだか、聞いたことあるような話だな。
「だから、あのバカ息子は謹慎させている。それに理由が理由だからな。お前の姪も屋敷に待機させているはずだ。何処かに連れていかれる前に保護できてほっとしたわ」
「間一髪、王都を出る前だったがな」
「お前の姪がどこぞの下級貴族の令嬢を虐めたとか、階段から落ちたくせにピンピンしている女の嘘も見抜けんとは情けない。破落戸だって公爵令嬢だからこそそんな簡単に用意できるはずもない。そんなことも分からんとは・・・・ハァ。だいたい家同士の契約をそう簡単に覆せるわけもないのに勝手をしおって。私は散々言い聞かせたんだがなぁ。あやつときたら・・・・」
あはは、本当によく聞く話だよ。王様が段々愚痴っぽくなってきた。
「ねぇ」
あまりのテンプレなお話しに思わずポケットからひょこっと顔を出した。
「どうしました?」
「今の話し、なぁんかどこぞの過去で何度か経験があるんだけど・・・・。その下級貴族ちゃん、魅了の魔法とか使えたりしない?もしくは、ヒロインとかイベントとか言ってたり、他にも訳のわからないことを言ってなかった?」
3人は顔を見合わせていたが、王様は心当たりがあったようだ。
「そういえば、バカ息子に付けている影が聞きなれない言葉を言っていたなぁ。確か・・悪・・悪なんとか令嬢?とか」
「悪役令嬢、ね?」
「そうそう、それだ!」
この世界、私達、魔女ほどでなくても、みんな生活魔法くらいは使える。時々、他の人よりも少しだけ強い魔法を使える者もいる。まあ、魔女には遠く及ばないけど。その下級貴族ちゃんが魅了の魔法を使えたとしてもおかしくはない。でも、問題はそこではなくて・・・・。
「なんですか?それは」
「悪役令嬢はね、主役の女の子を虐める役回りの高位貴族の女の子のこと。私も前の前の前くらい?の時にやらされた。私が動かないもんだから主役ちゃんが自作自演で頑張ってたけどね。結局、その子を虐めたとか言うことになって、婚約破棄された」
「冤罪ということか?」
「うん。でもねぇ、その時の婚約者がぼんくら王太子でね。私、大嫌いだったから、家族で領地ごと隣国に寝返ってやったわ。確かその国は、その後、すぐに陛下が崩御されて、その王太子が国王になって5年持たなかったんじゃなかったかな?」
「「・・・・」」
「よく似てますね・・・・」
「よくある話しよ。もう忘れたけど、どこかの生の時、そんな感じの物語とかたくさん出てたし。そうそう。その世界の物語の記憶を持ったまま産まれちゃった子が、その物語の世界と勘違いしちゃってね。引っ掻き回してたこともあったわ。現実で逆ハーレムなんてあり得ないのにね。巻き込まれたこっちはいい迷惑だったよ。その下級貴族ちゃんも物語の記憶がある子だよ」
遠い目になったのは仕方ない。その時は男だったけど、ハーレム要員に勧誘され続けてげんなりだった。私は可愛いだけのバカは嫌いなんだよ。
「なんと言うか、調べる必要がありそうですね」
「そのようだな」
「ファビアーノ、頼む」
「仕方ないですね」
団長の進退は一時保留となり、アーノは下級貴族ちゃんの身辺調査をするらしい。私は団長の部屋に寝床が用意され、普段は気ままに王宮内を散歩している。時々、王様に遭遇してお茶の相手を務めたりしているけど、「にゃー」としか聞こえない侍女や侍従たちが、王様に憐れみの目を向けているのを私は知っている。
だって、よく考えてみて?大の男が子ネコをなでなでしながら話しかけてるんだよ。しかも深刻そうだったり、笑ってお菓子を与えてたり。端から見たら人生に疲れた危ない人だよ。
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ザムは、団長愛称だ。ガルザムが団長の名前だと知ったのは、つい最近。2週間ほど経ってからだった。名前なんて、知らなくてもなんとかなる。王様の名前なんて未だに知らない。
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いやー、この人も厳ついなぁ。まあ、ザムほどじゃないし、人によっては威厳のあるおじ様とも見えるかな?
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「・・・・」
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「総帥?」
「・・それは何だ?」
「?」
ザムは、総帥の視線を辿って私に行き着いた。
「子ネコですが?」
そう言いながら、私の首根っこを掴みぷらーんとポケットから出した。
「にゃあー!」
それ止めてー!
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ぷらーんを止めて、掌にぽふと乗せ直してくれた。目の前には、総帥の厳つい顔。
「お前、早く嫁をもらった方がいいぞ」
総帥の顔には憐れみの表情が浮かんでいるし、周りもここぞとばかりに頷いている。やっぱり、みんなもそう思っていたらしい。
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ザムは、さっさと総帥に背を向けて食堂のカウンターへ向かったけど、後ろからパパが着いてきた。
「まあ待て!明日朝イチで陛下の執務室だ。ファビアーノ殿も来る」
「分かった」
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